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第一章 「村開拓とモブ対抗戦」
第14世 「不思議な予感」
しおりを挟むそうして名前もでき、みんなとの交流も深まって来た日のある夜。
いつもの様に柵の外にはゾンビ達が徘徊している。
オマエも寝た後、創夢は"不思議な予感"がして目を覚ました。
部屋を出て、村を見る。
柵の外には多くのゾンビが…
「前より柵に手を付く奴が増えたか?
もう一段高くするのもありだなぁ…」
「ヴゥー!」
「あぁ、うるせぇー。
やっぱりこの声の大きさじゃ寝れないって話だよな…」
俺の感じた"不思議な予感"はこのゾンビ達の声か。
そう思ってため息を吐くと、月明かりを見てそれに照らされた自然の景色にエモさを感じていた。
「なんかもっと村全体が見える場所が良いな。」
そしてその場を見渡すと、高台がある事に気がつく。
「あ!そーだ、高台あるんじゃん。よし、」
そう言って高台まで行くと、ハシゴを登り、1番上についた。
「うぉー!なんだこれ、めちゃめちゃ見やすい!」
タカタカ タカタカ
その時、下から木の軋む、誰かがハシゴを登って来た音がする。
そして同時に微かにゾンビの声も聞こえる。
「ヴゥー」
「ここでもゾンビの声はまぁまぁ聞こえるんだなぁ。
軽く耳を澄ますだけで、ゾンビ以外にも、動物とか、色んな奴の音が…」
タカタカ タカタカ
「ん?タカ、タカ、?
やっぱり前から気になってたけど、この辺って変な音が多いなぁ、
オマエは、なんでこれで爆睡できるんだよ。」
創夢はそれをハシゴの音ととらえていなかった。
創夢は、不思議な予感の正体が"音"なのだと気付いて少しホッとした。
そして、ふと自分の手持ちを確認して気がつく。
「あれ?無い…無い!
ルプ!俺の持っていたあの旗!どこに行った?」
「はいヘルプです…はぁー、早起きですね。
旗ですか?
あーあの件なら、そうですね。
オマエ君とかならもう普通に話せますし、1度知ってる事は無いか聞いてみても良いと思いますが…」
「おい、何寝ぼけてる、違う違う、
旗が無くなってるんだよ!どこにやったか知らないか?」
「え?旗ですよね?手持ちに入れっぱなしでしたよね?ここに…あれ…ほんとだ、無い…ですね。」
「はぁー」
大きなため息を吐いたその時…
「アノ、ナニシテルンデスカ?」
「は!!」
すぐに後ろを振り返った。
「びっくりした!!誰?」
声がオマエじゃ無い、他にこんなに言葉話せる奴いたか?
「ヤァ、ちゃんとお話しするのは、始めめですね。」
それは聖職者のジョニーだった。
そ、そうかここ、ジョニーの祈りを捧げる場所だった…
お邪魔してるのは俺の方だ…
「あー!ごめんごめん!
そうか、こんな晩くにも祈りを…?
大変な役職なんだな。」
「いいえ、高台の意味でも作ひましたから。
こうやって眺めるのは間違ってないです。」
「ジョニー!お前そんなに言葉話せたんだな!初めて聞いたぞ!」
「はい、まぁ記憶は得意です。」
涼しい風を浴びながら、2人は横並んで村を眺めていた。
「さっき旗の話を?
あれ、詳しく聞かせてください。」
「あ?あー!
ずっと聞こうと思って聞けてなかったんだが…
お前何か知ってんのか?!」
その時、ジョニーが表情を変えて、ゾンビを指指して言ってきた。
「待ってください!あれって!元は我々の同胞だ」
急に全く違う話をし始め、驚いたが、彼が指を指す方向には数体の村人ゾンビがいた。
「えぇ?!あぁ、村人ゾンビか。
そ、そうか、村人ゾンビって元は村人だもんな。
同胞…それは気の毒だ…
村人だった頃は知り合いとかだったのか?
この村、もっと人が多かったんだな。」
「違う。知らないよ。
村も多分違う。
だけど元は同じ人間。同胞だよ。
まぁ、この村の人数が多かったのはそうだけど。」
「そうか…だ、だよな。」
なんか、この世界に生きるモブも大変そう…
でも、知らない人間の心配ができるって素敵な奴だな…。本当に聖職者っぽいわ。
「なんかごめん、
こんな(コピーしただけの)、人任せな世界…
もっと良くして行こうぜ!」
するとジョニーが必死に話始める
「良く?
あ!そういえば!なぁ君!力があるんだろ?
あなたが神なのですか?!」
え?いや、なんでだ?え?
そう動揺もしてやりたかったが、そんな暇も無く彼は話し続ける。
「絶対にそうだ!
私が祈ってきたのはきっとこの日の為なんだよ!
聖職者には分かる!俺を救うのはあなただ!」
「待て待て、一回落ち着け!
俺は今ネタで謝っただけで…
良くして行こうってのは、もっと頑張って行こうぜ!ってニュアンスで、その…
一体どこを見てそんな…」
気のせいか?こいつ、俺の存在に気付いて?…
いや、違う。偶然…と言うか、そもそも村人には無い能力ばっか使って来たんだから、神か何かだと思われても当然だ。
でも、あんまり見られないようにして来たはず…
「今に始まったことか!分かるさ、君がここに来た時からずっと高台。ここから見てきた。
なぁ頼む!
1度あの同胞達を、元の人間に戻してみせてくれよ!」
「だから、落ち着けって、」
やっぱりだ、ただ俺の能力を見られてただけだ。
俺が本当にここの神って事はバレてない。
でも、やっべぇ、俺が今まで使って来た力を全部こいつに見られてたのか?
こいつ…それでこんなに話せるように?
まぁ高台にいちゃそりゃ見えちゃうわなぁー。
するとジョニーも、オマエと同じようにリアルな人間の姿に変わっていく。
おぉおぉ、やはり自分では姿の変化に気付いてないな。
「すまないが…できない、
村人ゾンビになっちまったならもう関わらない方が身のためだ。」
なんかやっぱ、聖職者と話すのは緊張するなぁ…
はぁ、またこんな適当な事言ってて良いのか…
その場しのぎの言葉ばかりを言う創夢。
「わ、分かった。
じゃあせめて己の手で殺るさ。」
そういうとジョニーは高台の真ん中にある支柱の裏側に行った。丁度創夢からは見えない位置だった。そこにあるチェストの前でしゃがみ込み、チェストから斧を取り出した。
「創夢様、彼、斧を取り出しました。
同胞と戦いに行く気でしょう。」
ルプが言った通り、斧を持って支柱の影からジョニーが出て来た。
「待て、待て!ジョニー!あれはどう見ても危険だろ!」
「でも…せめて同胞の手で…」
「ジョニー…俺の村ではな…日に焼かれる方が良い成仏だった…
村によって違うように、あいつらにはあいつらのルールがきっとある…」
「…。
そ、そうか…
それは確かにそうだ。
分かった…すまない。」
「それより、昔、何があったんだ?何を救って欲しい?」
「別に…何も無いですよ。
それより旗の事を教えてください。」
ジョニーはそう言いながらチェスト前に戻ると、斧をチェストに直し。チェストの蓋を閉めた。
そのまま。丁度支柱でジョニーが見えない位置にいるままで、創夢は話始めた。
「あぁ、そうだな、あの旗は…
少し前に丁度そんな斧を持って襲いかかろうとして来た村人っぽい奴がいてな。
ゾンビに襲われてるそいつと…」
「創夢様、お待ちください!
それ以上は。
今ジョニー君のチェストに、あの旗が入っているのが見えました…」
「なに?その旗って…
じゃあ…あの不思議な予感は…」
キィー
ジョニーはまたチェストの蓋を開けて質問する。
創夢にはチェストを開けた音しか聞こえない。
「村人っぽい奴?
それで…その村人をどうしたんですか?」
「あ?あぁ、えっとな、えー…
助けたんだよ!
助けたら、"その"旗をくれたんだよ。」
「"その"?」
「あ…。
そ、そうだ、そのー、
"さっき話していた旗"をだよ。それをな」
少し焦り気味に、創夢は村人を殺した事を隠し、嘘をついた。
ガコン
ジョニーは何も取らずチェストを閉じると、体を起こして、さっきよりも柔らかな口調で話した。
「なるほど、もう分かりましたよ。
力になれずすみませんが、
そんな旗は、私は知りませんね。
では、今から祈りに入るので」
「あぁ!そうだよな、俺ももう帰るつもりだよ。
お邪魔してすまなかった。」
焦り顔をして帰ろうとする創夢。
「はい、では。
あ、それと、最後に、
勘違いはしないで欲しいのですが…
私はただ聖職者として、敵も含めたみんなの心を鎮魂したいだけです。」
こいつが何の事を言ってるのかは分からないが、俺が焦っている事や、何かを隠している事は確実に向こうにバレている。
「そ、そうか、わかった!
別にお前を何も勘違いなんてしてないからな…
優しいんだな。
ありがとう!」
そう言うと創夢は司書室に戻り、1日を終えた。
▫︎第14話用語解説
・村人ゾンビ
ゾンビに噛まれたりなどで、ゾンビ化してしまった村人のこと。
・聖職者
この村の聖職者。ジョニーに関しては、全ての生き物の死後、"心"を鎮魂することが目的!?のようだ。
が、まだよく分からない。
マインドクラフトでは、腐肉などと希少鉱石の取引が、可能。
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