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第一章 : 救世主の復活
難民救出作戦⑤
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~ミラ達が到着するおよそ2時間前~
「“人間のフリをする”ですか?」
「そっ。ただ単に吸血鬼として助けるんじゃなくって、人間に化けて乗り込めば向こうも混乱するんじゃないかな?吸血鬼ならまだしも、そこら辺の人間がこぉんなおっかない魔獣に跨って襲いに来るなんて、まず有り得ないから。」
「クゥン?」
「アウ?」
「・・・・・・・。たっ、確かにそうですね。」
「でも人間になりすますなんてどうやるんですか?顔を隠してとかするんですか?」
「そこはグレースちゃん、もちっと本格的にやるんだよ♪」
「本格的?」
「はっ!異種擬態!」
ピカッ!
「きゃっ!?みっ、ミラ様?」
「ごめんごめんビックリさせちゃって。グレースちゃん、はい、鏡。」
「ッッッ!!めっ、目の色がっ!?」
「どぉ~?牙も見事に無くなってるでしょっ。」
「どこからどう見ても、完璧な、人間だ・・・」
「なるほど。ミラ様、考えましたね。我々が人間の都市に潜入するための魔能を使用されるとは。しかし、これほどまで高度な物は初めてです。大抵は肌か瞳の色、耳の形、牙の有無などある程度はそのままになってしまうのですが・・・」
「そうなんだ。取り扱い説明書の中に書いてあって、“こりゃ使えるな”って思ってやってみたんだけど・・・ねぇ、今度その潜入してる人らに会わせてよ。あたしがかけてあげたら、もっと忍び込めやすくなると思うからさっ。」
「ええ、彼等もきっとお喜びになるでしょう。」
「してミラ殿、完璧になりすますことができるのは分かりましたが、具体的にどのような流れで救出なさるのですか?」
「それはね・・・あたし達が強盗のフリをして、難民の人達を敵から掻っ攫うのッッッ!!」
◇◇◇
いやぁ~!
一度でいいからやってみたかったんだよね~♪
『敵のフリをして仲間を助けるシチュエーション』っていうの。
だってそういうの、めっちゃくちゃカッコいいカンジがするんだもん♡
助けられた人らの、あの「あっ、この人達本当は味方だったんだ。私達助かったんだ。」って顔見ると、こっちもやり切ったって思って達成感ハンパないんだよね~♡
オマケに敵も突然のことで混乱するし、一石二鳥だよ!
しかし、ちょっとこっちにしたら予想外のことがあるんだよな~
何アレ、敵のリーダー?
完全にショタじゃん!!
アイツがこの中で一番強いの?
何その、いかにも異世界ファンタジーモノでありそうな展開!?
イザ自分の身に起こってみると、どうにも戸惑っちゃうわ。
あたし子どもには手をあげたくないんだよなぁ~
「ミラさ・・・じゃなかったっ。リーダー!コイツ毒打ち込まれてるみたいですよ!どーすんですか!?これじゃ引き取ってもらえないですよ。」
「あっ、ああ?なぁに心配すんなグレイ!さっきアタシが渡したクスリ、アレちょっと飲ましてみ?」
「はっ、はい!おっ、オイあなた!しっ、死にたくなかったら今すぐこれを飲めやがれ!!です・・・」
「なっ・・・何・・・これ・・・?」
「あなたの命を助けるクスリ、だ!つっ、つべこべ言わず、さっさと飲め!!です・・・」
キュポン・・・
「こっ・・・この匂い・・・もしかして・・・血・・・」
「クスリだッッッ!!誰が何と言おうとクスリだッッッ!!です・・・いいから飲めッ!下さい・・・」
ゴキュッ・・・ンク・・・
「はぁ・・・はぁ・・・はぁぁ・・・」
「どうだ?楽になったか、ですか?」
「えっ、ええ。あっ、あなた達、一体?」
「クスリが効いたみたいですよ!ミラさ・・・ううん!リーダー!!」
「おお、そっか!胡散臭い薬師から手に入れたんでイマイチ信用できなかったが、ちゃあんと効いたみたいで安心したよ全く!!それじゃお前ら!荷馬車に乗り込んで早いことコイツら掻っ攫うぞッッッ!!」
「待て。お前、ここから逃げられると思っているのか?」
「おっと~追いかけてくんなよ?アタシの可愛いワンコどものエサになりたくなかったらなぁ。」
「「グルルルルルルルルル・・・・」」
「ちっ・・・」
「グズグズしてないで早く乗せちゃいな!!アタシトロいのはキライなんだよ!!」
「おっ、おう!ほらお前ら!早いとこ馬車に乗りな!」
「どっ、どうする!?ナオ?」
「こっ、このままじゃ・・・」
コソッ・・・
「え・・・?」
「里長殿、味方を連れて戻って来ました。皆様を安全なところまでお連れしますので、どうかお急ぎを。」
(この声、あの時の?もっ、もしかしたら・・・)
「みんな、この人達の言う通りにして。」
「ナオ!お前何言って・・・」
「私を信じて!この人達は、大丈夫だから。」
「えっ?わっ、分かった。みんな、急いで荷馬車に乗るんだ。」
ゴトッ、ゴトッ
「よし!全員乗ったな!?じゃあみんな、ズラかるよ!!」
「「「はいッッッ!!!」」」
ドドドドドドドドドドドドドドドド・・・!!!!
「・・・・・・・。」
「おいどうすんだよ!?みんな連れ去られちまったじゃねぇか!!」
「お前、何か妙だと思わんか?」
「何がだよ!?」
「これだから知恵のないゴロツキは・・・奴ら、我が国の領土の反対側に馬車を進めたぞ。」
「それがどうしたってんだよ!周り道して行くかもしれないだろ?」
「それに、あの禍狼種、王国に貸し与えたまま行方知らずになった2頭の特徴によく似ておる。」
「おい、それどういうことだよ?」
(例の2頭は王国の部隊が所有していた。そしてその部隊は皆、消息を絶った・・・吸血鬼どもの手によって。)
「・・・・・・・。下手な小細工を使いおって。ヤブカどもが・・・」
「メウロ?」
「お前等は残った馬で追跡の準備をしろ。奴らは某が捕らえる。」
「お前何言って・・・」
「地級第一位・弾丸走破。」
ザザザザザザザザザザザザザザザザザ・・・!!
「アイツ、森ん中を突っ切る気かよ!?」
◇◇◇
「ここまで来れば多分大丈夫だから、一旦休もっか。」
キィィィィィィィ!!ガタ・・・ゴト・・・
「ふぃ~なんとか上手くいったね!」
「おっ、お前達は何者なんだ!?」
「あっ、すいません。もう解いてもいいかな?」
パチンッ!
「ッッッ!!きゅっ、吸血鬼!?」
「まっ、まさか攫うフリをして私達を?」
「えっ、ええ、まあ、そうなんですっ。いやぁドキドキしたぁ~グレースちゃん素が出そうになりすぎだったよ~」
「はぅぅ・・・すいません。つい自分の気持ちに正直になってしまって・・・」
「みなさんご無事なようで、本当に良かったです。」
「あっ、あんたは・・・!」
「来るのが遅れてしまって申し訳ないです。里長様にも、大変お辛い思いさせてしまって・・・」
「謝らないで下さい。きっと、助けに来てくれるって、信じてました。」
「ッ!・・・・・・・。」
「セドヴィグさん、それに皆様方、私達を救ってくれて、本当にありがとうございます。」
「わっ、私達なんてとても!全てはミラ様がご提案された作戦の賜物です。」
「え?ッッッ!!?そっ、その髪色・・・あっ、あなた、様は、ま、まさか・・・」
「あっ、はいっ。そうなんです。いっ、一応、本人でして・・・」
「里長さま、このお姉ちゃん誰?」
「フフッ・・・私達の、救世主様よ・・・」
「きゅうせいしゅ?」
「みんなこんにちは!・・・って、もう夜だからこんばんは、か。あたしの名前はミラ。よろしくね!」
「ありがとう!!ミラお姉ちゃん!ボク達を助けてくれてっ。」
「こっ、こらお前達っ!ミラ様に対してその呼び名は不敬だぞっ。」
「いいんですって!あたしもそう呼んでもらって嬉しいんですからっ。」
「はっ、はあ・・・」
“ミラお姉ちゃん”か。
上手くいくかどうか、正直めちゃくちゃ緊張したけど、みんな無事に助けることができて本当に良かったな・・・
一度やってみたかったシチュだけど、このやりきった感はさすがに想像以上だよぉ・・・
「ミラ様?」
「ああごめん、つい感慨深くなっちゃってさ、そろそろみんなを安全な場所まで送ってあげよっか。」
「そうですね。では皆様、そろそろご出発を・・・」
「グルルルルルルルルル・・・」
「ウウウウウウウウウウ・・・」
「んっ、どしたの?」
「ッッッ!!みっ、ミラ殿!!あっ、あれ・・・」
ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ・・・
「やはり・・・よくも謀ってくれたな、ゴミ共。」
はっ!?
アイツさっきのショタじゃん!!
まさか森ショートカットして追っかけてきたの!?
どんだけ足速ぇんだよッッッ!!!!
「お前らの下らん余興に某は今、不快の絶頂だ。単に殺してもらえるとは思うなよ。」
「みっ、ミラ殿・・・」
やべぇよアイツめっさ怒ってるじゃん・・・
でもどうにかみんなをここから逃がさないと・・・
「ん?ッッッ!!?きっ・・・貴様は・・・」
アレ、止まった?
でもなんか様子おかしくない?
「あ゛、あ゛あ゛・・・はあ゛・・・!はあ゛・・・!い゛っ、生ぎで・・・い゛だ・・・どは・・・い゛っ・・・い゛ひっ・・・ヒヒっ・・・!!」
ええっ!?
なになになに!!?
汗ダラダラだし、よだれボタボタだし、身体ガタガタ揺れてんのに笑ってんだけど!!
あの子超~ブキミなんですけどッッッ!!!
「がっ、がびさば・・・あ゛、あ゛り゛がどう・・・ござい゛、ばず・・・ぞ、ぞれ゛がじに・・・ごっ、ごの゛よ゛うな・・・ぎっ、ぎがいを・・・あ゛だえで、くださり・・・」
ヒッ!
こっ、こっち見てきた!?
まっ、まさか、あたし!?
「むっ・・・むしの゛・・・ぶん゛ざい゛で・・・あ゛、あ゛ね゛う゛え゛を゛・・・ごっ・・・ごろ゛じだ、ぎゅ、救血の、乙女を、ぞっ、ぞれ゛がじの゛、てで・・・ごろず・・・ひっ、ヒヒっ・・・」
あっ、姉上?
仇?
何の話してんの一体!?
「ミラ様!!」
「みんな早く逃げて!!コイツの狙いはあた・・・」
ジャキン!
ダッ・・・!
「ッッッ!!」
「会いたかったぞ・・・ミ゛ラ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あッッッッッッッッッッッ!!!!!」
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ・・・!!!!
「“人間のフリをする”ですか?」
「そっ。ただ単に吸血鬼として助けるんじゃなくって、人間に化けて乗り込めば向こうも混乱するんじゃないかな?吸血鬼ならまだしも、そこら辺の人間がこぉんなおっかない魔獣に跨って襲いに来るなんて、まず有り得ないから。」
「クゥン?」
「アウ?」
「・・・・・・・。たっ、確かにそうですね。」
「でも人間になりすますなんてどうやるんですか?顔を隠してとかするんですか?」
「そこはグレースちゃん、もちっと本格的にやるんだよ♪」
「本格的?」
「はっ!異種擬態!」
ピカッ!
「きゃっ!?みっ、ミラ様?」
「ごめんごめんビックリさせちゃって。グレースちゃん、はい、鏡。」
「ッッッ!!めっ、目の色がっ!?」
「どぉ~?牙も見事に無くなってるでしょっ。」
「どこからどう見ても、完璧な、人間だ・・・」
「なるほど。ミラ様、考えましたね。我々が人間の都市に潜入するための魔能を使用されるとは。しかし、これほどまで高度な物は初めてです。大抵は肌か瞳の色、耳の形、牙の有無などある程度はそのままになってしまうのですが・・・」
「そうなんだ。取り扱い説明書の中に書いてあって、“こりゃ使えるな”って思ってやってみたんだけど・・・ねぇ、今度その潜入してる人らに会わせてよ。あたしがかけてあげたら、もっと忍び込めやすくなると思うからさっ。」
「ええ、彼等もきっとお喜びになるでしょう。」
「してミラ殿、完璧になりすますことができるのは分かりましたが、具体的にどのような流れで救出なさるのですか?」
「それはね・・・あたし達が強盗のフリをして、難民の人達を敵から掻っ攫うのッッッ!!」
◇◇◇
いやぁ~!
一度でいいからやってみたかったんだよね~♪
『敵のフリをして仲間を助けるシチュエーション』っていうの。
だってそういうの、めっちゃくちゃカッコいいカンジがするんだもん♡
助けられた人らの、あの「あっ、この人達本当は味方だったんだ。私達助かったんだ。」って顔見ると、こっちもやり切ったって思って達成感ハンパないんだよね~♡
オマケに敵も突然のことで混乱するし、一石二鳥だよ!
しかし、ちょっとこっちにしたら予想外のことがあるんだよな~
何アレ、敵のリーダー?
完全にショタじゃん!!
アイツがこの中で一番強いの?
何その、いかにも異世界ファンタジーモノでありそうな展開!?
イザ自分の身に起こってみると、どうにも戸惑っちゃうわ。
あたし子どもには手をあげたくないんだよなぁ~
「ミラさ・・・じゃなかったっ。リーダー!コイツ毒打ち込まれてるみたいですよ!どーすんですか!?これじゃ引き取ってもらえないですよ。」
「あっ、ああ?なぁに心配すんなグレイ!さっきアタシが渡したクスリ、アレちょっと飲ましてみ?」
「はっ、はい!おっ、オイあなた!しっ、死にたくなかったら今すぐこれを飲めやがれ!!です・・・」
「なっ・・・何・・・これ・・・?」
「あなたの命を助けるクスリ、だ!つっ、つべこべ言わず、さっさと飲め!!です・・・」
キュポン・・・
「こっ・・・この匂い・・・もしかして・・・血・・・」
「クスリだッッッ!!誰が何と言おうとクスリだッッッ!!です・・・いいから飲めッ!下さい・・・」
ゴキュッ・・・ンク・・・
「はぁ・・・はぁ・・・はぁぁ・・・」
「どうだ?楽になったか、ですか?」
「えっ、ええ。あっ、あなた達、一体?」
「クスリが効いたみたいですよ!ミラさ・・・ううん!リーダー!!」
「おお、そっか!胡散臭い薬師から手に入れたんでイマイチ信用できなかったが、ちゃあんと効いたみたいで安心したよ全く!!それじゃお前ら!荷馬車に乗り込んで早いことコイツら掻っ攫うぞッッッ!!」
「待て。お前、ここから逃げられると思っているのか?」
「おっと~追いかけてくんなよ?アタシの可愛いワンコどものエサになりたくなかったらなぁ。」
「「グルルルルルルルルル・・・・」」
「ちっ・・・」
「グズグズしてないで早く乗せちゃいな!!アタシトロいのはキライなんだよ!!」
「おっ、おう!ほらお前ら!早いとこ馬車に乗りな!」
「どっ、どうする!?ナオ?」
「こっ、このままじゃ・・・」
コソッ・・・
「え・・・?」
「里長殿、味方を連れて戻って来ました。皆様を安全なところまでお連れしますので、どうかお急ぎを。」
(この声、あの時の?もっ、もしかしたら・・・)
「みんな、この人達の言う通りにして。」
「ナオ!お前何言って・・・」
「私を信じて!この人達は、大丈夫だから。」
「えっ?わっ、分かった。みんな、急いで荷馬車に乗るんだ。」
ゴトッ、ゴトッ
「よし!全員乗ったな!?じゃあみんな、ズラかるよ!!」
「「「はいッッッ!!!」」」
ドドドドドドドドドドドドドドドド・・・!!!!
「・・・・・・・。」
「おいどうすんだよ!?みんな連れ去られちまったじゃねぇか!!」
「お前、何か妙だと思わんか?」
「何がだよ!?」
「これだから知恵のないゴロツキは・・・奴ら、我が国の領土の反対側に馬車を進めたぞ。」
「それがどうしたってんだよ!周り道して行くかもしれないだろ?」
「それに、あの禍狼種、王国に貸し与えたまま行方知らずになった2頭の特徴によく似ておる。」
「おい、それどういうことだよ?」
(例の2頭は王国の部隊が所有していた。そしてその部隊は皆、消息を絶った・・・吸血鬼どもの手によって。)
「・・・・・・・。下手な小細工を使いおって。ヤブカどもが・・・」
「メウロ?」
「お前等は残った馬で追跡の準備をしろ。奴らは某が捕らえる。」
「お前何言って・・・」
「地級第一位・弾丸走破。」
ザザザザザザザザザザザザザザザザザ・・・!!
「アイツ、森ん中を突っ切る気かよ!?」
◇◇◇
「ここまで来れば多分大丈夫だから、一旦休もっか。」
キィィィィィィィ!!ガタ・・・ゴト・・・
「ふぃ~なんとか上手くいったね!」
「おっ、お前達は何者なんだ!?」
「あっ、すいません。もう解いてもいいかな?」
パチンッ!
「ッッッ!!きゅっ、吸血鬼!?」
「まっ、まさか攫うフリをして私達を?」
「えっ、ええ、まあ、そうなんですっ。いやぁドキドキしたぁ~グレースちゃん素が出そうになりすぎだったよ~」
「はぅぅ・・・すいません。つい自分の気持ちに正直になってしまって・・・」
「みなさんご無事なようで、本当に良かったです。」
「あっ、あんたは・・・!」
「来るのが遅れてしまって申し訳ないです。里長様にも、大変お辛い思いさせてしまって・・・」
「謝らないで下さい。きっと、助けに来てくれるって、信じてました。」
「ッ!・・・・・・・。」
「セドヴィグさん、それに皆様方、私達を救ってくれて、本当にありがとうございます。」
「わっ、私達なんてとても!全てはミラ様がご提案された作戦の賜物です。」
「え?ッッッ!!?そっ、その髪色・・・あっ、あなた、様は、ま、まさか・・・」
「あっ、はいっ。そうなんです。いっ、一応、本人でして・・・」
「里長さま、このお姉ちゃん誰?」
「フフッ・・・私達の、救世主様よ・・・」
「きゅうせいしゅ?」
「みんなこんにちは!・・・って、もう夜だからこんばんは、か。あたしの名前はミラ。よろしくね!」
「ありがとう!!ミラお姉ちゃん!ボク達を助けてくれてっ。」
「こっ、こらお前達っ!ミラ様に対してその呼び名は不敬だぞっ。」
「いいんですって!あたしもそう呼んでもらって嬉しいんですからっ。」
「はっ、はあ・・・」
“ミラお姉ちゃん”か。
上手くいくかどうか、正直めちゃくちゃ緊張したけど、みんな無事に助けることができて本当に良かったな・・・
一度やってみたかったシチュだけど、このやりきった感はさすがに想像以上だよぉ・・・
「ミラ様?」
「ああごめん、つい感慨深くなっちゃってさ、そろそろみんなを安全な場所まで送ってあげよっか。」
「そうですね。では皆様、そろそろご出発を・・・」
「グルルルルルルルルル・・・」
「ウウウウウウウウウウ・・・」
「んっ、どしたの?」
「ッッッ!!みっ、ミラ殿!!あっ、あれ・・・」
ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ・・・
「やはり・・・よくも謀ってくれたな、ゴミ共。」
はっ!?
アイツさっきのショタじゃん!!
まさか森ショートカットして追っかけてきたの!?
どんだけ足速ぇんだよッッッ!!!!
「お前らの下らん余興に某は今、不快の絶頂だ。単に殺してもらえるとは思うなよ。」
「みっ、ミラ殿・・・」
やべぇよアイツめっさ怒ってるじゃん・・・
でもどうにかみんなをここから逃がさないと・・・
「ん?ッッッ!!?きっ・・・貴様は・・・」
アレ、止まった?
でもなんか様子おかしくない?
「あ゛、あ゛あ゛・・・はあ゛・・・!はあ゛・・・!い゛っ、生ぎで・・・い゛だ・・・どは・・・い゛っ・・・い゛ひっ・・・ヒヒっ・・・!!」
ええっ!?
なになになに!!?
汗ダラダラだし、よだれボタボタだし、身体ガタガタ揺れてんのに笑ってんだけど!!
あの子超~ブキミなんですけどッッッ!!!
「がっ、がびさば・・・あ゛、あ゛り゛がどう・・・ござい゛、ばず・・・ぞ、ぞれ゛がじに・・・ごっ、ごの゛よ゛うな・・・ぎっ、ぎがいを・・・あ゛だえで、くださり・・・」
ヒッ!
こっ、こっち見てきた!?
まっ、まさか、あたし!?
「むっ・・・むしの゛・・・ぶん゛ざい゛で・・・あ゛、あ゛ね゛う゛え゛を゛・・・ごっ・・・ごろ゛じだ、ぎゅ、救血の、乙女を、ぞっ、ぞれ゛がじの゛、てで・・・ごろず・・・ひっ、ヒヒっ・・・」
あっ、姉上?
仇?
何の話してんの一体!?
「ミラ様!!」
「みんな早く逃げて!!コイツの狙いはあた・・・」
ジャキン!
ダッ・・・!
「ッッッ!!」
「会いたかったぞ・・・ミ゛ラ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あッッッッッッッッッッッ!!!!!」
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ・・・!!!!
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