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リクエスト集

《if》並行世界の悪夢④

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「……リーナ、大丈夫か?」

「はい、問題ありません」 

 レクト公爵を検挙した翌朝、私とウィリアム様はリック様とリディアさんが占拠するカトル公爵家に向かって出発しました。

 数日間の道程でたった今到着しましたが……外から見た感じでは私が出ていった時と変わりありませんね。

 ……3年間、あくまでも書類上ではありましたが、夫婦というの関係にあったのですから、これから起こること、少し前にこの場所で起きたことを思えば不安や悲しみの感情が浮かぶかと思ったのですが、そういった感情は自分でも驚くほどにありません。
 私の精神的な負担を心配してくださったのであろうウィリアム様には申し訳ありませんが、今の私の心の中にあるのは怒りと同情の念だけです。


「……早速突入してみませんか?」

「リーナが望むのなら構わないが、レクト公爵の時と同じように待っていてくれても問題はない。……どうする?」

「もちろん付いていきます」

「……そうか、では行こう」





* * *




「──リーナお嬢様!ご無事でしたか……!皆、リーナ様の身を案じることしか出来ないことを歯痒く思っておりました。よくぞご無事で……」

 門に行くと、番をしていた者が涙を浮かべて私の無事を喜び、すぐに屋敷の中に通してくれました。
 すぐに執事長が駆けてきましたが、ほとんど取り乱すことのなかった執事長がこんなに心配してくれたなんて……

「心配をかけてしまって、ごめんなさい。……貴方達は大丈夫でした?」

「はい……罵声を浴びせられる程度で直接的な危害を加えられた者はおりません。ただ……リック様とお連れ様の厚顔無恥な行いを諌めることが出来ず……」

「良いのです。貴方達も無事で良かったです……安心してください、カトル公爵家をあるべき形に戻しますから」

 私の隣に佇んでいたウィリアム様に視線を送ると、頷きを返してくださいました。
 それにしても使用人達に被害がなくて良かったです……リック様は私が出て行けば、他の者には何もしないと言っていましたが、その言葉を信じられる根拠はありませんでしたから。あのリック様でも最低限の約束は果たしたということでしょうか?
 ……考える頭がなくて、カトル公爵家に忠誠を誓った者達の存在を軽視し、そのままにしていたと考える方が自然ですね。
 ちなみにリック様とリディアさんはブティックに行っているらしいです。

「ところで、リーナお嬢様……そちらの方は?」

「あっ、紹介もせずすみません、この方はウィリアム第二皇子殿下です」

「なんと……カトル公爵邸の執事長を拝任しておりますロバートと申します。ウィリアム殿下に拝謁する機会を得られましたこと、光栄に存じます」

「あぁ、此度は貴族としての義務を放棄し、殺人にまで加担した罪人を検挙するためにリーナ嬢に協力していた」

「それは……ありがとうございます」

 ……ロバートはお祖父様の代から執事を務めていて、お父様のことは幼い頃から見ていたと聞いています。
 そのお父様が不審な事故で逝去し、婿入りした男が自分が仕組んだのだと言わんばかりの行動を取っていたのです。
 そんな男が横暴に振る舞う屋敷に仕え続けるのは大層な苦痛であったことでしょう、、

「……私の方でも何か出来ないかと思い、リック様とお連れ様の調査を行いました。お二人には多くの余罪があるようですので、後程報告書をお渡しいたします」

「……ご苦労だった。協力に感謝する」

 



「───リーナ! 誰の許しを得てこの屋敷に入ったっ!」

「……お久しぶりですね、リック様。私が私の屋敷に入るのに許可をもらう必要はあるのでしょうか?」

「あるに決まってます!なんで勝手に私達のお家に入っているんですかぁ!?」

 リック様とリディアさんが腕を組み、息子さんは少し離れて着いていくという形で三人が入ってきました。
 ……リディアさんは随分と絢爛なドレスを着ていますね、、重くないのでしょうか?
 高級ブティックの品だということは分かりますが、、それにしては胸元と背中が大きく開き、深いスリットが入っていて品のないドレスですね……特注品なのでしょうが、、

「あっ!このドレス、どうですかぁ?  今リーナさんが着ているのよりも可愛いですよねぇ!」

「……私では着られないようなデザインですね」

「やっぱり、そうですよねぇ!! ……あら、そちらの方は?」

 リディアさんにつられて隣に立っているウィリアム様の方を見ると、無表情で冷たい空気を放っていました。

「……ん? あっ、ウィリアム殿下! お久しぶりですね、我が家までわざわざお越しとは、すぐに気が付かずに失礼しました」

「えっ、 王子様ですかぁ!?」

「……久しぶりだな、リック殿」

 ウィリアム様は私を庇うように前に出ると、キャーキャー騒いでいるリディアさんには目も向けずに、リック様に短く挨拶を返しました。

「初めまして、王子様! カトル公爵夫人のリディアですぅ」

「……リック殿、これはどういうことかな?」

「はい、私の妻のリディアでございます。こちらは息子のトーマスです」

「貴殿は次期カトル公爵であるリーナと結婚していたのでは?」

 ……ウィリアム様、リック様に己の不貞を自白させるつもりですね? リック様なら簡単に話すでしょうが……

「はい、そいつに子が出来ないので私の息子を次期公爵にしようと思い、リーナとは離縁しました!」

 ……やっぱり。そして、ウィリアム様から背中しか見えていない私でも分かるほどの冷気を感じるのですが、、

「………」

「う、 ウィリアム殿下? どうなさい──グヘェッ」

「キャア、リック様ぁ!」

「ウィリアム様!?」

 何が起こったのか……リック様が吹き飛ばされてしまいました。……一瞬、ウィリアム様の体がブレて見えたのでウィリアム様が何かしたのでしょうが……


「ウグッ、殿下、何をっ! いくら殿下でも許されませんよ!? 」

「リック殿、貴殿にはファーレン・カトル並びにカトレア・カトルの殺害に加担した容疑がかかっている。市民に対する暴行、無銭飲食、、貴族の家督相続における法を無視した行為については先程自分から証言していたな?」

「アガッ」

 ……ツカツカと倒れているリック様に近寄って、その背中を踏みつけるウィリアム様、、これではどちらが悪人なのだか……

「貴殿の子にカトル公爵家の相続権があると思っているのか?」

「とっ、当然──」

「ない。そもそも、貴殿はカトル公爵ではないのだから。  ……貴殿もそちらの女性も身分詐称の罪に問われるだろうな」

「えっ!?  なんでですか!」

「当たり前だろう。皇子である私に『カトル公爵夫人の』などとのたまったのだ」

「わ、私達が捕まったら、トーマスはどうするんですか!?」

「子には罪はない。新たにレクト公爵となるリック殿の兄上に養子として引き取ってもらう予定だ。幸いなことに養子となる条件は満たしているし、すでに容認をもらっている」

 ……さ、流石はウィリアム様です。いつの間にそのようなことまで手を回していたのか、、
 ……あちらも、受け入れる他なかったでしょう。父と弟が問題を起こしたのですから。
 リック様のお兄様は人格者で、問題の多い父をどうにかしようと奔走されていたようです。私も何度かお会いしていますが、とても優しい方でしたから、自分から弟の子を引き取りたいと言ってくださったのかもしれませんね。

 ……あら?
 そういえばと思ってトーマス君を探すと、ロバートが別室に連れていっていたようです。
 ……良かったです。まだ幼い子供に自分の父親が踏みつけられている様子を見せるのはよくありませんもの。

「さて、貴殿らの罪状は理解しただろう? 騎士団で詳細の取り調べを受けてもらうぞ……連れていけ!」

 ウィリアム様の言葉を受けて待機していた騎士達が二人を連れていこうとしますが、、リック様は諦めが悪いようですね。リディアさんは顔を白くして立ち尽くし、抵抗もしていません。

「ッリーナ! お前の夫が罪人になってもいいのか!?」

「? リック様自身が『リーナとは離縁した』と仰っていたではありませんか」

「~~~!」


 自業自得、身から出た錆ですよね?





* * *



 
 
 リック様達の捕縛から半年……やっとレクト公爵家による犯罪や不正の余罪追求が終了し、落ち着いた日々となってきました。

 お父様とお母様の葬儀リック様の捕縛から一月が経った頃に執り行われましたが、慌ただしい中で行ったため、通常よりも簡素なものになってしまいました。
 急ぐ必要はなかったとも思うのですが、カトル公爵領ひいてはアスラート帝国のために身を捧げていた二人を早く弔ってあげたかったのです。
 残念なことに遺体が見つかっていなかったので、骸のない墓に花を手向けるという形となってしまいましたが、皇帝陛下をはじめとしたくさんの方が参席してくださいました。

 そしてその時、久しぶりにレクト公爵となったリック様のお兄様とトーマス君に会いましたが、二人は良い関係を築けているようですね。トーマス君は実の親といた時よりも楽しそうでした。
 そのリック様とリディアさんは、リック様は起こしたことが大きかったために処刑され、リディアさんは投獄されました。
 リック様には自分が仕出かしたことの重大さをあの世で悔い改めてほしいですね、、

 そして私はと言うと、ウィリアム様と再婚しました!
 貴族としてはかなり珍しいスピード婚でしたね、、
 皇族が離婚歴のある私に嫁ぐのはどうかという議論もあったのですが、ウィリアム様が説き伏せてくださいました。
 
 私としては清い身ではなくなってしまった私などにウィリアム様のような素敵な方はもったいないと思っていたのですが、葬儀が終わってからというもの暇さえあれば甘い言葉を投げ掛けてくるウィリアム様に絆されてしまったようです。
 
 ウィリアム様との生活は始まったばかりですが、毎日が幸せに満ちていてすでにウィリアム様がいなかった頃のことが思い出せないほどです!

 これからどんなことがあるのか……未来に希望がもてる日が来るなんて少し前まで思ってもみませんでした。
 でもきっと、ウィリアム様と歩む道は明るい光に照らされた道ですよね?
 
 



 




~~~~~~~~


 以上、“リーナがリックと結婚していたら?”のお話でした!
 
 取り敢えず、リクエストいただいたお話は書ききったでしょうか……?
 忘れているお話があったらすみません(>_<)
(知らせていただければ、書きます!!)
 
 この後、リーナとウィルと双子のほのぼのとした話を書いていこうと思います。
しばらく投稿はできないと思いますが、ご了承下さい_(..)_

 ここまで読んでくださった皆様、誠にありがとうございました!!











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