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第一章 「村開拓とモブ対抗戦」
第13世 「名前」
しおりを挟む夜になる。
いつもの司書室で、オマエと話す。
「そうむ!とりあえず12人全員の名前決めたよ!」
「おぉ!ありがとう!教えてくれ!」
「まず…知ってる人もまとめるよ。
地大創夢。そうむだけなんか変だね。」
「変って何だよ。」
「そして、
オマエ。ケバブ。アン。ミオ。」
「あぁ、ここまでは知ってるな。
鬼ごっことかしてるうちに、アンとミオの見分けも徐々にできてきた。」
「残り8人の名前は、
農民 グランマル
製図家 マップ
武器鍛冶 ソイド
防具鍛冶 カーター
矢師 ベルミー
釣り人 ホノン
聖職者 ジョニー
無職 レイ
こんな感じにした!どうだ?」
変すぎる名前を付けてこないか心配だったが、思うよりも上手く命名できていた。
「おぉ、オマエ、センスあるんだな。」
「いや、それぞれに希望を聞いて付けたんだ。
というより、村人達の中では前から呼び合っていた名前達だよ…
まぁはっきりした"名前"という概念は無かったけど、近い概念はあったからね。」
「なんだそうだったのか、名前に近い概念?
それはもう名前だろ…
まぁ俺にはハァーンにしか聞こえないからな。」
という事はほんとはオマエに名付けのセンスは無いのかも知れない。
「で、後はこの村の名前だな!」
「おぉ!そっか!確かにこの村に名前は無いよ。
それ、明日みんなで決めるってのはどう?」
「いいな、丁度みんなで話す機会も欲しい、
よし、明日集会でもするか!」
「しゅうかい?なにそれ?」
「みんなで集まって、この村の事を決めて行くんだよ。ルールとかもね。」
「そうか!なんか楽しみだな!おやすみ!」
「あぁ、おやすみ。」
そうして寝ると、次の日の朝。
いつもよりテンションの高いオマエと、朝が苦手でテンションの低い俺で村人を集めた。
「よし!そんじゃ、初めての集会を始める!
まずはこの村の名前だ!みんな希望をあげてくれー」
「ハァーン!」
「ハァーン!」
やべぇ、そっか、俺はこいつらが何言ってるかわかんねぇんだった…
「お、おっけぇ?、"ハァーン"が2人?」
「ハァーン」
「はい、もう1人」
「そうむ、違う違う。
寝ぼけないでよ、
まず急に村に名前ってどーゆー事ですか?だって。
昨日僕らの話した事をまだ伝えて無いんだから。
確かに急になんだって話だよ…
ちなみに、オマエは"オマエの村"が良い。」
そう言うオマエを眠そうな目で見る創夢。
はぁ、ダメだ…こいつら…
まぁ寝ぼけてる俺も同類か?
とにかくやっぱりまだ言語習得するまでは、上手く意思疎通できねぇや…
オマエに関しては俺よりネーミングセンスが無いって、逆にすごいな。
「そ、そうか。
分かった!じゃあ、もうとりあえずだ!
一旦!この村の名前は"ハァーン"だ!」
なんか、めんどくさくなっちまった…。
「ハァーン!」
「ハァーン!」
みんなから反対っぽいハァーンが聞こえる。
明らかに不満そうなハァーンだな。
するとオマエが言う。
「みんなが、よく分かんないけど最高だって!」
「最高なのかよ!」
「今の"ハァーン"が」
「名前じゃ無くて"ハァーン"が、かよ。」
するとその集会と呼ばれる何かが終わったと思ったのか、自由に帰ろうとするみんな。
おいおい、
あー、
なんか、まぁ色々話したい事があったような気もするし、無かったような気もするが…
「そ、そうか、自由だなぁー、
そう?帰る?
おけ!じゃ、これにて集会終わり!」
終わらせてしまった…。
やはり俺は夜型の人間みたいだ。
まず頭が回らない。いやそこじゃ無いか。
とにかく、みんなが言語を習得してくれ無ければ、何も始まらないなこれは…
そう、この集会のおかげで今の"課題"がわかった。
まず"言語"だ!
当たり前すぎて気付きもしなかったが、言語が無ければ人の、文明の発展も無かったのだろうってのがよく分かる。
「スムー!」
「スムー!」
みんな帰ったと思ったら、
残っていたアンとミオがいつものように話しかけてくる。
そして、2人で1つの赤い花を持って俺に差し出して来た。
クソガキは嫌いだが、こういう純粋な子供は好きだ。かわいすぎてニーブラをかましたくなったが、抑え込んで話した。
「お?おう、何これ、何の花だ?」
「そうむ、その花くれるんだって!」
「えぇー、ありがとよ!かわいいなぁお前らは」
「ドウイタスムー!」
「ハァーンマシテ!」
「おぉ!2人とも村の誰よりも言語の伸びが良いな!さすが若い。」
「ワカイ?」
「おぉ!そうだわかい!」
「ワ、ワカイ!
ワ、ワ、ハカイ!」
「シタイ!」
なんでそうなるんだよ。
「それにしてもそうむ!
ソイドさんとジョ兄さんはやっぱり来ないな。」
「あぁ、来てなかったな」
やっべ、誰だ?
2人とも分かんねぇ。
集会に来てない奴もいたのか…確かに人数が足りてなかったな。
「ま、まぁなんか忙しいんだろ。」
「そうだね。
でも、ソイドさんはこの村の村長みたいなもんだから来ても良かったのに。」
「そ、そうか、いつかもう一回ちゃんと挨拶しに行くよ…」
あれ、村長?
そんな村人いたっけ?
やばい、まだケバブ以外覚えてないぞ…
村長って…村長?!俺は村の部外者な訳だけど…大丈夫か?
この日は一日中寝ぼけきった創夢であった。
▫︎第13話用語解説
・ハァーン村
ハァーンむら。は創夢の最初に見つけた、規模的には中規模の村。
・キサマ・オマエ♂
司書職の村人。
・ジェノ・グランマル♀
農民職の村人。穏やかで、働き者。アンの母親である。
・ファウン・マップ♂
製図家の村人。根はバカでうるさい青年。 しかし、勇敢で好奇心が高く、あらゆる世界を知りたがる、製図家に見合った性格の持ち主。になれるよう静かになる事から始めている。
アンの父親である。
・ウェポン・カーター♀
防具鍛冶の村人。肉体も精神力も優れる強き女性。ミオの母親である。
しかし性格は天真爛漫、天然。
・アルマァ・ソイド♂
武器鍛冶の村人。かつて村の裏切り者を追放し、村を守った柱のような人である。その時に負った左眼の傷を隠す為眼帯をしている。ミオの父親である。
・アロウ・ベルミー♀
矢師の村人。毒舌で尖った発言が多いが、実は優しいツンデレ気質。弓矢の技術に優れている。
・ワーナー・ホノン♀
釣り人の村人。嘘が多く、人を欺く事が得意。お色気騙しを良く使う。
・イレジャー・ジョニー♂
聖職者の村人。ミステリアスな雰囲気を持ち、考えている事が分かりづらい性格。だが子供に優しい一面もあり、不器用な人だとよく言われる。
・ビーコン・レイ♀
無職の村人。何事にも危機感が無く、飄々としている。1日の半分を瞑想、もう半分をトレーニングに当てている。と自称している。
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