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第三章 : 耳飾りの旅
消えゆく仲間達
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あたしは今、とある図書館でコーヒーを飲みながら読書にふけっていた。
図書館の大きさは、どっかの大学にありそうなヤツに似て結構デカく、所蔵されている本も大量であることから、紙とインクの匂いが強かったが、逆にそれが自分を心地よくさせた。
あれ?
っていうかあたし・・・みんなで森の中にいたんじゃなかったっけ?
この100パー在り得ないシチュ・・・もしかして・・・。
「こんにちはミラ様。」
「カリアード君・・・。」
ああそっか。
やっぱりここは・・・。
「夢の中です。」
言ってもないのにあたしの直感に答えると、カリアード君はあたしの向かいに座った。
「ミラ様、単刀直入に言います。今あなた方に・・・」
「“危険が迫ってる”・・・でしょ?」
「あの・・・まだ何も言ってませんが・・・。」
「だってカリアード君とデートする時のトークテーマいっつもそれじゃん。で、今度はどんなピンチが迫ってるんですかぁ?」
カリアード君は、頭をポリポリとかいて、何て答えたらいいか分からない様子だった。
「いやぁ~それは・・・実は俺にも、あんまよく分かってなくて・・・。」
「なんよそれぇ~!?じゃあどう対処したらいいか分かんないんじゃん!!」
「すいません・・・。ただ一つだけ、言えることがあります。」
「何?」
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「本当の俺は、今ミラ様の夢の中の俺だけです。それ以外の俺が目の前に現れても、絶対に信用してはいけません!」
カリアード君は、エラく神妙な顔をしてそう言ったが、あたしはどうにも要領を得ることができなかった。
「それどういう意味?」
カリアード君は何も答えずに、イスから立ち上がると、図書館の出口に歩いていった。
「ねぇカリアード君!!それってこの場所と何か関係あんの!?カリアード君ッッッ!!!」
カリアード君は振り返ることはなく、周りの景色も徐々にぼやけていき、しまいには真っ白になった。
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「・・・・・様!!アサヒお姉様!!起きて下さい!!」
寝ぼけてぼんやりした視界がはっきりすると、リリーがとても焦った様子であたしを起こしにかかっていた。
「ヒバナぁ・・・?どしたぁ・・・?」
「ソレットが・・・消えたんですよ!!」
「えっ・・・ええっ!?」
寝耳に水なことを聞かされて、あたしはガバっと起き上がった。
周りを見ると、リリーだけじゃなく、ファイセアさん達までめちゃくちゃ焦りながら周囲を探し回っていた。
「ちょっ、ファイセアさんどゆこと!?ソレットがいなくなったって・・・!!」
「すまん!ふと起きてみたら、寝床からいなくなっておってな・・・。隣で寝ていたのに、気付かんで本当申し訳ない!!」
「別にファイセアさんのせいじゃありませんよ!それで、今どんなカンジ!?」
「周囲を捜索したのだが・・・一向に見つからん。これだけ探しても見つからんということは、おそらくかなり離れたところまで歩いていったかもしれん・・・!!」
「そんな・・・!ソレット、一体何があっ・・・」
パニくって分からかったけど、あたしは、周りが寝る前と違ってることに今頃になって気づいた。
「あのさファイセアさん・・・こんな霧寝る前に出てたっけ・・・?」
あたし達の周りには、とても濃い霧が立ち込めていて、10mくらい先しか見えなかった。
「ああ。私も不思議に感じている。何故このような濃霧が急に・・・。」
霧が現れた原因よりも、あたしは恐ろしい想像をしてしまった。
「まさかソレットのヤツ・・・この霧のせいで帰り道が分からなくなったんじゃ・・・!?」
全員の顔が一気に青ざめた。
もし帰り道が分からなくなり、そのせいで何か事故にでも遭ったりしたら・・・!!
「はっ、早くソレットを探さないとッッッ!!!」
「ノイエフの言う通りだ!!もし彼女に何かあったら・・・!!」
「おっ、落ち着いてみんな!あたしにいい考えがある!!」
あたしはソレットが使ってた毛布を、チョコ之丞の鼻に当てた。
「なるほど~!禍犬種の嗅覚を使うのですね!!さすがアサヒお姉様です!!」
チョコ之丞はソレットの毛布をクンクン嗅ぐと、「バウ!」と一吠えして、一点を見つめていた。
「そっちにソレットがいるんだね!?みんな!探しに行くよッッッ!!!」
◇◇◇
あたしはチョコ之丞が見ていた方を、彼に乗って目指していた。
後ろを付いてくる他のみんなも、ティスムドルさん以外はあたしと同じように禍犬種に乗っていた。
「いいみんな!結構この霧濃いから、絶対にはぐれないようピッタリくっついてきて!!」
「言われなくてもそのつもりだアサヒ!!」
「ちんちくりんのニャロ~!!私達をこんな目に付き合わせて・・・見つけたら一片シメてやるんだから!!」
かれこれもう30分近く歩いたけど、ソレットには一向に辿り着けていない。
一体どこまで歩いていったんだよ~あの子ったら・・・。
時々後ろを振り返ると、みんなしっかりついて来てくれて、その度にあたしはホッとした。
にしても・・・気味の悪い霧だな~コレ・・・。
何でいきなし湧いて出たんだよぉ~。
「そんな・・・どうして・・・!?」
「えっ?」
パッと振り返ると・・・一番後ろにいたノイエフさんとチーズ郎がいなくなっていた。
「あれ!?ノイエフさんとチーズ郎は!?!?」
急いでみんなで辺りを見渡したが、2人の姿はどこにもなかった。
「ねぇティスムドルさん!ノイエフさんどこ行ったか見たぁ!?」
「いっ、いやぁ・・・!!前しか見てなかったもので・・・ッッッ!!!おっ、お前達・・・!!」
「えっ・・・?」
驚いてあさっての方を見たと思ったら、ティスムドルさんは一心不乱に脇に逸れていった。
「ちょっ、ティスムドルさんん!?!?」
急いで追いかけようとしたが、ファイセアさんに止められた。
「いかんアサヒ殿!!」
「だって・・・ティスムドルさんが・・・!!」
「気持ちは分かる!!だが深追いは止せッッッ!!!先程から・・・様子がおかしいッッッ!!!」
自分達の周りを、得体の知れない何かが取り囲んでいるような気がして、あたしは段々怖くなり始めた。
「今はソレットを探すことが最優先だ!他の者も、その後順に追って捜索を・・・なっ、何、だと・・・!?」
「どっ、どうしたの?ファイセアさん・・・。」
「ガーナイト・・・其方なのか・・・?」
そう呟くと、ファイセアさんはクリーム丸を全速力で走らせ、霧の中へと消えていった。
「そんな・・・ファイセアさんまで・・・。」
とうとうあたしとリリーだけになったことに、あたしの恐怖はついにピークを迎えた。
マジで・・・どうなってんだよ?この森・・・。
2人だけになったことと、万全な状態で戦えるようにあたしとリリーは擬態を解いてピッタリくっついた。
「ミラお姉様!!ご安心下さい!何があっても・・・私が守ってみせますからッッッ!!!」
「ははっ・・・。久しぶりに呼ばれたわ。ミラお姉様って・・・。」
あたしが軽口を言うと、リリーも「フフッ。」と笑って、互いの緊張が少しほぐれた。
その直後、霧の向こう側から3つの人影が近づいてくるのが、ぼんやりとだけど見えた。
「リリー!あれ・・・!!」
「用心して下さい!!ミラお姉様は、私の後ろに・・・!!」
どんどん近づいてくる3つの人影。
そしてついに、彼等はその姿を現した。
「え・・・?何で・・・こんなところに、吸血鬼が・・・?」
霧の向こうから出てきたのは、夫婦と思われる中年の男女と、彼等の娘らしきあたし達より少し年下くらいの少女の吸血鬼だった。
3人はあたし達に何かしようとするワケでもなく、ただ微笑みながらこっちを見ていた。
「リリー。この人達一体・・・。」
あたしをカバーしていたリリーの顔を見ると、目を大きく見開き、呆然としながら彼等をジッと見つめていた。
「りっ、リリー・・・?」
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「お父、さん・・・?お母、さん・・・?お姉、ちゃん・・・?」
何とそこにいたのは、死んだはずのリリーの両親とお姉さんだったのだ。
図書館の大きさは、どっかの大学にありそうなヤツに似て結構デカく、所蔵されている本も大量であることから、紙とインクの匂いが強かったが、逆にそれが自分を心地よくさせた。
あれ?
っていうかあたし・・・みんなで森の中にいたんじゃなかったっけ?
この100パー在り得ないシチュ・・・もしかして・・・。
「こんにちはミラ様。」
「カリアード君・・・。」
ああそっか。
やっぱりここは・・・。
「夢の中です。」
言ってもないのにあたしの直感に答えると、カリアード君はあたしの向かいに座った。
「ミラ様、単刀直入に言います。今あなた方に・・・」
「“危険が迫ってる”・・・でしょ?」
「あの・・・まだ何も言ってませんが・・・。」
「だってカリアード君とデートする時のトークテーマいっつもそれじゃん。で、今度はどんなピンチが迫ってるんですかぁ?」
カリアード君は、頭をポリポリとかいて、何て答えたらいいか分からない様子だった。
「いやぁ~それは・・・実は俺にも、あんまよく分かってなくて・・・。」
「なんよそれぇ~!?じゃあどう対処したらいいか分かんないんじゃん!!」
「すいません・・・。ただ一つだけ、言えることがあります。」
「何?」
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「本当の俺は、今ミラ様の夢の中の俺だけです。それ以外の俺が目の前に現れても、絶対に信用してはいけません!」
カリアード君は、エラく神妙な顔をしてそう言ったが、あたしはどうにも要領を得ることができなかった。
「それどういう意味?」
カリアード君は何も答えずに、イスから立ち上がると、図書館の出口に歩いていった。
「ねぇカリアード君!!それってこの場所と何か関係あんの!?カリアード君ッッッ!!!」
カリアード君は振り返ることはなく、周りの景色も徐々にぼやけていき、しまいには真っ白になった。
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「・・・・・様!!アサヒお姉様!!起きて下さい!!」
寝ぼけてぼんやりした視界がはっきりすると、リリーがとても焦った様子であたしを起こしにかかっていた。
「ヒバナぁ・・・?どしたぁ・・・?」
「ソレットが・・・消えたんですよ!!」
「えっ・・・ええっ!?」
寝耳に水なことを聞かされて、あたしはガバっと起き上がった。
周りを見ると、リリーだけじゃなく、ファイセアさん達までめちゃくちゃ焦りながら周囲を探し回っていた。
「ちょっ、ファイセアさんどゆこと!?ソレットがいなくなったって・・・!!」
「すまん!ふと起きてみたら、寝床からいなくなっておってな・・・。隣で寝ていたのに、気付かんで本当申し訳ない!!」
「別にファイセアさんのせいじゃありませんよ!それで、今どんなカンジ!?」
「周囲を捜索したのだが・・・一向に見つからん。これだけ探しても見つからんということは、おそらくかなり離れたところまで歩いていったかもしれん・・・!!」
「そんな・・・!ソレット、一体何があっ・・・」
パニくって分からかったけど、あたしは、周りが寝る前と違ってることに今頃になって気づいた。
「あのさファイセアさん・・・こんな霧寝る前に出てたっけ・・・?」
あたし達の周りには、とても濃い霧が立ち込めていて、10mくらい先しか見えなかった。
「ああ。私も不思議に感じている。何故このような濃霧が急に・・・。」
霧が現れた原因よりも、あたしは恐ろしい想像をしてしまった。
「まさかソレットのヤツ・・・この霧のせいで帰り道が分からなくなったんじゃ・・・!?」
全員の顔が一気に青ざめた。
もし帰り道が分からなくなり、そのせいで何か事故にでも遭ったりしたら・・・!!
「はっ、早くソレットを探さないとッッッ!!!」
「ノイエフの言う通りだ!!もし彼女に何かあったら・・・!!」
「おっ、落ち着いてみんな!あたしにいい考えがある!!」
あたしはソレットが使ってた毛布を、チョコ之丞の鼻に当てた。
「なるほど~!禍犬種の嗅覚を使うのですね!!さすがアサヒお姉様です!!」
チョコ之丞はソレットの毛布をクンクン嗅ぐと、「バウ!」と一吠えして、一点を見つめていた。
「そっちにソレットがいるんだね!?みんな!探しに行くよッッッ!!!」
◇◇◇
あたしはチョコ之丞が見ていた方を、彼に乗って目指していた。
後ろを付いてくる他のみんなも、ティスムドルさん以外はあたしと同じように禍犬種に乗っていた。
「いいみんな!結構この霧濃いから、絶対にはぐれないようピッタリくっついてきて!!」
「言われなくてもそのつもりだアサヒ!!」
「ちんちくりんのニャロ~!!私達をこんな目に付き合わせて・・・見つけたら一片シメてやるんだから!!」
かれこれもう30分近く歩いたけど、ソレットには一向に辿り着けていない。
一体どこまで歩いていったんだよ~あの子ったら・・・。
時々後ろを振り返ると、みんなしっかりついて来てくれて、その度にあたしはホッとした。
にしても・・・気味の悪い霧だな~コレ・・・。
何でいきなし湧いて出たんだよぉ~。
「そんな・・・どうして・・・!?」
「えっ?」
パッと振り返ると・・・一番後ろにいたノイエフさんとチーズ郎がいなくなっていた。
「あれ!?ノイエフさんとチーズ郎は!?!?」
急いでみんなで辺りを見渡したが、2人の姿はどこにもなかった。
「ねぇティスムドルさん!ノイエフさんどこ行ったか見たぁ!?」
「いっ、いやぁ・・・!!前しか見てなかったもので・・・ッッッ!!!おっ、お前達・・・!!」
「えっ・・・?」
驚いてあさっての方を見たと思ったら、ティスムドルさんは一心不乱に脇に逸れていった。
「ちょっ、ティスムドルさんん!?!?」
急いで追いかけようとしたが、ファイセアさんに止められた。
「いかんアサヒ殿!!」
「だって・・・ティスムドルさんが・・・!!」
「気持ちは分かる!!だが深追いは止せッッッ!!!先程から・・・様子がおかしいッッッ!!!」
自分達の周りを、得体の知れない何かが取り囲んでいるような気がして、あたしは段々怖くなり始めた。
「今はソレットを探すことが最優先だ!他の者も、その後順に追って捜索を・・・なっ、何、だと・・・!?」
「どっ、どうしたの?ファイセアさん・・・。」
「ガーナイト・・・其方なのか・・・?」
そう呟くと、ファイセアさんはクリーム丸を全速力で走らせ、霧の中へと消えていった。
「そんな・・・ファイセアさんまで・・・。」
とうとうあたしとリリーだけになったことに、あたしの恐怖はついにピークを迎えた。
マジで・・・どうなってんだよ?この森・・・。
2人だけになったことと、万全な状態で戦えるようにあたしとリリーは擬態を解いてピッタリくっついた。
「ミラお姉様!!ご安心下さい!何があっても・・・私が守ってみせますからッッッ!!!」
「ははっ・・・。久しぶりに呼ばれたわ。ミラお姉様って・・・。」
あたしが軽口を言うと、リリーも「フフッ。」と笑って、互いの緊張が少しほぐれた。
その直後、霧の向こう側から3つの人影が近づいてくるのが、ぼんやりとだけど見えた。
「リリー!あれ・・・!!」
「用心して下さい!!ミラお姉様は、私の後ろに・・・!!」
どんどん近づいてくる3つの人影。
そしてついに、彼等はその姿を現した。
「え・・・?何で・・・こんなところに、吸血鬼が・・・?」
霧の向こうから出てきたのは、夫婦と思われる中年の男女と、彼等の娘らしきあたし達より少し年下くらいの少女の吸血鬼だった。
3人はあたし達に何かしようとするワケでもなく、ただ微笑みながらこっちを見ていた。
「リリー。この人達一体・・・。」
あたしをカバーしていたリリーの顔を見ると、目を大きく見開き、呆然としながら彼等をジッと見つめていた。
「りっ、リリー・・・?」
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「お父、さん・・・?お母、さん・・・?お姉、ちゃん・・・?」
何とそこにいたのは、死んだはずのリリーの両親とお姉さんだったのだ。
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