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最終章:無双代行の結末

救血の乙女・ミラ伝説

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吸血鬼。

それは血を飲むことで他の種族から魔能を取り上げることができる、このアルスワルドにおいて稀有な種族。

かつて人間達は、吸血鬼が蒐集した魔能そのものと、他の魔能と高い親和性を持つ吸血鬼の血を独占しようと、彼らを狩りたて、家畜のように狭い牢獄へと閉じ込めた。

吸血鬼の命運は・・・もはや尽きたも同然だった。

しかし、とある吸血鬼の少女の到来が、彼らの苦境に風穴を開けた。

その少女の名は・・・ミラ。

彼女は他の吸血鬼とは違い、あらゆる魔能を手にすることができ、それを意のままに操った。

プラチナブロンドの髪をなびかせ、同族を救うべく奔走する彼女を吸血鬼達は、❝救血の乙女❞と崇め、呼応し、彼女の後に続いた。

しかし彼女の誕生から100年余りが経った頃、ミラは人間側の精鋭によって・・・討たれた。

同族の誰もが、悲願に暮れた。

その時・・・奇跡が起こった。

ミラが・・・復活したのだ。

記憶は失っていたが、彼女の復活を、吸血鬼達は喜んだ。

甦った彼女は、再び一族救済のために戦場に立った。

ところがミラは、人間を殺めることができなくなっていた。

彼女は悟ったのだ。

と。

人間にも、愛する家族がいて、帰る場所がある。

自分達と大差ない種族を殺すことなど、その時のミラには到底できなかった。

やがて彼女の中で、一つの理想ができた。

吸血鬼と人間。

双方が互いを尊重し合い、平和に過ごせる世界を創る・・・という。

理想の実現のために、彼女は新たな戦いへと身を投じた。

その道のりは険しく、国や、彼女が愛していた者の多くの命が失われることに、なってしまった。

だが彼女の願いは人間達に届き、そればかりか、この世界に住む数多の種族もミラに賛同した。

そしてついに・・・吸血鬼を迫害し、かの大厄災、幻想大厄災ファンタズマ・カタストロフィを再現しようと目論んでいた人間、アクメルを倒すに至った。

ここに、ミラが夢見ていた、吸血鬼と人間・・・迫害する側と迫害される側が共存し合う世界の実現が、叶ったのだった・・・。





◇◇◇




「ってところまでは話したっけ?」

「せんせー自分のことだからって話長すぎ~。」

「何言ってんのこれ正史だよ!?」

「私は先生の話好きだよ!だって私達吸血鬼が人間と仲良くできたのは先生のおかげなんだから♪」

「ヘレナ分かってるねぃ~!!」

「そもそも❝国語と算数ばっかりじゃ退屈❞だって言ったのはヨハネスでしょ?」

「たっ、確かにそうだけどよぉ・・・。せんせーの自分語り聞かされるなんて思わないじゃんか。」

「ふ~ん?じゃあヨハネス君は体育の方が好きって、先生受け取ってもいいのかな?じゃあみんな教科書しまって、校庭に集合!白丸はくまると茶々助と一緒に、楽しい楽しい魔能実習といこっか?」

「げっ!?」

「おや?なんか不満?」

「おっ、俺は人間で、あんま体力ないし・・・。」

「だったら鍛えればいいだけのこと!ほら!文句言わずに行く行く!!」

「分かりましたぁ~・・・。」

ぶーたれながら教室を後にする生徒達を見送って、あたしはふと、教室の窓から外を見た。

「月明かりが眩しいなぁ。今日もいい夜になりそっ♪」

なんだかウキウキしたあたしは、陽気なステップをしながら、教室を出ていった。

はぁ~・・・!!

平和って・・・いいな♪
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みんなの感想(1件)

なのん
2023.05.19 なのん

面白かったです
次の更新楽しみにしています

ハニィビィ=さくらんぼ
2023.05.19 ハニィビィ=さくらんぼ

初感想ありがとうございます‼️

なるべく1日2話投稿を目指しておりますので、続きをお楽しみにして下さい‼️

今後とも、応援よろしくお願いします🙇🏻

解除

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