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最終章:無双代行の結末
オルテストの戦い②・有り得ぬ再会
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突如リセが反旗を翻したことに、アドニサカの軍はおろかミラ側の軍勢までも驚きを隠せないでないでいた。
「黎明の開手であるはずのリセが裏切りを・・・!?」
「我らの味方をしてくれるというのか!?」
「りっ、リセ殿!!これは一体何のマネだ!?」
「見ての通りだ。妾はこれより貴様らの国を獲る。全てはミラへの復讐のためだ。」
「くっ・・・!!人間の身体を持っていようが所詮は魔族ッッッ!!!やはり信用するには値しな・・・ひっ!?!?」
リセを罵倒しようとした魔首十客の首筋に、漆黒の焔を帯びた冥炎の剣の切っ先が突き付けられる。
「御託はもう良い人間。いい加減口を閉じねば、その首刎ねるぞよ?」
首筋から冷や汗を垂らして、男は口を貝の如く閉じた。
「ということだエリガラード。妾は今忙しい。貴様らの相手をしておる暇などない。」
「リセ・・・。」
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「冥府の姫よ。」
敵味方が動揺する中、唯一冷静なスドラが口を開いた。
「何だ?竜種の王よ。」
「ちと回りくどいのではないか?」
「何がだ?」
「アクメル望みが成就すれば、ミラへの復讐も自ずと叶う。なのに何故、わざわざ自軍を裏切るという手間を取る?」
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「スドラよ。貴様なぞには分からんじゃろう。妾の恥辱が・・・。」
「恥辱?」
「ミラにぶつける手駒として、妾は黎明の開手の謀略の中でこの世に復活し、かような肉の塊に封じ込められた。勿論罷りならなかったわい。だが導主の・・・奴の底知れぬ力に恐れをなし、❝ミラへの復讐のためならば。❞と渋々納得した。じゃがどうだ!?奴は己が欲望に従い、父上が産み、妾に愛でるように言いつけた魔族達ですら地上から消そうとしているッッッ!!!たかが一人の人間の道具として利用され、見返りとして配下全ての命を差し出して・・・!!そのどこに冥府の姫としての誇りがあるというのか!?妾は❝讐姫雄・リセ❞ではない!!冥王ヘルヴェが一粒種、冥府の姫・リセであろうぞ!!その名の下に必ず自由を取り戻す!!誰にも邪魔はさせんッッッ!!!」
堰を切って思いをぶちまけたリセに、スドラは「くくっ。」と笑った。
「何がおかしい?」
「いや別に。存外貴様とミラ・・・よく似ておると思うてな。」
「なっ・・・!?」
予期せぬ答えに、リセは顔を赤らめた。
「まぁ良い。貴様が自由を勝ち取り、その上でミラへの復讐を成そうという心構えは気に入った。その覚悟に応え、その時は我が貴様を叩き潰そう。我が兄弟の命・・・貴様なぞにくれてなるものか。」
「その時まで互いに無事でいような。」
僅かな冷や汗を額に滲ませて、リセは剣を突き付けている魔首十客の男の方を向き直した。
「控えの兵に門を開くよう命じよ。さもなくば首を刎ねる。」
「くっ・・・!!」
誰もがアドニサカ魔政国の無血制圧を確信した。
しかしそれは、ある男の登場によって覆った。
「仇を討てる唯一にして決定的な機会を手放すとは・・・浅はかな。」
その者の声を聞いた瞬間リセ・・・否、その場にいる誰もが目を見開いた。
朽鬼の群れの中を悠々と歩き、近づいてくるのに合わせ、リセはゆっくりとその者の方を向く。
そして彼女は、言葉を失った。
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「父・・・上・・・?」
「久しいなリセ。我が愛しき愛しき娘よ。息災であったか?」
「黎明の開手であるはずのリセが裏切りを・・・!?」
「我らの味方をしてくれるというのか!?」
「りっ、リセ殿!!これは一体何のマネだ!?」
「見ての通りだ。妾はこれより貴様らの国を獲る。全てはミラへの復讐のためだ。」
「くっ・・・!!人間の身体を持っていようが所詮は魔族ッッッ!!!やはり信用するには値しな・・・ひっ!?!?」
リセを罵倒しようとした魔首十客の首筋に、漆黒の焔を帯びた冥炎の剣の切っ先が突き付けられる。
「御託はもう良い人間。いい加減口を閉じねば、その首刎ねるぞよ?」
首筋から冷や汗を垂らして、男は口を貝の如く閉じた。
「ということだエリガラード。妾は今忙しい。貴様らの相手をしておる暇などない。」
「リセ・・・。」
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「冥府の姫よ。」
敵味方が動揺する中、唯一冷静なスドラが口を開いた。
「何だ?竜種の王よ。」
「ちと回りくどいのではないか?」
「何がだ?」
「アクメル望みが成就すれば、ミラへの復讐も自ずと叶う。なのに何故、わざわざ自軍を裏切るという手間を取る?」
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「スドラよ。貴様なぞには分からんじゃろう。妾の恥辱が・・・。」
「恥辱?」
「ミラにぶつける手駒として、妾は黎明の開手の謀略の中でこの世に復活し、かような肉の塊に封じ込められた。勿論罷りならなかったわい。だが導主の・・・奴の底知れぬ力に恐れをなし、❝ミラへの復讐のためならば。❞と渋々納得した。じゃがどうだ!?奴は己が欲望に従い、父上が産み、妾に愛でるように言いつけた魔族達ですら地上から消そうとしているッッッ!!!たかが一人の人間の道具として利用され、見返りとして配下全ての命を差し出して・・・!!そのどこに冥府の姫としての誇りがあるというのか!?妾は❝讐姫雄・リセ❞ではない!!冥王ヘルヴェが一粒種、冥府の姫・リセであろうぞ!!その名の下に必ず自由を取り戻す!!誰にも邪魔はさせんッッッ!!!」
堰を切って思いをぶちまけたリセに、スドラは「くくっ。」と笑った。
「何がおかしい?」
「いや別に。存外貴様とミラ・・・よく似ておると思うてな。」
「なっ・・・!?」
予期せぬ答えに、リセは顔を赤らめた。
「まぁ良い。貴様が自由を勝ち取り、その上でミラへの復讐を成そうという心構えは気に入った。その覚悟に応え、その時は我が貴様を叩き潰そう。我が兄弟の命・・・貴様なぞにくれてなるものか。」
「その時まで互いに無事でいような。」
僅かな冷や汗を額に滲ませて、リセは剣を突き付けている魔首十客の男の方を向き直した。
「控えの兵に門を開くよう命じよ。さもなくば首を刎ねる。」
「くっ・・・!!」
誰もがアドニサカ魔政国の無血制圧を確信した。
しかしそれは、ある男の登場によって覆った。
「仇を討てる唯一にして決定的な機会を手放すとは・・・浅はかな。」
その者の声を聞いた瞬間リセ・・・否、その場にいる誰もが目を見開いた。
朽鬼の群れの中を悠々と歩き、近づいてくるのに合わせ、リセはゆっくりとその者の方を向く。
そして彼女は、言葉を失った。
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「父・・・上・・・?」
「久しいなリセ。我が愛しき愛しき娘よ。息災であったか?」
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