12 / 57
2章 街で幸せに
12 ウィル強し
しおりを挟むどうしましょう!?
相手は3人もいますし、体躯もウィリアム様より大きいですっ!
「大丈夫だから、安心していい」
ウィリアム様は振り向いて、笑顔でそう言ってくれますが、、
「チッ! よそ見なんかして、随分と余裕だなぁ!?───オラッ!!」
「う~ん……。動きが大きすぎるな」
一番大柄の男がウィリアム様に殴りかかりましたが、ウィリアム様は余裕のある動きで避けてしまいました。
………ウィリアム様は武術も得意なのでしょうか?
「おいお前ら、一斉に殴りかかれ!」
「───リーナ、ちょっと目を閉じていてくれ」
「は、はい!」
言われた通りに目を閉じますが、ウィリアム様は大丈夫でしょうか?
───「グァッッ」
─────「グホッッ」
───────「ガハッッ」
えっ?
今の呻き声は何ですか!?
呻き声の後には何かが倒れたような音もしました。
ウィ、ウィリアム様は?
「よしっ、 リーナ、もう目を開けて大丈夫だ」
「ウィル、、大丈夫ですか!?」
「あぁ。この程度なら余裕だ」
ウィリアム様の声で目を開けると、優しい顔で私を見ているウィリアム様と、その後ろで踞っている3人の男性がいました。
「その、ウィルは強いのですね……」
「ははっ、 鍛えたからな。……リーナは怖い思いしてないか?」
「ウィルが守ってくれたので大丈夫です!」
本当に心強かった……!前は街の方々が来てくださるまで一人でしたから。
不安もありましたが、ウィルはずっと私を庇ってくれていました。
………内心は大慌てでしたが、、
「ぐっ………テメェ」
「もう許さないぜ!?」
「後悔してもしらないよぉ?」
3人は少しフラつきながらも立ち上がると、またウィリアム様に殴りかかろうとしました。
「………せっかく手心を加えてやったというのに、まだ続けようというのか?」
「な、何だと!?」
「反省するようなら許してやろう思ったのだが、、無駄な気遣いだっか?」
───ウィリアム様の雰囲気が変わりました……。
さっきまでは少し威厳があっても街の好青年のような柔らかい空気を纏っていたのに、今は……皇族としての威厳を放っています、、、
隣にいるだけなのに、空気が重くて痛いです。
「て、テメェ、何者なんだ!?」
「お前たちが知る必要はな──」
「オラァァア!」
「ウィルっっ!!」
「……ここまで愚かな者がいたとはな、、」
「「「!!!!」」」
ウィリアム様が話していたら、一人が殴りかかっていきましたが、余裕で避けて首元を叩いて倒してしまいました。
私はもちろん、仲間の2人も驚いたようです。
「………分かったら、すぐに立ち去れっ!」
「「ヒィッ!」」
男たちは2人で気を失った1人を支えて逃げていきました。
「……すまないな、人に暴力を振るったりして、、」
あぁ、、最初、ウィリアム様は私に暴力を見せたくなくて、目を閉じているように言ったのですね。ウィリアム様の眉が下がっています。
「私は大丈夫です。ウィルは本当に怪我をしていませんか?」
「私は強かっただろう?」
「ふふっ、そのようですね」
ウィリアム様はいつも通りのウィルに戻っています。
「はぁ、 、リーナにあんな私は見せたくなかったんだが……」
「?? 私を守ってくださいましたし、昔のような威厳も溢れていて素敵でしたよ? あっ、もちろん今のウィルも素敵です!」
とてもかっこよかったのに、何故私に見せたくなかったのでしょうか? 確かに少しは怖かったですが。
さっきのウィリアム様はいつも以上に素敵でした!
「えっとリーナ、それは無自覚か?」
何がでしょうか?
分からなくて、首を傾げます。
「無自覚なんだな……。でも、私を『素敵』だと思ってくれていたんだな?」
っつ今更ですが、ウィリアム様に直接そのようなことを言ったなんて……!
うぅ、、顔が熱くなってきました……。
「ん? 少しは意識してくれたか?」
「……お忘れください」
「う~ん、無理かな」
「な、何故ですか!?」
「あんなに可愛いリーナを忘れるなんて出来ないさ」
うぅ、恥ずかしいです、、
よりにもよってウィリアム様に直接『素敵』なんて……。
「さぁリーナ、こっちを向いてくれないか?」
下を向いていたら手を握られてしまいましたっ!
ど、どうすれば!?
「リーナ」
「い、今はダメですっ」
「リーナの顔見せて?」
ウィリアム様は右手で私の左手を握ったまま、左手で頭に付けたクローバーの髪飾りを触っています。
急に口調が砕けたものになりましたしっ!
「~~~~!」
「あはは! これ以上やったら嫌われてしまうな。 リーナ、早く返事を聞かせてくれ」
返事って、こ、告白のですよね?
まだよく分かりませんが、ただの〝友情〟では在りませんよね……?
でも────
「っき、気長に待つと仰っていたではないですか!」
「あぁ、それでも」
「わっ、分かりました」
「ありがとう。 さて、そろそろ帰ろうか」
「そうですね」
私がまだ顔を上げないからか、ウィリアム様は手を引いて歩いてくれます。
通りには私とウィリアム様以外、誰もいません。普段は人が多い時間帯だと思うのですが、、
横を歩くウィリアム様を盗み見ます。 相変わらずカッコいいですね、、あれ? 頬が少し赤い?
……夕日のせいでしょうか?
~~~~~~~~~~~~~
ー通りの物陰ー
「いや~、ウィルの奴あんなに強かったんだな!」
「あぁ、騒がしいと思って来たら、もう倒してたもんな!」
「その後もかっこよかったです!」
「声がでかい! 気付かれたらどうするんだ!?」
「それにしても初々しいね~」
「あいつら、またリーナちゃんにちょっかい出しやがって!」
「本当、許せません!」
「私もよ!」
「街の衛兵に相談するか?」
「そうしましょう!」
「あの2人を絶対にくっつけるぞ!」
『おう!』
たくさんの人がリーナとウィルを見守っていたとかとないとか………
7
お気に入りに追加
3,742
あなたにおすすめの小説
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
下げ渡された婚約者
相生紗季
ファンタジー
マグナリード王家第三王子のアルフレッドは、優秀な兄と姉のおかげで、政務に干渉することなく気ままに過ごしていた。
しかしある日、第一王子である兄が言った。
「ルイーザとの婚約を破棄する」
愛する人を見つけた兄は、政治のために決められた許嫁との婚約を破棄したいらしい。
「あのルイーザが受け入れたのか?」
「代わりの婿を用意するならという条件付きで」
「代わり?」
「お前だ、アルフレッド!」
おさがりの婚約者なんて聞いてない!
しかもルイーザは誰もが畏れる冷酷な侯爵令嬢。
アルフレッドが怯えながらもルイーザのもとへと訪ねると、彼女は氷のような瞳から――涙をこぼした。
「あいつは、僕たちのことなんかどうでもいいんだ」
「ふたりで見返そう――あいつから王位を奪うんだ」
稀代の悪女として処刑されたはずの私は、なぜか幼女になって公爵様に溺愛されています
水谷繭
ファンタジー
グレースは皆に悪女と罵られながら処刑された。しかし、確かに死んだはずが目を覚ますと森の中だった。その上、なぜか元の姿とは似ても似つかない幼女の姿になっている。
森を彷徨っていたグレースは、公爵様に見つかりお屋敷に引き取られることに。初めは戸惑っていたグレースだが、都合がいいので、かわい子ぶって公爵家の力を利用することに決める。
公爵様にシャーリーと名付けられ、溺愛されながら過ごすグレース。そんなある日、前世で自分を陥れたシスターと出くわす。公爵様に好意を持っているそのシスターは、シャーリーを世話するという口実で公爵に近づこうとする。シスターの目的を察したグレースは、彼女に復讐することを思いつき……。
◇画像はGirly Drop様からお借りしました
◆エール送ってくれた方ありがとうございます!

両親から謝ることもできない娘と思われ、妹の邪魔する存在と決めつけられて養子となりましたが、必要のないもの全てを捨てて幸せになれました
珠宮さくら
恋愛
伯爵家に生まれたユルシュル・バシュラールは、妹の言うことばかりを信じる両親と妹のしていることで、最低最悪な婚約者と解消や破棄ができたと言われる日々を送っていた。
一見良いことのように思えることだが、実際は妹がしていることは褒められることではなかった。
更には自己中な幼なじみやその異母妹や王妃や側妃たちによって、ユルシュルは心労の尽きない日々を送っているというのにそれに気づいてくれる人は周りにいなかったことで、ユルシュルはいつ倒れてもおかしくない状態が続いていたのだが……。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる