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第六章 : 女王の帰還

戦事終わりて。

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・・・・・・・。

・・・・・・・。

心底後味悪いモン見ちゃったな・・・。

おかげで頭があんま働かない。

「ミラ様。今後・・・如何いたしましょうか?」

「何を?」

「先程のキイルの口ぶり・・・。アクメルが、この世界を揺るがしかねない企み事を実行しようとしていることは明白でございます。こちらとしては、どのような対策を?」

キイルが殺される前に言ったこと。

「アンタ達の平和なんか、あの方の長年の夢が叶えば、すぐに終わるんだから!!!」

アクメルは一体、何をおっ始めようとしてるんだ?

アイツのって何なんだよ?

「諸々のことは、祖王会議の時に他種族の代表同士で決めればいいよ。ゴメンだけどあたし・・・今あんまし頭働かないんだわ。」

「はっ、はい?」

あたしは縛られているジョルドのところに向かった。

「俺、が・・・導主様に、認めて、もらえず・・・。あの、方は・・・俺達を、大切な、仲間、だと・・・。」

焦点の定まってない目でうわ言を呟くジョルドを見て、あたしは何とも身につまされる思いにされる。

確かにコイツは、アウレルさんの仇だ。

許せるワケなんかない。

だけど・・・。

コイツはコイツなりに、アクメルのために戦ってたんだ。

そんな思いを無下にして、全く信用せず、駒の一人・・・生きてても死んでてもどうでもいいような扱いをした。

そして、挙句の果てにはお気に入り認定してた仲間のことを、あんなエグイやり方で殺すなんて・・・。

・・・・・・・。

・・・・・・・。

「必ずブッ倒してやる。」

表面上は大切に扱っておいて、失敗ヘマしたら平然と見捨てて、しかも殺す。

仲間のことなんだと思ってんだよマジで。

あたしはアイツを・・・絶対許さない。

「ミラ、様・・・。」

怯える態度でグレースちゃんが聞いてきた。

どうやらよっぽど怖い顔をしてたらしい。

「えっ?あっ、ゴメン。とにかく今は、この国の再建に全力を出そう。早く吸血鬼達を、故郷ふるさとに帰してあげなくっちゃ。」

「ええ!!」

その後、吸血鬼達のラトヴァールへの大移動が始まった。

あたし達はもちろん厳戒態勢で臨んだけど、黎明の開手ひらきてをはじめとする敵勢力が襲ってくることはなかった。

そればかりか、各地方の防衛ラインへの攻撃が、キイルとジョルド打倒を気に、いきなり下火になった。

だから移動の際、吸血鬼軍の主戦力を警備に割くことができたんだけど・・・。

やっぱジョルドの言う通り、アクメルのヤツに「動くな。」って命令されているのか・・・。

そうそう。

生き残ったジョルドの身柄については、イーニッドさんに任せることにした。

戦争が終わって、ヴェル・ハルド王国が復興したらエルカルカ監獄への終身刑という形に収まった。

ジョルドはそれを受け入れた。

どこか悟りを開いたような態度で。

今まで信頼を置いてたトップに見捨てられて、アイツも自分の罪と、一生かけて償うことを誓ったようだ。

こうして、ラトヴァール奪還戦から一ヵ月が経って諸々の課題が解決して、今夜・・・。

新生ラトヴァール王国での、女王の戴冠式を迎えたのだった。
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