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最終章:無双代行の結末
空中城塞攻略⑭・孤進
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「ミラお姉様!!ホントにグレース一人に任せて大丈夫だったのですか!?」
「今になって不安になった仕方ないよリリー!!とにかく、先を急がないと・・・!!」
リリーの気持ちは十分分かる。
❝本当はあの場で一緒に戦うべきだったんじゃないか?❞
❝誰かもう一人残しておくべきだったんじゃないか?❞
だけど今更選択を後悔したってもう遅い。
グレースちゃんは自分でケリを着けることを望んで、あたしはそんなあの子を信じた。
だったら・・・信じ続けるしか、グレースちゃんにしてあげることなんかないじゃないかッッッ!!!
不安を最初の決意で塗りつぶして、あたしは自分に言い聞かせた。
そして先を・・・アクメルを目指して走り続けた。
「あっ・・・!!ああっ!?」
長い廊下を走ってると、目の前に巨大な、石造りの扉が現れて、あたし達の行く手を阻んだ。
「何これ?こんなん今まで通ってきたトコにはなかったよね?」
「明らかに他の部屋とは気配が違いまする!!ここは迂回すべきかと・・・!!」
「いえ。このまま進みましょう。」
「何!?」
「ちょっとヒューゴ何言ってんの!?明らかにこの先は危険だって!!」
「それは重々察しが付きます。ですがこの門は、他の部屋とは一線を画していて、そして何より、我々をこの先に行かせないために用意された。そう感じずにはいられないのです。」
ヒューゴ君・・・。
あたしも何となくそんな気がしてたよ。
こんなド派手で立派な扉・・・どうみてもRPGモノのボス部屋の入口じゃん。
だったら進むしか、道はないでしょうよ!
「みんな、中に入ろう。あたしの後ろに付いてきて。」
みんなが大きく頷いたのを見てから、あたしは扉を両手で開けた。
『ズズズズズズズズ・・・!!』と石がこすれる音を立てて開いた扉の先は、真っ白に輝くアリーナだった。
恐る恐る入るあたし達の後ろで、扉が『ガコン!!』と大きな音を立てて閉まった。
「ミラ様!あれを。」
奥の方に上に続く螺旋階段が見えた。
「みんな!!あの階段、もしかしたら・・・!!あれを上りきったらゴールかもしれないよ!!もうちょっとだからがんば・・・」
「悪いがそうはさせんぞ。」
「ッッッ!!!」
上から誰かが飛び降りてきて、あたし達の前にスタっと着地した。
「しばらくだな、ミラ。」
「あっ、アンタは・・・ソール!!」
黎明の開手No.2。
❝泰陽雄・ソール=ヴェルヴァ=レクト❞!!
なるほど。
ついにお出ましってワケね!!
「アンタがここにいるってことは・・・あそこの階段を上った先に居んのね?アクメルが・・・!!」
「そうとも。私は導主様から貴様らの相手を任せている。第二次ミラ討伐戦は凶荒した貴様にいいようにやられてしまったがミラ、もう貴様は同じことは出来まい。もちろんここで、全員殺すことはできないことは承知の上だ。だが・・・配下をまとめて始末し、導主様が貴様を一捻りで殺せるほど弱らせることは叶おう。」
あたしはゴクッと大きく唾を飲み込んだ。
確かにあたしは前にコイツを殺す寸前まで追い込んだ。
だけど同時に、コイツは暴走モードになったあたし相手に、数十分は粘ったんだ。
霞んだ記憶を頼りに直感する。
コイツは、ソールは・・・他のメンバーに比べて別格の実力者だ!!
正直、あたし一人でも勝てるかどうか自信がない。
今度こそ、全員で協力して・・・
「ぬぅん!!!」
なんとローランドさんが、単身で突っ込んで行って、ソールの頭にメイスを振り下ろした。
ソールはすかさず剣を抜いてローランドさんの攻撃を防いで、衝撃波が走った。
「ミラの力の恩恵を受けていることだけはある。重いな。」
マジかよ・・・。
ソールの奴・・・あたしと共醒してバフがかかってるローランドさん一撃を、片手で受け止めやがった・・・!!
「ちぃ・・・!!やりおる!!だが・・・背中が留守だぞ!!泰陽雄!!」
ソールの背後にいつの間にかドッペルちゃんが回り込んでいて、彼の脇腹に居合を叩き込もうとしていた。
「考えたな。だが甘い!!」
ソールはがら空きになってるもう片方の手から何かを放出して、ドッペルちゃんはそれをまともに浴びた。
「ドッペルちゃん!?」
ドッペルちゃんの様子がおかしい。
ふらついて、方向感覚が定まってないように見える。
おまけに皮膚に爛れた痕。
まさかさっきのって・・・太陽風!?!?
ソールは剣でローランドさんを弾くと、膝を付いてしまったドッペルちゃんに狙いを変えた。
「まずはミラの贋物。」
「全意喪失!!」
「がっ・・・!?」
ソールの動きが一時的に止まった隙を突いて、リリーが浮遊魔能でドッペルちゃんをヒューゴ君の傍まで避難させた。
「全回復!」
ヒューゴ君がドッペルちゃんの傷を治してあげると、彼女はフルフルと首を大きく振った。
「感覚が狂った。最悪の気分だった。」
「ぎっ・・・ぎぃ・・・!!」
ソールは立ったまま、白目を剥いて唸ってる。
「ミラ様の御力で強化された魔能に抗うとは・・・。なんと強靭な精神力でしょう。ですが・・・今がチャンスでしょう。ミラ様・・・どうかこのまま、お進み下さい。」
「なっ!?ヒューゴ君何言ってんの!?!?まっ、まさか・・・!!!」
あたしはみんなの顔に目配せした。
「あたし一人で先に行けってコト!?!?」
「はい。ここは我々に任せて、さぁ。」
「そっ、そんなのできっこないじゃんッッッ!!!相手は一人だけだけど、ブチ切れたあたし相手でもギリやり合えるほどの化け物なんだよ!?こればっかりは・・・さすがに納得できないッッッ!!!」
「確かに相手は並みの者では到達できない領域に至った強者。ですがあなたが相手にすべき敵は、この男ではありません。あなたには先に進み、この戦いを終わらせる責務があります。三下の相手など、我々だけで事足ります。」
「そうですよ、ミラお姉様。こんなヤツ、すぐにブッ倒して、必ず追いつきますから♪」
「たかが敵の配下相手にミラ様の手を煩わせるのは忍びます!!」
「マスターの相手にコイツは釣り合わない。私達だけで十分。」
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「みんな・・・絶対勝って来い。これ、上官命令だから。破ったらどうなるか、分かってるね?」
「後で大目玉を食らうのは御免被りますから、全力を尽くしますよ。」
ヘラヘラしながら答えるヒューゴ君に呆れた後、あたしは奥の螺旋階段を急いで上り出した。
結局・・・最後は独りか・・・。
みんなと一緒なら、すごく心強かったのに・・・。
・・・・・・・。
・・・・・・・。
いや。
最初からみんなと一緒じゃないか。
バラバラの場所だけど、みんなあたしと、心のどこかで繋がって同じ勝利を目指して頑張ってる。
あたしは独りじゃない。
みんなと一緒なら・・・どんな相手だって怖くない!!
そう思うと勇気が湧いてきて、階段を上る足にもより一層、力が入った。
◇◇◇
「行きましたね。これで安心です。」
「それで、次はどんな悪知恵を考えたのだ?」
「何のことですか?」
「この狸めが!どれだけの付き合いだと思うておる!?何か魂胆があってミラ様だけ先に行かせたな?」
「バレてしまいましたか?私達はミラ様のために、何としても生き残らなくてはなりません。私の作戦、もとい願望が叶えばソールに勝つことができますし、これからのアクメルとの最終決戦を優位に運ぶことも叶いましょう。」
「ちょっとヒューゴ!!それどういうことさ!?作戦?一体何を企んでんの!?」
「私は予想が付く。ヒューゴ、イカれてる。」
「え?」
「いいですかリリーナ。私達はこうして危機的状況に陥っています。ですがその分、私達はミラ様のために生き残るために死力を尽くします。❝死ぬワケにはいかない。❞と強く願いながら。その逆も然りです。」
「まっ、まさかアンタ・・・!!!」
驚くリリーナに、ヒューゴは「フッ・・・。」と笑って答えた。
「リリーナ、ドーラ。あなた達2人にも、ミラ様との共醒状態に至ってもらいます。」
「今になって不安になった仕方ないよリリー!!とにかく、先を急がないと・・・!!」
リリーの気持ちは十分分かる。
❝本当はあの場で一緒に戦うべきだったんじゃないか?❞
❝誰かもう一人残しておくべきだったんじゃないか?❞
だけど今更選択を後悔したってもう遅い。
グレースちゃんは自分でケリを着けることを望んで、あたしはそんなあの子を信じた。
だったら・・・信じ続けるしか、グレースちゃんにしてあげることなんかないじゃないかッッッ!!!
不安を最初の決意で塗りつぶして、あたしは自分に言い聞かせた。
そして先を・・・アクメルを目指して走り続けた。
「あっ・・・!!ああっ!?」
長い廊下を走ってると、目の前に巨大な、石造りの扉が現れて、あたし達の行く手を阻んだ。
「何これ?こんなん今まで通ってきたトコにはなかったよね?」
「明らかに他の部屋とは気配が違いまする!!ここは迂回すべきかと・・・!!」
「いえ。このまま進みましょう。」
「何!?」
「ちょっとヒューゴ何言ってんの!?明らかにこの先は危険だって!!」
「それは重々察しが付きます。ですがこの門は、他の部屋とは一線を画していて、そして何より、我々をこの先に行かせないために用意された。そう感じずにはいられないのです。」
ヒューゴ君・・・。
あたしも何となくそんな気がしてたよ。
こんなド派手で立派な扉・・・どうみてもRPGモノのボス部屋の入口じゃん。
だったら進むしか、道はないでしょうよ!
「みんな、中に入ろう。あたしの後ろに付いてきて。」
みんなが大きく頷いたのを見てから、あたしは扉を両手で開けた。
『ズズズズズズズズ・・・!!』と石がこすれる音を立てて開いた扉の先は、真っ白に輝くアリーナだった。
恐る恐る入るあたし達の後ろで、扉が『ガコン!!』と大きな音を立てて閉まった。
「ミラ様!あれを。」
奥の方に上に続く螺旋階段が見えた。
「みんな!!あの階段、もしかしたら・・・!!あれを上りきったらゴールかもしれないよ!!もうちょっとだからがんば・・・」
「悪いがそうはさせんぞ。」
「ッッッ!!!」
上から誰かが飛び降りてきて、あたし達の前にスタっと着地した。
「しばらくだな、ミラ。」
「あっ、アンタは・・・ソール!!」
黎明の開手No.2。
❝泰陽雄・ソール=ヴェルヴァ=レクト❞!!
なるほど。
ついにお出ましってワケね!!
「アンタがここにいるってことは・・・あそこの階段を上った先に居んのね?アクメルが・・・!!」
「そうとも。私は導主様から貴様らの相手を任せている。第二次ミラ討伐戦は凶荒した貴様にいいようにやられてしまったがミラ、もう貴様は同じことは出来まい。もちろんここで、全員殺すことはできないことは承知の上だ。だが・・・配下をまとめて始末し、導主様が貴様を一捻りで殺せるほど弱らせることは叶おう。」
あたしはゴクッと大きく唾を飲み込んだ。
確かにあたしは前にコイツを殺す寸前まで追い込んだ。
だけど同時に、コイツは暴走モードになったあたし相手に、数十分は粘ったんだ。
霞んだ記憶を頼りに直感する。
コイツは、ソールは・・・他のメンバーに比べて別格の実力者だ!!
正直、あたし一人でも勝てるかどうか自信がない。
今度こそ、全員で協力して・・・
「ぬぅん!!!」
なんとローランドさんが、単身で突っ込んで行って、ソールの頭にメイスを振り下ろした。
ソールはすかさず剣を抜いてローランドさんの攻撃を防いで、衝撃波が走った。
「ミラの力の恩恵を受けていることだけはある。重いな。」
マジかよ・・・。
ソールの奴・・・あたしと共醒してバフがかかってるローランドさん一撃を、片手で受け止めやがった・・・!!
「ちぃ・・・!!やりおる!!だが・・・背中が留守だぞ!!泰陽雄!!」
ソールの背後にいつの間にかドッペルちゃんが回り込んでいて、彼の脇腹に居合を叩き込もうとしていた。
「考えたな。だが甘い!!」
ソールはがら空きになってるもう片方の手から何かを放出して、ドッペルちゃんはそれをまともに浴びた。
「ドッペルちゃん!?」
ドッペルちゃんの様子がおかしい。
ふらついて、方向感覚が定まってないように見える。
おまけに皮膚に爛れた痕。
まさかさっきのって・・・太陽風!?!?
ソールは剣でローランドさんを弾くと、膝を付いてしまったドッペルちゃんに狙いを変えた。
「まずはミラの贋物。」
「全意喪失!!」
「がっ・・・!?」
ソールの動きが一時的に止まった隙を突いて、リリーが浮遊魔能でドッペルちゃんをヒューゴ君の傍まで避難させた。
「全回復!」
ヒューゴ君がドッペルちゃんの傷を治してあげると、彼女はフルフルと首を大きく振った。
「感覚が狂った。最悪の気分だった。」
「ぎっ・・・ぎぃ・・・!!」
ソールは立ったまま、白目を剥いて唸ってる。
「ミラ様の御力で強化された魔能に抗うとは・・・。なんと強靭な精神力でしょう。ですが・・・今がチャンスでしょう。ミラ様・・・どうかこのまま、お進み下さい。」
「なっ!?ヒューゴ君何言ってんの!?!?まっ、まさか・・・!!!」
あたしはみんなの顔に目配せした。
「あたし一人で先に行けってコト!?!?」
「はい。ここは我々に任せて、さぁ。」
「そっ、そんなのできっこないじゃんッッッ!!!相手は一人だけだけど、ブチ切れたあたし相手でもギリやり合えるほどの化け物なんだよ!?こればっかりは・・・さすがに納得できないッッッ!!!」
「確かに相手は並みの者では到達できない領域に至った強者。ですがあなたが相手にすべき敵は、この男ではありません。あなたには先に進み、この戦いを終わらせる責務があります。三下の相手など、我々だけで事足ります。」
「そうですよ、ミラお姉様。こんなヤツ、すぐにブッ倒して、必ず追いつきますから♪」
「たかが敵の配下相手にミラ様の手を煩わせるのは忍びます!!」
「マスターの相手にコイツは釣り合わない。私達だけで十分。」
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「みんな・・・絶対勝って来い。これ、上官命令だから。破ったらどうなるか、分かってるね?」
「後で大目玉を食らうのは御免被りますから、全力を尽くしますよ。」
ヘラヘラしながら答えるヒューゴ君に呆れた後、あたしは奥の螺旋階段を急いで上り出した。
結局・・・最後は独りか・・・。
みんなと一緒なら、すごく心強かったのに・・・。
・・・・・・・。
・・・・・・・。
いや。
最初からみんなと一緒じゃないか。
バラバラの場所だけど、みんなあたしと、心のどこかで繋がって同じ勝利を目指して頑張ってる。
あたしは独りじゃない。
みんなと一緒なら・・・どんな相手だって怖くない!!
そう思うと勇気が湧いてきて、階段を上る足にもより一層、力が入った。
◇◇◇
「行きましたね。これで安心です。」
「それで、次はどんな悪知恵を考えたのだ?」
「何のことですか?」
「この狸めが!どれだけの付き合いだと思うておる!?何か魂胆があってミラ様だけ先に行かせたな?」
「バレてしまいましたか?私達はミラ様のために、何としても生き残らなくてはなりません。私の作戦、もとい願望が叶えばソールに勝つことができますし、これからのアクメルとの最終決戦を優位に運ぶことも叶いましょう。」
「ちょっとヒューゴ!!それどういうことさ!?作戦?一体何を企んでんの!?」
「私は予想が付く。ヒューゴ、イカれてる。」
「え?」
「いいですかリリーナ。私達はこうして危機的状況に陥っています。ですがその分、私達はミラ様のために生き残るために死力を尽くします。❝死ぬワケにはいかない。❞と強く願いながら。その逆も然りです。」
「まっ、まさかアンタ・・・!!!」
驚くリリーナに、ヒューゴは「フッ・・・。」と笑って答えた。
「リリーナ、ドーラ。あなた達2人にも、ミラ様との共醒状態に至ってもらいます。」
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