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最終章:無双代行の結末
走馬灯、または王の記憶。
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・・・・・・・。
・・・・・・・。
何も見えぬ・・・。
何も聞こえぬ・・・。
何も・・・感じぬ・・・。
ただ意識だけが、闇の中を浮いているような・・・。
そうか・・・。
我は・・・。
死んだのか・・・。
奴は?
テト・カドルも、死んだのか?
途切れ途切れの記憶の中で、一番はっきり覚えているのは、全身から溢れんばかりの穢れと、身を焦がすほどの光と熱・・・。
奴と、相打ちにでもなったのか?
だとすれば・・・良かった。
誰も殺さず、仲間に戦友殺しの汚名を被せることもないのだから・・・。
ミラ・・・。
彼奴・・・怒るだろうな・・・。
何せ根が優しいからな。
我の死を聞けば、怒り、涙で顔がぐしゃぐしゃになるほどに泣くことだろう・・・。
・・・・・・・。
・・・・・・・。
その時の彼奴の顔を見ずに済むと思う我は、存外に狡のだな・・・。
すまなんだ、ミラ・・・。
我が愛しき兄弟よ。
お前が戦いの末、勝ち取った未来を見ることができず・・・。
本当に・・・すまない。
悪いが一足先に、我はここで、眠らせてもらうぞ・・・。
・・・・・・・。
・・・・・・・。
ッッッ!!!
何だ!?
場面が突然変わりおったぞ!?!?
ここは・・・空の上か!?
・・・・・・・。
・・・・・・・。
業火、雷鳴、それに嵐雨・・・。
一体・・・何事か!?!?
これは・・・俗にいう走馬灯・・・というものなのか?
だとすれば、些か妙だ。
我の生涯の中で、このような災禍は起きてなどいなかったッッッ!!!
3000年前の大戦でも、これほどまでに激しくはなかったぞッッッ!!!
一体何なのだ!?
この情景は!?!?
「ご報告します!!」
貴様は!?
竜種!?!?
そんな馬鹿な!?
3000年前の厄災で生き残った個体に、このような者などいなかったはず・・・!!!
「森精人どもの増援が来ました!!その数・・・実に5万!!」
森精人と戦っておるのか!?!?
奴等とは今はともに戦う仲間だ!!
ここで刃を構えることは・・・
「耳長どもめ。何匹来ようと状況は変わらぬというのに。愚かな。」
口が・・・勝手に・・・!?
どうなっておる!?!?
うっ・・・!!
首まで勝手に・・・!!
・・・・・・・。
・・・・・・・。
何と、いう、ことか・・・。
我は今・・・❝空を埋め尽くさんとする竜種の群れの前❞にいる・・・のか?
「不埒な簒奪者どもに今日こそ思い知らせてやろうぞ。この世界の頂たる我ら竜種が存在する限り、貴様らの住む場所など何処にも存在しないということを・・・な。」
「「「スドラ万歳!!!スドラ万歳!!!」」」
幾千もの同族の咆哮に混じり、その喝采が轟く。
この我が・・・❝界竜王・スドラ❞?
竜種の・・・王・・・?
・・・・・・・。
何も見えぬ・・・。
何も聞こえぬ・・・。
何も・・・感じぬ・・・。
ただ意識だけが、闇の中を浮いているような・・・。
そうか・・・。
我は・・・。
死んだのか・・・。
奴は?
テト・カドルも、死んだのか?
途切れ途切れの記憶の中で、一番はっきり覚えているのは、全身から溢れんばかりの穢れと、身を焦がすほどの光と熱・・・。
奴と、相打ちにでもなったのか?
だとすれば・・・良かった。
誰も殺さず、仲間に戦友殺しの汚名を被せることもないのだから・・・。
ミラ・・・。
彼奴・・・怒るだろうな・・・。
何せ根が優しいからな。
我の死を聞けば、怒り、涙で顔がぐしゃぐしゃになるほどに泣くことだろう・・・。
・・・・・・・。
・・・・・・・。
その時の彼奴の顔を見ずに済むと思う我は、存外に狡のだな・・・。
すまなんだ、ミラ・・・。
我が愛しき兄弟よ。
お前が戦いの末、勝ち取った未来を見ることができず・・・。
本当に・・・すまない。
悪いが一足先に、我はここで、眠らせてもらうぞ・・・。
・・・・・・・。
・・・・・・・。
ッッッ!!!
何だ!?
場面が突然変わりおったぞ!?!?
ここは・・・空の上か!?
・・・・・・・。
・・・・・・・。
業火、雷鳴、それに嵐雨・・・。
一体・・・何事か!?!?
これは・・・俗にいう走馬灯・・・というものなのか?
だとすれば、些か妙だ。
我の生涯の中で、このような災禍は起きてなどいなかったッッッ!!!
3000年前の大戦でも、これほどまでに激しくはなかったぞッッッ!!!
一体何なのだ!?
この情景は!?!?
「ご報告します!!」
貴様は!?
竜種!?!?
そんな馬鹿な!?
3000年前の厄災で生き残った個体に、このような者などいなかったはず・・・!!!
「森精人どもの増援が来ました!!その数・・・実に5万!!」
森精人と戦っておるのか!?!?
奴等とは今はともに戦う仲間だ!!
ここで刃を構えることは・・・
「耳長どもめ。何匹来ようと状況は変わらぬというのに。愚かな。」
口が・・・勝手に・・・!?
どうなっておる!?!?
うっ・・・!!
首まで勝手に・・・!!
・・・・・・・。
・・・・・・・。
何と、いう、ことか・・・。
我は今・・・❝空を埋め尽くさんとする竜種の群れの前❞にいる・・・のか?
「不埒な簒奪者どもに今日こそ思い知らせてやろうぞ。この世界の頂たる我ら竜種が存在する限り、貴様らの住む場所など何処にも存在しないということを・・・な。」
「「「スドラ万歳!!!スドラ万歳!!!」」」
幾千もの同族の咆哮に混じり、その喝采が轟く。
この我が・・・❝界竜王・スドラ❞?
竜種の・・・王・・・?
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