323 / 514
第五章 : 救世主と英雄
第二次ミラ討伐戦㉞・怨力
しおりを挟む
「ちなみにさ、もう一個使っちゃいけない魔能ってのはあるの?」
“冥王の降臨”について聞いた後、あたしはアーさんに聞いた。
だって試しに使ってみて、後から「それ絶対使っちゃダメなヤツですからねッッッ!!!」って怒られたらシャレにもならんから・・・。
「まぁミラ様は、700以上の魔能を所持していますからね・・・。危険な魔能も一つや二つではありませんよ・・・。」
あっ、やっぱあるんだ!!
ってかあたしそんだけ魔能使えんの!?!?
マジでえげつないチートキャラだなオイ!!
「中でも先程の“冥王の降臨”に匹敵するほどの危険性を秘めているのは、コレです。」
「何コレ?憤怒よ我に?」
これも天級第一位なんだ。
そりゃ同じくらい危険って言われても納得だわ。
「コレの効果、“比類なき怒りを全て力に変換。”って書いてるけど具体的にどんなモンなのさ?」
「さぁ~?この魔能に関しては行使された記録がないので正直言って何とも・・・。」
変なところでアバウトだなこの取り扱い説明書・・・。
「まぁ何となくピンとはきてるんだけどね?」
「というと?」
「多分コレ・・・怒りを全部自分の力に変換できるってことじゃない?なんていうのかな?怒り任せの攻撃が怒り任せの攻撃じゃなくなる・・・みたいな?」
「どうにも的を得ない答えですね・・・。」
「他に思いつくのが出なかったんだからそこはツッコまないでよ・・・。まぁ、とにかく?かなりヤバイ効果を持ってるってのはざっくり伝わったから絶対使わないようにするよ。」
「くれぐれもよろしくお願いしますね。」
「大丈夫だって!!あたしそんなに誰かに殺意抱くほど怒ったことなんてないんだから~!!」
◇◇◇
詠唱した後に変貌を遂げたミラに、ジョルド、キイル、リセ、ノイエフの4人は戦慄した。
その姿にでもあるが、何より恐ろしかったのは、その表情だ。
ただ一点を見つめるだけの目に、呆けたように少し開いた口。
それはまるで、あらゆる感情の一切が消え失せてしまったかのようだった。
「じょ、ジョルド様・・・!」
膠着状態から脱しようと、ノイエフがジョルドに意見を求める。
「おっ、落ち着け!体制を立て直し、今度は4人同時に攻めるぞ。そうすれば勝機が・・・」
ジョルドがノイエフに指示を出すため、彼の方へ視線を僅かに移した時だった。
突然ミラが、ジョルドのすぐ側まで迫ってきて、彼をただの腕の一振りで100mほど吹き飛ばした。
壁に勢いよく激突したジョルドは左腕が無くなっており、ピクリとも動かなかった。
「ジョルド様ッッッ!!!」
突然のことに動揺するノイエフ。
パッとミラの方を向き直すが・・・彼女はいなくなっている。
どこかと辺りを見回していると、腹に複数の衝撃。
ふと下を見ると、ミラの血から鍛造された6本もの剣が、ノイエフの胴を貫いていた。
「ゴボッ・・・!!」と激しく血を吐いて、倒れるノイエフ。
「おっ、おのれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
「やってくれたわね。ミラッッッ!!!」
ジョルドとノイエフがやられたことに憤り、反撃に転じようとするキイルとリセ。
しかし・・・。
「地級第三位・風切りの加護。」
抑揚のない声でミラが詠唱した刹那、彼女の周囲に大規模な風の斬撃が発生し、それに飲み込まれたキイルとリセは身体中をズタズタにされた。
「導主様。」
「ああ。これは厄介だな。」
4人がやられるのを見ていたアクメルとソールが緊迫した表情を見せた。
「おそらくあの憤怒よ我に・・・自分が使える他の魔能の威力を爆発的に向上させる効果がある。さっきのミラの動き、あれは狂昂する命の効果が増して、ミラの身体能力がエスプの比じゃないくらいに上昇した結果だろう。」
「いかがしましょうか?」
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「死にかけだけどみんな生きてる。僕が助けている間にソール・・・時間稼ぎ、お願いできる?」
少し驚いたように目を見開いた後、ソールは澄ました顔で答えた。
「仰せのままに。あなた様の命に従うのが我が一族の務めなのですから。」
その答えを聞き、アクメルは安心した雰囲気を醸して微笑んだ。
「頼んだよ?ソール。」
“冥王の降臨”について聞いた後、あたしはアーさんに聞いた。
だって試しに使ってみて、後から「それ絶対使っちゃダメなヤツですからねッッッ!!!」って怒られたらシャレにもならんから・・・。
「まぁミラ様は、700以上の魔能を所持していますからね・・・。危険な魔能も一つや二つではありませんよ・・・。」
あっ、やっぱあるんだ!!
ってかあたしそんだけ魔能使えんの!?!?
マジでえげつないチートキャラだなオイ!!
「中でも先程の“冥王の降臨”に匹敵するほどの危険性を秘めているのは、コレです。」
「何コレ?憤怒よ我に?」
これも天級第一位なんだ。
そりゃ同じくらい危険って言われても納得だわ。
「コレの効果、“比類なき怒りを全て力に変換。”って書いてるけど具体的にどんなモンなのさ?」
「さぁ~?この魔能に関しては行使された記録がないので正直言って何とも・・・。」
変なところでアバウトだなこの取り扱い説明書・・・。
「まぁ何となくピンとはきてるんだけどね?」
「というと?」
「多分コレ・・・怒りを全部自分の力に変換できるってことじゃない?なんていうのかな?怒り任せの攻撃が怒り任せの攻撃じゃなくなる・・・みたいな?」
「どうにも的を得ない答えですね・・・。」
「他に思いつくのが出なかったんだからそこはツッコまないでよ・・・。まぁ、とにかく?かなりヤバイ効果を持ってるってのはざっくり伝わったから絶対使わないようにするよ。」
「くれぐれもよろしくお願いしますね。」
「大丈夫だって!!あたしそんなに誰かに殺意抱くほど怒ったことなんてないんだから~!!」
◇◇◇
詠唱した後に変貌を遂げたミラに、ジョルド、キイル、リセ、ノイエフの4人は戦慄した。
その姿にでもあるが、何より恐ろしかったのは、その表情だ。
ただ一点を見つめるだけの目に、呆けたように少し開いた口。
それはまるで、あらゆる感情の一切が消え失せてしまったかのようだった。
「じょ、ジョルド様・・・!」
膠着状態から脱しようと、ノイエフがジョルドに意見を求める。
「おっ、落ち着け!体制を立て直し、今度は4人同時に攻めるぞ。そうすれば勝機が・・・」
ジョルドがノイエフに指示を出すため、彼の方へ視線を僅かに移した時だった。
突然ミラが、ジョルドのすぐ側まで迫ってきて、彼をただの腕の一振りで100mほど吹き飛ばした。
壁に勢いよく激突したジョルドは左腕が無くなっており、ピクリとも動かなかった。
「ジョルド様ッッッ!!!」
突然のことに動揺するノイエフ。
パッとミラの方を向き直すが・・・彼女はいなくなっている。
どこかと辺りを見回していると、腹に複数の衝撃。
ふと下を見ると、ミラの血から鍛造された6本もの剣が、ノイエフの胴を貫いていた。
「ゴボッ・・・!!」と激しく血を吐いて、倒れるノイエフ。
「おっ、おのれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
「やってくれたわね。ミラッッッ!!!」
ジョルドとノイエフがやられたことに憤り、反撃に転じようとするキイルとリセ。
しかし・・・。
「地級第三位・風切りの加護。」
抑揚のない声でミラが詠唱した刹那、彼女の周囲に大規模な風の斬撃が発生し、それに飲み込まれたキイルとリセは身体中をズタズタにされた。
「導主様。」
「ああ。これは厄介だな。」
4人がやられるのを見ていたアクメルとソールが緊迫した表情を見せた。
「おそらくあの憤怒よ我に・・・自分が使える他の魔能の威力を爆発的に向上させる効果がある。さっきのミラの動き、あれは狂昂する命の効果が増して、ミラの身体能力がエスプの比じゃないくらいに上昇した結果だろう。」
「いかがしましょうか?」
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「死にかけだけどみんな生きてる。僕が助けている間にソール・・・時間稼ぎ、お願いできる?」
少し驚いたように目を見開いた後、ソールは澄ました顔で答えた。
「仰せのままに。あなた様の命に従うのが我が一族の務めなのですから。」
その答えを聞き、アクメルは安心した雰囲気を醸して微笑んだ。
「頼んだよ?ソール。」
0
お気に入りに追加
106
あなたにおすすめの小説
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
【完結】彼女以外、みんな思い出す。
❄️冬は つとめて
ファンタジー
R15をつける事にしました。
幼い頃からの婚約者、この国の第二王子に婚約破棄を告げられ。あらぬ冤罪を突きつけられたリフィル。この場所に誰も助けてくれるものはいない。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜
一ノ瀬 彩音
ファンタジー
元勇者パーティーで雑用係をしていたが、追放されてしまった。
しかし彼は本当は最強でしかも、真の実力を隠していた!
今は辺境の小さな村でひっそりと暮らしている。
そうしていると……?
※第3回HJ小説大賞一次通過作品です!
異世界転生したらよくわからない騎士の家に生まれたので、とりあえず死なないように気をつけていたら無双してしまった件。
星の国のマジシャン
ファンタジー
引きこもりニート、40歳の俺が、皇帝に騎士として支える分家の貴族に転生。
そして魔法剣術学校の剣術科に通うことなるが、そこには波瀾万丈な物語が生まれる程の過酷な「必須科目」の数々が。
本家VS分家の「決闘」や、卒業と命を懸け必死で戦い抜く「魔物サバイバル」、さらには40年の弱男人生で味わったことのない甘酸っぱい青春群像劇やモテ期も…。
この世界を動かす、最大の敵にご注目ください!
〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。
十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。
ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。
元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
そして更に二年、とうとうその日が来た……
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる