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第六章 : 女王の帰還
ロスドゥルガ急襲⑥
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“ロス・ヴェナールの鬼氣”を発動した銀武竜ソル・ヴェナ。
その彼から手痛い反撃を食らった鬼竜種・第四の冥竜。
両者は翼をはためかせて滞空しながら、互いに睨みをきかす。
雷鳴轟く中で、両者は沈黙した。
と、その時・・・!!
「グギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
第四の冥竜は潰れた口器をめいっぱい広げてソル・ヴェナに向かっていった。
「キギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
ソル・ヴェナもまた、高い咆哮を上げ、第四の冥竜に突進する。
そして両者は文字通り暗雲が満ちる空の下で激突した。
空中でもつれ込み、双方相手を捕らえようと躍起になる。
先手を取ったのは、ソル・ヴェナの方だった。
第四の冥竜の背中にしがみついたソル・ヴェナは、漆黒の羽毛で覆われ両翼を突き立てながら、背中に噛み付いた。
「グゴガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?!?!?!?」
苦悶に満ちた絶叫を上げる第四の冥竜。
それもそのはず、“ロス・ヴェナールの鬼氣”はソル・ヴェナにとってはロスドゥルガの呪毒に対する抗体となるが、彼以外の全ての生物にとっては、激痛をもたらし、命を削り取ってゆく猛毒だったからだ。
両翼と牙から鬼氣を体内に流し込まれ、第四の冥竜は激痛に悶え苦しむ。
ソル・ヴェナは間髪入れず、今度は冥竜の翼を爪で引き裂き、牙で喰いちぎりズタズタにしていく。
やがて翼の大半を失った冥竜は、ソル・ヴェナとともに魔族の大軍で埋め尽くされた地上へと落下していく。
直下にいた魔族達は急いで退避しようとしたが、間に合わず第四の冥竜とソル・ヴェナによって圧し潰されてしまった。
地上に落下したソル・ヴェナは、馬乗りになって第四の冥竜に怒涛の追撃を行なった。
首に噛み付き、胴を刃翼で滅多刺しにし・・・。
その様は高貴な竜種とは程遠い、まさに“獣の喰い合い”と形容するに相応しかった。
「そんな・・・。」
マースミレン陥落の切り札だった鬼竜種が、ただ一方的にやられる光景に、リセは茫然自失するしかなかった。
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
そして、ついにソル・ヴェナの爪が第四の冥竜の心臓に到達しようとしたその時だった。
「グガァ・・・!?」
ソル・ヴェナの背後を、第四の冥竜の三叉槍状の尾が貫き、彼を投げ飛ばした。
第四の冥竜はその後立ち上がり、二本足で立ち上がり、天に向かってドス黒い光弾を吐いた。
それは上空で幾つもに分裂し、ソル・ヴェナに弾幕として降り注いだ。
冥竜の反撃をまともに受けたソル・ヴェナの身体はひどく焼け爛れ、動くことができなかった。
鬼氣を発動したソル・ヴェナは冥竜に攻撃を浴びせた。
だがそれでも、冥竜の強靭な生命力を削ぎ落すには及ばず、思わぬところで反撃を受けてしまった。
これまで受けた分の仕返しとせんばかりの威圧感を放ちながらソル・ヴェナにゆっくりと近づいてゆく第四の冥竜。
(第一段階では、奴を仕留めるには及ばなかったか・・・。)
言葉を失いながらも、ソル・ヴェナの理性はまだ消えてなく、思考を巡らせていた。
(であれば、次の段階を発動するしかない。しかし、それでも仕留められなければ・・・。)
ロス・ヴェナールの鬼氣の発動は全部で第三段階まである。
しかし、発動するごとに身体の変容とともに自我が失われてゆき、第三段階までいくと破壊と殺戮の限りを尽くす異形と化し、己の身体が自壊するまで止まらない。
よって第二段階までに仕留めなければいけなかった。
だが第二段階の時点でも、理性がほぼ消失し、自分が何者かであるかを思い出すのも精一杯になってしまう。
自分が徐々に怪物になっていくことに、3000年ぶりに恐怖するソル・ヴェナ。
しかし・・・。
(我には帰りを待つ者がいる!!ならば勝利と生を同時に獲得するのみッッッ!!!)
彼は迷わなかった。
(第二段階・烈!!)
第二段階を発動すると間もなく、ソル・ヴェナは新たな変貌を遂げた。
瞳はオレンジ色に光り、四肢のくるぶしからは漆黒のブレードが伸び、翼には不浄の気が纏わり、角はダークダイヤモンドのように輝いた。
「ギュラアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
ソル・ヴェナは更に甲高くなった咆哮を上げ、それはどこか苦しみを湛えているようだった。
その彼から手痛い反撃を食らった鬼竜種・第四の冥竜。
両者は翼をはためかせて滞空しながら、互いに睨みをきかす。
雷鳴轟く中で、両者は沈黙した。
と、その時・・・!!
「グギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
第四の冥竜は潰れた口器をめいっぱい広げてソル・ヴェナに向かっていった。
「キギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
ソル・ヴェナもまた、高い咆哮を上げ、第四の冥竜に突進する。
そして両者は文字通り暗雲が満ちる空の下で激突した。
空中でもつれ込み、双方相手を捕らえようと躍起になる。
先手を取ったのは、ソル・ヴェナの方だった。
第四の冥竜の背中にしがみついたソル・ヴェナは、漆黒の羽毛で覆われ両翼を突き立てながら、背中に噛み付いた。
「グゴガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?!?!?!?」
苦悶に満ちた絶叫を上げる第四の冥竜。
それもそのはず、“ロス・ヴェナールの鬼氣”はソル・ヴェナにとってはロスドゥルガの呪毒に対する抗体となるが、彼以外の全ての生物にとっては、激痛をもたらし、命を削り取ってゆく猛毒だったからだ。
両翼と牙から鬼氣を体内に流し込まれ、第四の冥竜は激痛に悶え苦しむ。
ソル・ヴェナは間髪入れず、今度は冥竜の翼を爪で引き裂き、牙で喰いちぎりズタズタにしていく。
やがて翼の大半を失った冥竜は、ソル・ヴェナとともに魔族の大軍で埋め尽くされた地上へと落下していく。
直下にいた魔族達は急いで退避しようとしたが、間に合わず第四の冥竜とソル・ヴェナによって圧し潰されてしまった。
地上に落下したソル・ヴェナは、馬乗りになって第四の冥竜に怒涛の追撃を行なった。
首に噛み付き、胴を刃翼で滅多刺しにし・・・。
その様は高貴な竜種とは程遠い、まさに“獣の喰い合い”と形容するに相応しかった。
「そんな・・・。」
マースミレン陥落の切り札だった鬼竜種が、ただ一方的にやられる光景に、リセは茫然自失するしかなかった。
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
そして、ついにソル・ヴェナの爪が第四の冥竜の心臓に到達しようとしたその時だった。
「グガァ・・・!?」
ソル・ヴェナの背後を、第四の冥竜の三叉槍状の尾が貫き、彼を投げ飛ばした。
第四の冥竜はその後立ち上がり、二本足で立ち上がり、天に向かってドス黒い光弾を吐いた。
それは上空で幾つもに分裂し、ソル・ヴェナに弾幕として降り注いだ。
冥竜の反撃をまともに受けたソル・ヴェナの身体はひどく焼け爛れ、動くことができなかった。
鬼氣を発動したソル・ヴェナは冥竜に攻撃を浴びせた。
だがそれでも、冥竜の強靭な生命力を削ぎ落すには及ばず、思わぬところで反撃を受けてしまった。
これまで受けた分の仕返しとせんばかりの威圧感を放ちながらソル・ヴェナにゆっくりと近づいてゆく第四の冥竜。
(第一段階では、奴を仕留めるには及ばなかったか・・・。)
言葉を失いながらも、ソル・ヴェナの理性はまだ消えてなく、思考を巡らせていた。
(であれば、次の段階を発動するしかない。しかし、それでも仕留められなければ・・・。)
ロス・ヴェナールの鬼氣の発動は全部で第三段階まである。
しかし、発動するごとに身体の変容とともに自我が失われてゆき、第三段階までいくと破壊と殺戮の限りを尽くす異形と化し、己の身体が自壊するまで止まらない。
よって第二段階までに仕留めなければいけなかった。
だが第二段階の時点でも、理性がほぼ消失し、自分が何者かであるかを思い出すのも精一杯になってしまう。
自分が徐々に怪物になっていくことに、3000年ぶりに恐怖するソル・ヴェナ。
しかし・・・。
(我には帰りを待つ者がいる!!ならば勝利と生を同時に獲得するのみッッッ!!!)
彼は迷わなかった。
(第二段階・烈!!)
第二段階を発動すると間もなく、ソル・ヴェナは新たな変貌を遂げた。
瞳はオレンジ色に光り、四肢のくるぶしからは漆黒のブレードが伸び、翼には不浄の気が纏わり、角はダークダイヤモンドのように輝いた。
「ギュラアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
ソル・ヴェナは更に甲高くなった咆哮を上げ、それはどこか苦しみを湛えているようだった。
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