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第二章 : 動乱の王国
最悪の日の最高な朝
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「せんせぇ~!!ミラせんせぇ~!!」
大声で呼ばれてパッと我に返ると、教室に並んだ机に座った子ども達が目をパチクリさせてあたしを見ていた。
「なっ、何?」
「“何”じゃないよ~。早く続き教えてってば!」
おっ、教える?
それに先生って・・・?
次の瞬間、あたしは今教科書を持って教卓の前に立っていることに気が付いた。
なっ、ナニコレ!?
これって、まるで学校の先生じゃん!!
ビックリしながらもう一度前を見ると、あたしが受け持っているであろう生徒の何人かは、目が赤黒く牙も生えており、どうやら吸血鬼のみたいだった。
「ねぇ、せんせぇ~。昔は吸血鬼と人間は仲が悪かったってホント?」
「へっ!?えっ、えっ~と・・・。」
「そんなワケないでしょ。人間はみんなとっても優しいし、吸血鬼とケンカしてたはずないもん!」
「そうそう!!僕も人間だけど吸血鬼は一緒にして楽しいから好きだよ!!」
困惑するあたしをよそに、生徒たちはワイワイ授業のテーマについて議論し合った。
一体どういうことなんだコレ?
これじゃあ、まるで・・・。
その時、教室のドアを誰かがノックし、それから間もなく「ガララ・・・。」と一人の人物が中に入って来た。
「ははっ、相変わらず元気いっぱいだね。」
少し老けていたけど、見間違えるはずがなかった。
その立ち姿、その整いながらの幼く見える表情・・・。
まっ、まさか・・・。
「「「あっ、大臣のおじちゃ~んッッッ!!!!!」」」
生徒達は一斉に机から立ち上がって、教室を訪れた訪問者に駆け寄った。
「カリアードさん!!今日はお仕事?」
「いいや。たまたま近くに立ち寄ってね。先生と君たちの顔が見たくなったから来たんだよ。」
「かっ、カリアード君・・・何で?」
「何だい?夫が妻の仕事場に見学に来てはダメなのか?大体ここは俺と君で作った学校だろ?」
つっ、妻ぁ!?!?
「ふふっ。子ども達と一緒にいる君は、やっぱりキレイだね、ミラ。」
ッッッ・・・!!!
その言葉の直後、窓から差し込む陽の光が眩しくなっていき、辺りの景色を包んでホワイトアウトした。
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「はっ・・・!!」
パチッと目を開けて、目の前に映ったのは、木造の天井とランタン。
そしてあたしは、ベッドで横になっていた。
「はぁ~・・・。」
どういうことなのか理解したあたしは、ため息を吐きながらムクっと起き上がった。
さっきの出来事は、どうやら全部夢だったらしい。
いやね、あたしも途中から「あれ?これって・・・。」とは思ったけどさ、ここまで分かりやすい夢オチを経験するなんて思ってもなかったわ。
っていうか、昨日ああいうやり取りしたその日の夜に、それが叶った夢見るなんてどんだけ印象に残ってんだよ!!
よっぽど嬉しかったんだろな、昨日のあのひと時が・・・。
まぁでも、未来の初老バージョンのカリアード君も相当カッコよかったよなぁ~!!
白髪交じりで、顔にもシワがあったけど幼顔はほぼそのままだし、ありゃめちゃくちゃ子ども好きと見たね、ウン!
夢の中でも生徒にすっごく慕われてたし、絶対そうだよ!!
でも、目が覚める前に彼が言ったあの一言・・・。
・・・・・・・。
・・・・・・・。
あたしカリアード君と結婚すんのッッッ!?!?
もしそうなったら式はどこで挙げる!?
やっぱ砂浜?いや、ここは花畑ってのもアリかも・・・。
あと誰呼ぶ?基本みんな呼びたいけど、リリーがなぁ・・・。
いや!!ちょいムズイけど、あの子もきっと分かってくれるはず!!
そして結婚式ってことはアレやるんだよね。
きっ、ききっ・・・きっ!!!
あ゛あ゛あ゛あ゛!!
考えただけで緊張するわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
あと住むトコはどうする!?
子どもは何人ほしい!?
かっ、考えがボコボコ生まれて止まらねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!
「はぁ・・・!はぁ・・・!はぁ・・・!いい加減起きよ。」
一通り妄想し終わって、あたしはそんな自分がバカっぽかったり虚しくなったりし出したので、ベッドから出ることにした。
ん~まぁ、夢で見たことってだいたいは実現しないよな。
だって叶っちゃったらそれ予知夢ってことになるかんね。
でもなぁ・・・。
願わくば送ってみたいなぁ・・・。
カリアード君と結婚生活。
「ふっ。なぁんってねぇ~♪」
アホみたいにそんな独り言を言いながら、あたしは寝室を後にした。
・・・・・・・。
・・・・・・・。
そう。
夢で見た内容なんて、早々叶うものじゃない。
大抵は実現せず、フラットのまま流れていくものだ。
だけど、あたしの場合は違って、そのフラットなものすら残らないほど、夢をブチ壊してしまった。
まさか今日という一日の最後で、あんなにも恐ろしい大惨事が、この王都『ティリグ・ミナーレ』で起きて、あたしにとって大切な存在を、他でもないあたし自身の手で消してしまうなんて微塵も想像できなかった。
この、異世界転生をしてから一番幸せな夢を見たこの朝は、異世界転生をしてから一番最悪な日の始まりとなる朝になった。
大声で呼ばれてパッと我に返ると、教室に並んだ机に座った子ども達が目をパチクリさせてあたしを見ていた。
「なっ、何?」
「“何”じゃないよ~。早く続き教えてってば!」
おっ、教える?
それに先生って・・・?
次の瞬間、あたしは今教科書を持って教卓の前に立っていることに気が付いた。
なっ、ナニコレ!?
これって、まるで学校の先生じゃん!!
ビックリしながらもう一度前を見ると、あたしが受け持っているであろう生徒の何人かは、目が赤黒く牙も生えており、どうやら吸血鬼のみたいだった。
「ねぇ、せんせぇ~。昔は吸血鬼と人間は仲が悪かったってホント?」
「へっ!?えっ、えっ~と・・・。」
「そんなワケないでしょ。人間はみんなとっても優しいし、吸血鬼とケンカしてたはずないもん!」
「そうそう!!僕も人間だけど吸血鬼は一緒にして楽しいから好きだよ!!」
困惑するあたしをよそに、生徒たちはワイワイ授業のテーマについて議論し合った。
一体どういうことなんだコレ?
これじゃあ、まるで・・・。
その時、教室のドアを誰かがノックし、それから間もなく「ガララ・・・。」と一人の人物が中に入って来た。
「ははっ、相変わらず元気いっぱいだね。」
少し老けていたけど、見間違えるはずがなかった。
その立ち姿、その整いながらの幼く見える表情・・・。
まっ、まさか・・・。
「「「あっ、大臣のおじちゃ~んッッッ!!!!!」」」
生徒達は一斉に机から立ち上がって、教室を訪れた訪問者に駆け寄った。
「カリアードさん!!今日はお仕事?」
「いいや。たまたま近くに立ち寄ってね。先生と君たちの顔が見たくなったから来たんだよ。」
「かっ、カリアード君・・・何で?」
「何だい?夫が妻の仕事場に見学に来てはダメなのか?大体ここは俺と君で作った学校だろ?」
つっ、妻ぁ!?!?
「ふふっ。子ども達と一緒にいる君は、やっぱりキレイだね、ミラ。」
ッッッ・・・!!!
その言葉の直後、窓から差し込む陽の光が眩しくなっていき、辺りの景色を包んでホワイトアウトした。
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「はっ・・・!!」
パチッと目を開けて、目の前に映ったのは、木造の天井とランタン。
そしてあたしは、ベッドで横になっていた。
「はぁ~・・・。」
どういうことなのか理解したあたしは、ため息を吐きながらムクっと起き上がった。
さっきの出来事は、どうやら全部夢だったらしい。
いやね、あたしも途中から「あれ?これって・・・。」とは思ったけどさ、ここまで分かりやすい夢オチを経験するなんて思ってもなかったわ。
っていうか、昨日ああいうやり取りしたその日の夜に、それが叶った夢見るなんてどんだけ印象に残ってんだよ!!
よっぽど嬉しかったんだろな、昨日のあのひと時が・・・。
まぁでも、未来の初老バージョンのカリアード君も相当カッコよかったよなぁ~!!
白髪交じりで、顔にもシワがあったけど幼顔はほぼそのままだし、ありゃめちゃくちゃ子ども好きと見たね、ウン!
夢の中でも生徒にすっごく慕われてたし、絶対そうだよ!!
でも、目が覚める前に彼が言ったあの一言・・・。
・・・・・・・。
・・・・・・・。
あたしカリアード君と結婚すんのッッッ!?!?
もしそうなったら式はどこで挙げる!?
やっぱ砂浜?いや、ここは花畑ってのもアリかも・・・。
あと誰呼ぶ?基本みんな呼びたいけど、リリーがなぁ・・・。
いや!!ちょいムズイけど、あの子もきっと分かってくれるはず!!
そして結婚式ってことはアレやるんだよね。
きっ、ききっ・・・きっ!!!
あ゛あ゛あ゛あ゛!!
考えただけで緊張するわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
あと住むトコはどうする!?
子どもは何人ほしい!?
かっ、考えがボコボコ生まれて止まらねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!
「はぁ・・・!はぁ・・・!はぁ・・・!いい加減起きよ。」
一通り妄想し終わって、あたしはそんな自分がバカっぽかったり虚しくなったりし出したので、ベッドから出ることにした。
ん~まぁ、夢で見たことってだいたいは実現しないよな。
だって叶っちゃったらそれ予知夢ってことになるかんね。
でもなぁ・・・。
願わくば送ってみたいなぁ・・・。
カリアード君と結婚生活。
「ふっ。なぁんってねぇ~♪」
アホみたいにそんな独り言を言いながら、あたしは寝室を後にした。
・・・・・・・。
・・・・・・・。
そう。
夢で見た内容なんて、早々叶うものじゃない。
大抵は実現せず、フラットのまま流れていくものだ。
だけど、あたしの場合は違って、そのフラットなものすら残らないほど、夢をブチ壊してしまった。
まさか今日という一日の最後で、あんなにも恐ろしい大惨事が、この王都『ティリグ・ミナーレ』で起きて、あたしにとって大切な存在を、他でもないあたし自身の手で消してしまうなんて微塵も想像できなかった。
この、異世界転生をしてから一番幸せな夢を見たこの朝は、異世界転生をしてから一番最悪な日の始まりとなる朝になった。
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