異世界製作 〜転生しようと思ったら異世界作る側だった〜

寝占 羊

文字の大きさ
上 下
2 / 47
第一章 「村開拓とモブ対抗戦」

第3世 「惑星アンビション」

しおりを挟む





 「あれ?俺…何考えてたんだっけ?」
またあのAIのような女声が聞こえる。

 「地大創夢じだいそうむ様?気は確かですか?何かお困りであれば私"ヘルプ"が解決いたします。お声かけください。」

 果ての見えない広大な宇宙に、
俺が好むラフな格好で1人宙に浮いている。
そう、宇宙に俺1人きりだ。

 いや、そもそもここは宇宙なのか?

 目の前には上が宇宙…と、下は…なんだろう…
これはもう一つの空間?世界?

いや…星?

 「作成されたこちらの星には名を付けますか?」

 またAIだ。

 「ん…あぁ、やっぱりこれ星なのか?デカ過ぎないか?」

 「はい、こちらはあなたの作成した惑星になります。やはり、先程をきっかけに記憶障害を起こした様子ですね?」

 記憶障害?なんの話だろう。
このデカ過ぎて星だとも気付かなかったものを俺が作ったのか…?

 「それって…俺…何者?
まず、ここで何してる
ん…ですかね…?」

 あれ、そう言えばなんでこんなAIの声が聞こえるんだ?
あ、ボーッとしすぎて普通に質問してた…

 「ここ最近のデータから推測すると、創夢様は過去を思い出してしまうと記憶障害が起き、1部の記憶を封印してしまいます。」

 「え…?なんだそれ?」

開始かいし早々そうそう自分の過去も探るなと?
でも、本当に記憶が断片的だんぺんてきだ。
自分の事さえなんの説明もできない。

 「脳に干渉できるわけではありませんが、こちらのシステムの中に、"心身共しんしんともに安定を取り続ける"という設定が可能です。

こちらの設定が今の創夢様そうむさまの記憶障害に1番効果があると思われます…」

 ダメだ追いつけない…。設定?
なんの話だ?
ここはコンピュータの中か何かか?
コンピュータ…?

そうだ!分からなければ調べればいんだよ!

 「スマホ…」

 って…
こんな場所で、あるはずの無いスマホをなんで持っていると思ったんだろうな。
ポケットの中は空っぽだ。

 そう思った瞬間。

 ポンッ!

 目の前にスマホが現れてちゅうただよい始めた。

 「え?なにがおき…?」

 「すみません創夢様そうむさま
返答待機中へんとうたいきちゅうです。お答えください…、
この設定をすればその脳内のうないノートも継続使用が可能です。」

 あぁ、AIにも返信を急かされるとは…
心身共に安定を取り続ける…か、
分からん。
具体的にどーゆー意味だろ…
出てきたのは良いが、スマホ…圏外だし。

 「すまない、その設定…
何か効果があるなら頼みたいんだけど。
まず、脳内ノートってなんだ?」

 「はい、原来げんらいあらゆる世界の情報を検索、参照さんしょう複製ふくせい、書き換え、などが行える、地球で言うノートのような…」

 「待て待て、分かった分かった。
もう少し簡単に頼む。」

 「すみません、では、その手に持っているスマートフォン。それが、そのまま脳に入って、思った事をそのまま実現できるような事。を言います。」

 「あー…?なるほど…
脳に。入って?

あー、なんか。こちらこそすみません…
聞いたのに、まだ分かんないです…」

 「では、徐々に理解していきましょう。
ちなみに、この巨大な惑星も、先程ポンッと出てきたそのスマートフォンもあなたが脳内ノートを使用した結果となります。」

 「へぇー…理解してねぇのに勝手に使いこなしてんのね…」

 「では、設定の件、了解しました。それから、惑星の名は[デカスギナイカ]でよろしかったでしょうか?」

 「え?」

 そうか、これに俺が名前を?
んー、デカスギナイカはダサすぎるよな。

 「いや、惑星…
アンビションにしてくれ。」

 「了解しました。では異世界作成いせかいさくせいでまたお困りがあればお呼び下さい。」



 彼女の声が消えた瞬間。
なぜか自分の役割を思い出した。さっきの心身を安定させるとか言う設定のせいか?

 そうだ、まず、
俺は死んで、転生したんだ。
元々地球の日本に生きていた。
だが…自分が誰で、何をしていたのかも、
どうやって死んだのかもまるで覚えていない。

だけど、日本社会の知識や文化、景色は多く記憶に残っている。

 駅の改札とホーム、コンビニや住宅街、ライブ会場のステージ、
そして、ゲームやアニメ。

 普通はそんな記憶残ってても
結局死んだら使い道も無く、意味は無いんだが、

どうやら今の俺は、異世界転生者の為の"異世界"を作らなければいけない存在らしい。



分かったのはこのくらいの情報だ。
この設定、なんか心身の安定がどうのこうの言ってたよな…
これが本当に"安定"なのか?

まぁとりあえず自分の使命は理解した!

 「とは言っても…」

 異世界転生者が好みそうな異世界?
みんながみんな主人公じゃなきゃ、
そもそも異世界になんて行く事自体を望まないだろ?

 「ん?いや、そっか、
じゃあみんなを主人公にしたらどうだ!?」

 それはつまり、ゲームの世界だ!
場所も時間もこんなに余るほどあるわけだし。

 てか、それに、別にアニメとかでよく見る"異世界"って概念や印象に囚われる必要は無いんじゃ無いか?

 「よっしゃぁ、
って事で、まず最初は、この超巨大惑星、アンビションに降り立って、俺の1番好きだったゲームをそのまま再現してやる!」



◽︎第3話用語解説
・地大 創夢(じだい そうむ)♂
主人公。生前の頃の本名。
この話の宇宙の創造主であり、ほとんどなんでもありの創造主(神)のモードと転生者と同じ、普通のモードを自分で切り替えられる。

・心身共に安定を取り続ける
負傷があろうとも、痛みや損害を偏らせず、均一に配布する事でその時その時の安定を取る。
自らを創造主(神)のモードにしてる時のみに設定が可能だが。そもそも神モードでは普通、攻撃などは受けない為、主に心に関わる、記憶障害や気絶、鬱病や精神操作などに効果がある。

・異世界転生者
地球などの惑星で命を全うし、魂として別の世界へ進む者達。一般的には記憶を無くして赤子から人生をやり直すが、最近はそういった暗黙の決まりも存在しない。

・脳内ノート
1つの意に留まらず言ってしまえばなんでも可能。
創造主(神)モードの力の根源とも言える、思った事をそのまま世界に反映してくれたりする異世界作成において欠かせない設定の1つである。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

トレジャーキッズ

著:剣 恵真/絵・編集:猫宮 りぃ
ファンタジー
だらだらと自堕落な生活から抜け出すきっかけをどこかで望んでいた。 ただ、それだけだったのに…… 自分の存在は何のため? 何のために生きているのか? 世界はどうしてこんなにも理不尽にあふれているのか? 苦悩する子どもと親の物語です。 非日常を体験した、命のやり取りをした、乗り越える困難の中で築かれてゆくのは友情と絆。 まだ見えない『何か』が大切なものだと気づけた。 ※更新は週一・日曜日公開を目標 何かございましたら、Twitterにて問い合わせください。 【1】のみ自費出版販売をしております。 追加で修正しているため、全く同じではありません。 できるだけ剣恵真さんの原文と世界観を崩さないように直しておりますが、もう少しうまいやり方があるようでしたら教えていただけるとありがたいです。(担当:猫宮りぃ)

生前SEやってた俺は異世界で…

大樹寺(だいじゅうじ) ひばごん
ファンタジー
旧タイトル 前世の職業で異世界無双~生前SEやってた俺は、異世界で天才魔道士と呼ばれています~ ※書籍化に伴い、タイトル変更しました。 書籍化情報 イラストレーター SamuraiG さん 第一巻発売日 2017/02/21 ※場所によっては2、3日のずれがあるそうです。  職業・SE(システム・エンジニア)。年齢38歳。独身。 死因、過労と不摂生による急性心不全…… そうあの日、俺は確かに会社で倒れて死んだはずだった…… なのに、気が付けば何故か中世ヨーロッパ風の異世界で文字通り第二の人生を歩んでいた。 俺は一念発起し、あくせく働く事の無い今度こそゆったりした人生を生きるのだと決意した!! 忙しさのあまり過労死してしまったおっさんの、異世界まったりライフファンタジーです。 ※2017/02/06  書籍化に伴い、該当部分(プロローグから17話まで)の掲載を取り下げました。  該当部分に関しましては、後日ダイジェストという形で再掲載を予定しています。 2017/02/07  書籍一巻該当部分のダイジェストを公開しました。 2017/03/18  「前世の職業で異世界無双~生前SEやってた俺は、異世界で天才魔道士と呼ばれています~」の原文を撤去。  新しく別ページにて管理しています。http://www.alphapolis.co.jp/content/cover/258103414/  気になる方がいましたら、作者のwebコンテンツからどうぞ。 読んで下っている方々にはご迷惑を掛けると思いますが、ご了承下さい。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

スキル【アイテムコピー】を駆使して金貨のお風呂に入りたい

兎屋亀吉
ファンタジー
異世界転生にあたって、神様から提示されたスキルは4つ。1.【剣術】2.【火魔法】3.【アイテムボックス】4.【アイテムコピー】。これらのスキルの中から、選ぶことのできるスキルは一つだけ。さて、僕は何を選ぶべきか。タイトルで答え出てた。

鍛冶師ですが何か!

泣き虫黒鬼
ファンタジー
刀鍛冶を目指してた俺が、刀鍛冶になるって日に事故って死亡…仕方なく冥府に赴くと閻魔様と龍神様が出迎えて・・・。 えっ?! 俺間違って死んだの! なんだよそれ・・・。  仕方なく勧められるままに転生した先は魔法使いの人間とその他の種族達が生活している世界で、刀鍛冶をしたい俺はいったいどうすりゃいいのよ?  人間は皆魔法使いで武器を必要としない、そんな世界で鍛冶仕事をしながら獣人やら竜人やらエルフやら色んな人種と交流し、冒険し、戦闘しそんな気ままな話しです。 作者の手癖が悪いのか、誤字脱字が多く申し訳なく思っております。 誤字脱字報告に感謝しつつ、真摯に対応させていただいています。 読者の方からの感想は全て感謝しつつ見させていただき、修正も行っていますが申し訳ありません、一つ一つの感想に返信出来ません。 どうかご了承下さい。

ぽっちゃりおっさん異世界ひとり旅〜目指せSランク冒険者〜

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
酒好きなぽっちゃりおっさん。 魔物が跋扈する異世界で転生する。 頭で思い浮かべた事を具現化する魔法《創造魔法》の加護を貰う。 《創造魔法》を駆使して異世界でSランク冒険者を目指す物語。 ※以前完結した作品を修正、加筆しております。 完結した内容を変更して、続編を連載する予定です。

転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

転生幼女の異世界冒険記〜自重?なにそれおいしいの?〜

MINAMI
ファンタジー
神の喧嘩に巻き込まれて死んでしまった お詫びということで沢山の チートをつけてもらってチートの塊になってしまう。 自重を知らない幼女は持ち前のハイスペックさで二度目の人生を謳歌する。

処理中です...