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最終章:無双代行の結末

最終決戦⑤・1Lと15秒の賭け

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アクメルが下向きに両手を広げると、二つの黒いボールが出現した。

絶空玉スペース・リッパーボール無弾ゼロリミット。」

両手それぞれのボールから、更に細かいのが無限に飛び出してくる。

脈動の叡智者アース・マインダー!!」

あたしはそれを、先読みの魔能を使って剣で次々弾いていく。

おかげで一発も当たらずに済んでるけど、無限湧きしてくるせいでアクメルに中々近づくことができない。

空中城塞での戦いでもそうだったけど、そう簡単にコイツから血を吸えそうにはないな・・・。

アクメルの不老不死に不可欠な時間操作の魔能を奪えば、コイツは一気に押し寄せてくる寿命によって死ぬ。

だけどそのためには当然、コイツの首に噛み付いて、血を飲む必要がある。

問題はそれだけじゃない。

カギとなるのは・・・

なんかで知ったけど、人間の総血液量はおよそ5L。

その5分の1。

要するに1L以上の血を失えば、死んでしまうと。

アクメルから全ての魔能を奪う必要はない。

肝心の時間操作の魔能だけ奪えばいいんだ。

だから最高でも1Lの血だけ吸えば十分だ。

だけど時間がネックだ。

カリアード君の血を吸った時のことを思い出す・・・。

ひとりから全ての血を吸おうと思えば、最短でも1分の時間がかかる。

つまりアクメルを殺すには、あたしが奴の首筋に10秒以上噛み付かなければならない。

最初はそんなにハードルが高いことだとは思わなかった。

だけどコイツとやり合って痛いほど身に染みた。

コイツの間合いに入るには、かなり難易度が高い。

ましてや間合いに入った後で首に噛み付こうともなれば・・・。

・・・・・・・。

・・・・・・・。

一回のミスも許されない。

最悪向こうに作戦がバレて、あたしに魔能を奪われないような対策を打たれるかもしれない。

アクメルのことだ。

それくらいのことはできてしまうだろう・・・。

あたし一人じゃこの作戦をやり遂げることなんか不可能だ。

とっても悔しいけど・・・。

だけど・・・みんなでならできるッッッ!!!

「どうしたどうした?防ぐだけで精一杯じゃないか。まぁそれも、いつまで持つことやら。」

アクメルがすごくムカつく態度で煽ってくる。

よっぽど自信があるんだな。

「アンタこそいいの!?あたしばっかにかまけてさぁ!!」

「なに?」

・・・・・・・。

・・・・・・・。

スドラソル・ヴェナ!!頼んだッッッ!!!」

「ッッッ!!!」

「闇へと堕ちろッッッ!!!」

背後に回ったスドラソル・ヴェナが口からレーザーを吐いて、アクメルの首を吹っ飛ばした。

攻撃が止んだ!!

今だッッッ!!!

血を吸うのに、要るのは首筋だけ。

あたしがヒューゴ君に伝えた作戦。

それは・・・。

あたしを囮に他のみんなでアクメルの視界を奪うッッッ!!!

一番手はスドラソル・ヴェナだ。

頼むから・・・この一回で終わってッッッ!!!

そう強く願ってる内に、あたしの牙はアクメルの首の、すぐそこまで迫った。
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