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第六章 : 女王の帰還

ラトヴァール奪還戦⑯・再誕

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「髪?髪がどうしたのですか?」

「いやどうしたも何も見てみなよ!!」

「なっ、何これ・・・!?」

ミラ様が魔能で出した鏡を見た瞬間、私は絶句した。

「ミラ様と、同じ、髪色・・・。」

黒髪だった私の頭が、見事なプラチナブロンドに変わって、輝いている。

「ルイギ様これって・・・!!」

「分からん。儂も初めて見る事象じゃ。」

長生きなルイギ様でさえ知らない現象なんて・・・。

一体これは・・・?

「アンタがに至るなんて・・・!!!」

ハッと上を見ると、中空を見ると、キイルがすごく悔しそうな顔で私達を見下ろしていた。

「これが何なのか、あなた知っているの!?」

「詳しいことは知らないわよ。ただ一つ言えることは、アンタはミラとの絆が異常値にまで達して、同じになってしまったってことよ!!」

私がミラ様と、同じに・・・?

「導主様と私でさえ、そうはならなかったのに・・・!!なんでアンタなんかが!?どこまでも私より上行ってるようなマネばっかしやがって!!!」

私の四方に、雷を含んだが出現した。

天級ヘヴン第四位・雷風の十字架クロス・ライトストーム!!」

「グレースちゃん!!」

地級アース第二位・大地の大槍グランド・ハイスピア!!!」

咄嗟に詠唱すると、巨大な岩の槍が四方に伸び、それが縦の役割をしてくれた。

「グレースちゃんナイス!!」

安堵するミラ様に比べて、私は更に困惑した。

こんな強力で、それでいて微細な魔能操作なんて今までできなかったのに・・・。

私・・・本当にミラ様と、同じように・・・。

「だから言ったでしょ?あなたはミラと同じになったって。でもね?その程度で浮かれないでくれる?今の私には、ミラの一人や二人くらい殺せる力があるってことをね!!!」

キイルが大きく腕を掲げた。

天級ヘヴン第三位・降り穿つ雨弾レイン・バレッツ!!!」

その直後、巨大な雨の槍が、こっちに向かって無数に降ってきた。

「ミラ様!!」

「ダメだ!!さっきより量が段違いになってる!!さすがにみんなを守りながらアレは防げない!!!」

そっ、そんな!!!

どっ、どうすれば・・・!!!

・・・・・・・。

・・・・・・・。

(起こす。ドーラを。)

え・・・?

(一人や二人殺せる。だったら・・・。)

そんなこと・・・できるの?

(今のグレース、なら、出来る。信じる。)

・・・・・・・。

・・・・・・・。

「ちょっ・・・!?!?グレースちゃん何やってんの!?!?」

いきなり自分の手首を斬り落としたことに、ミラ様は驚愕した。

「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

激しい痛みが自分の右側に突き刺さる。

「くっ、くはぁ・・・!!!つっ、次はぁ・・・!!!」

右手首から流れるおびただしい量の血を、私は魔能で球状に纏めて手首の傍においた。

「グレース!!一体何をするつもりですか!?」

「味方を・・・!!増やすんですよ・・・!!ヒューゴ様!!!」

集めたに私は手をかざした。

地級アース第二位・血肉から生まれし似姿ボーン・オブ・アルターエゴ!!!」

血の玉が手首を飲み込み、自分の背丈ほどの柱となって渦を巻く。

と思ったら、そこから血の弓の雨が、キイルに向かって放たれた。

攻撃を防ぐのに気を割いて、キイルの魔能が強制キャンセルされた。

やがて血の柱の渦が『バシャ!』と地面に落ち、一人の人物が現れた。

「あっ、あなたは・・・?」

それは少女であり、銀と黒が混じった髪色で、顔立ちは整っているけど何というか・・・。

ような容貌だった。

「やはり生身の方がしっくり来る。上々。」

やや機械的ながらもその少女は、嬉しそうに微笑み、自分の手をまざまざと眺める。

そこには確かに、があった。

・・・・・・・。

・・・・・・・。

「ドーラ、様・・・?」
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