異世界製作 〜転生しようと思ったら異世界作る側だった〜

寝占 羊

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第一章 「村開拓とモブ対抗戦」

第3世 「惑星アンビション」

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 「あれ?俺…何考えてたんだっけ?」
またあのAIのような女声が聞こえる。

 「地大創夢じだいそうむ様?気は確かですか?何かお困りであれば私"ヘルプ"が解決いたします。お声かけください。」

 果ての見えない広大な宇宙に、
俺が好むラフな格好で1人宙に浮いている。
そう、宇宙に俺1人きりだ。

 いや、そもそもここは宇宙なのか?

 目の前には上が宇宙…と、下は…なんだろう…
これはもう一つの空間?世界?

いや…星?

 「作成されたこちらの星には名を付けますか?」

 またAIだ。

 「ん…あぁ、やっぱりこれ星なのか?デカ過ぎないか?」

 「はい、こちらはあなたの作成した惑星になります。やはり、先程をきっかけに記憶障害を起こした様子ですね?」

 記憶障害?なんの話だろう。
このデカ過ぎて星だとも気付かなかったものを俺が作ったのか…?

 「それって…俺…何者?
まず、ここで何してる
ん…ですかね…?」

 あれ、そう言えばなんでこんなAIの声が聞こえるんだ?
あ、ボーッとしすぎて普通に質問してた…

 「ここ最近のデータから推測すると、創夢様は過去を思い出してしまうと記憶障害が起き、1部の記憶を封印してしまいます。」

 「え…?なんだそれ?」

開始かいし早々そうそう自分の過去も探るなと?
でも、本当に記憶が断片的だんぺんてきだ。
自分の事さえなんの説明もできない。

 「脳に干渉できるわけではありませんが、こちらのシステムの中に、"心身共しんしんともに安定を取り続ける"という設定が可能です。

こちらの設定が今の創夢様そうむさまの記憶障害に1番効果があると思われます…」

 ダメだ追いつけない…。設定?
なんの話だ?
ここはコンピュータの中か何かか?
コンピュータ…?

そうだ!分からなければ調べればいんだよ!

 「スマホ…」

 って…
こんな場所で、あるはずの無いスマホをなんで持っていると思ったんだろうな。
ポケットの中は空っぽだ。

 そう思った瞬間。

 ポンッ!

 目の前にスマホが現れてちゅうただよい始めた。

 「え?なにがおき…?」

 「すみません創夢様そうむさま
返答待機中へんとうたいきちゅうです。お答えください…、
この設定をすればその脳内のうないノートも継続使用が可能です。」

 あぁ、AIにも返信を急かされるとは…
心身共に安定を取り続ける…か、
分からん。
具体的にどーゆー意味だろ…
出てきたのは良いが、スマホ…圏外だし。

 「すまない、その設定…
何か効果があるなら頼みたいんだけど。
まず、脳内ノートってなんだ?」

 「はい、原来げんらいあらゆる世界の情報を検索、参照さんしょう複製ふくせい、書き換え、などが行える、地球で言うノートのような…」

 「待て待て、分かった分かった。
もう少し簡単に頼む。」

 「すみません、では、その手に持っているスマートフォン。それが、そのまま脳に入って、思った事をそのまま実現できるような事。を言います。」

 「あー…?なるほど…
脳に。入って?

あー、なんか。こちらこそすみません…
聞いたのに、まだ分かんないです…」

 「では、徐々に理解していきましょう。
ちなみに、この巨大な惑星も、先程ポンッと出てきたそのスマートフォンもあなたが脳内ノートを使用した結果となります。」

 「へぇー…理解してねぇのに勝手に使いこなしてんのね…」

 「では、設定の件、了解しました。それから、惑星の名は[デカスギナイカ]でよろしかったでしょうか?」

 「え?」

 そうか、これに俺が名前を?
んー、デカスギナイカはダサすぎるよな。

 「いや、惑星…
アンビションにしてくれ。」

 「了解しました。では異世界作成いせかいさくせいでまたお困りがあればお呼び下さい。」



 彼女の声が消えた瞬間。
なぜか自分の役割を思い出した。さっきの心身を安定させるとか言う設定のせいか?

 そうだ、まず、
俺は死んで、転生したんだ。
元々地球の日本に生きていた。
だが…自分が誰で、何をしていたのかも、
どうやって死んだのかもまるで覚えていない。

だけど、日本社会の知識や文化、景色は多く記憶に残っている。

 駅の改札とホーム、コンビニや住宅街、ライブ会場のステージ、
そして、ゲームやアニメ。

 普通はそんな記憶残ってても
結局死んだら使い道も無く、意味は無いんだが、

どうやら今の俺は、異世界転生者の為の"異世界"を作らなければいけない存在らしい。



分かったのはこのくらいの情報だ。
この設定、なんか心身の安定がどうのこうの言ってたよな…
これが本当に"安定"なのか?

まぁとりあえず自分の使命は理解した!

 「とは言っても…」

 異世界転生者が好みそうな異世界?
みんながみんな主人公じゃなきゃ、
そもそも異世界になんて行く事自体を望まないだろ?

 「ん?いや、そっか、
じゃあみんなを主人公にしたらどうだ!?」

 それはつまり、ゲームの世界だ!
場所も時間もこんなに余るほどあるわけだし。

 てか、それに、別にアニメとかでよく見る"異世界"って概念や印象に囚われる必要は無いんじゃ無いか?

 「よっしゃぁ、
って事で、まず最初は、この超巨大惑星、アンビションに降り立って、俺の1番好きだったゲームをそのまま再現してやる!」



◽︎第3話用語解説
・地大 創夢(じだい そうむ)♂
主人公。生前の頃の本名。
この話の宇宙の創造主であり、ほとんどなんでもありの創造主(神)のモードと転生者と同じ、普通のモードを自分で切り替えられる。

・心身共に安定を取り続ける
負傷があろうとも、痛みや損害を偏らせず、均一に配布する事でその時その時の安定を取る。
自らを創造主(神)のモードにしてる時のみに設定が可能だが。そもそも神モードでは普通、攻撃などは受けない為、主に心に関わる、記憶障害や気絶、鬱病や精神操作などに効果がある。

・異世界転生者
地球などの惑星で命を全うし、魂として別の世界へ進む者達。一般的には記憶を無くして赤子から人生をやり直すが、最近はそういった暗黙の決まりも存在しない。

・脳内ノート
1つの意に留まらず言ってしまえばなんでも可能。
創造主(神)モードの力の根源とも言える、思った事をそのまま世界に反映してくれたりする異世界作成において欠かせない設定の1つである。


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