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最終章:無双代行の結末
激突、それは因縁の始まり。
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この世界に最初に生まれた❝調定者❞、ヴァリエル。
竜の王スドラを倒し、後にエリガラードの伴侶となる男。
今我は、相まみえることを定めされた両者の邂逅に立ち会っているのか・・・。
しかし、なんだ・・・。
この男・・・どうも掴みどころのない風体をしておる。
同じ❝調定者❞であるミラは、慈愛とともに哀愁を漂わせていた。
やはり個々にして性分というのは違うものなのだろうか・・・?
「すまんが・・・覚えられるかどうか分からぬ。ここで死なれてはな!!」
スドラが足を上げた・・・!!
踏み潰すつもりか!?
思った通り、スドラはヴァリエルをアリの如く足で圧し潰した。
が・・・。
「じゃあこれで覚えてくれるか?ペシャンコにならなかったからよ。」
何とヴァリエルは、巨大なスドラの足を、右腕の肘だけで受け止めおった。
「くっ・・・!!虫が・・・!!」
負けじと力任せにヴァリエルを踏み潰そうとするスドラだったが、反して受け止めるヴァリエルは堪えず、それどころか、徐々にこちらを押してきおった。
「それッッッ!!!」
ヴァリエルが腕を一振るいすると、スドラは姿勢を崩し、二対の手が地に付いた。
「おっと失礼。転がしちまった。」
「貴様・・・!!何をしおった!?!?」
「そういう力・・・森精人で言うところの魔能でね。敵の身体能力が自分に付与されるんだ。つまり・・・今の俺は、お前さんと同じくらいの筋力ってことだ。」
淡々と説明するヴァリエルに反して、スドラの頭に血が上ってゆくのを感じる。
「竜の王たる我を地に伏せさせるとは・・・。この代償・・・高く付くぞッッッ!!!」
這いつくばった状態で、スドラはヴァリエルに向かって凄まじい咆哮の渦を吐いた。
「天級第四位・絶盾よ我を守れ。」
地を抉るほどのスドラの咆哮が、ヴァリエルの前に現れた巨大な盾に衝突し、辺りに拡散した。
何なのだあの魔能は!?
「小賢しい術を使いおってぇ!!!」
激昂したスドラが、ヴァリエルと同じ体躯まで縮み、四対の腕で連続で打撃を与える。
だがヴァリエルは、それを涼しい顔をしながら剣で捌いてゆく。
そして通り過ぎざまに全ての腕を斬り落としおった。
「がっ・・・!?!?」
「いい動きだった。俺じゃなかったら確実に死んでいたよ。」
「ほっ、ほざけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」
新しい腕を生やすとともに元の巨躯まで戻ると、スドラはヴァリエルを掴むと、天に向かって投げた。
「まさか虫如きにこの技を使うことになるとはな・・・!!!」
何だ!?
胸が開いて、周囲の空気を吸収して・・・!!
心臓が・・・熱く・・・。
その瞬間、スドラは空に青黒く、そして極太の熱線を吐いた。
曇天は眩い光によって照らされ、❝天をも焦がす吐息❞と呼ぶに相応しい一撃だった。
「これで奴も流石に死・・・ッッッ!!!」
スドラの一撃をまともに食らったのだろうか。
鎧は完全に蒸発してしまっていた。
しかし、ヴァリエルの身体は、かすり傷すら付いていなかった。
「貴様・・・何故・・・!?!?」
「これが俺に与えられた特性でね。森精人っていうのは不老の代わりに魔力が底を尽きるか、肉体が激しく傷つけられると死んでしまうっていう制約がある。だけど俺は、それから完全に外れていてね。どれだけ傷ついても、魔力を使っても死なない。厳密には、死ねないって言った方がいいか。」
つまりヴァリエルは、強大な魔能を好き放題に使え、どれだけ身体が傷ついても死なぬというのか・・・。
死という存在を完全に超越した、始まりにして、最強の救世主だ・・・!!
「だけど・・・。」
ん?
顔付きが変わったぞ。
先程までの飄々とした雰囲気が一切感じられない、決意に満ちた表情だ。
「お前とこうして戦ってみて、ようやく理解した。」
魔能で新たな服をこしらえながら、ヴァリエルは我・・・いや、スドラの正面まで降りてその目を見据える。
「俺はスドラ・・・お前を倒すために生まれてきたってことを。正直今の俺では、それを成し遂げることは難しいだろう。だから、今回は引く。ちょうど仲間も逃げれたみたいだしな。長い付き合いになろだろう。だけど必ず、お前を倒して、この戦争を終わらせてやる。」
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「くっくっくっ・・・。」
スドラの奴、笑っておる・・・。
「我をここまで本気にさせたのは貴様が初めてだ。我は貴様を虫ではなく、一人の戦士と認めよう。森精人のヴァリエルよ。この首・・・獲れるものなら獲ってみせよッッッ!!!」
「それじゃあお互い・・・これからも、よろしくな。」
フッと笑い去るヴァリエルを、スドラも配下の竜種も追うことはなかった。
これが両者の、因縁の始まりか・・・。
存外・・・悪いものではないな。
竜の王スドラを倒し、後にエリガラードの伴侶となる男。
今我は、相まみえることを定めされた両者の邂逅に立ち会っているのか・・・。
しかし、なんだ・・・。
この男・・・どうも掴みどころのない風体をしておる。
同じ❝調定者❞であるミラは、慈愛とともに哀愁を漂わせていた。
やはり個々にして性分というのは違うものなのだろうか・・・?
「すまんが・・・覚えられるかどうか分からぬ。ここで死なれてはな!!」
スドラが足を上げた・・・!!
踏み潰すつもりか!?
思った通り、スドラはヴァリエルをアリの如く足で圧し潰した。
が・・・。
「じゃあこれで覚えてくれるか?ペシャンコにならなかったからよ。」
何とヴァリエルは、巨大なスドラの足を、右腕の肘だけで受け止めおった。
「くっ・・・!!虫が・・・!!」
負けじと力任せにヴァリエルを踏み潰そうとするスドラだったが、反して受け止めるヴァリエルは堪えず、それどころか、徐々にこちらを押してきおった。
「それッッッ!!!」
ヴァリエルが腕を一振るいすると、スドラは姿勢を崩し、二対の手が地に付いた。
「おっと失礼。転がしちまった。」
「貴様・・・!!何をしおった!?!?」
「そういう力・・・森精人で言うところの魔能でね。敵の身体能力が自分に付与されるんだ。つまり・・・今の俺は、お前さんと同じくらいの筋力ってことだ。」
淡々と説明するヴァリエルに反して、スドラの頭に血が上ってゆくのを感じる。
「竜の王たる我を地に伏せさせるとは・・・。この代償・・・高く付くぞッッッ!!!」
這いつくばった状態で、スドラはヴァリエルに向かって凄まじい咆哮の渦を吐いた。
「天級第四位・絶盾よ我を守れ。」
地を抉るほどのスドラの咆哮が、ヴァリエルの前に現れた巨大な盾に衝突し、辺りに拡散した。
何なのだあの魔能は!?
「小賢しい術を使いおってぇ!!!」
激昂したスドラが、ヴァリエルと同じ体躯まで縮み、四対の腕で連続で打撃を与える。
だがヴァリエルは、それを涼しい顔をしながら剣で捌いてゆく。
そして通り過ぎざまに全ての腕を斬り落としおった。
「がっ・・・!?!?」
「いい動きだった。俺じゃなかったら確実に死んでいたよ。」
「ほっ、ほざけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」
新しい腕を生やすとともに元の巨躯まで戻ると、スドラはヴァリエルを掴むと、天に向かって投げた。
「まさか虫如きにこの技を使うことになるとはな・・・!!!」
何だ!?
胸が開いて、周囲の空気を吸収して・・・!!
心臓が・・・熱く・・・。
その瞬間、スドラは空に青黒く、そして極太の熱線を吐いた。
曇天は眩い光によって照らされ、❝天をも焦がす吐息❞と呼ぶに相応しい一撃だった。
「これで奴も流石に死・・・ッッッ!!!」
スドラの一撃をまともに食らったのだろうか。
鎧は完全に蒸発してしまっていた。
しかし、ヴァリエルの身体は、かすり傷すら付いていなかった。
「貴様・・・何故・・・!?!?」
「これが俺に与えられた特性でね。森精人っていうのは不老の代わりに魔力が底を尽きるか、肉体が激しく傷つけられると死んでしまうっていう制約がある。だけど俺は、それから完全に外れていてね。どれだけ傷ついても、魔力を使っても死なない。厳密には、死ねないって言った方がいいか。」
つまりヴァリエルは、強大な魔能を好き放題に使え、どれだけ身体が傷ついても死なぬというのか・・・。
死という存在を完全に超越した、始まりにして、最強の救世主だ・・・!!
「だけど・・・。」
ん?
顔付きが変わったぞ。
先程までの飄々とした雰囲気が一切感じられない、決意に満ちた表情だ。
「お前とこうして戦ってみて、ようやく理解した。」
魔能で新たな服をこしらえながら、ヴァリエルは我・・・いや、スドラの正面まで降りてその目を見据える。
「俺はスドラ・・・お前を倒すために生まれてきたってことを。正直今の俺では、それを成し遂げることは難しいだろう。だから、今回は引く。ちょうど仲間も逃げれたみたいだしな。長い付き合いになろだろう。だけど必ず、お前を倒して、この戦争を終わらせてやる。」
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「くっくっくっ・・・。」
スドラの奴、笑っておる・・・。
「我をここまで本気にさせたのは貴様が初めてだ。我は貴様を虫ではなく、一人の戦士と認めよう。森精人のヴァリエルよ。この首・・・獲れるものなら獲ってみせよッッッ!!!」
「それじゃあお互い・・・これからも、よろしくな。」
フッと笑い去るヴァリエルを、スドラも配下の竜種も追うことはなかった。
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