上 下
13 / 34

話し合い後

しおりを挟む
 この間の件以降今日は初めて薫に会う。


薫にはきちんと事情を説明してもらわなくちゃね……

私を騙した罪は重いのよ!


そんなことを思いながら教室に入ると薫はすぐさま私に気付いて顔を背ける。

私はそんな薫のところに笑顔で行く。



「おはよう。薫」


「お、おはよう……みのりん。ご、ご機嫌だね?」


「あぁ、分かる?私、薫とずっと大事なお話したかったから今日会えるのが楽しみだったのよ」


「へ、へぇー……そ、それは光栄だなぁ……」


「でしょう?だから、昼休み、私に付き合ってくれるよね?」


「も、もちろん!喜んで!」



薫の笑顔は冷や汗でいっぱいだった。


まるで蛇に睨まれた蛙のよう……


それじゃあ、昼休み楽しみにしてるねとだけ伝えて自分の席に着く。

後ろからは緊張してる雰囲気が伝わってくる。

輝には今日は教室に来るなと言ってあるので問題ない。


ゆっくり話が出来るはず……


早く昼休みになれと思いながら授業を受けた。



そして、念願の昼休み。

私は薫を連れて屋上の踊り場に来ていた。

薫は私の前で正座をして座っている。



「薫?私が言いたいこと分かるよね?」


「……えっと、騙しててごめん?」


「なんで疑問形なのかしら?」


「あぁ!違うんだよ!みのりんを傷付けちゃったことは本当に反省してるんだよ?でも、ああでも言わなきゃみのりんは出てきちゃうと思ったから……」


「うん。それで?」


「だ、だから、あんな言い方したって言うか……ボクは本当に輝くんのこと何とも思ってないから!安心して!」


「……それは信じるけど。どうして、輝の名前知ってたの?」


「え?輝くんから聞いてないの?」


「聞いたけどやっぱり本人の口からも聞こうと思って」


「あぁ、そっか。みのりんはそういうタイプか……えっと、この間、ボクらと一緒にいた彼女はボクの友達だった人で輝くんに困ってるところを助けられて一目惚れしたらしくってその後何回か輝くんと会って話して連絡先を交換したら輝くんのことを恋人だと勘違いしちゃってね。元々妄想が激しい子だったんだ。で、そんな彼女の勘違いの相談に乗ってたのがボク。輝くんが彼女を呼び出して縁を切ろうとしてる現場にも実はいたんだよ。だから、輝くんを知ってたんだ」


「ふーん……それで、縁を切ったはずのその子と輝が何でまた会ってたの?」


「それも彼女の勘違いって言うか……ボクが聞いた限りただの友達関係としてもお断りしてるように思ったんだけど彼女は気の迷いと思ったらしくてみのりんのこともその時はもう知ってたと思うよ。それで、ボクが輝くんと同じ学校になったことを知ってまた相談受けるようになっちゃって。正直、ウザかったしうんざりしてたから輝くんに責任取ってもらおうとわざわざ呼び出して会わせたんだ」



確かに聞いてる限りだと輝のせいだししょうがないわよね……



「まぁ、会わせても解決どころか悪化しただけだったけどね?みのりんが来てくれて逆に助かったよ。ありがとう」


「それはどういたしまして。薫のお陰で自分の気持ちに気付かされたわよ」


「そ、それは……おめでとう、なのかな?」


「さぁ?でも、輝と付き合うことになったらありがとう、かしら?」


「えっ!?本当にあんな奴と付き合うの!?止めときなよ!絶対後悔するって!」


「まぁ、確かに初デートも最初は散々な目に遭ったけど……楽しかったわよ」


「ち、ちょっとー!この学校では公表しない方がいいんじゃない!?って言うかしちゃ駄目だよ!絶対嫌がらせとかされるって!」


「嫌がらせ?上等よ。正々堂々と戦う気がない奴は敵じゃないし」


「強いね!?輝くんってどちらかと言うときゃー、虫怖ーい、助けてーってタイプが好きなんじゃ……?」


「……そんなの私じゃないわよ。私は輝に心配かけたくないしそのせいで輝が離れちゃったら意味ないじゃない」


「……しょうがないなぁ。みのりんのそういうとこ、ボクも好きだし応援してあげるよ。二人のこと。みのりんのためだしね。何があってもボクが庇ってあげるから!」


「ありがと、薫」



そう言って薫と一緒に座ってお昼を食べる。

それから三日も経たないうちに私と輝が付き合い始めたと言う噂が流れた――――
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】愛も信頼も壊れて消えた

miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」 王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。 無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。 だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。 婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。 私は彼の事が好きだった。 優しい人だと思っていた。 だけど───。 彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。 ※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。

あなたが望んだ、ただそれだけ

cyaru
恋愛
いつものように王城に妃教育に行ったカーメリアは王太子が侯爵令嬢と茶会をしているのを目にする。日に日に大きくなる次の教育が始まらない事に対する焦り。 国王夫妻に呼ばれ両親と共に登城すると婚約の解消を言い渡される。 カーメリアの両親はそれまでの所業が腹に据えかねていた事もあり、領地も売り払い夫人の実家のある隣国へ移住を決めた。 王太子イデオットの悪意なき本音はカーメリアの心を粉々に打ち砕いてしまった。 失意から寝込みがちになったカーメリアに追い打ちをかけるように見舞いに来た王太子イデオットとエンヴィー侯爵令嬢は更に悪意のない本音をカーメリアに浴びせた。 公爵はイデオットの態度に激昂し、処刑を覚悟で2人を叩きだしてしまった。 逃げるように移り住んだリアーノ国で静かに静養をしていたが、そこに1人の男性が現れた。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※胸糞展開ありますが、クールダウンお願いします。  心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義です。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。イラっとしたら現実に戻ってください。 ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

選ばれたのは美人の親友

杉本凪咲
恋愛
侯爵令息ルドガーの妻となったエルは、良き妻になろうと奮闘していた。しかし突然にルドガーはエルに離婚を宣言し、あろうことかエルの親友であるレベッカと関係を持った。悔しさと怒りで泣き叫ぶエルだが、最後には離婚を決意して縁を切る。程なくして、そんな彼女に新しい縁談が舞い込んできたが、縁を切ったはずのレベッカが現れる。

お久しぶりです、元旦那様

mios
恋愛
「お久しぶりです。元旦那様。」

私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです

こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。 まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。 幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。 「子供が欲しいの」 「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」 それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。

夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします

希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。 国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。 隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。 「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

皇太子夫妻の歪んだ結婚 

夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。 その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。 本編完結してます。 番外編を更新中です。

処理中です...