美しく優秀な次女がいるのなら、私は必要ありませんよね? 〜家を捨てた私は本当の姿に戻り、追いかけてきた皇子と街で暮らす〜

夜野ヒカリ

文字の大きさ
上 下
27 / 57
番外編

執事長の苦難(執事長視点)

しおりを挟む

 カトル公爵家の執事長さん視点のお話です!
 リーナが家を出てから本編完結までどんな裏話があったのかと、使用人さん達の気持ちをまとめてみました。


~~~~~~~~


 あぁぁあ、、リーナお嬢様、何故出ていかれてしまったのですかっ!
 貴女がいないとこの屋敷、、いえ、カトル公爵家が成り立ちませんのにっっ。

 リーナお嬢様は数日前にこの屋敷を出ていかれてしまい、私共への負担は倍増しました。
 リーナお嬢様が出ていかれた理由は言うまでもなく分かっておりますとも、リーナお嬢様へのご家族の皆様の行いは酷いものでありましたから。小心者な私共はリーナお嬢様を苦しみから救いだすどころか、癒して差し上げることも出来ませんでした……。
 自立の出来る年齢になってこの屋敷を離れるのは当然かもしれません。

 で、す、が……!

 私を置いていかないでくださいっ。辞職しようにも公爵様はお聞き届けくださりませんしっ!

 ……失礼、取り乱しましたな。
 私は先代公爵様の代からこのカトル公爵家にお仕えしております、ロバートと申す者です。
 現在は執事長という大任を任されており、屋敷の一切はもちろん、公爵様のお仕事の代理も務めさせていただいております。

 ……リーナお嬢様は本当に優れた方でした。公爵様が仕事を私達に任せっきりで満足に休めない日々が何年も続いておりましたが、リーナお嬢様が手伝いを申し出てくださってから、、本当に助かっておりました。
 最初は未成年のお嬢様に出来ることなど、、と思っていましたが、ご厚意を無下にするのもと少しお手伝いいただくとすぐに考えを改めさせられました。

 何故ここまで書類仕事に慣れていらっしゃるのか尋ねた私に『学園で習っただけ』だと答えておられましたが、本当に初めてとは思えない程でした。
 その後、恥ずかしそうにしながらも学園での成績を見せてくださいましたが、、いやはや、驚きました。
 公爵家を継ぐために、必須科目に加えて経営学や経済学等を学ばれていたのは知っておりましたが総じてトップの成績とは……!

 恥ずかしながら、公爵様の仰る通りよろしくはない成績だと思っておりましたので。リーナお嬢様に頼またためその事は公爵様にお伝えしておりませんでした。

 ……リーナお嬢様のお心を守ることが出来なかったのですから、この程度と思い最善を尽くすとしましょう。



* * *



 先日、公爵様がリーナお嬢様を探すよう指示をなさいました。 

 リーナお嬢様が折角手に入れたであろう平穏がもう脅かされてしまうとは……。
 公爵様は、、失礼ながら能力があまり高くございません。先代公爵様はなんとか一人でも仕事が出来るよう教えておりましたが、現公爵様には教え方が合っていなかったようです。
  
 親であった先代公爵様に反抗されるように長年の婚約を破棄され、現在の奥様……カトレア様と婚約を結ばれました。

 ……先代公爵ヘンリー様と、その姉であったミリア様の死因は“不明”となっておりますが、服毒によるものです。
 ……私はカトレア様が恐ろしい、、
 お二人を死に追いやった毒がカトレア様によるものだというのは、カトル公爵家に仕えている者の間では公然の秘密です。
 そう、、カトレア様は義父、義伯母である方々を悩むこともなく殺したのです。自分に対して不利益だというだけで。
 この事を公爵様はご存知ありません。話したところで信じてもらえず、逆に告発した私共が被害を受けるからです。
 真に忠誠を誓っているならば、お伝えするべきですが、残念ながらこの屋敷にそこまでの忠誠心を持った者はおりませんので……。

 今後、リーナお嬢様に危害が加えられることがないと良いのですが……。

 

* * *



 とうとう、リーナお嬢様が見つかってしまいました。

 それにしても……本来のリーナお嬢様を久しぶりに拝見しましたが、あのようにお綺麗になられていたのですね。
 ある意味、姿を偽られていて正解だったのでしょう。もしお顔やお髪の毛を隠すことなく生活されていたらカトレア様が何をされていたか考えたくもありません。
 リーナお嬢様に理不尽を強いたカトレア様がその事を忘れられていたのも本当に良かった……!
 私など古くから仕えている者はリーナお嬢様の成長を知ることが出来て喜びを感じておりますが、ここ10年程で新たに勤め始めた者達は誰だか分かっていませんな。


 それと……リーナお嬢様のすぐ後に屋敷を訪ねて来られたお方は……どう見てもウィリアム第二皇子殿下でしたが?
 少し前にリーナお嬢様を尋ねていらしたので、もしかしたら……などと考えていた一月後、訃報が届き残念に思っておりました。

 ……リーナお嬢様はこの屋敷を出られてから幸せな日々を送られていたのですな。私共が不甲斐ないばかりにこのように煩わせてしまい申し訳もない。

 
 そんな事を思っていた矢先にリーナお嬢様がカトル公爵家当主となられました。父君は複数の汚職により幽閉、カトレア様は強制労働所へ収容、ミラお嬢様は北方の修道院へ送還され……。
 全てが変わりました。

 リーナお嬢様、いえ、公爵様は旦那様に“ウィル様”を迎えられましたが……これは秘匿されるべき事ですな。皇室騎士の方々から『機密を漏らしたら厳しい罰が下る』と言い渡されましたが……えぇ、使用人一同喜んで口をつぐみましょう。

 新たなものとなったカトル公爵家が今後どのようになっていくのか、、大変楽しみですな。 
 



~~~~~~~~


 読んでくださりありがとうございます(*^^*)

 書き上がっている番外編はここまでとなります_(..)_
 今、リクエストいただいた話を書いていますので、順番を整理しつつ、書き上がり次第投稿していきます!

 ただ、、夜野作者が一応、受験生になってしまったという事で、のんびりな投稿になってしまうと思います。すみませんm(__)m
 まぁ、元々自主的に勉強をするタイプでもありませんし、息抜きに書き続けているので、長期間投稿が滞ることはない思います(*´・ω・`)
 
 ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございました(^^)
 





しおりを挟む
感想 132

あなたにおすすめの小説

【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」 「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」 いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。 「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と…… 私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。 「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」 「はい、お父様、お母様」 「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」 「……はい」 「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」 「はい、わかりました」 パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、 兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。 誰も私の言葉を聞いてくれない。 誰も私を見てくれない。 そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。 ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。 「……なんか、馬鹿みたいだわ!」 もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる! ふるゆわ設定です。 ※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい! ※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇‍♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ! 追加文 番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが

ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。 定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

婚約「解消」ではなく「破棄」ですか? いいでしょう、お受けしますよ?

ピコっぴ
恋愛
7歳の時から婚姻契約にある我が婚約者は、どんな努力をしても私に全く関心を見せなかった。 13歳の時、寄り添った夫婦になる事を諦めた。夜会のエスコートすらしてくれなくなったから。 16歳の現在、シャンパンゴールドの人形のような可愛らしい令嬢を伴って夜会に現れ、婚約破棄すると宣う婚約者。 そちらが歩み寄ろうともせず、無視を決め込んだ挙句に、王命での婚姻契約を一方的に「破棄」ですか? ただ素直に「解消」すればいいものを⋯⋯ 婚約者との関係を諦めていた私はともかく、まわりが怒り心頭、許してはくれないようです。 恋愛らしい恋愛小説が上手く書けず、試行錯誤中なのですが、一話あたり短めにしてあるので、サクッと読めるはず? デス🙇

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

身代わりの私は退場します

ピコっぴ
恋愛
本物のお嬢様が帰って来た   身代わりの、偽者の私は退場します ⋯⋯さようなら、婚約者殿

下げ渡された婚約者

相生紗季
ファンタジー
マグナリード王家第三王子のアルフレッドは、優秀な兄と姉のおかげで、政務に干渉することなく気ままに過ごしていた。 しかしある日、第一王子である兄が言った。 「ルイーザとの婚約を破棄する」 愛する人を見つけた兄は、政治のために決められた許嫁との婚約を破棄したいらしい。 「あのルイーザが受け入れたのか?」 「代わりの婿を用意するならという条件付きで」 「代わり?」 「お前だ、アルフレッド!」 おさがりの婚約者なんて聞いてない! しかもルイーザは誰もが畏れる冷酷な侯爵令嬢。 アルフレッドが怯えながらもルイーザのもとへと訪ねると、彼女は氷のような瞳から――涙をこぼした。 「あいつは、僕たちのことなんかどうでもいいんだ」 「ふたりで見返そう――あいつから王位を奪うんだ」

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

処理中です...