上 下
2 / 35

異世界

しおりを挟む
俺が俺として、二回目の加賀郎志として産まれ落ちてから17年の月日が流れた


17年でわかった事はそんなに多くはないが腕に刻まれたこの¥マークはどうやらとんでもない力を秘めているらしい

わかった事1
このマークは俺以外には見えない

わかった事2
基本脳内だけで操作可能だが最終確認だけは口答しなければならない

わかった事3
使用したら経過を省き結果だけがすぐに反映される


そんな事を淡々と説明したところでよくわからないと思うだろう

例えば俺が鉛筆が欲しいと念じるとすると必要経費が脳内で提示され、最後に俺が声で「はい」とか「それでいい」なんて言葉で了承したら手元に鉛筆が現れる

そんな仕組みだ

一応使った分の振興が引かれて確認も出来るが5京円なんて大金一生かけても使いきれる訳がないので気にした事はない


こんな風にオッサンがくれたこの¥マークは凄く便利だが多用はしてない
17年で15回も使用してないんじゃないか?

最初は親父の借金こそ返したが後はさほど贅沢もしてない

借金を返せば家はそこらへんの普通の家庭と変わりなかったし高校にも普通に進学出来た

遊んで暮らすのも悪くないのかもしれないが、どうも俺の性に合わないらしく今でもバイトをして自分の小遣いは労働で稼いでいる

そもそも俺だけこんな取って付けられたような力でのうのうと生きるなんて世の中の労働者達に失礼だろう


前世(?)の呪いかどうかは知らんが若白髪と落ちる事のない隈は残ったままだが俺は今それなりに高校生活を満喫している


「ろーじ!昨日の巨人戦観たか!?すげーホームランだったな!!」

前世からの幼馴染み、野球小僧の津田《つだ》 球治《きゅうじ》が朝から興味の無い野球の話を振ってくる
これはもう習慣だ

「おー、すごかったなー(棒)」

「おーい、適当な返事すんなってー!」

一時限目の現国の小テスト対策をしてた俺の頬を球治が引っ張る

「やへろー」

「邪魔してやるなって」

「痛っ!」

もう1人の幼馴染み、結城《ゆうき》 悠《ゆう》の助けが入る
坊主頭にチョップを食らった球治は頭を押さえながら笑っておはようと言った


こんな些細な日常がおそらく普通の幸せってやつなんだろう

平凡で山も谷も無い毎日こそが俺が喉から手が出るほど欲しいものだった


17年経った今更
俺が何故物語を進め始めたのか

それはこの愛すべき日常が前触れも無く崩れるからである



一限のチャイムが鳴って全生徒が席につく中、いつもなら時間きっちりのはずの現国教師がいつまで経っても現れない

5分が過ぎ痺れを切らした生徒がダベり出しはじめるとパンっと1つ手を叩く音が聞こえた


「遅くなりました、授業をはじめます」

音と共に教卓の前に現れたのは教師ではなく17年前に会ったあの優男

その姿を見た瞬間俺の心臓がピクりと跳ねた

「説明は面倒だからしないよ」

教室の床が白く輝き
どうしようもないほど嫌な予感がする

異様な光景に取り乱した生徒が数名教室から出ようとするが引けども押せども扉も窓も開くことはなかった

「無駄な事はしないほうがいい、疲れるだけだよ?」

優男の崩さない微笑みに不気味さを感じる

ざわざわと不安と恐怖に支配されていく教室
テロリストとかドッキリとかそんな言葉が混ざりあっているが俺だけはハッキリとわかる
これはそんなちゃちな物では決してない


「五月蝿くなってきたしさっさと終わらせようか」

ざわつく教室に指を鳴らす音が響く

その瞬間、俺は目の前が真っ暗になって机に打ち付けた額の痛みを淡く残しつつ意識を失った





「勇者達よ、起きたまえ」


RPGの始まりみたいな台詞と共に頭に電流のようなものが走り意識が覚醒した

目を開けると広くて豪華な広間の真ん中でクラスメイト達が倒れていた

教室の机に突っ伏していたはずなのに今は背中に柔らかな絨毯の感触が心地良い
もう少し寝ていたい


「白髪の者よ、あとはそなただけだ」

「おいろーじ、なんか話が進まないから早く起きろって」

俺は球治に腕を掴まれ無理矢理起こされる
モフモフの絨毯に別れを告げ最初の声の方を見るとテンプレ的な王様が玉座に座っていた

宝石を鏤めた王冠
生地の良いマントに逞しい髭

ただ座ってるだけなのに圧倒的な存在感


「私はグランダス・フォン・ファルノーツ、ファルノーツ王国の国王だ」

予想通り王様だった
むしろそうでないとおかしい

「そなた達には冷静さを保つための魔法をかけている、落ち着いて聞くがよい」

言葉通り、動揺こそするものの騒いだりする奴はいない
魔法という単語にも驚きもせず逆に興奮する奴がいる始末

いやいや…現代っ子だからってアニメやゲームのし過ぎだろ

俺はというと相変わらずそこらへんには無頓着である


「そなたらは第五次勇者転移に選ばれた者である」


悪質なバラエティ番組なのかとも思うがこれだけの人数を拉致するのは大変だし法に触れる

カメラも無いしスタッフも居ない
エキストラっぽい甲冑を身に付けた大人達は二十数名いるもののマイクでも照明でもなく剣に槍といった武器ばかり

これはそんな子供騙し…あるいは大人騙しでも、そもそも嘘や虚実や冗談の類じゃない

朝起きたら消える夢でも幻でも何でもない


優男が教室に現れた時から本当は薄々気付いてはいる


これは紛れもなく本物だ

本物の王に本物の国
本物の兵に本物の城なのだろう

非現実的な存在である俺のお墨付きだ


「選ばれし者達よ、そなたらの目標はただ1つ、魔王を殲滅すること」


「一つ聞いていいか?」

サッカー部の山崎が挙手する
普段チャラチャラしてるぶんお偉いさんにも切り込み方が鋭い

不躾だがこういう人材も一人は居てもいいと思う

「魔王を倒せば俺達を元の世界に返す、って感じか?」

「いかにも」

「ただの学生集団に倒せる魔王ならあんたらだけでも出来るだろ、それ」

山崎が本気なのかおちょくってるのかはわからない

しかし王は真剣な面持ちで答える

「転移者には特別な加護…もとい特技《スキル》が施される、それはどれも常人には計り知れない力ばかりだ」

王はステータスオープンの仕方を教えてくれた

頭の中で「ステータスオープン」と念じるだけだが、言われた通りにして驚く有象無象は本当に馬鹿みたいだ

そして俺もまた馬鹿の一人



加賀郎志
勇者
level.15

力.132
早.64
守.105
魔.82
運.41
技.376

固有特技.金渡使徒《マネーウォーカー》


どうやらこれが俺のステータスらしい
基準がわからないから一概に言えないが前回の労働人生が功を奏してか技術のステータスが一際高い気がする

「なんかゲームみたいで面白いな!ろーじ!お前はどうだった?」

俺の目の前に浮かぶウィンドウはどうやら他人には見えないようだ
球治がわざわざ確認してくるのもそうだが俺も今表示されてるであろう球治のステータスが見えない

「どうだったって言われてもよくわからんわ」

「固有特技に逆境者《ピンチヒッター》って書かれてんだけどなんなんだろうなこれ!?」

「だから知らねーって、まぁでもお前らしくていいんじゃねーの?」

ピンチヒッターという響きにテンションを上げる球治を他所にどこか不安そうな悠の肩をたたいた

「何ビビってんだ、らしくねえ」

「だって訳わかんないじゃんこんなの…二人とも何でそんな冷静なの?」

震える肩を優しく包んでやりたいのはやまやまだが前回も今回も俺にそんな資格はない

前回から絶賛片想いではあったが悠を幸せに出来るビジョンが今も見えないし、こいつにはもう他に好きな奴が居るのを俺は知っている

「いや、お前と違って俺ら馬鹿だから…状況がまだ把握出来てねーだけだよ」

俺が出来るのは何の励ましにもならない空の言葉を柔らかくして投げ付ける事だけだ


「各々ステータスを確認したようだな、しかしまだその数字の羅列にどんな意味があるのかは解らんじゃろう」

50を越えれば優秀
100を越えれば天才
150を越えれば国のトップレベル

職業《ジョブ》によって異なるらしいがlevelも城内勤めの兵で10前後、近衛で15から20、戦士長とか騎士団長クラスで三十代前半とのことだが
ハッキリ言ってピンとこない

「初期levelから15というのは高いのでしょうがそれだけでは僕達をわざわざ勇者として呼び出した理由としては不充分です」

クラス委員長兼生徒会副会長の小瀧が眼鏡を拭きながらもっともな事を言う

確かにそれだけじゃ理由としては弱い

「理由なら山程あるが一番は伸び代じゃな」

「伸び代?」

「いかにも、儂が聞き及ぶ話だと100levelに到達し見事魔王の一人を討ち倒した者が居たという」

そのステータスは全てが1000を越えていたらしいが確認した者は居ないらしい

「今魔王の一人と言いましたが魔王は複数居るのですか?」

「うむ、今は18人居ると聞くが…確かな事は言えん」

「僕達はその全てを倒さないといけないんですか?それとも一人だけでも?」

「全員倒せば世界の理により勇者は全員帰れるが一人だけだと一人しか帰れん」

「それは…何故?」

「詳しい話は大臣がするであろう、そなた達には三日ほどかけてこの世界の常識を教える、その後に軍資金を譲渡し旅立ってもらう予定だ……ゴホッゴホッ!!」


王は咳き込むと家臣の一人に黄金の杯を貰い中の液体を飲み干した

「すまんが儂はこれにて失礼する、後の事は任せた」

護衛を二人連れて玉座の奥の扉から出ていく王

「では勇者様達、場所を移すか」

残された俺達は一際恰幅のいい男に案内され別室に連れていかれた

「俺はベッツ・プラント、一応この国の戦士長をしてる。気軽にベッツと呼んでくれ」

長い机の上には食事が並ぶ
王室の食事は見た目は豪華だがそれだけだ

「まぁ飯でも食いながら聞いてくれ」

スープは薄いしサラダの野菜はカッサカサ、新鮮さの欠片もない
肉は硬いし魚は臭みが取れてない

前世じゃ育ち盛りの妹に安くて美味くて栄養バランスのいい飯を作っていた俺からすると大変粗末なもんだ

スポーツ男子共は気にせずガッツいているが女子達は二口三口でフォークを置く始末


「あー…やっぱり異世界の女性はグルメですねぇ」

分厚い教典を持った中年がこの惨状を見て苦笑いで溜め息を吐く

「こっちは大臣のオルトロ・バニール、あんた達の教育係だ」

「以後お見知りおきを」


その後は長くてつまらない話が淡々と続いた
各国の情勢とか
貨幣価値と物価とか
宗教とか
種族とか
貴族とかエトセトラエトセトラ…


気が付けば話を聞いてるだけで日が落ちて外はすっかり暗くなっていた

俺達には一人一人に部屋が用意されていて、俺は案内された部屋のベッドに寝そべっていた


なんだか面倒なことに巻き込まれたもんだ



しかし俺はこうなる事をずっと前から知っていた


前世で起きた高校生集団神隠し事件
その被害者が今回のメンバーだ

そして前回、俺が生きてる内にその被害者が見つかる事は遂ぞなかった


これからどうなるかは神のみぞ知るところかもしれないがせめて球治と悠だけでも帰してやりたい


まぁ、やれるだけやってみるか



俺は眠気により薄れゆく意識の中で声を聞く


『金渡使徒を自動操作《オートモード》で起動してよろしいですか?』



よくわからんがOKだ

『今回かかる費用は22兆7259億4105万5250Gになりますがよろしいですか?』

「んー?…はいはい……了解了解」


適当に返事してしまったがこの判断がとても重要だった事を俺はまだ知らない



.
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

クラス転移で神様に?

空見 大
ファンタジー
集団転移に巻き込まれ、クラスごと異世界へと転移することになった主人公晴人はこれといって特徴のない平均的な学生であった。 異世界の神から能力獲得について詳しく教えられる中で、晴人は自らの能力欄獲得可能欄に他人とは違う機能があることに気が付く。 そこに隠されていた能力は龍神から始まり魔神、邪神、妖精神、鍛冶神、盗神の六つの神の称号といくつかの特殊な能力。 異世界での安泰を確かなものとして受け入れ転移を待つ晴人であったが、神の能力を手に入れたことが原因なのか転移魔法の不発によりあろうことか異世界へと転生してしまうこととなる。 龍人の母親と英雄の父、これ以上ない程に恵まれた環境で新たな生を得た晴人は新たな名前をエルピスとしてこの世界を生きていくのだった。 現在設定調整中につき最新話更新遅れます2022/09/11~2022/09/17まで予定

異世界で魔法使いとなった俺はネットでお買い物して世界を救う

馬宿
ファンタジー
30歳働き盛り、独身、そろそろ身を固めたいものだが相手もいない そんな俺が電車の中で疲れすぎて死んじゃった!? そしてらとある世界の守護者になる為に第2の人生を歩まなくてはいけなくなった!? 農家育ちの素人童貞の俺が世界を守る為に選ばれた!? 10個も願いがかなえられるらしい! だったら異世界でもネットサーフィンして、お買い物して、農業やって、のんびり暮らしたいものだ 異世界なら何でもありでしょ? ならのんびり生きたいな 小説家になろう!にも掲載しています 何分、書きなれていないので、ご指摘あれば是非ご意見お願いいたします

ヒューマンテイム ~人間を奴隷化するスキルを使って、俺は王妃の体を手に入れる~

三浦裕
ファンタジー
【ヒューマンテイム】 人間を洗脳し、意のままに操るスキル。 非常に希少なスキルで、使い手は史上3人程度しか存在しない。 「ヒューマンテイムの力を使えば、俺はどんな人間だって意のままに操れる。あの美しい王妃に、ベッドで腰を振らせる事だって」 禁断のスキル【ヒューマンテイム】の力に目覚めた少年リュートは、その力を立身出世のために悪用する。 商人を操って富を得たり、 領主を操って権力を手にしたり、 貴族の女を操って、次々子を産ませたり。 リュートの最終目標は『王妃の胎に子種を仕込み、自らの子孫を王にする事』 王家に近づくためには、出世を重ねて国の英雄にまで上り詰める必要がある。 邪悪なスキルで王家乗っ取りを目指すリュートの、ダーク成り上がり譚!

死んで全ての凶運を使い果たした俺は異世界では強運しか残ってなかったみたいです。〜最強スキルと強運で異世界を無双します!〜

猫パンチ
ファンタジー
主人公、音峰 蓮(おとみね れん)はとてつもなく不幸な男だった。 ある日、とんでもない死に方をしたレンは気づくと神の世界にいた。 そこには創造神がいて、レンの余りの不運な死に方に同情し、異世界転生を提案する。 それを大いに喜び、快諾したレンは創造神にスキルをもらうことになる。 ただし、スキルは選べず運のみが頼り。 しかし、死んだ時に凶運を使い果たしたレンは強運の力で次々と最強スキルを引いてしまう。 それは創造神ですら引くほどのスキルだらけで・・・ そして、レンは最強スキルと強運で異世界を無双してゆく・・・。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

異世界転生でチートを授かった俺、最弱劣等職なのに実は最強だけど目立ちたくないのでまったりスローライフをめざす ~奴隷を買って魔法学(以下略)

朝食ダンゴ
ファンタジー
不慮の事故(死神の手違い)で命を落としてしまった日本人・御厨 蓮(みくりや れん)は、間違えて死んでしまったお詫びにチートスキルを与えられ、ロートス・アルバレスとして異世界に転生する。 「目立つとろくなことがない。絶対に目立たず生きていくぞ」 生前、目立っていたことで死神に間違えられ死ぬことになってしまった経験から、異世界では決して目立たないことを決意するロートス。 十三歳の誕生日に行われた「鑑定の儀」で、クソスキルを与えられたロートスは、最弱劣等職「無職」となる。 そうなると、両親に将来を心配され、半ば強制的に魔法学園へ入学させられてしまう。 魔法学園のある王都ブランドンに向かう途中で、捨て売りされていた奴隷少女サラを購入したロートスは、とにかく目立たない平穏な学園生活を願うのだった……。 ※『小説家になろう』でも掲載しています。

処理中です...