上 下
47 / 62
5章 反撃の序章

46 カイルの心①

しおりを挟む

 時系列は少し戻り、学園の長期休み中の話になります!

~~~~~~~~~~~


(カイル視点)

 私はどうしてイリス嬢をあんなにも憎んでいたのだろう………。
 母上とレイラの素晴らしさについて語り合っていたら弟のラストルとアルバート殿下がやって来て、、私と母上が眩しい光に包まれた………。

 今は3人が出て行ってしまって、部屋には私しか居ないが、、、
 そういえば何故、王太子であるアルバート殿下がこの屋敷に?
 確か、学園でラストルのクラスメイトだったと思うが………。
 あぁ、疑問が溢れてくる。
 ラストルは光が収まった後、私と母上に『レイラ様をどう思いますか?』と聞てきた。

 母上は少し前まで、一緒にレイラの素晴らしさを語り合っていたというのに、『可愛らしい子だと思うけど………貴族としての礼儀は守れていなかったわね? 何であんなに陶酔してたのかしら?』なんて言っていた。
 レイラに陶酔する理由なんていくらでもあるじゃないか!
 もちろん私はレイラについて熱く語ったさ!
 ………途中でラストルに止められたが、、なんで止めるんだ!?
 まぁ、自分でも流石に熱くなりすぎか?なんて思ったけど、、
 ………あの光に包まれてから、イリス様に対する考え方が変わったような気がする………。
 もちろん、レイラに迷惑を掛けているという認識は変わらないが、なんというか………

 ───それにしても、ラストルとアルバート殿下は何故あんなにも困惑した表情を浮かべていたのか………。



――――――――――――



 あれから数日後、レイラがこの屋敷にやって来た。

「お早う、レイラ!今日はどうしたんだい?」

「カイル! お早うございます。 実はイリスがちょっと………。ラストルになんとかして貰おうと思って来てしまいましたわ!」

 レイラはラストルに用があるのか………。
 私の方が騎士としての力もあって、頼りになるのに……。

 それにしても、あの小娘、、イリス様はまたレイラに迷惑を掛けているとは………! 以前のような憎悪はないが、腹立たしい。
 ラストルもレイラをいつまでも待たせておくつもりだ!
 まぁ、レイラと二人きりで過ごせるのも悪くはないが───

「こんにちは、ラストル! 少し遅かったですわね」

 レイラが私の後ろを見ながら言うので振り返ると、ラストルが走ってきた。

「ラストル、レイラを待たせるなんて何事だ!!」

「レイラ様、カイル兄様、遅くなってしまい申し訳ありません……」

「いいですわ、、オパールは?」

「オパールは体調を崩してしまいまして、、レイラ様に会えないことを残念がっていました」

 ………オパールが? 大丈夫だろうか?
 後で様子を見に行くこうか………いや、大丈夫か。

「あら……残念ですわ」

「───お二人は何の話をしていたのですか?」

「あの愚者………イリス様の話さ! あの女がまたレイラに迷惑を掛けているらしい!」

 まったくもって腹立たしい……!
 ───ん? よく考えたら、こんなに立腹することか? レイラはイリス様が何をしたのか、話してもいないというのに………。

「えぇ、、ラストルがしてくれたのが3ヶ月程前なので、またちょっと………」

 いや、どうでもいいか。
 レイラが困っているというのが一番の問題だ。

「それは問題ですね! 明日にでも、僕がサン侯爵家にお邪魔して、はっきりと言いましょう!」

「ありがたいですわ! では、明日お願いします」

 ラストルも私と同意見だというのはいいが、ラストルだけサン侯爵家に行くというのは………!

「レイラ! 私も一緒に………」

「もちろんですわ。カイルは私とお茶をしましょう?」

「あぁ!」

「───今日は何をしましょう?」

「明日も会えるので、今日はかえりますわ!」 

 ………ラストルめ、余計なことを!
 まぁ、明日お茶に誘われたことだし、いいか。

「レイラ!また明日!」

「気をつけてお帰りください」

 そうして、レイラは帰っていった。

「それではカイル兄様、僕も失礼します」

「あぁ」


―――――――――――――


 翌日、ラストルと共にサン侯爵家に向かった。
 サン侯爵家に行くのは久しぶりだな………。 最近は騎士としての仕事が忙しいからな。

 そういえば、レイラはラストルにへの制裁を頼んでいたが……イリス様はそこまで酷い人なのだろうか?
 優しいレイラがそこまで言うのだから、相当なのだろうが、、以前は内気そうで大人びていたのに………。
 ………変な事を考えてしまったな。


「───カイル、ラストル、今日は来てくれてありがとうございます! 嬉しいですわ!」

「私も君に会えて嬉しいよ!」

「僕も嬉しいです」

 私達と会ったことでレイラが喜んでくれるのは嬉しいな。私自身、レイラに会えてとても嬉しい。
 ………昨日も会ったのにな!

「レイラ様、僕はさっそくイリス様の所に行ってきますね?」

「助かりますわ! ラストル、お願いします」

「ラストル、私の分まで頼んだよ?」

 さっきは変な事を考えてしまったが、レイラを困らせる者は誰であろうと許さない!

「お任せください」

「あっ! 終わったら、いつものサロンに来てくださいね!」

「分かりました」

 よし、これからしばらくはレイラと二人で過ごせるな。何を話そうか?




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

サラシがちぎれた男装騎士の私、初恋の陛下に【女体化の呪い】だと勘違いされました。

ゆちば
恋愛
ビリビリッ! 「む……、胸がぁぁぁッ!!」 「陛下、声がでかいです!」 ◆ フェルナン陛下に密かに想いを寄せる私こと、護衛騎士アルヴァロ。 私は女嫌いの陛下のお傍にいるため、男のフリをしていた。 だがある日、黒魔術師の呪いを防いだ際にサラシがちぎれてしまう。 たわわなたわわの存在が顕になり、絶対絶命の私に陛下がかけた言葉は……。 「【女体化の呪い】だ!」 勘違いした陛下と、今度は男→女になったと偽る私の恋の行き着く先は――?! 勢い強めの3万字ラブコメです。 全18話、5/5の昼には完結します。 他のサイトでも公開しています。

悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!

ペトラ
恋愛
   ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。  戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。  前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。  悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。  他サイトに連載中の話の改訂版になります。

悪役令嬢に転生したので落ちこぼれ攻略キャラを育てるつもりが逆に攻略されているのかもしれない

亜瑠真白
恋愛
推しキャラを幸せにしたい転生令嬢×裏アリ優等生攻略キャラ  社畜OLが転生した先は乙女ゲームの悪役令嬢エマ・リーステンだった。ゲーム内の推し攻略キャラ・ルイスと対面を果たしたエマは決心した。「他の攻略キャラを出し抜いて、ルイスを主人公とくっつけてやる!」と。優等生キャラのルイスや、エマの許嫁だった俺様系攻略キャラのジキウスは、ゲームのシナリオと少し様子が違うよう。 エマは無事にルイスと主人公をカップルにすることが出来るのか。それとも…… 「エマ、可愛い」 いたずらっぽく笑うルイス。そんな顔、私は知らない。

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

転生おばさんは有能な侍女

吉田ルネ
恋愛
五十四才の人生あきらめモードのおばさんが転生した先は、可憐なお嬢さまの侍女でした え? 婚約者が浮気? え? 国家転覆の陰謀? 転生おばさんは忙しい そして、新しい恋の予感…… てへ 豊富な(?)人生経験をもとに、お嬢さまをおたすけするぞ!

魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで

ひーにゃん
ファンタジー
 誰もが魔力をもち魔法が使える世界で、アンナリーナはその力を持たず皆に厭われていた。  運命の【ギフト授与式】がやってきて、これでまともな暮らしが出来るかと思ったのだが……  与えられたギフトは【ギフト】というよくわからないもの。  だが、そのとき思い出した前世の記憶で【ギフト】の使い方を閃いて。  これは少し歪んだ考え方の持ち主、アンナリーナの一風変わった仲間たちとの日常のお話。  冒険を始めるに至って、第1章はアンナリーナのこれからを書くのに外せません。  よろしくお願いします。  この作品は小説家になろう様にも掲載しています。

[完結]18禁乙女ゲームのモブに転生したら逆ハーのフラグを折ってくれと頼まれた。了解ですが、溺愛は望んでません。

紅月
恋愛
「なに此処、18禁乙女ゲームじゃない」 と前世を思い出したけど、モブだから気楽に好きな事しようって思ってたのに……。 攻略対象から逆ハーフラグを折ってくれと頼まれたので頑張りますが、なんか忙しいんですけど。

転生したらただの女子生徒Aでしたが、何故か攻略対象の王子様から溺愛されています

平山和人
恋愛
平凡なOLの私はある日、事故にあって死んでしまいました。目が覚めるとそこは知らない天井、どうやら私は転生したみたいです。 生前そういう小説を読みまくっていたので、悪役令嬢に転生したと思いましたが、実際はストーリーに関わらないただの女子生徒Aでした。 絶望した私は地味に生きることを決意しましたが、なぜか攻略対象の王子様や悪役令嬢、更にヒロインにまで溺愛される羽目に。 しかも、私が聖女であることも判明し、国を揺るがす一大事に。果たして、私はモブらしく地味に生きていけるのでしょうか!?

処理中です...