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4章 学園〜対策〜
29 繋がる前世
しおりを挟む今日は学園が休みだから、イルに会いにサン侯爵家に行くことにした。
アポなし訪問になっちゃうけど、レイラ様もよくやってるし、サン侯爵家の人たちは「お美しいレイラ様にお会いしたいです」って言えば大丈夫そうなんだもん………
前回、僕だけで行ったら(主に父様が)大変だったので、騎士の仕事がお休みだったカイル兄様も誘った。
そうしたら、オパールもついてきたけど………………
そんなわけで今、カイル兄様とオパールと僕の3人で馬車に乗ってるんだけど、、、ニゲタイ
…………………カイル兄様とオパールがずっとレイラ様の話をしてるんだもん、、よく話題が尽きないよね、、、、
僕は聞き流してるよ?
だって、
「レイラは外見だけでなく心も女神のように美しいんだ!あのプラチナブロンドの髪は心の輝きのそのまま表したかのように艶やか、かつ滑らか。あの桃色の瞳は全人類への慈愛で溢れ、上品な仕草は全ての人の心を一瞬にして掴む………………まさに女神!私の人生はレイラに出会っただけで満たされた。もう、いつ死んでも悔いはない! あぁ、しかし、、出来ることならレイラからの愛を私一人で受け止めたい! どうしたらあの女神は私の手をとってくれるだろうか──────」
「カイルお兄様!レイラお姉様を一人占めするなんて傲慢です!レイラお姉様は全ての人を愛する優しい方です。それに、レイラお姉様は多方面での活躍を期待される優秀な方、お兄様では釣り合いが取れません!最近は〝黄金の輝剣〟などと呼ばれているようですが、レイラお姉様を守るために騎士になったのでしょう? だったら、護るべき対象にそのような感情を抱くなんて言語道断です。レイラお姉様は誰を犠牲にしてでも護るべきお方、、オパールの分もしっかり頑張ってください──────」
もう嫌だ………………
アル、早く〈聖〉属性の魔術、使えるようになって………
昔のカイル兄様とオパールに会いたいよ………
ーーーーーーーーーーーーー
やっと着いた……………
カイル兄様とオパールはまだレイラ様に会えるってはしゃいでるけど、僕も合わせた方が自然かな。
「皆様、来てくださって嬉しいですわ」
「レイラ! 急に来てしまってごめんね……会いたかったよ」
「レイラ様、僕もお会いしたかったです」
「オパールもです!」
やっぱり、カイル兄様の様子は異常の中でも飛び抜けて変だな…………
オパールはある程度落ち着いてるけど、カイル兄様は感情の起伏が激しすぎる、、、
「そう言っていただけて嬉しいですわ! 早速、サロンでお茶にしましょう?」
ーーーーーーーーーーーーー
───────カイル兄様はレイラ様にベッタリだな………
今は4人でお茶をしてるんだけど、カイル兄様はレイラ様の隣の席でとっても楽しそうだ。
僕もイルの所に行きたいなぁ、、
───────もう結構話したしいいよね?
「────レイラ様、イリス様は相変わらずですか?」
「えぇ、ラストル………また注意してくださらない?」
「レイラ様の頼みなら喜んで」
「レイラ、私も行こうか?」
えっ?
カイル兄様は来ちゃダメですよ!
「カイル兄様はここでレイラ様とゆっくりしていてください! 僕だけで十分です」
「そうだな! レイラとの時間を無駄にしたくない!」
カイル兄様が単純になっててよかった……………!
「では、いってきます」
そういえば、レイラ様がああ言ってたってことは
イルの傷付いた振りが上手くいったのかな?
イルの部屋に近づくにつれ、早歩きになってしまう。
誰かに見られたら大変だから、落ち着かなきゃ………!
─────────コンコンコン
「イリス様、ラストル・レイです。中に入っても?」
「どうぞ!」
イルの声は元気だ………よかった!
僕は部屋に入ってドアを閉めた途端に表情を緩める。
「イル! 会いたかったよ!」
「ラス、私もよ!」
「レイラ様からは何もされてない?」
イルが元気そうでもやっぱり不安になっちゃう………彼女はいつも無理をするから……………
「えぇ、何もされてないわ。 前回ラスが言ってた〝傷付いた振り〟が上手くいったみたいで、レイラ様の機嫌がいいの」
上手くいってよかった………………!
予想以上の効果だよ!
「そっか!、、今回も出来る?」
「もちろん!」
それから僕たちは、他愛のない話をして一緒の時間を過ごした。
この穏やかな時間が続けばいいのに──────
「そういえばラス、、前回来たときに『解決方法が分かった』って言ってたけど、何なの?」
言ってもいいのかな?
前回、イルが〝魔術〟って言おうとしたのかもって思ったけど、確証はないし…………
もし魔術の話をして、辛い前世を思い出しちゃったりしたら、、、、
「ラス、正直に言ってね?」
…………………僕も、彼女に嘘は言いたくないかな
「────イルは〝魔術〟って知ってる?」
「!!え、えぇ………」
知ってるの!?
もしかして……………………いや、今はいい。
「〈聖〉属性の魔術については?」
「知ってるわ………〈聖〉属性の魔術なら、レイラ様が使っている魔術の解術が出来るのでしょう?」
レイラ様が魔術を使っていることまで、知ってるのか…………
「その、〈聖〉属性の魔力を持っている人を見つけたんだ」
「っっ! 本当!?」
「うん! ─────もしかして、イルは魔術が使える? 〈空間〉だよね?」
「…………………私の属性が分かるってことは、ラスも使えるのね」
─────『ラスも』
イル…………君はあの辛い記憶を持っているの?
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