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最終章:無双代行の結末

オルテストの戦い㉔・空中城塞へ

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パッと気付くと、スドラとエリガラード達は街の門を抜けた先にある中央街道に転移されていた。

「スドラ様!!エリガラード様!!皆さんッッッ!!!」

手に分厚い書物を抱えたトヴィリンが、皆の方に目に薄っすら涙を抱えて駆け寄ってくる。

「ああ、良かったぁ・・・。皆さん無事で・・・。」

「心配をかけました。あなた達二人も、大変だったみたいで。」

トヴィリンの後ろで身を潜めるリセに、エリガラードは視線を移す。

「勘違いするな。妾が貴様らと手を組むのは・・・」

「❝アクメルあの男を倒すまで。❞ですよね?勿論そのつもりです。その後は、いくらでも相手になってあげますよ?」

「我らが勝つのは目に見えておるがな。でもまぁ、ともに戦場で支え合った仲だ。ミラ我が兄弟ならいくらか寛大な決着を望むだろう。」

「妾も此度のことで生への未練ができたのでな。そうなることを願おう。」

鋭い眼光で睨み合った後、スドラはトヴィリンに目をやった。

「お前が新しい所有者か・・・。」

「リセさんが、❝自分はそんな物に興味がないからもらっておけ。❞って・・・。」

「ほう・・・。若人に贈り物など、随分と粋なマネをするではないか。」

「深い意味はない。要らぬ物を押し付けただけだ。」

「なるほどぉ?」

ニヤニヤするスドラにリセはムッとした表情をした。

「それで!?これからどうするつもりだ?朽鬼きゅうきどもは妾の魔能で全て灰になった。残った魔能士でも片付けるか?」

「いや。オルテストここは最早捨て置いてもいいでしょう。」

「何?敵国の首都を野放しにするというのか?」

「この国の政権を担っていた魔首十客ましゅじっかくは、全員私達が閉じ込められた異空間で死にました。奥の手だった黎明の開手ひらきての2人も敗死。相手がこれ以上の手駒を用意しているとは考えられません。認めるのは癪ですが、例の2人は私、スドラ、そしてリセ・・・❝始まりの戦い。❞と❝第一次アルスワルド大戦❞を生き残った者達ですら苦戦したのです。何よりオルテストには・・・二度目であり、真の幻想大厄災ファンタズマ・カタストロフィを起こせるだけの魔能の気配を一切感じない。つまりあの男は、最初からここのことなど重視していなかった・・・ということです。」

「エリガラード。ではやはり・・・。」

・・・・・・・。

・・・・・・・。

「私達も向かうべきです。❝空中城塞・ヒメールシタデル❞へ。」

エリガラードの言葉を受け取り、その場にいた全員が覚悟を決めた。

「だがエリガラードよ。空中城塞があるのはアドニサカ魔政国の最西端。今から早駆けで向かっても一日は要すぞ!」

「そこが唯一の問題です。どうしたものか・・・。」

・・・・・・・。

・・・・・・・。

「あっ、あの・・・!!」

「どうしましたか?トヴィリン。」

「この本の中に、一瞬で軍を遠くに行かせられる門が入ってるかもしれません!!」

トヴィリンは急いで魔導書のページをめくって、その門とやらを探し始めた。

「あっ、ありました!!❝遠行きの大門・パルティアーノ❞!!これならここから空中城塞に行けるかもしれません!!」

「トヴィリン!今すぐそれを出して下さい!できますか!?」

「やってみますッッッ!!!」

トヴィリンがページに手をかざして念じると、高さ10mほどの、扉の代わりに鏡が張られた門が、オルテストの中央街道に姿を現した。

「皆さん!!全員門のガラスの前に立って下さい!!」

トヴィリンを先頭に、皆が門のガラスの前に立つと、とある光景が映された。

それは・・・無数の軍蟻種ハーレンメイルで埋め尽くされた、ヒメールシタデル城下だった。

「エリガラード様・・・。」

少し不安な表情でトヴィリンはエリガラードの方を振り返る。

・・・・・・・。

・・・・・・・。

「行きましょう。全てに決着を着けに。」

トヴィリンは大きく頷き、先陣を切って門をくぐった。

それに続いて、エリガラード、スドラ、リセ、森精人エルフ軍、岩削人ドワーフ軍、児鬼種ゴブリン軍、魔族軍が一斉に門に向かって飛び込んだ。




◇◇◇




(ミラお姉様!!)

外で戦ってるリリーからいきなり通信が入った。

「なに!?悪いけど今取り込み中なんだわ!!」

(その・・・アドニサカの首都に向かわせていた別動隊が、リセと正体不明の竜種ドラゴレイスとともに瞬間移動してきましたッッッ!!!)

・・・・・・・。

・・・・・・・。

は?

え?

おいおい。

あたし等の知らない間に、一体何があったんだよ?
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