514 / 514
最終章:無双代行の結末
救血の乙女・ミラ伝説
しおりを挟む
吸血鬼。
それは血を飲むことで他の種族から魔能を取り上げることができる、このアルスワルドにおいて稀有な種族。
かつて人間達は、吸血鬼が蒐集した魔能そのものと、他の魔能と高い親和性を持つ吸血鬼の血を独占しようと、彼らを狩りたて、家畜のように狭い牢獄へと閉じ込めた。
吸血鬼の命運は・・・もはや尽きたも同然だった。
しかし、とある吸血鬼の少女の到来が、彼らの苦境に風穴を開けた。
その少女の名は・・・ミラ。
彼女は他の吸血鬼とは違い、あらゆる魔能を手にすることができ、それを意のままに操った。
プラチナブロンドの髪をなびかせ、同族を救うべく奔走する彼女を吸血鬼達は、❝救血の乙女❞と崇め、呼応し、彼女の後に続いた。
しかし彼女の誕生から100年余りが経った頃、ミラは人間側の精鋭によって・・・討たれた。
同族の誰もが、悲願に暮れた。
その時・・・奇跡が起こった。
ミラが・・・復活したのだ。
記憶は失っていたが、彼女の復活を、吸血鬼達は喜んだ。
甦った彼女は、再び一族救済のために戦場に立った。
ところがミラは、人間を殺めることができなくなっていた。
彼女は悟ったのだ。
吸血鬼も人間も違わないと。
人間にも、愛する家族がいて、帰る場所がある。
自分達と大差ない種族を殺すことなど、その時のミラには到底できなかった。
やがて彼女の中で、一つの理想ができた。
吸血鬼と人間。
双方が互いを尊重し合い、平和に過ごせる世界を創る・・・という。
理想の実現のために、彼女は新たな戦いへと身を投じた。
その道のりは険しく、国や、彼女が愛していた者の多くの命が失われることに、なってしまった。
だが彼女の願いは人間達に届き、そればかりか、この世界に住む数多の種族もミラに賛同した。
そしてついに・・・吸血鬼を迫害し、かの大厄災、幻想大厄災を再現しようと目論んでいた人間、アクメルを倒すに至った。
ここに、ミラが夢見ていた、吸血鬼と人間・・・迫害する側と迫害される側が共存し合う世界の実現が、叶ったのだった・・・。
◇◇◇
「ってところまでは話したっけ?」
「せんせー自分のことだからって話長すぎ~。」
「何言ってんのこれ正史だよ!?」
「私は先生の話好きだよ!だって私達吸血鬼が人間と仲良くできたのは先生のおかげなんだから♪」
「ヘレナ分かってるねぃ~!!」
「そもそも❝国語と算数ばっかりじゃ退屈❞だって言ったのはヨハネスでしょ?」
「たっ、確かにそうだけどよぉ・・・。せんせーの自分語り聞かされるなんて思わないじゃんか。」
「ふ~ん?じゃあヨハネス君は体育の方が好きって、先生受け取ってもいいのかな?じゃあみんな教科書しまって、校庭に集合!白丸と茶々助と一緒に、楽しい楽しい魔能実習といこっか?」
「げっ!?」
「おや?なんか不満?」
「おっ、俺は人間で、あんま体力ないし・・・。」
「だったら鍛えればいいだけのこと!ほら!文句言わずに行く行く!!」
「分かりましたぁ~・・・。」
ぶーたれながら教室を後にする生徒達を見送って、あたしはふと、教室の窓から外を見た。
「月明かりが眩しいなぁ。今日もいい夜になりそっ♪」
なんだかウキウキしたあたしは、陽気なステップをしながら、教室を出ていった。
はぁ~・・・!!
平和って・・・いいな♪
それは血を飲むことで他の種族から魔能を取り上げることができる、このアルスワルドにおいて稀有な種族。
かつて人間達は、吸血鬼が蒐集した魔能そのものと、他の魔能と高い親和性を持つ吸血鬼の血を独占しようと、彼らを狩りたて、家畜のように狭い牢獄へと閉じ込めた。
吸血鬼の命運は・・・もはや尽きたも同然だった。
しかし、とある吸血鬼の少女の到来が、彼らの苦境に風穴を開けた。
その少女の名は・・・ミラ。
彼女は他の吸血鬼とは違い、あらゆる魔能を手にすることができ、それを意のままに操った。
プラチナブロンドの髪をなびかせ、同族を救うべく奔走する彼女を吸血鬼達は、❝救血の乙女❞と崇め、呼応し、彼女の後に続いた。
しかし彼女の誕生から100年余りが経った頃、ミラは人間側の精鋭によって・・・討たれた。
同族の誰もが、悲願に暮れた。
その時・・・奇跡が起こった。
ミラが・・・復活したのだ。
記憶は失っていたが、彼女の復活を、吸血鬼達は喜んだ。
甦った彼女は、再び一族救済のために戦場に立った。
ところがミラは、人間を殺めることができなくなっていた。
彼女は悟ったのだ。
吸血鬼も人間も違わないと。
人間にも、愛する家族がいて、帰る場所がある。
自分達と大差ない種族を殺すことなど、その時のミラには到底できなかった。
やがて彼女の中で、一つの理想ができた。
吸血鬼と人間。
双方が互いを尊重し合い、平和に過ごせる世界を創る・・・という。
理想の実現のために、彼女は新たな戦いへと身を投じた。
その道のりは険しく、国や、彼女が愛していた者の多くの命が失われることに、なってしまった。
だが彼女の願いは人間達に届き、そればかりか、この世界に住む数多の種族もミラに賛同した。
そしてついに・・・吸血鬼を迫害し、かの大厄災、幻想大厄災を再現しようと目論んでいた人間、アクメルを倒すに至った。
ここに、ミラが夢見ていた、吸血鬼と人間・・・迫害する側と迫害される側が共存し合う世界の実現が、叶ったのだった・・・。
◇◇◇
「ってところまでは話したっけ?」
「せんせー自分のことだからって話長すぎ~。」
「何言ってんのこれ正史だよ!?」
「私は先生の話好きだよ!だって私達吸血鬼が人間と仲良くできたのは先生のおかげなんだから♪」
「ヘレナ分かってるねぃ~!!」
「そもそも❝国語と算数ばっかりじゃ退屈❞だって言ったのはヨハネスでしょ?」
「たっ、確かにそうだけどよぉ・・・。せんせーの自分語り聞かされるなんて思わないじゃんか。」
「ふ~ん?じゃあヨハネス君は体育の方が好きって、先生受け取ってもいいのかな?じゃあみんな教科書しまって、校庭に集合!白丸と茶々助と一緒に、楽しい楽しい魔能実習といこっか?」
「げっ!?」
「おや?なんか不満?」
「おっ、俺は人間で、あんま体力ないし・・・。」
「だったら鍛えればいいだけのこと!ほら!文句言わずに行く行く!!」
「分かりましたぁ~・・・。」
ぶーたれながら教室を後にする生徒達を見送って、あたしはふと、教室の窓から外を見た。
「月明かりが眩しいなぁ。今日もいい夜になりそっ♪」
なんだかウキウキしたあたしは、陽気なステップをしながら、教室を出ていった。
はぁ~・・・!!
平和って・・・いいな♪
0
お気に入りに追加
106
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
【完結】彼女以外、みんな思い出す。
❄️冬は つとめて
ファンタジー
R15をつける事にしました。
幼い頃からの婚約者、この国の第二王子に婚約破棄を告げられ。あらぬ冤罪を突きつけられたリフィル。この場所に誰も助けてくれるものはいない。
飯屋の娘は魔法を使いたくない?
秋野 木星
ファンタジー
3歳の時に川で溺れた時に前世の記憶人格がよみがえったセリカ。
魔法が使えることをひた隠しにしてきたが、ある日馬車に轢かれそうになった男の子を助けるために思わず魔法を使ってしまう。
それを見ていた貴族の青年が…。
異世界転生の話です。
のんびりとしたセリカの日常を追っていきます。
※ 表紙は星影さんの作品です。
※ 「小説家になろう」から改稿転記しています。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜
一ノ瀬 彩音
ファンタジー
元勇者パーティーで雑用係をしていたが、追放されてしまった。
しかし彼は本当は最強でしかも、真の実力を隠していた!
今は辺境の小さな村でひっそりと暮らしている。
そうしていると……?
※第3回HJ小説大賞一次通過作品です!
異世界転生したらよくわからない騎士の家に生まれたので、とりあえず死なないように気をつけていたら無双してしまった件。
星の国のマジシャン
ファンタジー
引きこもりニート、40歳の俺が、皇帝に騎士として支える分家の貴族に転生。
そして魔法剣術学校の剣術科に通うことなるが、そこには波瀾万丈な物語が生まれる程の過酷な「必須科目」の数々が。
本家VS分家の「決闘」や、卒業と命を懸け必死で戦い抜く「魔物サバイバル」、さらには40年の弱男人生で味わったことのない甘酸っぱい青春群像劇やモテ期も…。
この世界を動かす、最大の敵にご注目ください!
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
面白かったです
次の更新楽しみにしています
初感想ありがとうございます‼️
なるべく1日2話投稿を目指しておりますので、続きをお楽しみにして下さい‼️
今後とも、応援よろしくお願いします🙇🏻