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第五章 : 救世主と英雄

第二次ミラ討伐戦㉛・絶殺

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眠い。

どうしようもなく、眠い。

もう朝?

早く起きないと、学校に遅れちゃう。

あれ?

身体・・・動かない。

それにこの浮遊感・・・。

もしかして、ちょっぴり起きた状態で夢、見てんのかな?

空から落下する夢なんて見たくないな・・・。

完全に起きた時、すごくビックリするから。

にしてもリアルだな、この夢・・・。

っていうかあたし、昨日の夜何してたっけ?

あんまよく思い出せないな。

そもそも、あたし、家に居たっけ?

あたし、あたし・・・。



あたし・・・あたし・・・。

ぼんやりした意識がようやくはっきりしだしたのは、地面に激突した後だった。

むくりと起き上がって辺りを見回すとそこは、焼け野原だった。

まるで、核爆発でも起こったかのような・・・。

周りがボウル状に窪んでいることから、ここが山の中にあった街であることが微妙に分かる。

あれ?

ちょっと待って。

山の、中の、街・・・?

・・・・・・・。

・・・・・・・。

ッッッ!!!

そうだ!!!

ここは・・・エボルの都市部が広がっている第一階層だ!!

でもなんで剥き出しの状態になってんの!?

え?

の、街・・・?

そうだ。

あたし、ここに平和外交に来てて、ソル・ヴェナのいる最下層で黎明の開手ひらきての奇襲に遭って・・・。

ノイエフに・・・殺、された・・・?

ようやくこれまでの自分にあったことを思い出し、あたしは頭がグラついた。

それはそうだ。

なんせさっきまで死んでたのだから。

でもあたしは、転生した時と違って、で復活することができた。

どういうことだ?

ノイエフの魔能では完全には死にきれなかったのか?

でもなんでこんなに時間が経過してる?

いや。

それを考えるのは後回しだ。

今はここで、一体何が起こったのかを知るのが優先だ。

幸いにも、知る方法はある。

天級ヘヴン第五位・千里の軌跡ビヨンド・タイムレコード。」

これさえあれば、半径10kmで起きた出来事を最大2時間にわたって詳細に知ることができる。

教えて!!

一体、何が起こった!?

・・・・・・・。

・・・・・・・。

「え・・・?」

頭の中に流れ込んできた情報にあたしは混乱して、唇は寒さで凍えるようにプルプルと震えた。

街に・・・大量の魔獣?

エボルの第二、第三階層に朽鬼の大群?

この爆発はアクメルのせい?

アウレルさん、ドッペルちゃん、ソウリンさん、アーさん、ネー君、イヴラヒムさんが・・・!!

「しっ・・・!しっ・・・!死、んだ・・・?」

受け入れがたい事実に激しく取り乱し、あたしは両手で頭を抱えた。

そして・・・。

・・・・・・・。

・・・・・・・。

「あっ・・・!!ああっ・・・!!あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」

あたしは荒廃した街の上に浮かぶ三日月に向かって、慟哭を上げた。

「ウソだ!!ウソだウソだ!!ウソだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

どんなに必死に否定しようも、目の前の光景が真実を残酷に突き付ける。

やがて全てを受け入れたあたしは、叫び声を上げるのを止めた。

やがてあたしの許に、黎明の開手の7人が集まってきた。

「さぁ、二戦目にしようじゃないか。ミラ。」

・・・・・・・。

・・・・・・・。

「そうだね。」

ゆっくりと立ち上がったあたしは、集まった奴らに、おそらく生気がない顔で冷たく言い放った。

「遠慮せずかかって来いよ。みんなまとめて・・・ブッ殺してやる。」

この瞬間、あたしの不殺のタガは、完全に外れた。
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