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問題児様、しでかす
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このクラスの生徒紹介をしていこうと思う。
まずは、クラス委員長とは名ばかりの藤桜。
藤色のショートヘアに桜色の瞳をした男だ。
いつも難しい魔法書を読んでいる。
読書の邪魔をすると誰であろうと容赦なく風魔法で吹っ飛ばす問題児様だ。
次に悪戯好きの図書委員、椿楓。
赤いツンツン頭で紅色の瞳をしておりコイツも男だ。
いつもゲームや悪戯ばかりやっている問題児様である。
被害者は主に私と学校内の壁やらなんやらだ。
次に普段は大人しい生物委員の柊菫。
白髪のロングヘアに菫色の瞳をした女である。
いつも身だしなみを気にしている。
キレるとヒステリックに暴れ出す問題児様だ。
彼女が暴れ出すと窓ガラスやら机やらが壊れるのは当たり前で始末書を書いた回数はこの学園ダントツ一番だ。
最後にこの私、欅杏。
黄緑色のミディアムヘアで杏色の瞳をしており皆様お分かりだろうが女である。
いつも問題児様たちをまとめようと努力している保健委員だ。
この中では私が一番まともだと信じたい。
さぁ、今日も今日とて何かしら問題を起こすこのクラスに出陣するため、ドアを開ける。
元気良く挨拶しようと口を開いた、その瞬間……
私の目の前は白く染まった――――
「ぷっ!あははっ!杏!引っ掛かったな!」
「ふふっ、杏ちゃん、真っ白……面白い」
「……ダサ。もっと周りをちゃんと見た方がいいよ」
私は全身真っ白になっていた。
仕掛けたのは椿楓。
この粉末はたぶん植物のだろう。
つまり、ブツを用意したのは柊菫。
私を馬鹿にし、アドバイス?しつつも笑いを堪えているのは藤桜。
私はにっこり微笑むと両手を上に上げた。
その行動を見た三人は慌てて逃げようとするがもう遅い。
「おはよう、問題児共。クタバレ!!!」
そう言って私は水魔法を発動。
教室どころか学校全体を海にしてみんなが流される。
私はその水で粉まみれになった全身を洗い流した。
全身が乾いた頃には水は無くなっていてその場を去ろうと向きを変え走り出したその先に大層ご立腹な棗色のショートヘアで黒い瞳の担任の先生、橘棗がいた。
両脇には椿楓と柊菫がガッチリ捕まえていてその後ろには首輪でもついているんじゃないかと錯覚するほど大人しくついてくる藤桜。
残るは私ただ一人らしい。
「あ、えっとですね!これには深い事情がありまして……」
そう言いながら後退ると担任の先生はさっきの私のように微笑みながら口を開いた。
「そうか。話は指導室でゆっくり聞くからとりあえず、大人しく来い。抵抗すればするほど痛い目にあるのはお前たちだからな?」
ご立腹なのはわかります。
えぇ、わかりますとも。
それでも、私は捕まる訳にはいかない!
みんな、待っていてね!
後で助けに行くから!
そう心の中で呟きみんなに背を向け走り出した――――
「だからぁ~!私は悪くないんですってばぁ!全部、楓たちが悪いんですぅ~!うえぇぇーんっ!」
私たちは指導室の椅子に縛られて座らされている。
私は背を向け走り出したはいいがその直後水で足を滑らせ転倒。
みんなに恥ずかしい姿を見られた挙句に顔面強打と言う心身共に痛みを伴い捕まった。
指導室に連れてこられた私たちはすぐに椅子に座らされ縛られた。
最初に私の意見から聞こうと言う先生の配慮で大号泣中と言う訳だ。
「わかった、わかった。だから泣くな。悪いのは悪戯道具を準備した菫に仕掛けた楓、それを止めなかった桜なんだろう?それに怒った杏が粉を落とすついでに水魔法で学校中を海にしたと。そう言うことだな?」
「うぅ~、そうですぅ~」
「よし、杏。ここで少し整理しようか。お前がこいつらに怒った理由はよーくわかった。でもな?それで学校を海にするのはちょっとおかしいんじゃないかと先生は思う訳だよ。関係ない生徒や先生を巻き込んでいる訳だから。それはわかるな?」
「うぅ~、はいぃ~、よく考えたら教室だけで十分でしたぁ~、迷惑かけてごめんなさいぃ~」
「よしよし。分かればよろしい。後で学校中を謝って回ろうな。で、次。桜に聞こう。何故、楓たちを止めなかったんだ?」
「……本を読んでいて気付きませんでした。気付いた時にはもう杏は真っ白になっていました」
桜がそう言うと私の全身真っ白を思い出したのか朝と同じように桜は笑いを堪え楓と菫は笑い出した。
「あれは最高だったな!見事に全身真っ白!」
「うん、ビデオに撮っておけばよかったね」
そんな話をしながら笑い続ける二人に先生が一喝。
「五月蝿い!菫に聞くぞ!使った粉末は何で使う予定だったものだ?」
「え?えーっと……魔法薬に使う薬草の粉末ですね」
「そうか。では何故、それを持ち出して楓に渡した?」
「先生、私は持ち出していません。自分で作りました。楓くんに渡したのは頼まれたので」
「……持ち出したと言ったことは謝ろう。すまない。でも、頼まれたからと言ってホイホイ渡すのはどうかと思うぞ」
「……はーい、以後気を付けます」
「ん、よろしい。で、最後に楓だが……お前はいつもいつもなんで悪戯を仕掛けるかな」
「引っ掛かった人の反応が面白いからでーす!特に杏は最後に必ず泣くから仕掛けがいあります!」
「よーし!今回も反省していないみたいだな!まずはみんなで学校中を謝って回るぞ!その後に全員放課後に反省文を書いて提出、楓は反省文と共に今日から一週間学校の掃除だ!いいな!」
「はいぃ~」
「……はい」
「はーい」
「へーい」
みんなそれぞれ返事をして(楓だけ先生に殴られていたけれど)椅子から解放される。
先生にと一緒に学校中回り他の生徒や先生たちに頭を下げ謝りまくった。
教室の戻る頃にはみんな疲れていてぐったりとなりながら席に着く。
「もう俺疲れた!杏が水魔法なんか使って学校を海になんかにするからこんなことになったんだぞ!」
「私のせいってこと!?そもそも楓が悪戯なんか仕掛けなきゃこんな事にならなかったの!」
「ま、まぁまぁ、二人共、喧嘩は止めようよ。先生から今度は本物の雷が落ちるよ」
「……って言うか五月蝿い。読書が出来ない」
「読書!?桜、本濡れてねぇの?」
楓がそう言うと桜は慌てて本を取り出す。
ちなみに、学校にある本は全て魔法で守られているため、濡れないし古くならない。
しかし、市販の本は各自で魔法をかけ守らないと当然普通の本と同じように水には弱いし古くもなる。
桜が取り出した本は市販の物だったらしく防水の魔法はかけていなかったみたいでびしょ濡れだった――――
「……お前ら、どうしてくれるんだよ?僕の本……濡れて読めない」
「だ、だから!杏が水魔法なんか使うから!」
「楓が悪戯しなければよかったんだってば!」
私と楓が言い合っている間に桜は魔法の詠唱を始めていた。
詠唱を唱えると言うことは強い魔法の証拠だ。
詠唱が長いほど強力になっていく。
菫は桜の行動に気付いて防御魔法を詠唱していた。
私たちも慌てて防御魔法を詠唱する。
が、しかし、桜が唱えているのは最大強力魔法らしくやけに長い。
私は慌てて桜の本を取り本に魔法をかける。
桜は私がしようとしているそれに気付き詠唱を止める。
「杏!僕たちにまだそれは……」
出来ない、と言おうとしたのだろう。
だが、しかし、私はそれをやってのけた。
時間を操る魔法だ。
ただし、生き物に対してはこの魔法は誰にも使えない。
怪我を治す程度ならば使えるかも知れないが基本は本のような無機質な物に使う魔法だ。
人によっては複数同時に戻せるし怪我を治すことも出来るだろう。
担任の先生や保健の先生なんかはこの魔法は難なくこなす。
私は複数ではなく単体のみだがそれをクラスの誰よりも早く習得したのだ。
驚いているみんなを他所にびしょ濡れになる前の本を桜に手渡した。
「はい、桜。これでいいでしょ?」
「……ありがとう……でも、杏、いつの間に習得したの?」
このクラスでの成績トップは桜だ。
クラスだけでなく全校生徒トップなのだが。
それに引き換え私はと言うとクラスでは三位の成績で全校生徒での順位は二十位を前後している。
菫の成績はクラス二位を誇り全校生徒での順位は十位以内に入る。
楓は私とそう変わらない成績だ。
そんな私が菫や桜よりも早くこの魔法を習得出来たのには放課後みんなに黙ってこっそりと特訓していたからである。
しかし、それを素直に言うのは恥ずかしいと言うか……
なので、ここはもっともらしい言い訳を使うことにした。
「私、保健委員なんだよ?この魔法は使えるようになりなさいって保健の先生からも教わっていたんだよ」
みんなはそれでなんとか納得してくれた。
その後すぐに担任の先生がやってきて授業が始まる。
今日の授業は魔力の制御と魔法の制御の仕方で私たち専用の魔力封じが支給された。
「今日からしばらくの間はそれを付けたまま生活してもらう。もしそれが壊れたらすぐに報告しろ。何故壊れたのか理由もちゃんと言えよ」
桜はブレスレット、菫はネックレス、楓はピアス、そして私は指輪を付ける。
先生曰く魔法の威力が一定を超えると色が変わるらしい。
威力が上がれば上がるほど光出し色も変わるとのことだ。
ちなみに今の色は水色だ。
試しに桜が普通に魔法を使う。
色は変わらなかった。
桜は詠唱を始める。
すると、色がどんどん変わって光出した。
最初の水色から緑、黄緑、黄色、オレンジに変わっていく。
色が赤くなったところで先生が止めた。
「いいか?色が赤くなったらすぐに魔法の発動を止めろ。じゃないとそのアクセサリーが弾け飛ぶことになるかも知れないからな」
桜は詠唱を止めた。
すると、ブレスレットは光が弱くなり色も元の色に戻る。
ついみんなで感嘆の声を上げる。
その後の授業は光と色に注意しながら実践練習に励んだ。
本来ならばこんな自分の能力を上げる授業は放棄したいところだが先生たちに勝つくらいの力がないと私たちの夢は叶わないと気付いたので最近では真面目に取り組んでいる。
楓なんかは本領発揮と言わんばかりに張り切って早速ピアスを壊して先生に怒られるのであった――――
まずは、クラス委員長とは名ばかりの藤桜。
藤色のショートヘアに桜色の瞳をした男だ。
いつも難しい魔法書を読んでいる。
読書の邪魔をすると誰であろうと容赦なく風魔法で吹っ飛ばす問題児様だ。
次に悪戯好きの図書委員、椿楓。
赤いツンツン頭で紅色の瞳をしておりコイツも男だ。
いつもゲームや悪戯ばかりやっている問題児様である。
被害者は主に私と学校内の壁やらなんやらだ。
次に普段は大人しい生物委員の柊菫。
白髪のロングヘアに菫色の瞳をした女である。
いつも身だしなみを気にしている。
キレるとヒステリックに暴れ出す問題児様だ。
彼女が暴れ出すと窓ガラスやら机やらが壊れるのは当たり前で始末書を書いた回数はこの学園ダントツ一番だ。
最後にこの私、欅杏。
黄緑色のミディアムヘアで杏色の瞳をしており皆様お分かりだろうが女である。
いつも問題児様たちをまとめようと努力している保健委員だ。
この中では私が一番まともだと信じたい。
さぁ、今日も今日とて何かしら問題を起こすこのクラスに出陣するため、ドアを開ける。
元気良く挨拶しようと口を開いた、その瞬間……
私の目の前は白く染まった――――
「ぷっ!あははっ!杏!引っ掛かったな!」
「ふふっ、杏ちゃん、真っ白……面白い」
「……ダサ。もっと周りをちゃんと見た方がいいよ」
私は全身真っ白になっていた。
仕掛けたのは椿楓。
この粉末はたぶん植物のだろう。
つまり、ブツを用意したのは柊菫。
私を馬鹿にし、アドバイス?しつつも笑いを堪えているのは藤桜。
私はにっこり微笑むと両手を上に上げた。
その行動を見た三人は慌てて逃げようとするがもう遅い。
「おはよう、問題児共。クタバレ!!!」
そう言って私は水魔法を発動。
教室どころか学校全体を海にしてみんなが流される。
私はその水で粉まみれになった全身を洗い流した。
全身が乾いた頃には水は無くなっていてその場を去ろうと向きを変え走り出したその先に大層ご立腹な棗色のショートヘアで黒い瞳の担任の先生、橘棗がいた。
両脇には椿楓と柊菫がガッチリ捕まえていてその後ろには首輪でもついているんじゃないかと錯覚するほど大人しくついてくる藤桜。
残るは私ただ一人らしい。
「あ、えっとですね!これには深い事情がありまして……」
そう言いながら後退ると担任の先生はさっきの私のように微笑みながら口を開いた。
「そうか。話は指導室でゆっくり聞くからとりあえず、大人しく来い。抵抗すればするほど痛い目にあるのはお前たちだからな?」
ご立腹なのはわかります。
えぇ、わかりますとも。
それでも、私は捕まる訳にはいかない!
みんな、待っていてね!
後で助けに行くから!
そう心の中で呟きみんなに背を向け走り出した――――
「だからぁ~!私は悪くないんですってばぁ!全部、楓たちが悪いんですぅ~!うえぇぇーんっ!」
私たちは指導室の椅子に縛られて座らされている。
私は背を向け走り出したはいいがその直後水で足を滑らせ転倒。
みんなに恥ずかしい姿を見られた挙句に顔面強打と言う心身共に痛みを伴い捕まった。
指導室に連れてこられた私たちはすぐに椅子に座らされ縛られた。
最初に私の意見から聞こうと言う先生の配慮で大号泣中と言う訳だ。
「わかった、わかった。だから泣くな。悪いのは悪戯道具を準備した菫に仕掛けた楓、それを止めなかった桜なんだろう?それに怒った杏が粉を落とすついでに水魔法で学校中を海にしたと。そう言うことだな?」
「うぅ~、そうですぅ~」
「よし、杏。ここで少し整理しようか。お前がこいつらに怒った理由はよーくわかった。でもな?それで学校を海にするのはちょっとおかしいんじゃないかと先生は思う訳だよ。関係ない生徒や先生を巻き込んでいる訳だから。それはわかるな?」
「うぅ~、はいぃ~、よく考えたら教室だけで十分でしたぁ~、迷惑かけてごめんなさいぃ~」
「よしよし。分かればよろしい。後で学校中を謝って回ろうな。で、次。桜に聞こう。何故、楓たちを止めなかったんだ?」
「……本を読んでいて気付きませんでした。気付いた時にはもう杏は真っ白になっていました」
桜がそう言うと私の全身真っ白を思い出したのか朝と同じように桜は笑いを堪え楓と菫は笑い出した。
「あれは最高だったな!見事に全身真っ白!」
「うん、ビデオに撮っておけばよかったね」
そんな話をしながら笑い続ける二人に先生が一喝。
「五月蝿い!菫に聞くぞ!使った粉末は何で使う予定だったものだ?」
「え?えーっと……魔法薬に使う薬草の粉末ですね」
「そうか。では何故、それを持ち出して楓に渡した?」
「先生、私は持ち出していません。自分で作りました。楓くんに渡したのは頼まれたので」
「……持ち出したと言ったことは謝ろう。すまない。でも、頼まれたからと言ってホイホイ渡すのはどうかと思うぞ」
「……はーい、以後気を付けます」
「ん、よろしい。で、最後に楓だが……お前はいつもいつもなんで悪戯を仕掛けるかな」
「引っ掛かった人の反応が面白いからでーす!特に杏は最後に必ず泣くから仕掛けがいあります!」
「よーし!今回も反省していないみたいだな!まずはみんなで学校中を謝って回るぞ!その後に全員放課後に反省文を書いて提出、楓は反省文と共に今日から一週間学校の掃除だ!いいな!」
「はいぃ~」
「……はい」
「はーい」
「へーい」
みんなそれぞれ返事をして(楓だけ先生に殴られていたけれど)椅子から解放される。
先生にと一緒に学校中回り他の生徒や先生たちに頭を下げ謝りまくった。
教室の戻る頃にはみんな疲れていてぐったりとなりながら席に着く。
「もう俺疲れた!杏が水魔法なんか使って学校を海になんかにするからこんなことになったんだぞ!」
「私のせいってこと!?そもそも楓が悪戯なんか仕掛けなきゃこんな事にならなかったの!」
「ま、まぁまぁ、二人共、喧嘩は止めようよ。先生から今度は本物の雷が落ちるよ」
「……って言うか五月蝿い。読書が出来ない」
「読書!?桜、本濡れてねぇの?」
楓がそう言うと桜は慌てて本を取り出す。
ちなみに、学校にある本は全て魔法で守られているため、濡れないし古くならない。
しかし、市販の本は各自で魔法をかけ守らないと当然普通の本と同じように水には弱いし古くもなる。
桜が取り出した本は市販の物だったらしく防水の魔法はかけていなかったみたいでびしょ濡れだった――――
「……お前ら、どうしてくれるんだよ?僕の本……濡れて読めない」
「だ、だから!杏が水魔法なんか使うから!」
「楓が悪戯しなければよかったんだってば!」
私と楓が言い合っている間に桜は魔法の詠唱を始めていた。
詠唱を唱えると言うことは強い魔法の証拠だ。
詠唱が長いほど強力になっていく。
菫は桜の行動に気付いて防御魔法を詠唱していた。
私たちも慌てて防御魔法を詠唱する。
が、しかし、桜が唱えているのは最大強力魔法らしくやけに長い。
私は慌てて桜の本を取り本に魔法をかける。
桜は私がしようとしているそれに気付き詠唱を止める。
「杏!僕たちにまだそれは……」
出来ない、と言おうとしたのだろう。
だが、しかし、私はそれをやってのけた。
時間を操る魔法だ。
ただし、生き物に対してはこの魔法は誰にも使えない。
怪我を治す程度ならば使えるかも知れないが基本は本のような無機質な物に使う魔法だ。
人によっては複数同時に戻せるし怪我を治すことも出来るだろう。
担任の先生や保健の先生なんかはこの魔法は難なくこなす。
私は複数ではなく単体のみだがそれをクラスの誰よりも早く習得したのだ。
驚いているみんなを他所にびしょ濡れになる前の本を桜に手渡した。
「はい、桜。これでいいでしょ?」
「……ありがとう……でも、杏、いつの間に習得したの?」
このクラスでの成績トップは桜だ。
クラスだけでなく全校生徒トップなのだが。
それに引き換え私はと言うとクラスでは三位の成績で全校生徒での順位は二十位を前後している。
菫の成績はクラス二位を誇り全校生徒での順位は十位以内に入る。
楓は私とそう変わらない成績だ。
そんな私が菫や桜よりも早くこの魔法を習得出来たのには放課後みんなに黙ってこっそりと特訓していたからである。
しかし、それを素直に言うのは恥ずかしいと言うか……
なので、ここはもっともらしい言い訳を使うことにした。
「私、保健委員なんだよ?この魔法は使えるようになりなさいって保健の先生からも教わっていたんだよ」
みんなはそれでなんとか納得してくれた。
その後すぐに担任の先生がやってきて授業が始まる。
今日の授業は魔力の制御と魔法の制御の仕方で私たち専用の魔力封じが支給された。
「今日からしばらくの間はそれを付けたまま生活してもらう。もしそれが壊れたらすぐに報告しろ。何故壊れたのか理由もちゃんと言えよ」
桜はブレスレット、菫はネックレス、楓はピアス、そして私は指輪を付ける。
先生曰く魔法の威力が一定を超えると色が変わるらしい。
威力が上がれば上がるほど光出し色も変わるとのことだ。
ちなみに今の色は水色だ。
試しに桜が普通に魔法を使う。
色は変わらなかった。
桜は詠唱を始める。
すると、色がどんどん変わって光出した。
最初の水色から緑、黄緑、黄色、オレンジに変わっていく。
色が赤くなったところで先生が止めた。
「いいか?色が赤くなったらすぐに魔法の発動を止めろ。じゃないとそのアクセサリーが弾け飛ぶことになるかも知れないからな」
桜は詠唱を止めた。
すると、ブレスレットは光が弱くなり色も元の色に戻る。
ついみんなで感嘆の声を上げる。
その後の授業は光と色に注意しながら実践練習に励んだ。
本来ならばこんな自分の能力を上げる授業は放棄したいところだが先生たちに勝つくらいの力がないと私たちの夢は叶わないと気付いたので最近では真面目に取り組んでいる。
楓なんかは本領発揮と言わんばかりに張り切って早速ピアスを壊して先生に怒られるのであった――――
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