上 下
29 / 57
リクエスト集

“家族”

しおりを挟む


 
 本編完結後の未来になります!
 リーナ、ウィルの二人とその子供のお話を読みたいと言ってくださった方が多かったので、先に子供を登場させちゃいます!
 妊娠中のリーナやその時の周囲の様子は後程(^^)


~~~~~~~~



 ウィルとの結婚から早十年、、二児の私は母となっています。結婚から四年がたった頃、私のお腹に命が宿っていると分かった時のウィルは狂喜乱舞ともいえる状態でした。今ではすっかりパパになっていますが……。

 私とウィルの子供は男女の双子で、現在は5歳になっています。
 兄である男の子はエリオット、妹である女の子はソフィアと名付けました。
 二人ともとっても可愛らしくて、ウィルと二人で癒される毎日です!

 今日はエリオットとソフィアをお母さんの食堂に連れていきます。
 二人を街に連れていくのは初めてなのでどのような反応をするのか楽しみです!
 お母さんにもようやく二人を紹介できますね。

 ……公爵家の子供である二人はか弱く、政敵から狙われやすい存在です。
 そのため、私の妊娠が分かった時から私の生活の拠点はカトル公爵家の屋敷に移されました。

 お母さんやお客さんからも『公爵邸の方が安全だし、何かあったら大変だから』と説得されてしまいまして、、ウィルも一緒にカトル公爵家に来ましたが、ウィルは手が空いている時にお母さんの食堂へ行って私の近況報告をしたり、私とお母さんの手紙のやり取りを担ってくれています。

 二人が産まれてからもしばらくは、使用人達の目があるとはいえ目を離せませんでしたし、私自身も若輩な女公爵という事で手間取ってしまっていたのでお母さんに会うことが出来ませんでした。

 二人が3歳を過ぎた頃から、私は月に一度程度の頻度で会っていましたが、エリオットとソフィアはまだ幼かったので屋敷の外へ出すのを控えていました。

 今日やっと、お母さんに二人を紹介出来ます! 


「お母さま、きょうはマチルダお祖母さまにあいにいくの?」

「えぇ、そうよ。お母様をとっても可愛がってくれたから、エルとソフィーのことも可愛がってくれるわ」

 私の膝の上に乗っていたエリオットが私と同じ青銀の瞳を輝かせながら私を見上げています。
 エルとソフィーはエリオットとソフィアの愛称です。

「お父さまもいっしょだよね!?」

「あぁ、もちろん」

 私が座る二人掛けのソファには、当然のようにウィルも座っていて、その膝にはソフィアが乗っています。
 エリオットと色彩はプラチナブロンドに青銀の瞳で、ソフィアの色彩は黒髪に緑金の瞳と、私とウィルそれぞれと全く同じ色を纏っていて、双子なのにこうも違うのかと思っておりました。

「義母さんもずっと二人に会いたがっていたから喜ぶはずだ」

「「ほんと!?」」

「あぁ」

「えぇ、お父様の言う通りね」




* * *



「はじめまして、エリオットです!」
「ソフィアです!」

「初めまして、エリオット、ソフィア」

「「よろしくおねがいします!」」

「おやおや、挨拶が出来て偉いねぇ」

「可愛いぃぃい」
「小さいのに立派だなぁ」
「頭がよさそうだな」

 エリオットとソフィアが馬車の中で練習していた自己紹介と挨拶を披露しました。二人ともお母さんや食堂にいたお客さんに褒められて誇らしげです。

「ずっと二人を連れてこられなくてすみませんでした、、エルとソフィーもお母さんに会いたいと言っていたので、連れてこられて良かったです」

「いいんだよ、会いたいとは思っていたけど、立場もあるからね。それにしても、聞いていた以上に可愛い子達じゃないかい! ウィルがデレデレになってる理由が分かったよ!」

「デレデレ……ですか? ウィルが?」

 ウィルの方を向くと顔を反らされました。……珍しい反応ですね。

「あれ? もしかして、リーナ達の前じゃ普通のお父さんだったかい?」

「は、はい、エルとソフィーを甘やかしてはいますが、格好良いお父様として慕われていますし、私としても頼りになるお父様です」

「うん! お父さまはカッコいいんだよ」
「ソフィーもエルも、お父さまだいすきなの!」

「ハハハッ、おいウィル! リーナちゃんの前ではやっぱりカッコつけたいのか?」

「ふふっ、やっぱりウィルさんはウィルさんですね」

「……当たり前だろう、、何か問題が?」

 開き直ったようにこちらを向いたウィルですが、心なしか、、いえ、バッチリと赤くなっていますね。
 それにしてもウィルが……屋敷でも『少し親バカなのでは?』と思うことがありましたが、まごうことなき親バカだったようです。
 でも、仕方ありませんよね?
 エルもソフィーもこんなに可愛らしいのですから!

 それにしても、『リーナ』……先日会った時に、私も28になったから“ちゃん”は恥ずかしいと言ったのですが、『リーナちゃんはリーナちゃんだし、見た目でも違和感ないから』と言われてしまいました。
 ……変わらずに接してもらえて嬉しくはありますが、やはり恥ずかしいですね、、

 ……また、後で考えましょう。
 時間は有限ですからね。


「───お母さん、早速ですが公園に行きませんか?」

「そうだね。ウィルからも二人に街を見せたいって聞いてたから、アタシもそう提案しようと思ってたんだ! リーナが公共事業でこの近くに公園を造ってくれただろ? 皆、助かってるんだよ!」

「本当ですか? それなら、よかったです」

「あぁ、この街は子供が多いからね……皆、遊ばせる場所がほしいって思ってたんだよ。大人も運動するのに使えるしね!」

「リーナ、よかったな」

 こうして、自分がしたことを認めてもらえるのは嬉しいですね。
 公爵になった時は不安でしたが、なんとかやっていけているようです。

「リーナちゃ~ん、俺らも行っていいか?」

「もちろんです!」

   


* * * 




「お母さま!あれはなに!?」

「エルはあれに興味があるの? あれはブランコというのよ……他の子とも仲良く遊びなさいね?」

「うん! お父さまもいこう!」

「あぁ、、あまり急ぎすぎると転ぶぞ」

「ソフィーはお母さまと、おばあさまとお花をつみたい!」

「あら、いいわね」

「ソフィーには可愛い花冠を作ってあげよう!」

「はなかんむり? それなぁに?」


 ──側ではソフィーがお母さんに花冠の作り方を教わりながら、小さな手で一生懸命に花を編んでいて、少し離れたところからウィルに背中を押してもらいらがらブランコを漕ぐエルの楽しそうな声が聞こえてくる……。
 私がずっとほしいと思っていた温かな“家族”の光景……。

「あれ? お母さま、どうして泣いてるの? 」

「本当だ、どうしたんだい?」

 ……えっ?
 ソフィーとお母さんに言われて自分の頬に手を当てると、濡れていることが分かりました。

「あっ、これは……」

「お父さま~!お母さまがないてるよ!」

「そ、ソフィー、、これは違うのよ」

 大声で叫ぶソフィーの声を受けて、エルを抱っこしたウィルが走ってきました。

「リーナ! 大丈夫か? 何があった?……もしかして、体調が──」

「ウィル、何でもないわ。ただ嬉しかったの」

「『嬉しい』?  !……あぁ、そうだな」

 ウィルは私が言いたいことを理解してくれたようです。
 私が諦めようとすらしていた“家族”……お母さんに出会って、ウィルと再会して、エルとソフィーが生まれて、、モノクロだった私の世界がどんどんと鮮やかなものになっていきました。

「リーナ、アンタが幸せになってくれて本当によかったよ」

「お母さまがうれしいなら、ソフィーもうれしいよ?」

「エルも!」

「もちろん、私もだ」

「……皆、、本当にありがとう」


 この先もずっと、、この幸せが消えてしまうことはないでしょう。
 こんなに素敵な家族に囲まれているなんて、私は幸せ者ですね……!





~~~~~~~~


 以下、話の雰囲気ぶち壊しかもです_(._.)_
 読まない、もしくは斜め読みで問題ありません!
 一応、面白いとは思っていただける内容だと思うのですが……( ̄▽ ̄;)




《おまけ》

~ウィルが一人で食堂に行っていた時~
「家族が愛らしすぎて辛いっ!」
「なんだい、また言ってんのかい?」

「何度でも言いますとも! リーナへの愛しさは天井しらずでどこまでも高まっていくんです……! エルとソフィーが産まれてから、彼女こそ聖母なのだと分かりました! この間も屋敷の庭で遊んでいているエルが転んで泣いてしまった時に、優しく起して涙を拭ってあげている姿は神々しくて、リーナとエルのいる場所に天から一筋の光が伸びているようでした! その後、兄を心配して駆け寄ったソフィーもその光の中に入って……本当にこの世にいるのかと不安さえ感じましたよ。エルとソフィーも二人で眠っている姿は天使だし、最近では難しい言葉も覚えていって、少しずつ始めている勉強でも皆を驚かせる神童だしっ……!  昨日はソフィーが『お父さま、つかれてない? ソフィーがよしよししてあげるね』って……! 大きな事業を進めていて疲れ気味であったのは事実でも、それを子供達には悟られないように気を付けていたのに、気が付くなんて、、何より、まだ5歳になったばかりなのに私の事を気遣ってくれるなんて天使としか言いようがありません!エルもそれを見て私の頭を撫でてくれたし、リーナも来て───

「ウィル! もう、分かったよ!」

「ウィル~、戻って来ーい」

「毎度の事ながらスゴいですね、、今息継ぎしてました? 明らかに一息で言える長さじゃなかったですよね?」

「マジで超人だろ。だけど、あの惚気がリーナちゃん達の近況報告にもなってるんだよなぁ」

「エル君とソフィーちゃんにはまだ会えてないが、ウィルをここまで壊すとは、どんな子達か……会うのが楽しみだ」

「早く会いたいですね!」

 
 以上、キャラ崩壊のウィル君でした!







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」 「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」 いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。 「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と…… 私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。 「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」 「はい、お父様、お母様」 「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」 「……はい」 「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」 「はい、わかりました」 パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、 兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。 誰も私の言葉を聞いてくれない。 誰も私を見てくれない。 そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。 ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。 「……なんか、馬鹿みたいだわ!」 もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる! ふるゆわ設定です。 ※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい! ※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇‍♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ! 追加文 番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

【完結】今世は我儘なぐーたら令嬢を目指します

くま
恋愛
一つ下の妹のキャンディは愛嬌は良く可愛い妹だった。 「私ね、お姉様が大好きです!」 「私もよ」 私に懐く彼女を嫌いなわけがない。 公爵家の長女の私は、常に成績トップを維持し、皆の見本になるようにしていた。 だけど……どんなに努力をしていても、成績をよくしていても 私の努力の結果は《当たり前》 来月私と結婚を控えている愛しい婚約者のアッサム様…… 幼馴染であり、婚約者。とても優しい彼に惹かれ愛していた。 なのに……結婚式当日 「……今なんと?」 「……こ、子供が出来たんだ。キャンディとの」 「お、お姉様……ごめんなさい…わ、私…でも、ずっと前からアッサム様が好きだったの!お姉様を傷つけたくなくて……!」 頭が真っ白になった私はそのまま外へと飛びだして馬車に引かれてしまった。 私が血だらけで倒れていても、アッサム様は身籠もっているキャンディの方を心配している。 あぁ……貴方はキャンディの方へ行くのね… 真っ白なドレスが真っ赤に染まる。 最悪の結婚式だわ。 好きな人と想い合いながらの晴れ舞台…… 今まで長女だからと厳しいレッスンも勉強も頑張っていたのに…誰も…誰も私の事など… 「リゼお嬢様!!!」 「……セイ…」 この声は我が家の専属の騎士……口も態度も生意気の奴。セイロンとはあまり話したことがない。もうセイロンの顔はよく見えないけれど……手は温かい……。 「俺はなんのために‥‥」 セイロンは‥‥冷たい男だと思っていたけど、唯一私の為に涙を流してくれるのね、 あぁ、雨が降ってきた。 目を瞑ると真っ暗な闇の中光が見え、 その瞬間、何故か前世の記憶を思い出す。 色々と混乱しつつも更に眩しい光が現れた。 その光の先へいくと…… 目を覚ました瞬間‥‥ 「リゼお姉様?どうしたんですか?」 「…え??」 何故16歳に戻っていた!? 婚約者になる前のアッサム様と妹の顔を見てプツンと何かが切れた。 もう、見て見ぬフリもしないわ。それに何故周りの目を気にして勉強などやらなければならいのかしら?!もう…疲れた!!好きな美味しいお菓子食べて、ぐーたら、したい!するわ! よくわからないけれど……今世は好き勝手する!まずは、我慢していたイチゴケーキをホールで食べましょう!

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

出て行けと言って、本当に私が出ていくなんて思ってもいなかった??

新野乃花(大舟)
恋愛
ガランとセシリアは婚約関係にあったものの、ガランはセシリアに対して最初から冷遇的な態度をとり続けていた。ある日の事、ガランは自身の機嫌を損ねたからか、セシリアに対していなくなっても困らないといった言葉を発する。…それをきっかけにしてセシリアはガランの前から失踪してしまうこととなるのだが、ガランはその事をあまり気にしてはいなかった。しかし後に貴族会はセシリアの味方をすると表明、じわじわとガランの立場は苦しいものとなっていくこととなり…。

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

敗戦して嫁ぎましたが、存在を忘れ去られてしまったので自給自足で頑張ります!

桗梛葉 (たなは)
恋愛
タイトルを変更しました。 ※※※※※※※※※※※※※ 魔族 vs 人間。 冷戦を経ながらくすぶり続けた長い戦いは、人間側の敗戦に近い状況で、ついに終止符が打たれた。 名ばかりの王族リュシェラは、和平の証として、魔王イヴァシグスに第7王妃として嫁ぐ事になる。だけど、嫁いだ夫には魔人の妻との間に、すでに皇子も皇女も何人も居るのだ。 人間のリュシェラが、ここで王妃として求められる事は何もない。和平とは名ばかりの、敗戦国の隷妃として、リュシェラはただ静かに命が潰えていくのを待つばかり……なんて、殊勝な性格でもなく、与えられた宮でのんびり自給自足の生活を楽しんでいく。 そんなリュシェラには、実は誰にも言えない秘密があった。 ※※※※※※※※※※※※※ 短編は難しいな…と痛感したので、慣れた文字数、文体で書いてみました。 お付き合い頂けたら嬉しいです!

とある元令嬢の選択

こうじ
ファンタジー
アメリアは1年前まで公爵令嬢であり王太子の婚約者だった。しかし、ある日を境に一変した。今の彼女は小さな村で暮らすただの平民だ。そして、それは彼女が自ら下した選択であり結果だった。彼女は言う『今が1番幸せ』だ、と。何故貴族としての幸せよりも平民としての暮らしを決断したのか。そこには彼女しかわからない悩みがあった……。

私が死んだあとの世界で

もちもち太郎
恋愛
婚約破棄をされ断罪された公爵令嬢のマリーが死んだ。 初めはみんな喜んでいたが、時が経つにつれマリーの重要さに気づいて後悔する。 だが、もう遅い。なんてったって、私を断罪したのはあなた達なのですから。

処理中です...