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1章

4.一週間後

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 そして、異世界に来て1週間・・・

「少ないDPを気にしつつ完成した。初めてのダンジョンなのだが完成して一週間、来るのが野生の動物一頭ってどういうこと?」

「このままだとこのダンジョン崩壊しますね」

「他人事のように言うのは、やめてくれ!」

そう、このダンジョン開始一週間で、ダンジョン崩壊の危機に達していた。

 人やモンスターが来ないという事は、DPダンジョンポイントでダンジョンを維持するにも育成していくにも必要になるポイントなのだが、全くと言って動物以外訪れないので維持するポイントで、残りのDPが削られているという状態なのだ。

「これじゃタイトル詐欺じゃないか!」

「タイトル詐欺じゃないですよ?現実はそんなに甘くないと、書いてあるじゃないですか?」

「それはサブタイトルじゃないか!それになんでこんなに人もモンスターもめったにこない僻地にダンジョンがあるんだよ!」

「それはマスターの、日ごろの行いと、運が無いからですよ?」

「もう元の世界に帰りたい」

「四の五の言わずにさっさとDP稼ぎにさっさと行きなさい!」

「異世界なんて大嫌いだ!」

 と言い放ちダンジョンから飛び出していった。

 一週間後、本当に来なかった。
 スライムが、今日やっと来た大きい鹿に似た動物一頭を、水を飲んでるところに天井から頭に落ちてきて、体で頭を覆い息を出来なくさせて、あっさりと殺していた。
 まあ、そういう風にやれとは指示出したけど、弱いはずなのに殺せるものだな。
 獲得DP30だった。
 あれ?スライム一番の出世頭?このままだと、俺の立場が危ういぞ。

 立場の危うくなった、本和は、ダンジョンマスターになったはずが、冒険者への道へと歩みだした。

 1日11DPか、とりあえず消費分は稼がないとなー稼ぎ無しで帰ったら、スライムよりも役に立たないのですねと、シュシルに間違いなく言われる。
 ダンジョンから外に出ると、廃村が広がっていた。
 かなりの人が住んでいたのであろう、広大な畑も荒れ果て、井戸の水は乾き、家はほとんど、形が無くなっていた。
 この村が、残っていればDPを稼ぐ方法もあったんだがな。
 まあ、強い冒険者がいたら、即潰されてた可能性もあったけど。
 その廃村の周りは、岩はほとんど無く石がそこら中にある視界良好の平原地帯だった。
 この見渡せる場所で、廃村の原因は、恐らくスタンピードだろうな。
 百人単位の村が簡単に潰れるって恐ろしい世界だな。
 いつまでも、ここに居るわけにもいかないので、掌サイズの石と、半分以下の小石を大量に、アイテムボックスに詰め込んで。
 スキル気配把握と鑑定眼を使いつつ、獲物を探し、薬草とか何かないかと、探していたがありました色々と!

薬草
 食べると、不味い、自然治癒力上昇、若干空腹が、紛れる。
 液体を、傷口に、塗りこむとで、傷が、治りやすくなる。
 ポーションの、材料となる。

毒草
 食べると、とても不味い、毒になる、若干空腹が、紛れる。
 液体にすると、皮膚からは、あまり効果がないが、傷跡に、入り込むことによって、毒になる。
 毒草と消毒草を、混ぜることによって、解毒薬が作れる。

消毒草
 食べると、不味い、体の毒素を、中和する、若干空腹が紛れる。
 液体を、塗ることによって、毒を防ぐことも出来る。
 効果が無いのもある。

 よし、ちょっと取って行こう。ナイフを片手に、サクサクと切って回収して行った。
 なんで、ナイフを持っているのかというと、アイテムバックに数多くの必要な物が、入っておりました!
 ついでに、薬草類の収穫の仕方と保存方法が書いてある物まで、親切に入っておりました!感謝してもしきれない、お爺さんありがとう!

 根ごと取らずに、根元を垂直に切って。
 種類ごとに布に挟んで、アイテムボックスに詰め込んだ。
 アイテムバックは時間が経過するけど、ボックスの方は経過しないみたい。
 まあ、アイテムボックスが使えることを、絶対に口外するなとキツーーーク言われてるけどね・・・誰だって?
ダンジョンにいる、あのお方しかいないじゃないですかやだー。
 初めての薬草収取で、気持ちが高ぶっておかしな状態になっていた。
 全部取り尽くすなとも書かれていたので、数本残しつつ、1種類30本収取完了!
 薬草取りだけなら平和でいいんだけどなと・・・しかし、取ってから気づいた今の所必要無いよな・・・
 アイテムボックスに入れて置けば、その内に、使うだろうと前向きに考え、獲物を探し始めた。
 
 やっと、気配把握に反応があり、腰の高さまで伸びた、牧草地帯になり、牧草で身を隠しつつゆっくりと近づいて行った。
 まだ遠い為、肉眼ではほとんど形しかわからなかったが、白いもふもふとしたものがいた。
 おそらく兎かなと、鑑定をしてみると。

ラビ
 草食動物、警戒心が強い、食肉、毛皮になる。

 これなら勝てるだろう、これで強かったら、死活問題になるな。
 このまま、逃げるわけにもいかないので狩りますか!

「気配遮断」

 両手に掌サイズの石を持ち、ラビにゆっくり近づいた。
 食事中なのか全くこちら気づくことも無く、大体20m位まで近づいて背後から投擲スキルを信じて、ラビ目掛けて全力で投げ、石はラビの後頭部に当たった。

「ピギャ」

 急に攻撃を頭に受けたことによって、気が遠くなっているのだろうふらふらしていたので、暇を与えず続けて2発目をラビに投げて顔面に直撃させた。

「ギュ」

 顔面への投擲で気を失ったのか、死んだのか、分からないがもう動かないだろうと近づき、片手剣で一気に、首を切断した。
 ラビを殺したことで、DPが5入り、剣を浄化して血の跡を消し去り、帯剣してラビの後ろ脚を持ち上げ血抜きをした。
 浄化がかなり万能であるおかげで汚れも落ちて、毎日湧水で水行せずにすんでいる。
 お爺さんが、くれたものに外れ無し。

「何とかいけそうだな」

 初めて生き物を自分の手で、殺したことによって、罪悪感で手が震えていたが。
 それに伴い、この世界で暮らしていけるという、小さな光があることを実感し、安堵感があった。

 呼吸を整える為休憩しつつ周囲を警戒し、ラビの血抜きが終わったのでアイテムボックスに収納し、次の獲物を探した。
 めぼしいものが無いか鑑定も使いつつ探し回っていると、獲物の気配が見つかったので、気配遮断してゆっくりと近づいた。

「グギャグギャ」

 何か気持ちの悪い声が聞こえたので、そっと牧草に隠れながら覗きこんだら、ファンタジーでの出現率がほぼトップであろうゴブリンでした。
 ラビを捕まえて、ラビをそのまま齧り付いていたので、鑑定をした。

ゴブリン
 人型妖精、悪食、異臭、異種族での繁殖力があるため女性は危険。右耳が討伐証明。
 食べられることはできるが物凄く不味い。

 うーん、ラビよりも強いだろうな。
 とりあえず、ラビと同じパターンでやってダメそうなら全力で逃げるようにしよう、命あっての物種だ。
 ラビと同じように、気配遮断しつつ両手に石をもって20m位まで背後から近づいた。
 深呼吸をしてから、手に持っていた石をゴブリンに投げつけた。
 あまりにも緊張していたせいか、狙いが頭から外れ左肩に当たり、直ぐこちらに気付き棍棒を右手で掲げこちらに向かってきた。
 急いで2回目を投げたのだが、運悪くちょうど右手の棍棒が顔の正面に来てしまったため、石が棍棒に直撃してしまった。

「こっちに来るなー」

 慌ててアイテムボックスから、小さい方の小石を掌一杯に出し、すぐ目の前に迫ったゴブリンの顔面目掛けて投げつけた。
 大量の小石だった為、ゴブリンは防ぐことも出来ず痛みで怯んでいる所を、一気に片手剣を引き抜き棍棒を持った右手首ごと切り落とした。
 手首ごと切り落とされた痛みによって、ゴブリンは地面に転がり、うつ伏せになっていたところを、足で思いっきり踏んづけた。

「グギャ」

 踏みつぶされたカエルのような声がでたが、気にしている余裕も無かったので、一気に剣で首の後ろを突き刺した。
ようやくゴブリンが死んだようで、25DP入手した。

「こんなところで死にたくないんだよ!」

 急激な緊張状態になり、思わず口に出したのだったが、慌てて気持ちを切り替え周囲を警戒し安全確保をした。

「油断は身を滅ぼすからな、気を付けないと」

 余裕なんて言葉は、今の自分にはないという事を言い聞かせた。
 体の緊張をほぐし、呼吸を整えて右耳を切り取り、スライムのお土産にゴブリンをそのまま収納し、血の付いたものや触ったところに浄化をした。

「ゴブリンは臭い」

 浄化がなければ、ゴブリンは、遠慮したいのだが何とか倒せる相手なので、今後ともお世話になる相手なのだが、どうも匂いが天敵だった。
 精神的には疲れが出てきてはいるが、肉体的には、まだ行けそうだったので、狩りを続行した。
 二匹目のゴブリンを早々に見つけ、同じ方法で戦った。
 今度は頭に当たり怯んだおかげで、1回目よりはかなり楽に倒せた。
 すぐに次に行こうとしたが、どうも体が重く感じたので続行を諦めた。

「初めてにしては、なかなかの成果かな。浄化を使った後に、体が重くなったからスキルが使える限界が恐らくあるのだろうな。これには気を付けないと、とりあえず今日は帰るか」

 周囲を警戒し、念のため鑑定眼を使ったら。

「何だろあの果物」

ポミ
 果物、甘くて美味しい、若干酸味が強い。

「見た目が林檎だな。ふむ、シュシルへのお土産として持って帰るか。食べるか分からないけど、食べなければ、俺が食べればいいや」

 10個くらい実がなっていたので、良さそうなのを6個切り取って収納した。
 周囲を確認し異常がなかったので、移転石を使いダンジョンへと帰宅した。
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