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第五章 : 救世主と英雄
第二次ミラ討伐戦⑪・同類
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我と共に戦えば、グレースも勝機が見い出せよう。
だが感情に従って物を言えば、我はやはり、この吸血鬼の娘が我と肩を並べることを勧めん。
この人間に挑めば・・・グレースの命は危うくなることは必至。
奴の最大の強みは、自らが調伏した魔獣による手数の多さにある。
先程奴がエボルに放った魔獣は、概ね見積もって100体程度。
それでもまだ我に挑まんとするその姿勢は、恰好の獲物を前にして気が触れたというワケではあるまいて。
おそらく、まだ控えが多く残っているのだろう・・・。
全力を出せば、こんな矮小な魔能士など一捻り。
しかし我が兄弟の流儀に則り不殺、しかも他者に気を遣いながらの戦いともなれば一撃一撃を慎重に行わねばならん。
はてさて・・・。
どうしたものか・・・。
「何言ってんのグレース!?コイツのことはこの竜種に任せて私達と一緒に動く
べきよ!!」
ミラの妹分と名乗った吸血鬼の娘が、我とグレース引き離そうとする。
妥当な判断だ。
「リリーナ様、すいません。たまには聞いて下さい。私のワガママ。」
グレースは微笑みながらリリーナを諭した。
リリーナは、不安げになりながらも、グレースの気持ちを汲んだようで、それ以上のことは言わず吸血鬼達を率いて街の方に向かった。
しかし、白と茶の毛並みの禍狼種はその場に残った。
「白丸、茶々助・・・。」
憎悪・・・いや、決起とも取れる猛々しい唸りを上げて、二頭の禍狼種はかつての主人に睨みをきかす。
「分かった!!この人間を倒すために、一緒に頑張ろう!!」
「バウ!!」
「ガウ!!」
結束を固めた吸血鬼と禍狼種を、魔獣使いは嘲笑った。
「友情ごっこはいいから早くかかってきてくれないかしら?私はね、あなた達雑魚に構ってるほど余裕なんかないの。」
「雑魚かどうかなんて・・・やってみないと分かんないじゃないッッッ!!!」
グレースは勇ましい声を上げると、魔獣使いに剣を持って立ち向かっていった。
「フフッ。喰われちゃえ♡」
魔獣使いは地獣種を召喚して、グレースにけしかけた。
「グレース!!単騎で突っ込むなッッッ!!!」
「一人じゃありません!!」
「ッッッ!!!」
グレースの両脇から飛び出る形で、白丸と茶々助が飛び出し、地獣種の両前足に噛み付き、動きを止めた。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
地獣種の身体を飛び越え、グレースは魔獣使いの脳天に刃を持たぬ剣を叩きつけようとする。
しかし魔獣使いは、グレースに向け巨大な蛇の魔獣、蛇獣種を伸ばす。
「残念だったわ・・・ッッッ!!!」
蛇獣種がグレースを飲み込もうとした刹那、彼女は空中で身を捻ってかわした。
魔獣使いは両手で杖を横に掲げてグレースの一太刀を防いだ。
だが思った以上に重い攻撃だったらしく、苦悶の表情を晒す。
「調子に乗るなよ・・・!!雑魚吸血鬼が!!」
魔獣使いは小型の天獣種を召喚して、それはグレースの腕を足で掴み空中に運んでいった。
「くっ・・・!!ああっ・・・!!」
グレースを空から落とそうとする気だと悟った我は、すぐさま天獣種を殺し、グレースを背中に乗せて助けた。
「そっ、ソルヴェナ様・・・!」
「バカ者めが!!かような無茶をしおって!!何故単騎で向かった!?」
「すいません・・・。ソル・ヴェナ様を戦いに巻き込みたくなかったので・・・。」
「何故だ!?」
「あなたにもしものことがあったらと思うと・・・。それはあの子達も同じ・・・。」
我は下を見て、地獣種と戦っている禍狼種達を見た。
奴らがここに残ったのは、グレースを守るためでもあったが、我にかつての自分達と同じ境遇を背負わしたくなかったからだろう・・・。
全くこの者どもは・・・。
自分達より明らかに格上な存在のためでも進んで命を賭けようとするとは・・・。
ミラの影響を、かなり色濃く受け継いでいる証か・・・。
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「グレースよ、お前の先程の動き・・・中々見事だった。よほど鍛練を積んだのだろう。ミラと並び立つために・・・。実に天晴だ。」
「ソルヴェナ、様・・・。」
「あの禍狼種達も、魔獣でありながらかつて自分達を縛り付けていた主人に果敢に立ち向かっておる。ミラを大変好いているようだ。我らは・・・同類だ。“ミラに生きる道を開かれた”という意味では・・・な。」
「同、類・・・。」
「そうだ。それ故に、我一人置き去りを食らうのは些か我慢できん!!心せよグレース!お前の友に命と恩、そしてこの世界に生きる理由を与えられた竜種の力・・・特等席で刮目してもらうぞ!!」
だが感情に従って物を言えば、我はやはり、この吸血鬼の娘が我と肩を並べることを勧めん。
この人間に挑めば・・・グレースの命は危うくなることは必至。
奴の最大の強みは、自らが調伏した魔獣による手数の多さにある。
先程奴がエボルに放った魔獣は、概ね見積もって100体程度。
それでもまだ我に挑まんとするその姿勢は、恰好の獲物を前にして気が触れたというワケではあるまいて。
おそらく、まだ控えが多く残っているのだろう・・・。
全力を出せば、こんな矮小な魔能士など一捻り。
しかし我が兄弟の流儀に則り不殺、しかも他者に気を遣いながらの戦いともなれば一撃一撃を慎重に行わねばならん。
はてさて・・・。
どうしたものか・・・。
「何言ってんのグレース!?コイツのことはこの竜種に任せて私達と一緒に動く
べきよ!!」
ミラの妹分と名乗った吸血鬼の娘が、我とグレース引き離そうとする。
妥当な判断だ。
「リリーナ様、すいません。たまには聞いて下さい。私のワガママ。」
グレースは微笑みながらリリーナを諭した。
リリーナは、不安げになりながらも、グレースの気持ちを汲んだようで、それ以上のことは言わず吸血鬼達を率いて街の方に向かった。
しかし、白と茶の毛並みの禍狼種はその場に残った。
「白丸、茶々助・・・。」
憎悪・・・いや、決起とも取れる猛々しい唸りを上げて、二頭の禍狼種はかつての主人に睨みをきかす。
「分かった!!この人間を倒すために、一緒に頑張ろう!!」
「バウ!!」
「ガウ!!」
結束を固めた吸血鬼と禍狼種を、魔獣使いは嘲笑った。
「友情ごっこはいいから早くかかってきてくれないかしら?私はね、あなた達雑魚に構ってるほど余裕なんかないの。」
「雑魚かどうかなんて・・・やってみないと分かんないじゃないッッッ!!!」
グレースは勇ましい声を上げると、魔獣使いに剣を持って立ち向かっていった。
「フフッ。喰われちゃえ♡」
魔獣使いは地獣種を召喚して、グレースにけしかけた。
「グレース!!単騎で突っ込むなッッッ!!!」
「一人じゃありません!!」
「ッッッ!!!」
グレースの両脇から飛び出る形で、白丸と茶々助が飛び出し、地獣種の両前足に噛み付き、動きを止めた。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
地獣種の身体を飛び越え、グレースは魔獣使いの脳天に刃を持たぬ剣を叩きつけようとする。
しかし魔獣使いは、グレースに向け巨大な蛇の魔獣、蛇獣種を伸ばす。
「残念だったわ・・・ッッッ!!!」
蛇獣種がグレースを飲み込もうとした刹那、彼女は空中で身を捻ってかわした。
魔獣使いは両手で杖を横に掲げてグレースの一太刀を防いだ。
だが思った以上に重い攻撃だったらしく、苦悶の表情を晒す。
「調子に乗るなよ・・・!!雑魚吸血鬼が!!」
魔獣使いは小型の天獣種を召喚して、それはグレースの腕を足で掴み空中に運んでいった。
「くっ・・・!!ああっ・・・!!」
グレースを空から落とそうとする気だと悟った我は、すぐさま天獣種を殺し、グレースを背中に乗せて助けた。
「そっ、ソルヴェナ様・・・!」
「バカ者めが!!かような無茶をしおって!!何故単騎で向かった!?」
「すいません・・・。ソル・ヴェナ様を戦いに巻き込みたくなかったので・・・。」
「何故だ!?」
「あなたにもしものことがあったらと思うと・・・。それはあの子達も同じ・・・。」
我は下を見て、地獣種と戦っている禍狼種達を見た。
奴らがここに残ったのは、グレースを守るためでもあったが、我にかつての自分達と同じ境遇を背負わしたくなかったからだろう・・・。
全くこの者どもは・・・。
自分達より明らかに格上な存在のためでも進んで命を賭けようとするとは・・・。
ミラの影響を、かなり色濃く受け継いでいる証か・・・。
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「グレースよ、お前の先程の動き・・・中々見事だった。よほど鍛練を積んだのだろう。ミラと並び立つために・・・。実に天晴だ。」
「ソルヴェナ、様・・・。」
「あの禍狼種達も、魔獣でありながらかつて自分達を縛り付けていた主人に果敢に立ち向かっておる。ミラを大変好いているようだ。我らは・・・同類だ。“ミラに生きる道を開かれた”という意味では・・・な。」
「同、類・・・。」
「そうだ。それ故に、我一人置き去りを食らうのは些か我慢できん!!心せよグレース!お前の友に命と恩、そしてこの世界に生きる理由を与えられた竜種の力・・・特等席で刮目してもらうぞ!!」
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