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第六章 : 女王の帰還
共存共栄のモデルケース
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あたしを救世主の役目から解くってそれ・・・。
あたしはもう二度と戦いに参加するなって、ことじゃ・・・。
「ちょっ、ちょっと待ってよグレースちゃん。あたしには、まだ守んなきゃいけない人がいっぱいいるんだよ?もちろん、グレースちゃんだって・・・。」
「まだ話は終わってません。どうか最後までお聞きを。」
「え・・・?」
穏やかな口調であたしを落ち着かせると、グレースちゃんはざわつく観衆の方を向いた。
「此度の戦争が終わった後、私達が取り組まなければならないのは・・・人間との共存共栄です。400年にも渡り、私達の仇敵として立ちはだかった人間と太平の世を築くことは並大抵のことではありません。ですが、我々は学びました。人間にも私達吸血鬼と同じ血、同じ心が宿っていると。これは私達が互いに手を取り合い、歩んでゆく未来を創る上で大きな希望となるでしょう。それを最初に見出してくれたのは・・・ここにいる彼女です。」
グレースちゃん・・・。
「よって私は!!この新生ラトヴァール王国を、人間と吸血鬼の共存国家第一号とするとともに、ここにいるミラには終戦後、これからの未来を担う両種族の子ども達を導くための学び舎の学長に任命します!!!」
ここを吸血鬼と人間の共存国家第一号に?
私をそこの・・・校長に・・・?
「引き受けてくれますね?」
・・・・・・・。
・・・・・・・。
断る理由なんかねぇや。
「謹んでご拝命いたします。グレース陛下?」
跪いて、冗談っぽくそう言うと、広場から3回目の歓声が上がった。
ステージ上でも拍手してる人がたくさんいたけど、その中でも特にはしゃいでいたのがいた。
リリーだ。
なるほど・・・。
そういうことか・・・。
観衆達に華々しく祝福されて、あたしとグレースちゃんは厳かに退場した。
「グレースちゃん?」
「はい?」
「さっきのお役目のことなんだけど・・・リリーから聞いたでしょ?」
「やはり分かってしまいましたか。」
「そりゃあんだけはしゃいでたらバレバレだよ。」
「ミラ様、学校の先生になるのが夢なんですよね?しかも吸血鬼と人間の子どもが通う。とっても素晴らしい夢じゃないですか。だから私、決めたんです。その夢をミラ様にプレゼントしてあげようって。」
「早速職権乱用?強引だねぇ~。」
「親友に似たんですかね?」
「言ってくれんじゃない?」
軽口を言い合って、グレースちゃんはあたしの方を神妙な顔で向いた。
「あなたは特別な存在としてもう十分過ぎるくらい重責を背負い続けてくれました。これからは・・・人並みの幸福の中で、生きてください。」
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「うん♪」
第二次ミラ討伐戦で受けた心の傷と、肩の重荷がやっと癒えたような気がした。
あとそれと、なんだか泣きたくなるように嬉しい・・・。
いつの日か、カリアード君と約束した光景を見て、見せてあげることができると思うと・・・。
これは私の感情?
それとも私の中にいる彼の?
分かんないけど・・・すごく嬉しい。
「グレースちゃん。」
「はい?」
「あたし・・・あなたと親友になって、やっぱ良かったわ。」
「私もだよ。ミラ。」
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「やっと止めてくれたじゃん?敬語。あんがと!」
あたしはもう二度と戦いに参加するなって、ことじゃ・・・。
「ちょっ、ちょっと待ってよグレースちゃん。あたしには、まだ守んなきゃいけない人がいっぱいいるんだよ?もちろん、グレースちゃんだって・・・。」
「まだ話は終わってません。どうか最後までお聞きを。」
「え・・・?」
穏やかな口調であたしを落ち着かせると、グレースちゃんはざわつく観衆の方を向いた。
「此度の戦争が終わった後、私達が取り組まなければならないのは・・・人間との共存共栄です。400年にも渡り、私達の仇敵として立ちはだかった人間と太平の世を築くことは並大抵のことではありません。ですが、我々は学びました。人間にも私達吸血鬼と同じ血、同じ心が宿っていると。これは私達が互いに手を取り合い、歩んでゆく未来を創る上で大きな希望となるでしょう。それを最初に見出してくれたのは・・・ここにいる彼女です。」
グレースちゃん・・・。
「よって私は!!この新生ラトヴァール王国を、人間と吸血鬼の共存国家第一号とするとともに、ここにいるミラには終戦後、これからの未来を担う両種族の子ども達を導くための学び舎の学長に任命します!!!」
ここを吸血鬼と人間の共存国家第一号に?
私をそこの・・・校長に・・・?
「引き受けてくれますね?」
・・・・・・・。
・・・・・・・。
断る理由なんかねぇや。
「謹んでご拝命いたします。グレース陛下?」
跪いて、冗談っぽくそう言うと、広場から3回目の歓声が上がった。
ステージ上でも拍手してる人がたくさんいたけど、その中でも特にはしゃいでいたのがいた。
リリーだ。
なるほど・・・。
そういうことか・・・。
観衆達に華々しく祝福されて、あたしとグレースちゃんは厳かに退場した。
「グレースちゃん?」
「はい?」
「さっきのお役目のことなんだけど・・・リリーから聞いたでしょ?」
「やはり分かってしまいましたか。」
「そりゃあんだけはしゃいでたらバレバレだよ。」
「ミラ様、学校の先生になるのが夢なんですよね?しかも吸血鬼と人間の子どもが通う。とっても素晴らしい夢じゃないですか。だから私、決めたんです。その夢をミラ様にプレゼントしてあげようって。」
「早速職権乱用?強引だねぇ~。」
「親友に似たんですかね?」
「言ってくれんじゃない?」
軽口を言い合って、グレースちゃんはあたしの方を神妙な顔で向いた。
「あなたは特別な存在としてもう十分過ぎるくらい重責を背負い続けてくれました。これからは・・・人並みの幸福の中で、生きてください。」
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「うん♪」
第二次ミラ討伐戦で受けた心の傷と、肩の重荷がやっと癒えたような気がした。
あとそれと、なんだか泣きたくなるように嬉しい・・・。
いつの日か、カリアード君と約束した光景を見て、見せてあげることができると思うと・・・。
これは私の感情?
それとも私の中にいる彼の?
分かんないけど・・・すごく嬉しい。
「グレースちゃん。」
「はい?」
「あたし・・・あなたと親友になって、やっぱ良かったわ。」
「私もだよ。ミラ。」
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「やっと止めてくれたじゃん?敬語。あんがと!」
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