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4章 学園〜対策〜
17 魔術の練習①
しおりを挟む翌日、目を覚ますとすでに日が高く昇っていた。
昨日の夜に泣いたせいで目の周りが痛いが、気持ちはすっきりしている。
僕は着替えと食事をすませて、父様の執務室に向かった。
──────コンコンコン
「父様、ラストルです。失礼します」
「お早う、ラストル」
「ラストル様、お早うございます」
執務室にはいつも通りの父様とグレンがいた。
「…………………昨夜は突然泣き出してしまい、申し訳ありませんでした」
「気にするな。お前もカイルもなかなか泣かないが、泣くことは悪いことではない。特にお前が置かれた状況を考えれば、泣くなと言う方がおかしいのだ。いつでも私やグレンに相談しなさい」
「っ!ありがとうございますっ」
ヤバいまた、涙が………………
早く本題に入ろう!
「今日はこの世界の、記憶の無い人でも魔術を使えるか調べたいのでご協力頂きたくて……………」
初日から4日も学園を休んでしまうことになるが、レイラ様が使っている魔術の解術が優先だ。
「そうか──────私はもう少し仕事をしたければならないから…………グレン、行ってくれるか?」
「もちろんでございます」
「私も、仕事を終えたら向かうから、、人目につかない地下室に行きなさい」
「分かりました」
「承知いたしました」
僕とグレンは地下室に向かう。
我が家の地下室は普段使われないが、片付いているし、石造りである上に広い。
とゆうか、何にもない、ただっ広い空間だ。
庭だと、誰に見られるか分からないし、普通の部屋だと狭くて危険だからな……………!
父様の配慮に感謝しなければ……………
-------------
「まずは………………グレン、魔力って分かるか?」
「よく分かりませんが、魔術を使うためのものでしょうか?」
「そう! 魔力は魔術の元で人の体の表面を覆っているんだけど、その魔力によって使える属性が決まるんだ。魔力同士には相性の良し悪しがあって、相性の悪い魔力が体内に入ると体に激痛が走って、最悪死んでしまうから気をつけてね!」
前世の彼女の腕には機械から伸びた管の先の針が刺さっていた。
今思えば…………………あの機械には、魔力が大量に入っていた。
彼女は苦しかっただろう………おそらく、あの針から〈空間〉の魔力と相反する魔力を血管に直接入れられたのだ。
相性の悪い魔力でも、体の表皮下に入る程度なら大きな問題はない。でも、勢いが強すぎて血管の壁を通り抜けてしまうと、人体に影響が出てくる。
僕が怒りに顔をしかめていると、前から────
「ラストル様? 大丈夫でございますか?」
あっ…………………………
また心配かけちゃう………!
「だ、大丈夫だよ、グレン!」
………グレン、信じてないよな………………?
めっちゃ心配そうな顔してるもん………!
「──────後で話すね」
「そうしてくだされ」
父様とグレンの優しさは本当に暖かい─────
「とりあえず、まずは魔力を感じようか! 手、貸して!」
僕はグレンが差し出してくれた手を取る。
僕は〈火〉の魔術を使うから、グレンの〈水〉性質の魔力を体内に入れるのは不味いけど、グレンに僕の魔力を入れるのは大丈夫なんだ!
「今から僕の魔力でグレンを覆っている魔力を動かすけど、グレンはしばらく何もしないでね! 」
「了解しました」
────────グレンの魔力を動かす……………久しぶりだからちょっと難しいな………僕も少し練習した方がいいっぽいか………!
「────ごめん、グレン。久しぶりだから、僕も感覚取り戻さなきゃかも………少し待っててくれる?」
「大丈夫ですよ。ゆっくりなさいなせ」
──────よし、やるか!!
まずは僕の周りの魔力を循環させて……………
あっ、動いた! いい感じだな───
次は〈火〉の魔術を発動させたいんだけど、、、、
グレンに声を掛けとかないと危ないな。
「グレン、これから〈火〉の魔術を発動させるから少し離れてもらっていい?」
グレンは「了解しました」と言って入り口側の壁の方に行ってくれる。
さて、頭の中に、火を思い浮かべて、魔力を手に集めれば、、、、
──────ボッ
よし! できた!
僕はやらないけど、人によっては【火よ】とか言わないと発動しない人もいるんだよね。
今は魔力を手に集めたから、手に炎が出てきたけど、集める場所を自分から離れた場所にすると、そこで魔術が発動する。
まぁ、離れ過ぎたらできないけどね…………
その後、10分くらい練習したけど、大分感覚が戻ってきた。
あれ? 父様!!
もういいかと思ってグレンの方を見ると、父様が来ていた。
言ってくれればいいのに………………
「父様、いついらっしゃったのですか?」
「5分程前だな。……………それにしても、魔術とは本当に不思議な力だな………
あぁ、魔力に関する説明などはグレンから聞いた。」
「ラストル様、お見事でございました」
…………二人ともビックリしたのかな?
二人とも初めて魔術を見たんだもんね!
「ありがとう、グレン。感覚は大分取り戻せましたのでそろそろ始めようかと…………どちらから始めましょうか?」
「私がやろう」
父様が手を差し出してくれた。
「それでは失礼します」
………ゆっくりゆっくり……初めてなのに急に魔力を動かすと不快感を感じちゃうかもしれないからね!
そうして父様の魔力を動かしていると────
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