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第三章 : 耳飾りの旅

感謝の決着

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いきなり始まったローランドさんとの即興戦闘アドリブバトルは、森の中での剣とハンマーの打ち合いにもつれ込み、ローランドさんのイキイキとした戦いっぷりに影響され、あたしもすっかりハイになっていた。

「ローランドさん!!もう息が上がってきた頃なんじゃない!?」

「なんのなんの!!まだまだお付き合いできる体力は残っておりますぞッッッ!!!」

「そっかぁ~!!元気があって何よりッッッ!!!」

激しい剣戟によって嵐が巻き起こり、樹々を薙ぎ倒していったが、あたし達はそんなの全くお構いなしに、打ち合いにのめり込んでいった。

あたし達の戦いで、ここら一帯の生態系変わったりしないかな?

そんな心配事だけが、頭の片隅に小っちゃくこびりついていた。

「んん・・・!?」

打ち合いにハイになりながらも周囲を見ると森の入口・・・すなわち、みんながいた場所まで戻りつつあることに気付いた。

ここまでガンガン戦ってるんだから、いい加減リリー以外のみんなに、あたしとローランドさんが敵同士だってことを十分思わせることができたっしょ!

よし!

「ローランドさん!!」

「何でしょう!?」

「名残惜しいけど、ここらでおしまいにしない!?」

「そうですか!いやぁ~!!実に勿体ないですなぁ~!!!」

「ここまで付き合わせたのに、マジでゴメン!ほんじゃせっかくだからさ・・・シメとして、お互いの全力の一発を撃ち合うってのはどうよ!?」

ローランドさんは顔をパ~っと輝かせ、「遠慮なくぶつかってきて下さい!!我輩も、出し惜しみは一切いたしません!!」とOKしてくれた。

「よぅし!!そんじゃ・・・最後にバシッと決めようかぁ!!!」

互いの意見が合ったところで、あたし達は森から飛び出して、最初にいた迷宮の出口の前に躍り出た。

「「「あっ、アサヒ様(殿)ッッッ!!!」」」

森から出たあたしに向かって、防壁魔能の中のリリー以外のみんなが声を全力で張り上げて呼びかけた。

リリーは、ちょ~っとシラケた顔をしてたかなぁ?

だってどの道、互いに無事で済むんだもん。

それに加えて、ローランドさんがで出来レースの戦いを演じてるんだから、心穏やかではなかっただろう・・・。

「アサヒの奴・・・ゲブルより強いのとあれほどまで凄まじい戦いを演じていたにも関わらず、ほぼ無傷だと・・・!?」

「アサヒ殿・・・やはり我々の、想像を遥かに超える御仁だな・・・!!」

防壁の中で森での打ち合いを見てただろうファイセアさんとティスムドルさんは、目をパッチリ見開いて驚愕していた。

ノイエフさんは・・・驚きすぎたかどうか知らんけど、ノーコメントだったな。

ソレットは、驚きよりもあたしが無事だったことがすごく嬉しくて、なんだか泣きそうになってたかな?

「ローランド!みんなをこれ以上心配させんのもイヤだからさ、ここらでケリつけちゃおっか!?」

「望むところですぞッッッ!!!」

ローランドさんが踏ん張ると、足元から大地のエネルギーが身体を伝ってハンマーに流れ込むのを感じた。

だったらあたしは、剣を大きく振り上げて、自分の周囲の空気を、刀身にありったけ集約させた。

ミラ様アサヒ!!」

「何!?」

・・・・・・・。

・・・・・・・。

「其方との正々堂々の打ち合い・・・まっこと楽しかった!!付き合ってくれて・・・感謝申し上げるぞッッッ!!!」

・・・・・・・。

・・・・・・・。

「あたしもすっごく楽しかった!!さぁ~て!!シメの一発・・・盛大に決めようかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

ローランドさんはフッと笑うと、ハンマーを振り上げて、あたしに踏み込んできた。

天級ヘヴン第五位・大地神の手刀ソード・オブ・ガイアッッッ!!!」

あたしも、向かってきたローランドさんのハンマーに剣を振り下ろした。

天級ヘヴン第四位・氣龍の牙戟エアロード・バイティングッッッ!!!」

膨大なエネルギーを纏った剣とハンマーがぶつかった瞬間、衝撃波の大爆発が起こった。

「あっ、アサヒ様ぁ!!!!」

「アサヒ殿!!無事であるか!?」

パラパラと舞う土煙が晴れた時、みんなが見たのは、剣とハンマーを重ねたまま微動だにしないあたしとローランドさんだった。

“果たしてどちらが勝ったのか?”

みんなが一番に気にしたのは、まさにその一点に限ったことだと思う。

すると、ローランドさんのハンマーにピキピキと亀裂が入りだし、ついには木端微塵に砕け散った。

その直後、ローランドさんは口から「ゴバァ・・・!!」と血を吐いて、その場で膝をついてしまった。

「ククク・・・。やはり・・・お強いですなぁ・・・。あなた様は・・・。」

「ローランドさんもね♪」

みんなには聞こえない声、みんなには見えない笑顔で、あたしはローランドさんと互いの健闘を讃え合った。
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