君の悲劇を終わらせる〜廻る世界で再び出会う〜

夜野ヒカリ

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5章 反撃の序章

45 解術後の騒動

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 僕は教室の少し手前でアルが来るのを待っている。
 いやぁ~ちょっとした騒動はあったけど、解術が成功したみたいでよかったよ!

「アル、お疲れ!」

「あぁ、、流石に疲れたな」

 アルは苦笑しながら言ってるけど……アルの周りの魔力がかなり少なくなってる。
 僕の屋敷で解術していった時は、何人解術しても魔力がほとんど減らなかったのに……。

「魔力が大分減ってるけど、、大丈夫?」

「疲労感があるだけで問題はない」

「なら、よかった!」

 アルが居なくなったら解術出来なくなっちゃうし、アルは僕の大切な友達だからね!

「───そういえば、最後まで反発してた人は誰?」

「マグナス・レイン。レイン侯爵家の次男で私の従兄弟だ。………父上の妹がレイン侯爵夫人でな」

 へぇ~!
 だから知り合いみたいな感じがしたのか。
 でも、あんまり似てなかったね。
 アルは茶髪茶眼で精悍でありつつも、穏やかな空気を纏った美形だけど……マグナス様?はグレーの髪に群青の瞳の熱血騎士って感じだった。
 まぁ、意気込みだけがあって実力とか、考え方とかは甘いみたいだけどね。

「あいつは私達の一歳上なんだが、、甘やかされて育ったからか主張が強くてな」

「そうだったんだ……」

 貴族は長男だと家を継ぐために厳しく育てたれるけど、次男や令嬢は甘やかされて育つことが多いからね………。

「まったく、もう少し常識を身に付けて欲しいものだ」

「そうだね」

 疲れたようにぼやくアルには苦笑するしかない。

「取り敢えず、学園の解術は終わったことだし、次は3ヶ月後の建国記念パーティーだな!」

「うん、それが終われば一段落かな?」

「いや、父上はその場でレイラ嬢を断罪するとおっしゃっていた」

「だ、断罪!?」

「あぁ、当然だろう? もし、私や父上がレイラ嬢の魔術にかかっていたら、シャイン王国は破滅していた」

「た、確かにそうだけど………」
 
 イルの話ではレイラ様は『カイルだけは私を愛してくれるのかもしれないっ………!』って切羽詰まったように言ってたらしいし、、何か深い事情があったのかもしれない。

 もちろん、レイラ嬢には罰を与えたいし、を幾度となく追い詰めて死に追いやったことを許すつもりはないけど、、

「問題はあるか?」

「い、いや、、ないんだけど」

「どうした?」

「………レイラ様から一番被害を受けていたのはイルでしょう? だから、イルにどうしたいのか確認したいなって」

「それもそうだな、、父上に聞いてみよう!」

「ありがとう」


――――――――――――


 ───ガラッ

「あっ! アル、ラストルお帰り~!」

「アルバート殿下、先程場を納められた手腕は見事でございましたわ」

「お褒めの言葉をありがとう、カミラ嬢」

 僕とアルが教室に戻ると、トーマスとカミラ様が話し掛けて来た。

「ラストル様~! さっきの光は何だったんでしょうか? 私、とってもビックリしました!」

「そうだね、、僕も驚いたよ」

 何か、サリー嬢の距離が長期休暇前よりも近くなってる気がする………。

「私、怖かったですぅ!」

「そ、そう」

 ………キャラも変わっているような、、
 こんなだったっけ?………あれ? 割とこんな感じだったか?
 うわっ! 腕に抱きついてきたんだけど………!
 
「まぁ、サリー嬢! またラストル様にすり寄られて……!はしたないこと!」

「えぇ、淑女たる貴族令嬢はそのように殿方にしなだれかかったりしませんわ!」

「ラストル様にご迷惑だという自覚がないのかしら?」

「ひ、酷いです!」

 ………『酷い』ねぇ、、
 確かに、多数でサリー嬢1人を攻めるのは間違ってると思うけど、サリー嬢の振る舞いはかなり問題があると思う。
 それこそ、他の貴族令嬢や子息から悪く言われても馬鹿にされても仕方がないくらいの………。

 入学したばかりの頃は、男爵家の令嬢だししょうがないかなって思ってたんだけど、、学園では貴族社会においてのマナーや常識も習うから、完璧とはいかなくてもある程度の品性や振る舞いは出来るようになってるはずだ。

「ラ、ラストル様~酷いと思いませんか?」

「う~ん、、集団でサリー嬢1人を攻めるのに問題があるにせよ、サリー嬢の振る舞いに問題があるのも事実だよね?」

「そんなぁ~!」

「マナーをしっかり覚えておかないと、社交界に出た時に大変な思いをする事になるからね?」

「うぅ~」

 ………今の状態とか振る舞いも令嬢としては問題があるんだけど、、
 一応は納得してくれたかな?


「ラストルも毎度のことながら、大変だな」

「本当だよ……。せっかく同じクラスに王太子殿下がいるんだから、アルの所に行けばいいのに。何で伯爵家の次男の僕が………」

「その顔じゃあ仕方がないだろう? 神銀の紫水晶アメジスト殿」

「うわぁ~~~」

 思わず頭を抱えちゃったよ……。
 あんまり、自覚無かった、、それ以前に自分の顔を気にしてなかったけど、そこまでか?
 父様の方が落ち着きがあってカッコいいし、カイル兄様も僕なんかより遥かに頼もしいんだけどな……。

 ───そういえば、しっかり確認した訳じゃないけど、学園の人たちの解術は全員成功してるみたいだった……。
 そうすると、何でカイル兄様だけ魔術が解けないのか本当に分からない……。


~~~~~~~~~

読んでくださりありがとうございます(^^)

この後は2つ程、カイル視点の話を入れようと思います!
 時系列で言うと、学園が休みの時の話になります。


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