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第五章 : 救世主と英雄
第二次ミラ討伐戦㊱・黎明
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ついに相対した吸血鬼の救世主、“救血の乙女・ミラ”。
黎明の開手の導主、“全能雄・アクメル=フォーレン=フレイザー”。
互いに睨み合う両者の周りを、圧倒的強者だけしか放つことができない途轍もない威圧感が支配する。
そして、その沈黙は突如として破られた。
「全回復。」
ミラがそう呟いたら、アクメルによって斬り飛ばされた6本の腕がゆっくりとだが元通り再生していった。
本来ならばあらゆる治癒魔能を以ってしても回復できないはずの傷がだ。
だがアクメルは、驚くことはなく、妙に納得した表情を浮かべてその様を見た。
「やはりか。僕と存在の成り立ちが同じお前には、僕の作った魔能はイマイチ効かないらしい。」
無表情を貫くミラとは反対に、アクメルは興味深々といった笑みを浮かべた。
「試し甲斐がある。さて、どれほどいけば殺すことができるか?」
アクメルが手を広げると、漆黒の、まるで夜空から作られたような一振りの剣が作られた。
「祖級第零位・絶空剣。」
そしてミラも、6本ある腕を同時にバッと広げた。
「血操師・剣錬成。」
剣を携えた両者は、一斉に踏み込み、斬りかかった。
ミラの目で追えないほどの斬撃がアクメルに襲い掛かる。
しかしアクメルは、それを全て見切り、自らの剣でミラの攻撃を弾いていく。
「なるほど。強度面が大幅に向上されているな。」
アクメルの持つ剣、“絶空剣は、その名の通り彼の魔能を剣として具現化した物。
ならば当然、魔能の効果は剣に付与される。
通常の武器ならば刃と刃がぶつかり合った瞬間、相手の剣が折れる。
また、例外であるミラの場合であっても、幾数回の打ち合いで彼女の剣を粉砕することができる。
しかしこれほどの激しい鍔迫り合いであっても彼女の剣が折れないということは、血操師が憤怒よ我にによって大幅に強化されていることを如実に表していた。
やがて両者の打ち合いが始まり5分ほど経過した時、ミラがアクメルの隙を突き、胴体に渾身の蹴りを入れた。
蹴り飛ばされたアクメルは、ドーム型に抉れたエボルの山の壁に激突した。
ミラは6つの剣を構えて、アクメルが激突した場所に向かって突進した。
しかし次の瞬間、ミラの胸の上から右の腹にかけて斜めに斬り飛ばされた。
土煙が晴れると、そこには指を構えたアクメルが全くの無傷の状態でいた。
「中々に効いたぞ!ミラ!」
手痛い一撃を受けたはずだったのに、何故かアクメルはどこか楽しそうだった。
右上半身を失い、宙で姿勢をグラつかせるミラ。
だが斬り飛ばされた部位を瞬時に再生させ、そのままアクメルの顔面を殴りつけた。
そしてミラは6本ある腕で、アクメルに容赦ない殴打の応酬を浴びせる。
やがて山に亀裂が走り、両者のいる場所は今にも崩れ落ちそうだった。
そしてとうとう崩れるかと思った瞬間、アクメルがミラの拳を受け止めた。
「祖級第零位・五大元素王爆。」
次の瞬間、エボルの半分ほどが吹き飛ぶかと思わんばかりの大爆発が巻き起こった。
“五大元素王爆”。
火・水・地・風・空の、この世を構成する元素を一気に衝突させることで天災レベルの爆発を起こすアクメルオリジナルの魔能。
普通ならばまともに食らえば、相手は跡形もなく消滅する。
しかしミラは違った。
爆発を生き乗ったミラはアクメルの頭を鷲掴みにした。
「弾丸走破。」
そしてアクメルを地に叩きつけたまま超高速移動でエボルを駆け回った。
ミラと彼女にガッチリ抑え込まれたアクメルが激突する度に、巨大な瓦礫の山が次々に粉砕されていく。
「後頭部が痛いからさ、そろそろこの辺にしてくれよ。」
アクメルはミラの胴体を思いっきり蹴り上げ、彼女の身体は天高く打ち上げられた。
反撃したアクメルは、打ち上げられたミラのところに急接近し、彼女に絶空を三連撃与えた。
身体を三分割されたミラは地面に打ち付けられるように落下した。
しかしそれでも、彼女は再生することを止めなかった。
「祖級第零位・石星千堕
アクメルが詠唱すると、空に散らばる無数の星々の欠片が、ミラに向かって降り注いだ。
これだけやれば、流石に仕留めるられるか?
しかし、吸血鬼の救世主はそう易々と討ち取れるほど甘くはなかった。
ミラはすでに回復を済ませており、格段に強化された球形防壁でアクメルの攻撃を防いでいた。
「血操師・無限剣錬成。」
エボルに散っていた血から無数の剣を錬造したミラは、それを浮遊するアクメルに浴びせた。
「くくっ。くっ・・・!ははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!やはりお前は最高だよッッッ!!!ミラぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
やがてエボルは、幾千もの星屑と幾千もの血の剣が互いに衝突し合う地へと化した。
両者の激しい打ち合いが繰り広げられる中、アクメルは悟った。
最早ミラは、何人たりとも殺すことができない、神にも等しい存在に成り果てたことを。
もし仮に、先の討伐戦でミラが憤怒よ我にを使用していたら、ミラの方に軍配が下っていたことを・・・。
アクメルは歓喜した。
“まさか自分を殺すためにこの世に生を受けた者がこれほどの力を持っていたとは!!!”と。
やがて球形防壁を展開したまま、ミラは浮遊魔能で浮かび、アクメルと向かい合った。
そしてミラは右手を高く掲げ、それと同時にエボルは巨大な雲海に覆われ、その中心は渦を描きながら高出力のエネルギーを蓄積してゆく。
やがて蓄積されたエネルギーは小さな光の玉となり、まるで解き放たれるのを待ちわびているようだった。
ミラが掲げた右手を下ろした時、それがこの、“異次元の千日手”の終幕を告げる合図だった。
「天級第一位・救済神の涙。」
雲の渦の中の光玉は一気に落下し。ミラとアクメルの間に到達した瞬間に激しい光を放った。
“天級第一位魔能・救済神の涙”
先のヴェル・ハルド王国王都における朽鬼病蔓延の際に、街を占領した全ての朽鬼を消滅したこの魔能は、前述した通り自らが敵と認識したあらゆるものを消滅させることができる。
だがしかし、それは生命だけとは限らない。
自分が敵と認識した物ならば、建造物や敵の行使する魔能でも問答無用で消滅させることができる。
加えて今回発動されたのは、憤怒よ我にによって強化されている状態だったため、効果範囲は前回の比ではなかった。
今回の効果範囲は・・・およそ100km以上。
これはかつて、ロシアで開発された史上最強の水素爆弾、爆弾の皇帝に匹敵する威力。
後に明かされた記録によると、魔能発動によって生じた光の衝撃波は、遥か離れた北方、東方、西方においても確認された程だという。
これによりミラは、エボルに派遣された魔首十客、第二・第三階層でリセが解き放った朽鬼、そして、ステラフォルト要塞のように南方に位置するアドニサカ魔政国の拠点9割を、一瞬にして消滅させた。
アクメルは黒宙の禍によって、救済神の涙の影響をどうにか相殺させていたが、やがてそれも限界が近づいていた。
「この辺りが潮時か。じゃあねミラ。中々に楽しませてもらったよ。」
満足げな笑みを浮かべて、アクメルは転移魔能でその場を後にした。
それと同時に、救済神の涙の発動も完結し、膨大な魔力を使ったことにより、憤怒よ我にも、その終わりが近づいていた。
◇◇◇
ボーっとしていた意識が、段々はっきりしてくる・・・。
あたし、一体何してたんだっけ?
ゆっくりと地面に着地して、あたしは辺りを見回した。
ドーム状に抉れた山の影から、ゆっくりと朝日が昇ってくる。
その時・・・全部思い出した。
大切な仲間を殺されて、怒り狂ったあたしがエスプを殺したこと。
“絶対使っちゃいけない。”と言われた魔能を使ってしまったこと。
そしてそのせいで・・・数え切れない、人が、命を、落とした、ことを・・・。
「はっ・・・!!はっ・・・!!はっ・・・!!」
どんどん荒くなってくる息とともに吐き気を催したあたしは、我慢できずその場に吐いてしまった。
そして地面に膝を付いて、そのまま地面にうずくまった。
「あっ・・・!!ああっ・・・!!ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
半狂乱になったあたしは、頭を抱えて慟哭を上げた。
「何が理想だよ!?何が“吸血鬼と人間が仲良く暮らせる世界だよ!?結局口だけかよ!?この人殺しがああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
誓ったはずじゃなかったのかよ?
もう二度と人を殺さないって・・・。
自分を殺した通り魔とは一緒にならないって・・・。
・・・・・・・。
・・・・・・・。
約束を破ってしまった。
そればかりか、大切な人達もいっぱい失った。
もう、イヤだ・・・。
もう・・・。
受け入れたくないことが立て続けに起こって、あたしは、何もかもがイヤになってしまった。
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「ゴメン、ミラ。あたし、もう、アンタの代わり・・・やりたくない・・・。」
黎明の開手の導主、“全能雄・アクメル=フォーレン=フレイザー”。
互いに睨み合う両者の周りを、圧倒的強者だけしか放つことができない途轍もない威圧感が支配する。
そして、その沈黙は突如として破られた。
「全回復。」
ミラがそう呟いたら、アクメルによって斬り飛ばされた6本の腕がゆっくりとだが元通り再生していった。
本来ならばあらゆる治癒魔能を以ってしても回復できないはずの傷がだ。
だがアクメルは、驚くことはなく、妙に納得した表情を浮かべてその様を見た。
「やはりか。僕と存在の成り立ちが同じお前には、僕の作った魔能はイマイチ効かないらしい。」
無表情を貫くミラとは反対に、アクメルは興味深々といった笑みを浮かべた。
「試し甲斐がある。さて、どれほどいけば殺すことができるか?」
アクメルが手を広げると、漆黒の、まるで夜空から作られたような一振りの剣が作られた。
「祖級第零位・絶空剣。」
そしてミラも、6本ある腕を同時にバッと広げた。
「血操師・剣錬成。」
剣を携えた両者は、一斉に踏み込み、斬りかかった。
ミラの目で追えないほどの斬撃がアクメルに襲い掛かる。
しかしアクメルは、それを全て見切り、自らの剣でミラの攻撃を弾いていく。
「なるほど。強度面が大幅に向上されているな。」
アクメルの持つ剣、“絶空剣は、その名の通り彼の魔能を剣として具現化した物。
ならば当然、魔能の効果は剣に付与される。
通常の武器ならば刃と刃がぶつかり合った瞬間、相手の剣が折れる。
また、例外であるミラの場合であっても、幾数回の打ち合いで彼女の剣を粉砕することができる。
しかしこれほどの激しい鍔迫り合いであっても彼女の剣が折れないということは、血操師が憤怒よ我にによって大幅に強化されていることを如実に表していた。
やがて両者の打ち合いが始まり5分ほど経過した時、ミラがアクメルの隙を突き、胴体に渾身の蹴りを入れた。
蹴り飛ばされたアクメルは、ドーム型に抉れたエボルの山の壁に激突した。
ミラは6つの剣を構えて、アクメルが激突した場所に向かって突進した。
しかし次の瞬間、ミラの胸の上から右の腹にかけて斜めに斬り飛ばされた。
土煙が晴れると、そこには指を構えたアクメルが全くの無傷の状態でいた。
「中々に効いたぞ!ミラ!」
手痛い一撃を受けたはずだったのに、何故かアクメルはどこか楽しそうだった。
右上半身を失い、宙で姿勢をグラつかせるミラ。
だが斬り飛ばされた部位を瞬時に再生させ、そのままアクメルの顔面を殴りつけた。
そしてミラは6本ある腕で、アクメルに容赦ない殴打の応酬を浴びせる。
やがて山に亀裂が走り、両者のいる場所は今にも崩れ落ちそうだった。
そしてとうとう崩れるかと思った瞬間、アクメルがミラの拳を受け止めた。
「祖級第零位・五大元素王爆。」
次の瞬間、エボルの半分ほどが吹き飛ぶかと思わんばかりの大爆発が巻き起こった。
“五大元素王爆”。
火・水・地・風・空の、この世を構成する元素を一気に衝突させることで天災レベルの爆発を起こすアクメルオリジナルの魔能。
普通ならばまともに食らえば、相手は跡形もなく消滅する。
しかしミラは違った。
爆発を生き乗ったミラはアクメルの頭を鷲掴みにした。
「弾丸走破。」
そしてアクメルを地に叩きつけたまま超高速移動でエボルを駆け回った。
ミラと彼女にガッチリ抑え込まれたアクメルが激突する度に、巨大な瓦礫の山が次々に粉砕されていく。
「後頭部が痛いからさ、そろそろこの辺にしてくれよ。」
アクメルはミラの胴体を思いっきり蹴り上げ、彼女の身体は天高く打ち上げられた。
反撃したアクメルは、打ち上げられたミラのところに急接近し、彼女に絶空を三連撃与えた。
身体を三分割されたミラは地面に打ち付けられるように落下した。
しかしそれでも、彼女は再生することを止めなかった。
「祖級第零位・石星千堕
アクメルが詠唱すると、空に散らばる無数の星々の欠片が、ミラに向かって降り注いだ。
これだけやれば、流石に仕留めるられるか?
しかし、吸血鬼の救世主はそう易々と討ち取れるほど甘くはなかった。
ミラはすでに回復を済ませており、格段に強化された球形防壁でアクメルの攻撃を防いでいた。
「血操師・無限剣錬成。」
エボルに散っていた血から無数の剣を錬造したミラは、それを浮遊するアクメルに浴びせた。
「くくっ。くっ・・・!ははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!やはりお前は最高だよッッッ!!!ミラぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
やがてエボルは、幾千もの星屑と幾千もの血の剣が互いに衝突し合う地へと化した。
両者の激しい打ち合いが繰り広げられる中、アクメルは悟った。
最早ミラは、何人たりとも殺すことができない、神にも等しい存在に成り果てたことを。
もし仮に、先の討伐戦でミラが憤怒よ我にを使用していたら、ミラの方に軍配が下っていたことを・・・。
アクメルは歓喜した。
“まさか自分を殺すためにこの世に生を受けた者がこれほどの力を持っていたとは!!!”と。
やがて球形防壁を展開したまま、ミラは浮遊魔能で浮かび、アクメルと向かい合った。
そしてミラは右手を高く掲げ、それと同時にエボルは巨大な雲海に覆われ、その中心は渦を描きながら高出力のエネルギーを蓄積してゆく。
やがて蓄積されたエネルギーは小さな光の玉となり、まるで解き放たれるのを待ちわびているようだった。
ミラが掲げた右手を下ろした時、それがこの、“異次元の千日手”の終幕を告げる合図だった。
「天級第一位・救済神の涙。」
雲の渦の中の光玉は一気に落下し。ミラとアクメルの間に到達した瞬間に激しい光を放った。
“天級第一位魔能・救済神の涙”
先のヴェル・ハルド王国王都における朽鬼病蔓延の際に、街を占領した全ての朽鬼を消滅したこの魔能は、前述した通り自らが敵と認識したあらゆるものを消滅させることができる。
だがしかし、それは生命だけとは限らない。
自分が敵と認識した物ならば、建造物や敵の行使する魔能でも問答無用で消滅させることができる。
加えて今回発動されたのは、憤怒よ我にによって強化されている状態だったため、効果範囲は前回の比ではなかった。
今回の効果範囲は・・・およそ100km以上。
これはかつて、ロシアで開発された史上最強の水素爆弾、爆弾の皇帝に匹敵する威力。
後に明かされた記録によると、魔能発動によって生じた光の衝撃波は、遥か離れた北方、東方、西方においても確認された程だという。
これによりミラは、エボルに派遣された魔首十客、第二・第三階層でリセが解き放った朽鬼、そして、ステラフォルト要塞のように南方に位置するアドニサカ魔政国の拠点9割を、一瞬にして消滅させた。
アクメルは黒宙の禍によって、救済神の涙の影響をどうにか相殺させていたが、やがてそれも限界が近づいていた。
「この辺りが潮時か。じゃあねミラ。中々に楽しませてもらったよ。」
満足げな笑みを浮かべて、アクメルは転移魔能でその場を後にした。
それと同時に、救済神の涙の発動も完結し、膨大な魔力を使ったことにより、憤怒よ我にも、その終わりが近づいていた。
◇◇◇
ボーっとしていた意識が、段々はっきりしてくる・・・。
あたし、一体何してたんだっけ?
ゆっくりと地面に着地して、あたしは辺りを見回した。
ドーム状に抉れた山の影から、ゆっくりと朝日が昇ってくる。
その時・・・全部思い出した。
大切な仲間を殺されて、怒り狂ったあたしがエスプを殺したこと。
“絶対使っちゃいけない。”と言われた魔能を使ってしまったこと。
そしてそのせいで・・・数え切れない、人が、命を、落とした、ことを・・・。
「はっ・・・!!はっ・・・!!はっ・・・!!」
どんどん荒くなってくる息とともに吐き気を催したあたしは、我慢できずその場に吐いてしまった。
そして地面に膝を付いて、そのまま地面にうずくまった。
「あっ・・・!!ああっ・・・!!ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
半狂乱になったあたしは、頭を抱えて慟哭を上げた。
「何が理想だよ!?何が“吸血鬼と人間が仲良く暮らせる世界だよ!?結局口だけかよ!?この人殺しがああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
誓ったはずじゃなかったのかよ?
もう二度と人を殺さないって・・・。
自分を殺した通り魔とは一緒にならないって・・・。
・・・・・・・。
・・・・・・・。
約束を破ってしまった。
そればかりか、大切な人達もいっぱい失った。
もう、イヤだ・・・。
もう・・・。
受け入れたくないことが立て続けに起こって、あたしは、何もかもがイヤになってしまった。
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「ゴメン、ミラ。あたし、もう、アンタの代わり・・・やりたくない・・・。」
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