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最終章:無双代行の結末
魔物達の異変
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「アネキ!!オサエタゼ!!」
「ありがとうトリシア!!」
ルビーのようなゴツゴツとした甲殻に覆われたカニの魔物、紅堅蟹種。
普段は甲羅のみを出した状態で地面に潜んで鉱石に擬態し、近づいてきた獲物を捕食する。
その甲殻は色だけでなく、硬度までもルビーと同等で、並の魔物の牙や剣を通さない。
だが・・・吸血鬼随一の剣豪の元で叩き上げられたトヴィリンの敵ではない。
「はぁ!!!」
トヴィリンはトリシアが取り押さえた紅堅蟹種の下に潜り込み、その腹に剣を突き立てた。
紅堅蟹種の目から生気が失せ、その亡骸はトヴィリンが下敷きにならないように、トリシアによって投げられた。
「みっ、皆さん!!ここの安全は確保、できましたッ!」
トヴィリンとトリシアの活躍によって、一行は今日の野営地にありつけた。
ぐつぐつと煮えたぎるマグマの池がすぐそばにある灼熱の地で休息ができるとは、エリガラードの加護は計り知れないものである。
「お疲れ様です。安全確保、随分と手馴れたものになりましたね?トヴィリン。」
「みっ、皆さんに休んでもらおうと思って、頑張ってるだけですよぅ・・・。」
照れ笑いを浮かべるトヴィリンに、エリガラードはホッとする表情を見せた。
先のラトヴァール奪還戦で、キイルを倒すことができず、少々塞ぎ込み気味だった彼女を元気付けるために、エリガラードは彼女に前衛と野営地の確保を任せることにした。
結果は上々。
トヴィリンは自信に満ち満ちてきていた。
これなら来たるアドニサカ魔政国の戦いでの活躍も、期待できるだろう。
「エリガラード様、少々・・・。」
岩削人兵に呼ばれて、エリガラードはその場を離れた。
向かった先ではエボルのアローグン国王とソル・ヴェナが何やら怪訝な表情を見せていた。
「どうかしたのですか?」
「いやな、気がかりなことがあってな。ソル・ヴェナ様と相談しておったのだ。」
「エリガラード、お前気付いたか?我らがこの地に足を踏み入れ、もうすぐ9日ほどになる。それなのに・・・。」
「竜種の派生種とは一体も遭遇していない。ですよね?」
「なんだ?分かっておったのか?」
「当たり前です。それくらい察しています。」
❝フラトームの地❞はその過酷な環境にも関わらず、様々な魔物がしのぎを削っている。
事実、この9日間で数多くの魔物と遭遇してきた。
だが・・・竜種から派生した種族。
天獣種、地獣種、水獣種とは一体も遭遇していない。
「出くわすのは全て虫型や甲殻類型の魔物のみ・・・。これは一体どういうことか?」
「我の気迫に恐れをなして隠れおったか!!何せ我は、連中のような派生種とは違うからなッッッ!!!」
「その線はないでしょう。」
エリガラードからあっさり否定されて、ソル・ヴェナは面食らった。
「なっ、何故そう言い切れる!?」
「それなら他の魔物も逃げ出すからです。でもこれには確かな法則性が見られます。」
「ぬっ・・・!?ぬぅぅ・・・。」
自信満々で発言したソル・ヴェナは恥ずかしそうな顔で口をつぐんだ。
「では・・・理由は何なのだ?」
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「徒党を組んでいる・・・と考えるのが妥当でしょう。」
「なっ・・・!?」
アローグンは驚愕した。
何故なら、本来魔物達は本能に基づいて行動しているため、集団行動を取ることなど絶対に在り得ないからだ。
「魔物同士が手を組んで・・・!?そんな馬鹿な・・・!!」
アローグンはソル・ヴェナに意見を求めようと彼の方を向いた。
しかしソル・ヴェナは険しい表情を浮かべていた。
「ソル・ヴェナ様?」
「的外れなことを言っておきながら、あなたも薄々そんな気がしていたのではありませんか?ソル・ヴェナ。」
「誠でございますか!?」
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「派生種どもの臭いが微かに濃い場所がある。この地の出口辺りだ。」
「これで分かりましたかアローグン。魔物達は手ぐすね引いて待っているのですよ。ここから出ようとする私達を・・・。」
「しかしだエリガラード。ここからこの地の終着地点はかなり離れている。しかし我の鼻は奴等を捉えた。とすると・・・相当数の魔物が待ち構えているということだ。これほどの数・・・人間には操ることなど到底不可能だ!!」
「舵取りが何者かは分かっています。フラトームの地の主でしょう。」
「何!?それは何者ぞ!?」
問いただしてくるソル・ヴェナに、エリガラードはその者の名を答えた。
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「炎冠竜テト・カドル。あなたと同じく、幻想大厄災を生き延びた竜種です。」
「ありがとうトリシア!!」
ルビーのようなゴツゴツとした甲殻に覆われたカニの魔物、紅堅蟹種。
普段は甲羅のみを出した状態で地面に潜んで鉱石に擬態し、近づいてきた獲物を捕食する。
その甲殻は色だけでなく、硬度までもルビーと同等で、並の魔物の牙や剣を通さない。
だが・・・吸血鬼随一の剣豪の元で叩き上げられたトヴィリンの敵ではない。
「はぁ!!!」
トヴィリンはトリシアが取り押さえた紅堅蟹種の下に潜り込み、その腹に剣を突き立てた。
紅堅蟹種の目から生気が失せ、その亡骸はトヴィリンが下敷きにならないように、トリシアによって投げられた。
「みっ、皆さん!!ここの安全は確保、できましたッ!」
トヴィリンとトリシアの活躍によって、一行は今日の野営地にありつけた。
ぐつぐつと煮えたぎるマグマの池がすぐそばにある灼熱の地で休息ができるとは、エリガラードの加護は計り知れないものである。
「お疲れ様です。安全確保、随分と手馴れたものになりましたね?トヴィリン。」
「みっ、皆さんに休んでもらおうと思って、頑張ってるだけですよぅ・・・。」
照れ笑いを浮かべるトヴィリンに、エリガラードはホッとする表情を見せた。
先のラトヴァール奪還戦で、キイルを倒すことができず、少々塞ぎ込み気味だった彼女を元気付けるために、エリガラードは彼女に前衛と野営地の確保を任せることにした。
結果は上々。
トヴィリンは自信に満ち満ちてきていた。
これなら来たるアドニサカ魔政国の戦いでの活躍も、期待できるだろう。
「エリガラード様、少々・・・。」
岩削人兵に呼ばれて、エリガラードはその場を離れた。
向かった先ではエボルのアローグン国王とソル・ヴェナが何やら怪訝な表情を見せていた。
「どうかしたのですか?」
「いやな、気がかりなことがあってな。ソル・ヴェナ様と相談しておったのだ。」
「エリガラード、お前気付いたか?我らがこの地に足を踏み入れ、もうすぐ9日ほどになる。それなのに・・・。」
「竜種の派生種とは一体も遭遇していない。ですよね?」
「なんだ?分かっておったのか?」
「当たり前です。それくらい察しています。」
❝フラトームの地❞はその過酷な環境にも関わらず、様々な魔物がしのぎを削っている。
事実、この9日間で数多くの魔物と遭遇してきた。
だが・・・竜種から派生した種族。
天獣種、地獣種、水獣種とは一体も遭遇していない。
「出くわすのは全て虫型や甲殻類型の魔物のみ・・・。これは一体どういうことか?」
「我の気迫に恐れをなして隠れおったか!!何せ我は、連中のような派生種とは違うからなッッッ!!!」
「その線はないでしょう。」
エリガラードからあっさり否定されて、ソル・ヴェナは面食らった。
「なっ、何故そう言い切れる!?」
「それなら他の魔物も逃げ出すからです。でもこれには確かな法則性が見られます。」
「ぬっ・・・!?ぬぅぅ・・・。」
自信満々で発言したソル・ヴェナは恥ずかしそうな顔で口をつぐんだ。
「では・・・理由は何なのだ?」
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「徒党を組んでいる・・・と考えるのが妥当でしょう。」
「なっ・・・!?」
アローグンは驚愕した。
何故なら、本来魔物達は本能に基づいて行動しているため、集団行動を取ることなど絶対に在り得ないからだ。
「魔物同士が手を組んで・・・!?そんな馬鹿な・・・!!」
アローグンはソル・ヴェナに意見を求めようと彼の方を向いた。
しかしソル・ヴェナは険しい表情を浮かべていた。
「ソル・ヴェナ様?」
「的外れなことを言っておきながら、あなたも薄々そんな気がしていたのではありませんか?ソル・ヴェナ。」
「誠でございますか!?」
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「派生種どもの臭いが微かに濃い場所がある。この地の出口辺りだ。」
「これで分かりましたかアローグン。魔物達は手ぐすね引いて待っているのですよ。ここから出ようとする私達を・・・。」
「しかしだエリガラード。ここからこの地の終着地点はかなり離れている。しかし我の鼻は奴等を捉えた。とすると・・・相当数の魔物が待ち構えているということだ。これほどの数・・・人間には操ることなど到底不可能だ!!」
「舵取りが何者かは分かっています。フラトームの地の主でしょう。」
「何!?それは何者ぞ!?」
問いただしてくるソル・ヴェナに、エリガラードはその者の名を答えた。
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「炎冠竜テト・カドル。あなたと同じく、幻想大厄災を生き延びた竜種です。」
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