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第一章 「村開拓とモブ対抗戦」
第7世 「明晰夢」
しおりを挟むあれ?意識が…
ポタ…ポタッ…
血が滴り落ちる中、ゾンビが扉を壊して入って来た。
「ヴゥー」
徐々に開け辛くなる目でそれを見ながら。
ズリズリ
「あ゛ぁー」
俺の胸を貫いた右腕がズリズリと引いていき、
俺の体はすぐに地面に崩れ落ちた。
そして、朦朧とする意識の中、入って来たゾンビが部屋前で一瞬にしてペチャンコになるのをみた。
グチュッ!
「創夢様?!こ、これは一体何が…
こっ…ヴゥ、ヴゥーヴゥー…
つ、通信までが…どうし…」
「ハッハッハ、あれぇ?簡単なもんだなぁ!
死んじゃ何もかも終いだぞ?
はぁー
よろよろじゃないか、
これじゃお前の罪を正式に償わせる事はできそうにないなぁ
が、まぁいいだろう!後は俺が掃除してやる。」
後ろにいた司書職の村人から不気味な低い声で話しかけられてる。
それは確実な日本語だ…
だけど言葉が何も頭に入っては来ない…。
それより、腕1つで俺の体に穴を…?。
「な…なに…が…」
「あぁー、消費量半端ねぇ…
い…こ…まだ遠い…いつ頃味わえるだろうなぁ…ちき…全部を…」
耳も意識も上手く機能してくれない…
ダメだ!まだ気絶するな…
なんて言ってる?!聞き取れ!
「創夢様!創夢様!」
はぁ、ルプもなんか慌ててるぞ…
こりゃ相当な緊急事態だろ?
今創造主である俺は、なんの攻撃も効かないはず。
なのに…
あぁ…意識が…。
いや、そうか…
転生者モードだから…?
でもこんな生々しい攻撃も受けるんだな…痛い…
「いえ、これは明らかにおかしいです…
ここまでの攻撃は受けるはずが…」
なんでだ、何が…起き…てる…。
そしてあっさり意識を失うと、同時に、
「はっ!あぁー!い、痛ってぇ!
ルプ!助けて!ルプー!」
ベッドから目を覚ました。
あれ?ここは…
さっきまでもいた…あの本がいっぱいある部屋。
それに、何も痛くない…傷もない…
ベッドに座り込み不思議な顔をしていると、部屋にいた村人が話しかけて来た。
「ハァーン。ルプー?ル、ルプ。
アナタ、キノウ、カラ、ネタ、モウ、アサ、イマ、ヒル、」
「へ?あ、あ゛ぁー!来るな!」
あの司書職の村人だ…
さっきこいつに胸を貫かれたんだ、
顔を見た瞬間体が恐怖した。
そして気付いた。
「いや、待てよこれ、夢か…?」
いやいや、夢の中のこいつ怖すぎるだろ!
え、片手で?胸を?
ん?いや、待て?
待て待て!
この村人…今話したよな?
言葉を覚えてきてる!?
「まさか…
おいルプ!こいつ今話したぞ?!」
「まだ寝ぼけてるんですか?
あり得ません!
もしそれがあり得たら、無魂生命体に魂が生まれたって事ですよ?
はぁ、分かりやすく言えば"物"に心が芽生えたって事です。」
まさかだ…こんなモブの"物"にも心が?
それに、まだ1日経ってるかどうかだぞ?飲み込みが早すぎる。
さすが司書職だ。
どんなに怖い夢も、起きて10分もすれば忘れて気にならないように、俺はあの恐ろしい夢よりも
この村人が言葉を話した事に驚きが持っていかれた。
ただ、あの夢もすごくリアルで、どこからが夢だったのか分からずなので、軽く村を回ってまた部屋に戻った。
夢の中では色々あったように感じたが、状況は、村へ木こりから帰った時から何も変わっていなかった。
村人は全員無事で、やはり柵が半分ほど無いのでその分を囲わなければ行けない。
だがしかし、今日はもう時間的にすぐに夕方が来てしまう。
つまり、寝過ぎた。
「はぁ、寝過ぎたのか。」
いやそもそも昨日どうやって、木こりから帰ってゾンビの襲撃もなくやり過ごして寝るに至った?
「ドォーア」
司書が無いドアを見つめてそう言う。
「はぁ、そうか、それにこの壊れた扉も作らなければ…」
もう、変な夢を見るわ、村人が話すわ、
見ろよ、普通にドォーアとか言って今やるべき事を教えてくれてるみたいだ…
いや、でもお前の村だろ、扉作るくらいは自分でやれよな…
「あれ?」
ドア?そうだよ扉が壊れてる…
これはあの昨日のゾンビが…
あれ?じゃあゾンビは確実に来たって事だよな?
それに、よく考えりゃ司書の服。少し赤茶色に汚れている?
この色は血じゃね?
あれは…夢じゃ無かったのか?
「なぁルプ!昨日何があったんだ?」
「さぁ、私にも分かりません。ゾンビの襲撃にあったところまでははっきりしていますが、それ以上は私もまるで夢を見ていたかのようです。」
おいマジかよ、じゃあ俺は一度死んだのか?
「ルプがそうなるほどなのか…
こんな事あるんだな」
「バグなどでは?」
「いくらゲームをモデルにしてると言っても、世界だろ?そんな事あって良いのか?」
「いえ、あり得ない事です。
ですが、一応データ上には
"ビョウボウ"などと呼ばれる"世界のバグ"というものも都市伝説のような噂話として存在します。」
「それが起きたと?」
「可能性は0では無いということです。私ははっきりビョウボウでは無く、"人為的に起こされた"バグか何かだと感じます。」
「そ、そっか、ルプにそう言われるとなおさら不安だな。」
夢っぽい…となると、精神操作か何かか?
じゃあ俺は本当に死んだ訳じゃ無くて、そう思い込まされていた、ってだけ。
そうじゃなきゃこの村人の説明もつかないしな…
でもそれから言葉を話せるようになってるし、何か関係が?
だけど、ルプはなんでだ?
ルプも同じ攻撃を受けてたって事なら、ルプにも効く精神攻撃って事だ。
それに、俺はすでに"安定"の設定で精神的にどうこうなる事は制御してるはず…
つまり"安定"の設定も効かない程の精神操作?
そんな攻撃を仕掛けて来る相手なら、超手強いぞ…。
そんな事を考えてる内に空の色はオレンジになる。
「まぁ良い、小さい事は気にするな!」
「創夢様?小さい事?!」
今考える事はここのドアを作る事と、
柵を作って村を囲い切る事!だ!
「いや…そっちの方が小さい事かと…」
この転生者モードでどこまで行けるか分からんが、行けるとこまで行ってやる。
「それはそうですね!」
そして、ドアの壊されていない
別の家のドアを見る。
この村の家の扉の木は少し黒っぽかった。
「って!この村のドアの木もこれかよ!」
黒い木。
あの森の塔で見た木と同じ色だ。
ったく、あの森どこだっけー…
どっかで見たよなー、
特殊な木で作りやがって、ちょっと遠出じゃねぇかよ。
思い出すとすぐにその森に出発した。
「はぁ、結構歩いた気が…黒っぽい木、といえば、
前この辺で見たんだがなぁー、もう少し奥に入るか…」
そうして時間がないのに少し先の森まで行くしか無かった…。
◽︎第7話用語解説
・無し!
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