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1章 街へ
5 街歩き
しおりを挟む─── カトル公爵家を出て一週間が経ちましたが、毎日が充実しています!
最初の頃はどなたが何を注文されたか覚えるのが大変でしたが、大分慣れてきたと思います。公爵家を出てきてよかったです。
あぁでも、まだ街に行けていないんですよね………。
時間はあるのですが、なんとなく行かないという日が続いていまして、、
今日は仕事の後に絶っっ対、街に行こうと決めました。
食堂で働き始めたお陰で街の方と知り合えましたし、『ぜひ、うちの店にも来てくれ』と言ってくださる方も大勢いらっしゃいましたので。
「── リーナ!営業始めるけど、準備は大丈夫かい!?」
食堂でテーブルを拭いていたら、厨房で仕込みをしていたマチルダさんから声が掛りました。マチルダさんの方は準備が出来たみたいですね。私もちょうど最後のテーブルを拭き終わったので準備は大丈夫です。
「はい! マチルダさん、ちょうど終わりました」
「じゃあ、客の案内を頼むよ!」
* * *
「 ─── お待せ致しました。 どうぞ、お入りください」
「おっ、リーナちゃん! 今日も可愛いねぇ!」
「ふふっ、ありがとうございます」
街の方々は食堂に来ると私のことを“ 可愛い”と褒めてくださいます。
カトル公爵家では“醜い”と罵られていたのでお世辞でも嬉しいです。
それに、街に馴染んできたからか、私を名前で呼んでくれる人も増えました!
「リーナちゃ~ん! ハンバーグ1つ!」
「こっちはオムライスをお願~い」
「私もハンバーグをお願いね!」
「はい、 少々お待ちください」
マチルダさんの食堂には性別、年齢に関わらず、たくさんのお客さん来店されますが、皆様とても優しいです。
「マチルダさん、ハンバーグ2つと、オムライス1つお願いします!」
「はいよ! それにしてもアンタ、すごい人気だねぇ!」
「私も嬉しいです」
気軽に接していただけると、街の方に認めてもらえたように思えます。
その後4時間程経つと、お客さんがいなくなったので、片付けをして街に行く準備をします。
「マチルダさん、街に行ってきます!」
「あいよ! 気を付けて行くんだよ!? 知らない奴に声掛けられても付いてっちゃダメだよ?」
ふふっ、マチルダさんは心配性ですね。
私も18歳なのでそんな危険はないと思うのですが……。
「はい、暗くなる前に戻りますね」
* * *
うわぁ~~~!
街はこんなにも賑わっているのですね……!
カトル公爵が治めていて、屋敷がある街なのに知りませんでした。
カトル公爵領は広いですが、この街は公爵領一の大きさだったと思います。
公爵家を出てきた日は午前中でしたし、先のことへの不安もあって周りを見ていませんでしたが、街は活気で溢れてますね!
「おっ! リーナちゃ~ん、俺の店にも寄ってくかい?」
「リーナさん! 私の店のアクセサリーはいかがですか!?」
「あら、相変わらず可愛いわね~」
マチルダさんの食堂の常連さんで、私に良くしてくださっている方々の声が聞こえました。
皆さんに声を掛けていただけて嬉しいです。
ですが、全部のお店に行っていたらあっという間に暗くなってしまいますよね………?
「皆さん、ありがとうございます。──今日はこの街を見回ろうと思うので、また今度お邪魔させていただきますね」
「おう、待ってるぜ~!」
「私もお待ちしてます」
「リーナちゃんなら、いつでも大歓迎だわ」
それにしても、色々なお店がありますね………
野菜を売っているお店に、お肉を売っているお店、アクセサリーのお店、刃物のお店─── この街は物流がしっかりしています…………。
物流関係は執事たちの担当で、私は公爵家の運営に関する仕事をすることが多かったですが、こうして街に出てみると物流の大切さを感じます。
もう会うことはないと思いますが、彼らに感謝しなくてはなりませんね。
この街はかなり大きいので、遠くまで行かないようにしなくては。
* * *
今は16時くらいでしょうか?
日が暮れてきたので、そろそろマチルダさんの食堂に帰った方がいいでしょうか?
いろいろ見て回ることが出来たので大満足です!
「よぉ~お嬢ちゃん、、ちょっと俺達と一緒に来てくんない?」
───誰だか分かりませんが、絶対に怪しいです……!
帰ろうと思っていた所に声を掛けてきたのは、大きな3人の男性でしたが、全員ニヤニヤしていて気味が悪いです………!
一人は軽薄そうで、他の二人は血の気が多そうな感じです。
「す、すいません。早く帰らなくてはならないので失礼します!」
「えぇ~、ちょっとくらいイイじゃ~ん?」
「そうだぜ! 嬢ちゃん」
「さっさと来な!」
どうしましょう……?
引き下がってはもらえないようですし、、
「おい! お前ら何やってんだ!」
「彼女は嫌がってるじゃあないか!」
常連客の皆さん……!
ありがとうございます、、心強いです!
「ちっ! 邪魔しやがって!」
「お嬢ちゃん、また今度な~」
「おう! また会おうぜ」
私は二度と会いたくありません!
「───リーナちゃん、大丈夫かい?」
「はい、大丈夫です。皆さん、ありがとうございます!」
「リーナちゃん俺らの花だからな!」
「おうよ! 当たり前のことをしただけだ!」
本当に助かりました……。
私一人で対処するのは、難しそうだったので。
しかし、風のようでしたね。
「マチルダの食堂まで付いていってもいいか?」
「ご迷惑でなければ、お願いします」
マチルダさんの食堂まで、常連客の皆さんと話しながら帰りました。
私は恵まれてますね。
新参者の私に親切にしてくれる方々が、こんなにたくさんいるんですもの!
* * *
「マチルダさん、ただいま戻りました」
「お帰り! ……ちょっと遅かったけど、大丈夫だったかい?あれ、アンタらまで一緒に」
「あぁ、皆さんは──」
「リーナちゃんがゴロツキ共に絡まれてたから、心配で、皆で送ってきたんだ!」
「おう! 絡まれてたけど、すぐに何とかしたから大丈夫だぜ」
私が説明する前に説明してくださいました。
「そうかい……ありがとね。リーナも無事でよかったよ」
「はい、ご心配をお掛けしてすみません」
最後は少しトラブルがありましたが、初めての街はとっても楽しかったです。
~~~~~~~~~~~~~~
読んでくださりありがとうございます
("⌒∇⌒")
次の話はその後の公爵家の様子です!
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