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第六章
第21話
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心地よい風が野原に吹いている。眩しい太陽に照らされて、世界が白く光っている。
遠くに、背が高く肩幅も広い一人の男が立っているのが見えた。濃紺の着物を着ていて、背中まで伸びた長い髪が風になびいている。
――――三郎。
俺は男に向かってそう呼びかける。三郎? そうか、それが彼の名前なのか。
俺が歩み寄ると、ゆっくりと男は振り返る。逆光のせいで顔がよく見えない。男は俺の顔に手を伸ばしきて、優しく頬を撫でてくれる。胸が締めつけられるような、だけどとても満たされるような、そんな感情が込み上げてきて、自然に笑みが零れた。
頬を撫でる手を取り指を絡めたら、男の顔がゆっくりと近づいてきて、俺たちの間に薄く影ができた。やっと男の表情が見える。奥二重の切れ長の瞳。整った顔立ち。俺を愛おしげに見つめている。
どこかで見た顔だと思った。よく知っている男の顔だ。確か名前は――――。
「ほずみ……?」
俺はぼんやりと呟いた。
うっすらと目を開けると、薄暗い部屋の天井が見えた。壁紙が剥がれ、いたる所にカビのような染みが見える。ぶら下がった電球がちかちかと不安定に点滅していた。
何か大切な夢を見ていたような気がするけれど、すぐさま記憶はあやふやになる。
「……あっ、仁木さん! 目が覚めたんですね、良かった……っ」
すぐ近くから花ちゃんの安堵したような声が聞こえた。俺は顔を巡らせて、自分の状況を確認する。固い床の上に転がされて、後ろ手にされた両手首と、足首にも結束バンドが巻かれていた。花ちゃんも同じように拘束されて壁にもたれかかっている。
部屋には他に誰もいないようだった。
「花ちゃん……? ここは……?」
俺はまだくらくらする頭を一振りして、何とか壁際までずり上がり、隣の花ちゃんに小声で話しかける。
「あの二人組の男に車で連れて来られたんですよ。山の中にある空き家みたいなんですけど……」
花ちゃんの言う通り、辺りには古い家具やソファが無造作に置かれていて、どうやらリビングにいるらしい。床にはゴミが散乱して、鼻をつく異臭がする。だいぶ寂れた一軒家のようだ。
窓のカーテンがボロボロに破けていて、窓ガラスも割れている。外は吹雪き始めたのか大粒の雪が舞っているのが見えた。空は群青色で、おそらく時刻は夕方頃だろう。もうすぐ夜がくる気配がした。
「仁木さん、頭を殴られたんですよ。血も出てます。大丈夫ですか?」
花ちゃんが俺の顔を見て青ざめている。腕の自由が利かないので、肩口で自分の顔を擦ってみた。ベージュ色のダウンコートに少しだけ粉状の血が付いたが、もうほとんど出血は止まっているみたいだ。工具で殴られたので安心はできないが、とりあえず意識が戻って良かったとほっとする。
「……俺は大丈夫。それより君まで巻き込んでしまって、本当にごめん。俺が軽はずみなことをしたせいで……」
「私は大丈夫です。怪我もしてないし、乱暴なこともされてません。それより仁木さんが一人で誘拐されなくて本当に良かった。それに遊間さんが私たちが車に乗せられたのを見てたはずですから、きっと今頃警察に通報してくれてます」
花ちゃんは気丈に振る舞って、俺まで気遣ってくれる。俺が無様に気を失っている間に、必死に今の状況を把握しようとしてくれたんだろう。俺は自分の不甲斐なさに嫌気がさしてくる。
「ありがとう、花ちゃん。君のことは絶対俺が守るから。何とかして君だけでも逃がしてみせる」
俺は自分を奮い立たせようと粋がってみる。たとえ強がりだとしても、花ちゃんを守らなければという使命感で何とか心が折れずに済みそうだ。彼女に何かあったら俺は一生自分を許せないだろう。
だけど地方ロケの最中にこんな事件が起こるなんて、現場は大騒ぎになっているはずだ。全部自分の軽率な行動のせいだということは嫌というほど理解しているので、一刻も早くこの現状をどうにかしたかった。
とはいえ、拘束されたこの体勢ではどうすることもできない。花ちゃんの言うとおり、遊間さんが警察に通報してくれていれば、今頃捜査網が広がっているはずだ。だけど犯人は車で俺たちを攫った。移動距離によってはいつ発見してもらえるか予想もつかない。
「スマホ……はやっぱり盗られたか」
スマホのGPS機能を一瞬期待したが、尻ポケットに入れていたはずの固い感触がしない。花ちゃんが悔しそうに「私も盗られました、車に乗せられたときに」と教えてくれる。
「だけど、そんなに遠くまでは来てないはずです。すぐに山の中に入ったみたいで……」
「そうか……」
田舎といっても大通りに出れば監視カメラがある。無闇に逃げ回るよりも、とりあえず電波の届きにくい山中に逃げ込んだのかもしれない。
「それにしても、どうして仁木さん、あいつが指名手配犯だって分かったんですか?」
「それは……、ほら、俺の今回の役が、組織にも狙われて八朔にも追われる役だったからさ。誰かに追われながら生きてくってどんな心境なんだろうって、たまたま駅に貼ってた犯人のポスターをじっくり眺めたことがあったんだ。それを偶然思い出しただけ」
「すごいですね、仁木さ……」
「……へえ、そういうことか」
感心したような花ちゃんの声と、野太い男の声が重なった。俺と花ちゃんはビクッとしてリビングの入り口に目を向ける。俺を殴りつけたタオルの男と、その仲間の若い男が揃って部屋の中に入ってきた。
「全国に指名手配されてるのは知ってたが、そんなポスター、いちいち確認するやつがいるとはな」
不機嫌そうに吐き捨てた男は、改めて見るとやっぱりポスターの男と同じ顔をしている。髭があるだけでだいぶ印象は変わるが、鋭い眼光はそのままだ。もう一人の若い男も一緒に行動しているってことは、何かしらの犯罪を犯しているのかもしれない。
「あんたら……こんなところで何やってるんだ?」
「もちろん逃走中だ。東京から何とか逃げのびて、田舎の空き家を点々としながら暮らしてるのさ。こういう山奥には空き家がいやってほどあるからな。たまに金が無くなったら、町へ降りて調達する。細々と大人しく暮らしてたってのによ」
「何が細々と、だ。賽銭箱から金を盗るのも立派な犯罪だぞ……!」
「どっかの店に強盗に入るよりマシだろう? 俺は派手なことがしたいわけじゃない。年も取ったし病気持ちでね。どうせそう長くは生きられねえんだから、あと少しくらい逃げおおせてもいいだろう?」
男は自分勝手なことを臆面もなく言う。一体どういう神経をしているのか理解できない。
髪の長い若い男が、腰を屈めて花ちゃんの顔をまじまじと眺め、「あっ」と驚きの声を上げた。
「な、何よ。近寄らないでよ……!」
花ちゃんが俺の影に隠れるように身を寄せてくる。俺は急いで彼女を自分の背に隠した。若い男は信じられないというように目を瞠る。
「この女、ネットで見たことあるぜ。名前は忘れたけど多分芸能人だ。こっちのイケメン野郎は知らねえけどな」
面白くなさそうな顔で俺の方をじろっと見やる。悔しいが、俺の知名度もまだまだらしい。
話を聞いていたタオルの男は、唖然として俺たちを見比べた。
「芸能人だと? なんでこんな田舎にそんな奴らがいやがるんだ」
「……映画の地方ロケしてるのよ。悪い?」
気の強い花ちゃんが俺の背後から歯向かうように言う。男は「ちっ」と忌々しげに舌打ちした。
「こいつらが騒ぐから思わず車に乗せちまったが、余計な拾いもんだったな」
「なあ、おじさん。これからどうすんだ?」
「また他所に逃げるしかねえだろ。とりあえずお前は夜中の間に町に降りて、新しいナンバープレートを盗んで来い。今まで付けてたやつはこいつらの連れに見られたかもしれねえからな」
なるほどー、と若い男は感心したように頷いている。
確かに、もし遊間さんが車のナンバーを覚えていて警察に伝えていたら、監視カメラに引っかかる可能性が高くなる。だから早々に外したということだろう。プレート無しでは不審車扱いされるし、新しいプレートを装着すれば逃走するのにも時間が稼げるということだ。
「こいつらはどうすんだ?」
若い男がまた質問する。
「連れて逃げるわけにはいかねえだろ。邪魔すぎる。ここに置いていくさ」
タオルの男が投げやりに言った。俺は目を瞠る。もしかしたら殺されるかもしれないと最悪の事態も想像していたのだ。俺の顔色を読んだのか、男はふんと鼻を鳴らした。
「芸能人を殺しちまったらとんでもねえ騒ぎになるし、また罪状が増えちまうからな。大人しくしてたら何もしねえよ」
そう言いながら、これ見よがしに作業着のポケットから俺と花ちゃんのスマホを取り出した。
「ここを出るときに、スマホの電源もつけてやる。そしたら警察をおびき寄せられるし、お前らも発見されて一件落着だ。その間に俺らは逃げる」
男は冷静に状況を判断しているようだ。無闇に人殺しを楽しむようなタイプじゃないらしいと、俺は内心安堵した。それが本心かどうか信用するのはまだ危険だが。
「よっしゃ、じゃあ俺はさっさと行ってくるぜ」
若い男が意気込んで表に出ていく。タオルの男は俺たちのスマホをもう一度ポケットにしまうと、ゆっくりと隣の部屋に移動した。
姿が見えなくなるまで待って、ようやく俺と花ちゃんは肩の力を抜いたのだった。
遠くに、背が高く肩幅も広い一人の男が立っているのが見えた。濃紺の着物を着ていて、背中まで伸びた長い髪が風になびいている。
――――三郎。
俺は男に向かってそう呼びかける。三郎? そうか、それが彼の名前なのか。
俺が歩み寄ると、ゆっくりと男は振り返る。逆光のせいで顔がよく見えない。男は俺の顔に手を伸ばしきて、優しく頬を撫でてくれる。胸が締めつけられるような、だけどとても満たされるような、そんな感情が込み上げてきて、自然に笑みが零れた。
頬を撫でる手を取り指を絡めたら、男の顔がゆっくりと近づいてきて、俺たちの間に薄く影ができた。やっと男の表情が見える。奥二重の切れ長の瞳。整った顔立ち。俺を愛おしげに見つめている。
どこかで見た顔だと思った。よく知っている男の顔だ。確か名前は――――。
「ほずみ……?」
俺はぼんやりと呟いた。
うっすらと目を開けると、薄暗い部屋の天井が見えた。壁紙が剥がれ、いたる所にカビのような染みが見える。ぶら下がった電球がちかちかと不安定に点滅していた。
何か大切な夢を見ていたような気がするけれど、すぐさま記憶はあやふやになる。
「……あっ、仁木さん! 目が覚めたんですね、良かった……っ」
すぐ近くから花ちゃんの安堵したような声が聞こえた。俺は顔を巡らせて、自分の状況を確認する。固い床の上に転がされて、後ろ手にされた両手首と、足首にも結束バンドが巻かれていた。花ちゃんも同じように拘束されて壁にもたれかかっている。
部屋には他に誰もいないようだった。
「花ちゃん……? ここは……?」
俺はまだくらくらする頭を一振りして、何とか壁際までずり上がり、隣の花ちゃんに小声で話しかける。
「あの二人組の男に車で連れて来られたんですよ。山の中にある空き家みたいなんですけど……」
花ちゃんの言う通り、辺りには古い家具やソファが無造作に置かれていて、どうやらリビングにいるらしい。床にはゴミが散乱して、鼻をつく異臭がする。だいぶ寂れた一軒家のようだ。
窓のカーテンがボロボロに破けていて、窓ガラスも割れている。外は吹雪き始めたのか大粒の雪が舞っているのが見えた。空は群青色で、おそらく時刻は夕方頃だろう。もうすぐ夜がくる気配がした。
「仁木さん、頭を殴られたんですよ。血も出てます。大丈夫ですか?」
花ちゃんが俺の顔を見て青ざめている。腕の自由が利かないので、肩口で自分の顔を擦ってみた。ベージュ色のダウンコートに少しだけ粉状の血が付いたが、もうほとんど出血は止まっているみたいだ。工具で殴られたので安心はできないが、とりあえず意識が戻って良かったとほっとする。
「……俺は大丈夫。それより君まで巻き込んでしまって、本当にごめん。俺が軽はずみなことをしたせいで……」
「私は大丈夫です。怪我もしてないし、乱暴なこともされてません。それより仁木さんが一人で誘拐されなくて本当に良かった。それに遊間さんが私たちが車に乗せられたのを見てたはずですから、きっと今頃警察に通報してくれてます」
花ちゃんは気丈に振る舞って、俺まで気遣ってくれる。俺が無様に気を失っている間に、必死に今の状況を把握しようとしてくれたんだろう。俺は自分の不甲斐なさに嫌気がさしてくる。
「ありがとう、花ちゃん。君のことは絶対俺が守るから。何とかして君だけでも逃がしてみせる」
俺は自分を奮い立たせようと粋がってみる。たとえ強がりだとしても、花ちゃんを守らなければという使命感で何とか心が折れずに済みそうだ。彼女に何かあったら俺は一生自分を許せないだろう。
だけど地方ロケの最中にこんな事件が起こるなんて、現場は大騒ぎになっているはずだ。全部自分の軽率な行動のせいだということは嫌というほど理解しているので、一刻も早くこの現状をどうにかしたかった。
とはいえ、拘束されたこの体勢ではどうすることもできない。花ちゃんの言うとおり、遊間さんが警察に通報してくれていれば、今頃捜査網が広がっているはずだ。だけど犯人は車で俺たちを攫った。移動距離によってはいつ発見してもらえるか予想もつかない。
「スマホ……はやっぱり盗られたか」
スマホのGPS機能を一瞬期待したが、尻ポケットに入れていたはずの固い感触がしない。花ちゃんが悔しそうに「私も盗られました、車に乗せられたときに」と教えてくれる。
「だけど、そんなに遠くまでは来てないはずです。すぐに山の中に入ったみたいで……」
「そうか……」
田舎といっても大通りに出れば監視カメラがある。無闇に逃げ回るよりも、とりあえず電波の届きにくい山中に逃げ込んだのかもしれない。
「それにしても、どうして仁木さん、あいつが指名手配犯だって分かったんですか?」
「それは……、ほら、俺の今回の役が、組織にも狙われて八朔にも追われる役だったからさ。誰かに追われながら生きてくってどんな心境なんだろうって、たまたま駅に貼ってた犯人のポスターをじっくり眺めたことがあったんだ。それを偶然思い出しただけ」
「すごいですね、仁木さ……」
「……へえ、そういうことか」
感心したような花ちゃんの声と、野太い男の声が重なった。俺と花ちゃんはビクッとしてリビングの入り口に目を向ける。俺を殴りつけたタオルの男と、その仲間の若い男が揃って部屋の中に入ってきた。
「全国に指名手配されてるのは知ってたが、そんなポスター、いちいち確認するやつがいるとはな」
不機嫌そうに吐き捨てた男は、改めて見るとやっぱりポスターの男と同じ顔をしている。髭があるだけでだいぶ印象は変わるが、鋭い眼光はそのままだ。もう一人の若い男も一緒に行動しているってことは、何かしらの犯罪を犯しているのかもしれない。
「あんたら……こんなところで何やってるんだ?」
「もちろん逃走中だ。東京から何とか逃げのびて、田舎の空き家を点々としながら暮らしてるのさ。こういう山奥には空き家がいやってほどあるからな。たまに金が無くなったら、町へ降りて調達する。細々と大人しく暮らしてたってのによ」
「何が細々と、だ。賽銭箱から金を盗るのも立派な犯罪だぞ……!」
「どっかの店に強盗に入るよりマシだろう? 俺は派手なことがしたいわけじゃない。年も取ったし病気持ちでね。どうせそう長くは生きられねえんだから、あと少しくらい逃げおおせてもいいだろう?」
男は自分勝手なことを臆面もなく言う。一体どういう神経をしているのか理解できない。
髪の長い若い男が、腰を屈めて花ちゃんの顔をまじまじと眺め、「あっ」と驚きの声を上げた。
「な、何よ。近寄らないでよ……!」
花ちゃんが俺の影に隠れるように身を寄せてくる。俺は急いで彼女を自分の背に隠した。若い男は信じられないというように目を瞠る。
「この女、ネットで見たことあるぜ。名前は忘れたけど多分芸能人だ。こっちのイケメン野郎は知らねえけどな」
面白くなさそうな顔で俺の方をじろっと見やる。悔しいが、俺の知名度もまだまだらしい。
話を聞いていたタオルの男は、唖然として俺たちを見比べた。
「芸能人だと? なんでこんな田舎にそんな奴らがいやがるんだ」
「……映画の地方ロケしてるのよ。悪い?」
気の強い花ちゃんが俺の背後から歯向かうように言う。男は「ちっ」と忌々しげに舌打ちした。
「こいつらが騒ぐから思わず車に乗せちまったが、余計な拾いもんだったな」
「なあ、おじさん。これからどうすんだ?」
「また他所に逃げるしかねえだろ。とりあえずお前は夜中の間に町に降りて、新しいナンバープレートを盗んで来い。今まで付けてたやつはこいつらの連れに見られたかもしれねえからな」
なるほどー、と若い男は感心したように頷いている。
確かに、もし遊間さんが車のナンバーを覚えていて警察に伝えていたら、監視カメラに引っかかる可能性が高くなる。だから早々に外したということだろう。プレート無しでは不審車扱いされるし、新しいプレートを装着すれば逃走するのにも時間が稼げるということだ。
「こいつらはどうすんだ?」
若い男がまた質問する。
「連れて逃げるわけにはいかねえだろ。邪魔すぎる。ここに置いていくさ」
タオルの男が投げやりに言った。俺は目を瞠る。もしかしたら殺されるかもしれないと最悪の事態も想像していたのだ。俺の顔色を読んだのか、男はふんと鼻を鳴らした。
「芸能人を殺しちまったらとんでもねえ騒ぎになるし、また罪状が増えちまうからな。大人しくしてたら何もしねえよ」
そう言いながら、これ見よがしに作業着のポケットから俺と花ちゃんのスマホを取り出した。
「ここを出るときに、スマホの電源もつけてやる。そしたら警察をおびき寄せられるし、お前らも発見されて一件落着だ。その間に俺らは逃げる」
男は冷静に状況を判断しているようだ。無闇に人殺しを楽しむようなタイプじゃないらしいと、俺は内心安堵した。それが本心かどうか信用するのはまだ危険だが。
「よっしゃ、じゃあ俺はさっさと行ってくるぜ」
若い男が意気込んで表に出ていく。タオルの男は俺たちのスマホをもう一度ポケットにしまうと、ゆっくりと隣の部屋に移動した。
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