24 / 34
夏休み ―美紀 side―
しおりを挟む
今日は終業式。
校長先生の長い話が先ほど終わり教室に戻ってきた。
担任の話を聞いて成績表が渡される。
そして、担任が教室から出て行くと教室はわぁっと騒がしくなった。
みんな、夏休みの予定を立てているらしい。
「みのりーん。ボクらもどっか行こうよー」
「うん、いいよ。どこ行く?」
「そうだなぁ……折角、水着買いに行くんだし海なんてどう?」
「うん!それいいね!海行こう!」
「じゃあ、決定~!いつにしようか~」
薫とそんな話をしていたら輝が来た。
「何?何の話?」
「あれ?輝?今日は坂上くんたちと帰るんじゃないの?」
「帰るよ。でも、春介は部活の先輩に捕まって幸太は部長に呼び出されて慎也が担任に呼び出し食らって一人で待つの暇だから美紀に会いに来ちゃった」
「来ちゃったって……あ、今ね、薫と海に行く約束してたの」
「えっ!?海!?お、俺も行く!行きたい!」
「え?どうして?」
「どうしても!ほ、ほら!女の子二人じゃ心配だし!ボディガードとして!」
「……嫌。輝が来たら泳ぐどころじゃないもん」
「えぇっ!?あ、じゃあ、慎也たちも誘うから!駄目?」
「……知らない。薫にでも頼んでみたら?」
そう言って私はそっぽを向く。
なんでそんなに必死になるの?
いつもなら薫と一緒にいるの嫌がるのに……
「えっ?美紀?なんで怒ってるの?」
「怒ってないわよ」
「嘘!俺、怒らせるようなこと言った?」
「自分の胸に手を当てて聞いてみたら!」
輝はえぇ?と言いながら言われた通りにしていた。
その光景はずっと見ていた薫は大爆笑をして。
「ボクは別にいいよー?輝くんたちが一緒でも」
「えっ!?」
「珍しいじゃん。本当にいいの?」
「だって、輝くんだけじゃないんでしょ?それならいいよ」
「じゃあ、慎也たちに聞いてくる」
輝がそう言ったと同時にタイミング良く坂上くんたちが来た。
「あ、やっぱり、ここにいたー」
「一言くらい連絡しろよ」
「輝がそんな気の利くこと出来るわけないだろー?」
「お、幸太、春介!丁度いいところに来たな!今、美紀たちと海行くって話になってんだけど一緒に行かね?」
「もちろん!行くよ!」
「俺も!」
「じゃあ、決まりな!美紀も椎名もこれでいいだろ?」
「ボクはいいよー」
「……薫がいいなら私も反対はしない」
「……いや、あの、輝さん?俺は?俺は誘ってくれないの?」
「え?あぁ、悪いな、気が利いたこと出来ないからさ、俺」
輝が笑顔で返す。
坂上くんはその場で土下座をした。
「すみませんでした!!!輝くんはちゃんと連絡くれてました!!!ホントにすみません!!!」
輝はため息を吐くと坂上くんを指差すと薫に口を開いた。
「追加でいい?」
「どうぞどうぞ。じゃあ、日程を決めなきゃねー?ボクとみのりんは一度帰った後、水着買いに行く予定なんだけど君も来る?」
「えっ!?ちょっ、薫!?」
「是非とも同行させていただきたい!!」
「慎也に同じ」
「ぼ、僕も……」
「いや、どうせ行くならお前らも自分の水着見ろよ。女の水着一緒に見てどうすんだよ」
輝の言葉に私は思いっきり輝を睨む。
この間、私の水着を選ばせてとか言った口が何言ってるの!?
私の視線に気付いた輝は私の思ってたことを読み取ったのか顔を背けた。
「ま、まぁ、気持ちは、分からなくもない……けどな……?」
「「「輝!!!」」」
「コイツ何紳士ぶってんだと思ったけど!」
「やっぱり、男だったんだね!」
「見直したぜ!輝!」
そして、気付いたらこのメンバーで買い物に行くことが決まった。
新たに集合時間と場所を決めて一度解散する。
私は輝と距離を取って歩いていた。
「あ、あのー……美紀さん?まだ怒ってます?」
「怒ってません!どの口が何を言ってるの分からなかったですけど!」
「いや、だってさ!俺と美紀は付き合ってるんだよ?彼氏はいいと思うんですけど……」
「変態はお断りです!」
「……ごめんなさい。だから、敬語で話すの止めてくれる?精神的にちょっとくるので」
「いい?絶対に私たちが水着買うまで別行動だからね!輝がどうにか阻止してよ?」
「分かってるって。俺だって美紀だけならともかく椎名の買う水着まで見たくないし……」
何それ!?
薫の水着は当日まで見たくないってこと!?
そんなに薫の水着が楽しみなの!?
私がイライラしてる内に家に着いた。
自分の部屋に行き荷物を置いて着替える。
鏡を見て私は脱力する。
いつの間にか輝に買ってもらってた服を着ていて。
私は!今!怒ってるのに!
なんで輝のお気に入りの服を着てこうとしてるの!
もう色々めんどくさくなってこの服で行くことを決めて部屋を出ると輝と遭遇。
輝は私の姿を見るなりすぐに私を部屋に押し戻す。
「ちょっ!?輝!?」
輝は私を部屋に押し込むとドアをバタンと閉める。
ドアを開けようとすると輝が立って開かないようにしてるのかびくともしなかった。
「開けなさいよ!輝!」
私がそう叫ぶと輝も叫ぶ。
「その服は駄目!着替えて!」
「何でよ!?私が何を着ようと私の勝手でしょ!?」
「その服は俺とのデート専用だから駄目!慎也たちに見せて堪るか!」
その言葉に顔を赤くして。
単純と言うか何と言うか自分でも呆れてしまう。
クローゼットから別の服を取り出し着替える。
「……輝。着替えたから開けて」
そう言うと輝はゆっくりドアを開けてほんの少しの隙間から覗いてくる。
私が着替えたことを確認するとドアが開いた。
「……その服も可愛いから見せたくないけど……まぁ、仕方ないか……」
「……随分と偉そうなのね?」
輝ににっこり微笑むと輝はたじろぐ。
「あ、いや、その……だって、独り占めしたいじゃん」
そう言って顔を背ける輝の服をじっと眺める。
その視線に気付いた輝が首を傾げた。
「美紀?」
「……輝もキメ過ぎじゃない?」
私がそう言うと輝はクスッと笑って。
「着替えてこようか?」
「別にいいわよ。それより、早く行かないと時間に間に合わないわよ」
「そうだね。じゃあ、行こうか。お姫様」
そう言って輝はにっこり笑い手を差し出してきた。
私はふんっとそっぽ向きながらもその手を取る。
待ち合わせ場所に行くと坂上くん以外のメンバーはもう来ていた。
「慎也は?」
「まだ来てないよ。ボク、待つの嫌いなんだけど」
「待ってたんだけどよ、先に行っていいって言われたんだよ」
「坂上くんって時間ギリギリな人なの?」
「どちらかと言うとそうかも。まぁ、輝よりかマシな方だと思うけどね?いつも輝は相楽さん優先だから平気で遅れてくるよ」
「えっ!?な、なんかごめんなさい……」
「あ、いや、相楽さんを責めてるわけじゃないよ!僕らも慣れちゃったしね」
「幸太!余計なこと言うなよ!」
待ち合わせ時間一分前くらいになって坂上くんが来た。
「いやぁ、悪い悪い。待たせたか?ちょっと服選びに時間がかかって……」
そう言う坂上くんはハーフパンツにアロハシャツと言うなんともコメントしにくい服を着ていて。
みんな何も言えず黙っていると薫が口を開く。
「……ダサい」
「えっ!?」
みんな、驚きの顔で薫を見た。
言った!言ったよ、コイツ!
みたいな雰囲気が漂って。
「まぁ、とにかく、揃ったし行こうか」
「いや、待て待て!ダサいって!?えっ!?超キマってんじゃん!?」
その言葉に薫以外のみんなは何も言えず顔を背ける。
「えっ!?何その反応!?そんなに俺、似合ってないの!?」
坂上くんはマジかよ!と言ったと思ったら輝の腕を掴む。
「こうなったら……輝、服交換するぞ!」
「はぁっ!?おまっ、ふざけんなよ!」
輝は坂上くんにズルズル引きずられていく。
数分後、輝はアロハシャツを上から羽織ってきただけで坂上くんは輝が着ていたシャツを無理矢理着た感じだった。
二人は何とも言えない雰囲気を出していて。
やっぱり一番に薫が口を開く。
「いや、交換するなら下も交換してこようよ」
「そうする気だったんだよ!だけどよ……輝のズボンが履けなくて……ぶっちゃけると上も結構キツい……」
その言葉に薫でさえも何も言えなくなる。
気まずい雰囲気のまま数分が経って坂上くんが口を開いた。
「……着替えるか」
「そうしてくれるとすごく助かるよ。でも、まだ輝くんの方が似合ってたねアロハシャツ」
「嬉しくないから。ほら、早く脱げよ、慎也」
輝はただ羽織ってただけなので普通に脱いで坂上くんに返す。
だが、坂上くんは……
「……輝」
「何だよ」
「怒らずに聞いてくれ」
「はぁ?」
「無理矢理着たせいか脱げなくなった」
「……いや、着れたんだから脱げるだろ。脱げ」
「いや、ホント無理」
「いいから脱げって」
「いや、だから……」
「幸太、春介。手伝え」
「お、おう!」
「分かった!」
そう言って二人が坂上くんを押さえて輝が服を引っ張って無理矢理脱がす。
その間、坂上くんがすごい悲鳴を上げていたけど。
無事に自分の服が返って着た輝はにっこりと坂上くんに微笑んだ。
「お前、次はないと思えよ?」
「……お、おぅ」
「じゃあ、行こう。買い物が終わったら店内のファーストフード店に集合で。行こう、みのりん!」
薫はそう言うと私の手を牽き水着売り場に直行した。
「みのりんはどんなの探してるのー?」
「白地にピンクの花柄のワンピースタイプ。可愛いのあるかな……」
「ボクも一緒に探してあげる!えっとー……」
そう言って薫のは自分の水着より私の水着を探してくれて。
薫のお陰で可愛い水着を見つけられた。
「ありがとう、薫。薫はどんなの探してるの?私も探すの手伝うよ」
「本当?ボクはねー、黒でパレオ付きの水着を探してるんだ。輝くんを悩殺しようと思って」
「えっ!?」
「冗談だよー」
「い、意地悪なこと言わないでよ!薫!」
「ごめんごめん」
薫にからかわれながら水着を探す。
すると、輝から電話がかかって私は何か水着の希望はないのかと聞かれた。
男の水着ってそんなに種類あるの?
なんて思いながらも希望を口にした――――
校長先生の長い話が先ほど終わり教室に戻ってきた。
担任の話を聞いて成績表が渡される。
そして、担任が教室から出て行くと教室はわぁっと騒がしくなった。
みんな、夏休みの予定を立てているらしい。
「みのりーん。ボクらもどっか行こうよー」
「うん、いいよ。どこ行く?」
「そうだなぁ……折角、水着買いに行くんだし海なんてどう?」
「うん!それいいね!海行こう!」
「じゃあ、決定~!いつにしようか~」
薫とそんな話をしていたら輝が来た。
「何?何の話?」
「あれ?輝?今日は坂上くんたちと帰るんじゃないの?」
「帰るよ。でも、春介は部活の先輩に捕まって幸太は部長に呼び出されて慎也が担任に呼び出し食らって一人で待つの暇だから美紀に会いに来ちゃった」
「来ちゃったって……あ、今ね、薫と海に行く約束してたの」
「えっ!?海!?お、俺も行く!行きたい!」
「え?どうして?」
「どうしても!ほ、ほら!女の子二人じゃ心配だし!ボディガードとして!」
「……嫌。輝が来たら泳ぐどころじゃないもん」
「えぇっ!?あ、じゃあ、慎也たちも誘うから!駄目?」
「……知らない。薫にでも頼んでみたら?」
そう言って私はそっぽを向く。
なんでそんなに必死になるの?
いつもなら薫と一緒にいるの嫌がるのに……
「えっ?美紀?なんで怒ってるの?」
「怒ってないわよ」
「嘘!俺、怒らせるようなこと言った?」
「自分の胸に手を当てて聞いてみたら!」
輝はえぇ?と言いながら言われた通りにしていた。
その光景はずっと見ていた薫は大爆笑をして。
「ボクは別にいいよー?輝くんたちが一緒でも」
「えっ!?」
「珍しいじゃん。本当にいいの?」
「だって、輝くんだけじゃないんでしょ?それならいいよ」
「じゃあ、慎也たちに聞いてくる」
輝がそう言ったと同時にタイミング良く坂上くんたちが来た。
「あ、やっぱり、ここにいたー」
「一言くらい連絡しろよ」
「輝がそんな気の利くこと出来るわけないだろー?」
「お、幸太、春介!丁度いいところに来たな!今、美紀たちと海行くって話になってんだけど一緒に行かね?」
「もちろん!行くよ!」
「俺も!」
「じゃあ、決まりな!美紀も椎名もこれでいいだろ?」
「ボクはいいよー」
「……薫がいいなら私も反対はしない」
「……いや、あの、輝さん?俺は?俺は誘ってくれないの?」
「え?あぁ、悪いな、気が利いたこと出来ないからさ、俺」
輝が笑顔で返す。
坂上くんはその場で土下座をした。
「すみませんでした!!!輝くんはちゃんと連絡くれてました!!!ホントにすみません!!!」
輝はため息を吐くと坂上くんを指差すと薫に口を開いた。
「追加でいい?」
「どうぞどうぞ。じゃあ、日程を決めなきゃねー?ボクとみのりんは一度帰った後、水着買いに行く予定なんだけど君も来る?」
「えっ!?ちょっ、薫!?」
「是非とも同行させていただきたい!!」
「慎也に同じ」
「ぼ、僕も……」
「いや、どうせ行くならお前らも自分の水着見ろよ。女の水着一緒に見てどうすんだよ」
輝の言葉に私は思いっきり輝を睨む。
この間、私の水着を選ばせてとか言った口が何言ってるの!?
私の視線に気付いた輝は私の思ってたことを読み取ったのか顔を背けた。
「ま、まぁ、気持ちは、分からなくもない……けどな……?」
「「「輝!!!」」」
「コイツ何紳士ぶってんだと思ったけど!」
「やっぱり、男だったんだね!」
「見直したぜ!輝!」
そして、気付いたらこのメンバーで買い物に行くことが決まった。
新たに集合時間と場所を決めて一度解散する。
私は輝と距離を取って歩いていた。
「あ、あのー……美紀さん?まだ怒ってます?」
「怒ってません!どの口が何を言ってるの分からなかったですけど!」
「いや、だってさ!俺と美紀は付き合ってるんだよ?彼氏はいいと思うんですけど……」
「変態はお断りです!」
「……ごめんなさい。だから、敬語で話すの止めてくれる?精神的にちょっとくるので」
「いい?絶対に私たちが水着買うまで別行動だからね!輝がどうにか阻止してよ?」
「分かってるって。俺だって美紀だけならともかく椎名の買う水着まで見たくないし……」
何それ!?
薫の水着は当日まで見たくないってこと!?
そんなに薫の水着が楽しみなの!?
私がイライラしてる内に家に着いた。
自分の部屋に行き荷物を置いて着替える。
鏡を見て私は脱力する。
いつの間にか輝に買ってもらってた服を着ていて。
私は!今!怒ってるのに!
なんで輝のお気に入りの服を着てこうとしてるの!
もう色々めんどくさくなってこの服で行くことを決めて部屋を出ると輝と遭遇。
輝は私の姿を見るなりすぐに私を部屋に押し戻す。
「ちょっ!?輝!?」
輝は私を部屋に押し込むとドアをバタンと閉める。
ドアを開けようとすると輝が立って開かないようにしてるのかびくともしなかった。
「開けなさいよ!輝!」
私がそう叫ぶと輝も叫ぶ。
「その服は駄目!着替えて!」
「何でよ!?私が何を着ようと私の勝手でしょ!?」
「その服は俺とのデート専用だから駄目!慎也たちに見せて堪るか!」
その言葉に顔を赤くして。
単純と言うか何と言うか自分でも呆れてしまう。
クローゼットから別の服を取り出し着替える。
「……輝。着替えたから開けて」
そう言うと輝はゆっくりドアを開けてほんの少しの隙間から覗いてくる。
私が着替えたことを確認するとドアが開いた。
「……その服も可愛いから見せたくないけど……まぁ、仕方ないか……」
「……随分と偉そうなのね?」
輝ににっこり微笑むと輝はたじろぐ。
「あ、いや、その……だって、独り占めしたいじゃん」
そう言って顔を背ける輝の服をじっと眺める。
その視線に気付いた輝が首を傾げた。
「美紀?」
「……輝もキメ過ぎじゃない?」
私がそう言うと輝はクスッと笑って。
「着替えてこようか?」
「別にいいわよ。それより、早く行かないと時間に間に合わないわよ」
「そうだね。じゃあ、行こうか。お姫様」
そう言って輝はにっこり笑い手を差し出してきた。
私はふんっとそっぽ向きながらもその手を取る。
待ち合わせ場所に行くと坂上くん以外のメンバーはもう来ていた。
「慎也は?」
「まだ来てないよ。ボク、待つの嫌いなんだけど」
「待ってたんだけどよ、先に行っていいって言われたんだよ」
「坂上くんって時間ギリギリな人なの?」
「どちらかと言うとそうかも。まぁ、輝よりかマシな方だと思うけどね?いつも輝は相楽さん優先だから平気で遅れてくるよ」
「えっ!?な、なんかごめんなさい……」
「あ、いや、相楽さんを責めてるわけじゃないよ!僕らも慣れちゃったしね」
「幸太!余計なこと言うなよ!」
待ち合わせ時間一分前くらいになって坂上くんが来た。
「いやぁ、悪い悪い。待たせたか?ちょっと服選びに時間がかかって……」
そう言う坂上くんはハーフパンツにアロハシャツと言うなんともコメントしにくい服を着ていて。
みんな何も言えず黙っていると薫が口を開く。
「……ダサい」
「えっ!?」
みんな、驚きの顔で薫を見た。
言った!言ったよ、コイツ!
みたいな雰囲気が漂って。
「まぁ、とにかく、揃ったし行こうか」
「いや、待て待て!ダサいって!?えっ!?超キマってんじゃん!?」
その言葉に薫以外のみんなは何も言えず顔を背ける。
「えっ!?何その反応!?そんなに俺、似合ってないの!?」
坂上くんはマジかよ!と言ったと思ったら輝の腕を掴む。
「こうなったら……輝、服交換するぞ!」
「はぁっ!?おまっ、ふざけんなよ!」
輝は坂上くんにズルズル引きずられていく。
数分後、輝はアロハシャツを上から羽織ってきただけで坂上くんは輝が着ていたシャツを無理矢理着た感じだった。
二人は何とも言えない雰囲気を出していて。
やっぱり一番に薫が口を開く。
「いや、交換するなら下も交換してこようよ」
「そうする気だったんだよ!だけどよ……輝のズボンが履けなくて……ぶっちゃけると上も結構キツい……」
その言葉に薫でさえも何も言えなくなる。
気まずい雰囲気のまま数分が経って坂上くんが口を開いた。
「……着替えるか」
「そうしてくれるとすごく助かるよ。でも、まだ輝くんの方が似合ってたねアロハシャツ」
「嬉しくないから。ほら、早く脱げよ、慎也」
輝はただ羽織ってただけなので普通に脱いで坂上くんに返す。
だが、坂上くんは……
「……輝」
「何だよ」
「怒らずに聞いてくれ」
「はぁ?」
「無理矢理着たせいか脱げなくなった」
「……いや、着れたんだから脱げるだろ。脱げ」
「いや、ホント無理」
「いいから脱げって」
「いや、だから……」
「幸太、春介。手伝え」
「お、おう!」
「分かった!」
そう言って二人が坂上くんを押さえて輝が服を引っ張って無理矢理脱がす。
その間、坂上くんがすごい悲鳴を上げていたけど。
無事に自分の服が返って着た輝はにっこりと坂上くんに微笑んだ。
「お前、次はないと思えよ?」
「……お、おぅ」
「じゃあ、行こう。買い物が終わったら店内のファーストフード店に集合で。行こう、みのりん!」
薫はそう言うと私の手を牽き水着売り場に直行した。
「みのりんはどんなの探してるのー?」
「白地にピンクの花柄のワンピースタイプ。可愛いのあるかな……」
「ボクも一緒に探してあげる!えっとー……」
そう言って薫のは自分の水着より私の水着を探してくれて。
薫のお陰で可愛い水着を見つけられた。
「ありがとう、薫。薫はどんなの探してるの?私も探すの手伝うよ」
「本当?ボクはねー、黒でパレオ付きの水着を探してるんだ。輝くんを悩殺しようと思って」
「えっ!?」
「冗談だよー」
「い、意地悪なこと言わないでよ!薫!」
「ごめんごめん」
薫にからかわれながら水着を探す。
すると、輝から電話がかかって私は何か水着の希望はないのかと聞かれた。
男の水着ってそんなに種類あるの?
なんて思いながらも希望を口にした――――
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。
選ばれたのは美人の親友
杉本凪咲
恋愛
侯爵令息ルドガーの妻となったエルは、良き妻になろうと奮闘していた。しかし突然にルドガーはエルに離婚を宣言し、あろうことかエルの親友であるレベッカと関係を持った。悔しさと怒りで泣き叫ぶエルだが、最後には離婚を決意して縁を切る。程なくして、そんな彼女に新しい縁談が舞い込んできたが、縁を切ったはずのレベッカが現れる。
私が死ねば楽になれるのでしょう?~愛妻家の後悔~
希猫 ゆうみ
恋愛
伯爵令嬢オリヴィアは伯爵令息ダーフィトと婚約中。
しかし結婚準備中オリヴィアは熱病に罹り冷酷にも婚約破棄されてしまう。
それを知った幼馴染の伯爵令息リカードがオリヴィアへの愛を伝えるが…
【 ⚠ 】
・前半は夫婦の闘病記です。合わない方は自衛のほどお願いいたします。
・架空の猛毒です。作中の症状は抗生物質の発明以前に猛威を奮った複数の症例を参考にしています。尚、R15はこの為です。
【完結】捨てられ正妃は思い出す。
なか
恋愛
「お前に食指が動くことはない、後はしみったれた余生でも過ごしてくれ」
そんな言葉を最後に婚約者のランドルフ・ファルムンド王子はデイジー・ルドウィンを捨ててしまう。
人生の全てをかけて愛してくれていた彼女をあっさりと。
正妃教育のため幼き頃より人生を捧げて生きていた彼女に味方はおらず、学園ではいじめられ、再び愛した男性にも「遊びだった」と同じように捨てられてしまう。
人生に楽しみも、生きる気力も失った彼女は自分の意志で…自死を選んだ。
再び意識を取り戻すと見知った光景と聞き覚えのある言葉の数々。
デイジーは確信をした、これは二度目の人生なのだと。
確信したと同時に再びあの酷い日々を過ごす事になる事に絶望した、そんなデイジーを変えたのは他でもなく、前世での彼女自身の願いであった。
––次の人生は後悔もない、幸福な日々を––
他でもない、自分自身の願いを叶えるために彼女は二度目の人生を立ち上がる。
前のような弱気な生き方を捨てて、怒りに滾って奮い立つ彼女はこのくそったれな人生を生きていく事を決めた。
彼女に起きた心境の変化、それによって起こる小さな波紋はやがて波となり…この王国でさえ変える大きな波となる。
王命を忘れた恋
須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』
そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。
強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?
そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。
私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです
こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。
まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。
幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。
「子供が欲しいの」
「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」
それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる