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第六章 : 女王の帰還

真に試された者

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二人きりということで、あたしとエリガラードは人目の付かない場所に移動した。

そこは、山から落ちる滝が一望できるバルコニー。

「それで、話って何よ?」

「私よりまず、あなたから先に用件をどうぞ?」

余裕ぶった笑みが、何だかとっても癪に障る。

ホントはもう、分かってるくせに・・・。

「この国を奪い返すのに、グレースちゃんに課したなんだけどさ・・・アレ、グレースちゃんに対してじゃなかったでしょ?」

・・・・・・・。

・・・・・・・。

なんでしょ?試練の対象者。」

「どうしてそう思うのですか?」

「あなたはグレースちゃんに、❝あたし抜きでラトヴァールを奪還できたら会議を開く。❞って言った。だけどあたしは、それに反してグレースちゃん達を助けに行った。だけどあなたは会議を開くことにした。そこで分かったんだよ。だったって。」

何も言わないエリガラードに、あたしは更に持論を展開する。

「あの時、あたしと他の吸血鬼のみんなは関係が最悪。団結どころか破綻寸前だった。だからあなたは、あたしを試した。・・・。結果巡り巡ってあたしはその通りにして、あなたのご意向に従った。だから今日ここに至った・・・。違う?」

轟々と滝が流れる中で、エリガラードは沈黙した。

だけどバルコニーの手すりに手を置いて、語りだした。

・・・・・・・。

・・・・・・・。

「あなた達を見極めたかった。果たしてこの災禍を、切り抜けられるほどの絆と覚悟を持ち合わせているかどうか・・・。」

やっぱり。

そういうことだったか・・・。

「コソコソとアンタにテストされてたなんて思うと、なんかムカムカするんですけど。」

「真意を言ったら試練にならないじゃないですか?」

キレイな顔しといてマジでずる賢いな・・・。

「で、アンタから見てあたしはどうだった?」

「期待通り・・・いや、予想を遥かに超えていましたよ?あなた達は。まさか❝共醒きょうせい❞を果たすなんて・・・。」

「共醒?まさかグレースちゃんとローランドさんがあたしみたくなったこと?アンタあれを知ってるの!?」

「落ち着いて下さい。まずは順を追って。」

「ッッッ!!!そう、だったね・・・。それで?アンタからの話って?」

「この地でのあなたの活躍を見て、私は確信しました。今のあなたなら、十分を果たすことができると。」

「役目?」

エリガラードから笑みが消えて、凛とした眼差しであたしを見つめる。

「あの者を・・・アクメルと名乗っていましたね。彼を・・・殺すのです。」

あたしが・・・アクメルを、殺す?

「拒むことはできません。」

エリガラードが、あたしの戸惑いを感じ取ってかピシャっと言った。

「何故ならあなたは、そのために生まれた救世主。❝調定者エリクセル❞なのですから。」
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