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第五章 : 救世主と英雄
第二次ミラ討伐戦㉗・翔遊
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私の危機に駆け付け、華麗な動きで助けてくれたドーラ様に、キイルは歯を噛みしめて露骨な不快感を見せた。
「お前、一体誰だよ?中々腕が立ちそうだけど?」
「答える、必要、ない。大事なの、お前の相手はドーラ、だけという事実。」
「へぇ・・・。あくまでも私の邪魔をする気なんだな?だがそんな言い分まかり通るかッッッ!!!」
怒りを露わにしたキイルは、私だけに風の斬撃を浴びせてきた。
「あっ・・・!!」
「地級第二位・大地の大壁。」
ドーラ様は動揺することなく私に向けて手をかざすと、私の前に岩でできた巨大な壁が出現し、キイルの攻撃から守ってくれた。
「また邪魔を・・・!!お前!いい加減に・・・ッッッ!!!」
憤るキイルの前に、ドーラ様は瞬時に現れ、そのまま斬れない血の剣で彼女の下顎に一撃を食らわそうとしていた。
「いっ・・・!?」
驚いたキイルは身体に風を纏い、空中に退避した。
「逃がさない。」
しかしドーラ様は、おそらく“弾丸走破”で脚力を高め、空中に逃げたキイルを捉えた。
「地級第一位・風翔の守籠!!」
キイルが纏う風は強烈な渦を生み、それによりドーラ様の攻撃は弾かれてしまった。
「地級第一位・玉炎爆砕。」
ドーラ様が落下しながら詠唱すると、風の渦ごとキイルを飲み込むほどの炎の球体を出現させ、そのままそれを爆発させた。
「キイル様ッッッ!!!」
幸いにも、纏っていた風のおかげでダメージは軽減できたものの、キイルの身体の所々に熱傷が確認できた。
「あのキイル様に手傷を負わせるなんて・・・!!この吸血鬼、一体・・・!?」
ここまで至って冷静にキイルと互角のやり取りを繰り広げたドーラ様に、ノイエフは驚嘆の声を上げた。
「これで、分かった?ドーラの相手、お前。」
「ああ。十分分かったよ。お前から先に始末してやるッッッ!!!」
殺意の標的がようやくドーラ様に向いた途端、周囲の天候がまるでキイルの感情に左右されたように荒々しくなった。
「天級第五位・絶えぬ裂風!!」
キイルが両手をドーラ様にかざした途端、目で追えないくらい激しい風の斬撃が、絶え間なくドーラ様に浴びせられた。
「天級第五位・駆神走破。」
ドーラ様は“弾丸走破”の上位互換の魔能を行使して、脚力は勿論、動体視力も極限にまで高め、風の斬撃を回避しつつ、確実にキイルまで間合いを詰めた。
「ドーラ様!!」
(グレース。)
頭の中で“遠距離対話”で発せられたドーラ様の声が響いた。
(よそ見、ダメ。集中。)
「ッッッ!!!」
そうだ。
今はあの方の戦いを見ている場合じゃない。
私は私の役割を果たさないと・・・!!
「キイル様!!早くソイツを・・・ッッッ!!!」
頬を矢がかすめて、ノイエフはハッとした顔をしながらこっちを振り返った。
「ドーラ様が言ったでしょ!?アンタの相手は私だって!!さっきの続きをしようじゃないの!!」
「くっ・・・!ちっ・・・!!」
先程の戦いで私の実力を知って旗色が悪いと思ったのか、ノイエフは逃げ出した。
「白丸!!茶々助!!」
逃げ回るノイエフを、私は白丸と茶々助を連れて追った。
「こっ、この・・・!!」
ノイエフは逃げながら振り向き、追ってくる私に向かって矢を放ってきた。
私はそれを避けると、返す形でノイエフの足や腕を狙って矢を放った。
逃げるノイエフと追ってくる私との間で、弓矢の応酬が繰り広げられた。
今ここでノイエフを倒して、私もドーラ様に加勢しないと・・・!!
そう思った私は、隣でキイルとの間合いを詰めるドーラ様の方を見た。
・・・・・・・。
・・・・・・・。
アレ?
何だろう?
この気持ち?
なんだか・・・楽しい?
雨が降りしきり、風が吹き荒れる中で敵を追い詰める情景に、私は何故かそんなことを考えた。
今はこんなことを考えている場合じゃないのは分かってる。
だけど、どうしてもこの感情を抑えきれないのだ。
私は今、ドーラ様と・・・親友の似姿を持った人と、風の中を、翔けて、遊んでいる・・・。
その考えが、私の中でどんどん大きくなり、いつの間にか、躍る心に身を委ねていた。
私は今、最高に楽しい瞬間の、只中にいる・・・。
「お前、一体誰だよ?中々腕が立ちそうだけど?」
「答える、必要、ない。大事なの、お前の相手はドーラ、だけという事実。」
「へぇ・・・。あくまでも私の邪魔をする気なんだな?だがそんな言い分まかり通るかッッッ!!!」
怒りを露わにしたキイルは、私だけに風の斬撃を浴びせてきた。
「あっ・・・!!」
「地級第二位・大地の大壁。」
ドーラ様は動揺することなく私に向けて手をかざすと、私の前に岩でできた巨大な壁が出現し、キイルの攻撃から守ってくれた。
「また邪魔を・・・!!お前!いい加減に・・・ッッッ!!!」
憤るキイルの前に、ドーラ様は瞬時に現れ、そのまま斬れない血の剣で彼女の下顎に一撃を食らわそうとしていた。
「いっ・・・!?」
驚いたキイルは身体に風を纏い、空中に退避した。
「逃がさない。」
しかしドーラ様は、おそらく“弾丸走破”で脚力を高め、空中に逃げたキイルを捉えた。
「地級第一位・風翔の守籠!!」
キイルが纏う風は強烈な渦を生み、それによりドーラ様の攻撃は弾かれてしまった。
「地級第一位・玉炎爆砕。」
ドーラ様が落下しながら詠唱すると、風の渦ごとキイルを飲み込むほどの炎の球体を出現させ、そのままそれを爆発させた。
「キイル様ッッッ!!!」
幸いにも、纏っていた風のおかげでダメージは軽減できたものの、キイルの身体の所々に熱傷が確認できた。
「あのキイル様に手傷を負わせるなんて・・・!!この吸血鬼、一体・・・!?」
ここまで至って冷静にキイルと互角のやり取りを繰り広げたドーラ様に、ノイエフは驚嘆の声を上げた。
「これで、分かった?ドーラの相手、お前。」
「ああ。十分分かったよ。お前から先に始末してやるッッッ!!!」
殺意の標的がようやくドーラ様に向いた途端、周囲の天候がまるでキイルの感情に左右されたように荒々しくなった。
「天級第五位・絶えぬ裂風!!」
キイルが両手をドーラ様にかざした途端、目で追えないくらい激しい風の斬撃が、絶え間なくドーラ様に浴びせられた。
「天級第五位・駆神走破。」
ドーラ様は“弾丸走破”の上位互換の魔能を行使して、脚力は勿論、動体視力も極限にまで高め、風の斬撃を回避しつつ、確実にキイルまで間合いを詰めた。
「ドーラ様!!」
(グレース。)
頭の中で“遠距離対話”で発せられたドーラ様の声が響いた。
(よそ見、ダメ。集中。)
「ッッッ!!!」
そうだ。
今はあの方の戦いを見ている場合じゃない。
私は私の役割を果たさないと・・・!!
「キイル様!!早くソイツを・・・ッッッ!!!」
頬を矢がかすめて、ノイエフはハッとした顔をしながらこっちを振り返った。
「ドーラ様が言ったでしょ!?アンタの相手は私だって!!さっきの続きをしようじゃないの!!」
「くっ・・・!ちっ・・・!!」
先程の戦いで私の実力を知って旗色が悪いと思ったのか、ノイエフは逃げ出した。
「白丸!!茶々助!!」
逃げ回るノイエフを、私は白丸と茶々助を連れて追った。
「こっ、この・・・!!」
ノイエフは逃げながら振り向き、追ってくる私に向かって矢を放ってきた。
私はそれを避けると、返す形でノイエフの足や腕を狙って矢を放った。
逃げるノイエフと追ってくる私との間で、弓矢の応酬が繰り広げられた。
今ここでノイエフを倒して、私もドーラ様に加勢しないと・・・!!
そう思った私は、隣でキイルとの間合いを詰めるドーラ様の方を見た。
・・・・・・・。
・・・・・・・。
アレ?
何だろう?
この気持ち?
なんだか・・・楽しい?
雨が降りしきり、風が吹き荒れる中で敵を追い詰める情景に、私は何故かそんなことを考えた。
今はこんなことを考えている場合じゃないのは分かってる。
だけど、どうしてもこの感情を抑えきれないのだ。
私は今、ドーラ様と・・・親友の似姿を持った人と、風の中を、翔けて、遊んでいる・・・。
その考えが、私の中でどんどん大きくなり、いつの間にか、躍る心に身を委ねていた。
私は今、最高に楽しい瞬間の、只中にいる・・・。
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