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第一章 「村開拓とモブ対抗戦」
第17世 「運搬組」
しおりを挟む皆が振り分けた役割通りに仕事をし、ハァーン村の拡大は順調に進みはじめた。
洞窟へ採掘に向かった資源収集組。
村で建物を建て始める建築組。
これらは男達が請け負った。
その間を行き来する運搬組の女子達は…
「ちょっとぉー?ベルミーもレイもちゃんと働きなよぉ?若い子が動かないでどうすんの?」
農民:グランマルが、平然とダラける矢師:ベルミーと無職:レイに言った。
「もぉー、ほぉーら!
ホノンを見習ってよぉー。」
釣り師:ホノンは荷物を抱えて歩いている。
すると荷物を運びながら、グランマルが2人に話している事に気がついたホノンは、その横を通りすがる途中で足を止めた。
「そだぞー、お前ら!働けぇー
姉さんの言うとおりだ。
いやぁー、それより、今日も姉さんは美しい…」
「またぁ!そんな事はいいから2人を説得して。」
グランマルは嬉しそうに一言言うと、自分の持ち場へ戻った。
その後ホノンが2人に話す。
「まぁ姉さんはあぁ言ってるけど、
分かるぜぇー
普通女子が運搬組ってのもおかしな話だよなぁ…
(まぁそれを言い訳にほぼ機能してないのが事実なんだけど…)」
返事も無く、めんどくさそうな2人をホノンは見ていた。
はぁ、ここは人を欺く事が取り柄の私が一仕事かってやりますか。
そう心の中で唱えたホノンがニヤニヤしながら言う。
「なぁレイ!ケバブのおっさんがさぁー?
荷物10個以上運んだ奴には、1日限定!
"無償で飯無限に作ってくれる券"
をくれるらしいんだけどさ!一緒に貰いに行かね?」
「え…
ほぉ…ん
とぉ…?
んー、
じゃあ、
行く…」
レイは眠そうな顔でよだれを垂らしながら答えた。
そして、ホノンは思った…。
「(ちょろ…)」
レイはとことん面倒が嫌いそうだからなぁ…
でも飯の事になりゃすぐ言う事を聞く。
すると、レイの後ろで手を組んだベルミーが言う。
「私はそんなの要らないわ!
お一人様分で満足ですもの。」
ベルミーはいつも通りツンで答えてくる。
こいつは一見難しそうだが…
ホノンは今度ベルミーに話しかける。
「まぁまぁまぁまぁ
ベルミー様もさぁ、聞いてくれよ。
盗み聞きしたんだが…
どうやら、洞窟行ってる資源収集組が、
なんか、すっげぇ色した液体?が、
ボロボロの瓶に入った、
あー、なんていうの?
とにかくよく分からん変なもん見つけて来たらしくてー、
(やっべ何も考えず話し過ぎて語彙力0だ…)
でも、あーゆーのなんて言うんだっけ?
私あんまり詳しく無いからさぁー?
薬?って言えば良いのかなぁー?
いや、ポーション?
ベルミーってそっち系詳しく無かったっけ?」
「えぇ、もちろん。
あなた達とは違って勉学を怠ら無い真面目なの。」
「(いや、仕事は怠るのかよ!)」
「で、その薬は何色だったのかしら?」
よしいいぞ!食い付いた!
「さぁー、そこまでは知らないけどなー。
でも変な色って事は…
んー、虹色?
だったりしてな?」
「そう?で、それはどこにあるの?見に行ってあげなくもないわ」
「んー、今はみんな仕事が忙しくてそれどころじゃ無いっぽいね。」
ベルミーはこうやって理由を作ってやれば良いんだよ。
「そう?
はぁ、全く、ここの村人は私がいないと何もできないのね…
仕方ないからあと少しだけなら手伝ってやっても良いわ!」
ほーら行けた。
「ほんとか?!ベルミー様が来てくれるのは助かりすぎるよぉ!わざわざありがとう!」
そう言いながらホノンは思った…。
「(ちょろ…)」
ベルミーは一見ツンだが、中身はデレだ!
薬が好きとか、弓矢使うとかで私からすれば訳わからん奴だけど、とりあえず何も考えず押せば行ける!
本当は断れない優しい子なんだろな…。
レイ(無職)は普段から無気力で、生きているのか死んでいるのかも分からない様な奴だ。
娯楽、食欲、睡眠に取り憑かれたような生活を送る。のかも正直あんまり見てないからわからない…村に居ても居ないようなもんだから、"ご飯を減らす幽霊"って思っていれば良い。
今日もご飯の為だけに嫌々働くのであった。
「ホノン…ご飯無かったら怒るからね…」
そう言ってレイが歩き始めた。
「えぇー、(レイって人に怒ったりできんのか?)
まぁまぁ良いじゃん、仕事無くてもどうせレイは暇なんだしさぁー」
「なにそれ…じゃあ、ご飯…嘘なの?
れい暇じゃ無いし…れいも頑張ってるから忙しいの…」
「い、いやぁ?嘘じゃねぇけど…
(嘘だけどぉ!まぁ、ケバブのおっさんなら事情を言えば乗ってくれるだろ…)
そ、そうか、
忙しい?
ねぇ…
なるほど。」
怠惰なレイだが、自分で言うには暇では無いそうだ…。
そしてベルミー(矢師)は、過去の影響から、ポーションの作成や調合を生き甲斐としていた。
それらを"魔法"と呼び、彼女の夢は"創夢が使う力"の様な、"本当の魔法"を見つけ出し習得する事にあった。
元々お嬢様育ち故なのか、尖った発言が多いが、本当は優しい。
今日も素直になれず、実は誰よりも働いたベルミーであった…。
▫︎第17話用後解説
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