君の悲劇を終わらせる〜廻る世界で再び出会う〜

夜野ヒカリ

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4章 学園〜対策〜

31 勉強会?

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 帰りの馬車の中でも、カイル兄様とオパールはレイラ様の話題で盛り上がっていたけど、僕はずっとイルのことを考えてた。

 だからか、レイ伯爵家に着くまでの体感時間は短かった。
 屋敷に着いたら早速、父様の執務室に向かう。


 ───────コンコンコン


「父様、ラストルです。入ってもよろしいですか?」

「入りなさい」

 僕は執務室に入ってすぐにドアを閉めた。

「お帰り、ラストル………何かあったのか?」

 さすが父様………僕の様子を見て、何かあったことに気付いたのか─────

「はい………………イルも、前世の記憶を持っていました」

「!! イリス嬢の様子は? 大丈夫だったか!?」

 父様もイルのことを心配してくれてたもんね………

「イルが前世を思い出したのは5歳の頃で、持っているのは〝魔術が存在した世界〟での記憶のみのようです」

「………………5歳の頃から、自分のかたきの側で生きてきたのか………」

「はい、、彼女は大丈夫だと言っていましたが、かなり辛かったと思います」

「今世では、しっかり守れよ? 私もお前とイリス嬢を支える」

「ありがとうございます……もちろん、今世こそを守ります!」

 ────僕の周りにいる人は本当に優しい!

「あと、イルはこの世界でも〈空間〉属性の魔術が使えるようです」

「そうか………何があるか分からないから、備えはあった方がいいな」

「……………ラストル様、、あまりお気に病まれませんように」

「そうだぞラストル、、お前はまた自分の内に溜め込んで、自分を責めているだろう?」

 父様もグレンも、、勘がよすぎるよ……………
 まぁ、自分で見えないだけで酷い顔なのかもしれないけど。

「……………今日はこれで失礼します」

「あぁ、ゆっくり休みなさい」

 今日は疲れた……………
 イルは僕を責めなかったけど、僕が彼女を裏切った事実は変わらない。
 
 結果的にはイルを守ろうという決意が強まった……!
 自分が死ぬことになろうとも、彼女だけは守る!



――――――――――――――――――



 翌日学園に行くと、、やっぱり囲まれた………………
 
「ラストル様、昨日はどうしましたの?」
「どこかお悪いのですか?」
「今日も女性のごとき美しさ…………」
「昨日、休まれてましたが大丈夫ですか?」

 いつも思う……………
 何で、同時に話すんだ!?
 それに、必ず変な声が混ざってるよね!?

「お早う、ラストル」

「ヤッホ~」

 あっ! 救世主だ………!

「お早う!アル、トーマス!」

 僕は周りのクラスメイトたちの間を通り抜けて、二人の所に行く。
 ホントに助かった……………!

「ありがとう。助かったよ…………」

「お前は大変そうだな」

「ラストル、これからも頑張ってね~」

 ………………これからもって、、でもいつまで続くんだろう……

「そうだラストル、、昨日城に帰ったら、父上が『ラストル君に優しくしなね!』と言われたのだが、、昨日は城に来ていたのか?」

 陛下ーー!
 何でそんな事言ってるの!?

「………………確かに、行ったたよ」

「学園の長期休暇中のことか?」

「そうだよ! よくわかったね?」

「それくらいはな」

 やっぱり王太子だと、少ない情報からより多くのことを読み取れないとダメなのか……………

「何をするかは、その時に説明するからね!」

「…………気になるが、仕方ないな」


――――――――――――――――


 その後、いつも通りレベルが低めな授業を受けた。

 そういえば父様が、『屋敷に帰ったら早速相談しよう』って言ってたけど、すっかり忘れてたな…………

 まぁ、父様が話を進めてくれてると思うけど。
 
 クラスメイトたちが、かけ算で苦労してるから、早く広まるといいな…………!

 全ての授業が終わったから帰ろうと思ったんだけど、、

「ラストル様! かけ算を教えてくれませんか!?」

 ……………また来た。
 他の女子生徒にキツいこと言われてるのにめげないねぇ、、サリー嬢………………

「……………せっかくだから、皆でやらない?」

 毎回毎回、仲裁するのも大変だしね!

「えぇ、、………………分かりました……」

 サリー嬢は何で不満そうな顔をするかなぁ~



「ほぅ………これは簡単にかけ算が出来るな………!」

 アルも勉強会?に参加したんだけど、〝九九〟に感動したみたい。

「ラストル様はこの方法をどこでお知りになったのですか!?」

 同じく勉強会に参加したカミラ様に興奮気味だね~

「…………………何かの本で読んだ、東方?の考え方だった気がする……」

 これって誤魔化しになってんのかな?
 苦しい言い訳みたい?

「まぁ! 素晴らしいですわ! たくさんの本をお読みになったのですね」

「そうですね……」

 …………思ったんだけど、カミラ様ってちょっと単純じゃない?
 猪突猛進な所があるだけで、基本はいい人っぽいけど、、

 こんな感じで勉強会?は終わったんだけど、サリー嬢は始終不満そうだった。
 勉強を教わるのが目的なら、皆でやってもいいだろうに………………何がそんなに不満なのやら。

「それでは、そろそろ帰りましょうか」

「あぁ、ラストル教えてくれてありがとうな!」
「ありがとう~」
「ラストル様、かけ算を教えてくださりありがとうございました」

 ……………いつの間にかトーマスとカミラ様が並んでるんだけど、、、、まぁ、いっか。






 





 
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