12 / 62
3章 学園〜始まり〜
11 サン侯爵家の噂と自覚
しおりを挟むしばらくしてショックから立ち直ると、さっきから僕を見ていた周りの人達も話しかけてきた。
「アルバート様、ラストル様、トーマス様、スノウ公爵家の長女カミラでございます。同じクラスになれて嬉しく思いますわ」
………………獲物を狙うような目で僕を見るのは止めてください!
それにしても派手な方だな。
縦巻きのストロベリーブロンドにライトグリーンの瞳、、、、さすが公爵家のご令嬢
「あぁ、よろしく頼む、カミラ嬢」
「カミラ様、よろしくお願いします」
「よろしくね~」
…………トーマス、相手は僕たちよりはるかに爵位が高い家のご令嬢だぞ!!
そんなに軽く言ったら─────
思っているうちにカミラ様はトーマスを押し退けてアルと僕に話しかけてきた。
「アルバート様とは以前から親交がありましたので容姿が優れていると存じ上げておりましたが、ラストル様にお会いして驚きましたわ!」
………………何にでしょう?
「噂通り、真にお美しくていらっしゃいますのね!まさに、〝神銀の紫水晶〟!〝シャインの守護太陽〟と同じ紫の瞳に〝聖銀の星〟と同じ艶やかな銀髪!素晴らしいですわ!」
──────アリガトウゴザイマス
父様と母様譲りの瞳と髪を誉めてもらえるのは嬉しいけど、恥ずかしいし、外見しか見ていないな……………
「カミラ嬢、あまり言うとラストルが照れてしまいますよ」
「あら、失礼いたしました」
────アル!ありがとう!!!
「今日はもう解散のようですし、皆帰るとしましょう」
アルに賛成!
新入生は今日、入学式後に教室で教科書や今後授業で使う道具を受け取ったら解散なのに、随分遅くなってしまった。
「…………そうですわね」
「ラストル、トーマス、行くぞ!」
僕とトーマスはアルについて教室を出る。
………………………みんな!そんな名残惜しそうな目で見ないで!
--------------
教室からは結構離れたな、
「アル、さっきはありがとうございました」
「いや、大したことはしていない」
「ラストル、困ってたもんね~」
………………トーマス、笑うな!
「明日からの学園生活が不安です……………」
「まぁ、そう言うな。この学園には行事も多いし、皆楽しめるだろう!」
アルの笑顔が眩しい、、、、
「そういえばさ~!入学式で学園長、めちゃくちゃ『レイラ様のように~』って言ってたじゃん?
サン侯爵家のご令嬢ってそんなに素晴らしい方なの?」
「私は会ったことがないから分からないが、会ったことのある者は口を揃えて素晴らしいと言うんだろう?」
「──────違う」
……………あれ?今………
「ラストルは会ったことがあるのか?」
「ラストルは会ったことがあるの~?」
やっぱり声に出しちゃってた……!
ってゆうか、二人の質問のタイミングがピッタリ同じだったぞ?
まぁ、言っちゃった以上、仕方ないか……………
「はい、あります。レイラ様は4年程前から、頻繁にレイ伯爵家にいらっしゃっておりますので、、」
「そうか、それで実際、どんな令嬢なんだ?」
「………………自由奔放な方でございます」
「????」
「????」
二人の顔にハテナマークが浮かんでいる。
そうだよね……………「自由奔放」だけじゃわかんないよね、、、、
「………………彼女は我が家にいらっしゃるときに、連絡をしてからいらっしゃったことはございません」
「!それは無礼ではないか?」
「それって、ダメだよね~?」
また、同じタイミングだ………………
「レイラ嬢は2年前に卒業されたってことは、4年前でも13歳で、今は17歳にもなるんだろう?」
「そうなります」
「その年でマナーを覚えていないとは……………サン侯爵家の者は注意しないのか?」
「侯爵にはお会いしたことがございませんが、夫人は問題視していないようでございます」
「それは、、」
「おかしいね~」
やはり、マナーがなっていないと思うよな………普通は
「…………………二人はサン侯爵家の噂を知っていますか?」
「長女ばかりを可愛がり、次女を虐げているという、、、、噂だろう?」
「僕も聞いたことある~」
結構有名な噂みたいだな。父様も知っていたみたいだし…………
「おそらく事実です」
「!!」「!!」
「4年前、一度だけ次女のイリス様がいらっしゃったことがあるのですが、彼女は姉であるレイラ様に怯えていました」
─────────その後、二人にイルはとても聡明で、大人しい令嬢であること、イルと文通をしていて、手紙に屋敷から出してもらえないとあったことなどを話した
「そうだったのか………イリス嬢は大丈夫だろうか?」
「──────ラストルはイリス様が好きなの~?」
「っ!な、何てことを言うんだ!トーマス!」
マジで、何言ってるんだーーー!
そりゃあ、イルは可愛いし、聡明だし、守ってあげたくなっちゃうし、好きだけど!
─────っ!
顔が熱くなっていくっ
イルが特別だとは分かっていたけど、それが『好き』って感情だと自覚したことなかった!!!
「ラストル、そうなのか?」
「ある、、聞かないでください」
「アル~多分、ラストルは今自分の気持ちを認識したんじゃない?」
──────────う~~~~~
これから、イルに手紙書くとき、意識しちゃいそうだ、、、、
0
お気に入りに追加
104
あなたにおすすめの小説
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
サラシがちぎれた男装騎士の私、初恋の陛下に【女体化の呪い】だと勘違いされました。
ゆちば
恋愛
ビリビリッ!
「む……、胸がぁぁぁッ!!」
「陛下、声がでかいです!」
◆
フェルナン陛下に密かに想いを寄せる私こと、護衛騎士アルヴァロ。
私は女嫌いの陛下のお傍にいるため、男のフリをしていた。
だがある日、黒魔術師の呪いを防いだ際にサラシがちぎれてしまう。
たわわなたわわの存在が顕になり、絶対絶命の私に陛下がかけた言葉は……。
「【女体化の呪い】だ!」
勘違いした陛下と、今度は男→女になったと偽る私の恋の行き着く先は――?!
勢い強めの3万字ラブコメです。
全18話、5/5の昼には完結します。
他のサイトでも公開しています。
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
悪役令嬢に転生したので落ちこぼれ攻略キャラを育てるつもりが逆に攻略されているのかもしれない
亜瑠真白
恋愛
推しキャラを幸せにしたい転生令嬢×裏アリ優等生攻略キャラ
社畜OLが転生した先は乙女ゲームの悪役令嬢エマ・リーステンだった。ゲーム内の推し攻略キャラ・ルイスと対面を果たしたエマは決心した。「他の攻略キャラを出し抜いて、ルイスを主人公とくっつけてやる!」と。優等生キャラのルイスや、エマの許嫁だった俺様系攻略キャラのジキウスは、ゲームのシナリオと少し様子が違うよう。
エマは無事にルイスと主人公をカップルにすることが出来るのか。それとも……
「エマ、可愛い」
いたずらっぽく笑うルイス。そんな顔、私は知らない。
婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが
マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって?
まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ?
※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。
※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。
さようなら、あなたとはもうお別れです
四季
恋愛
十八の誕生日、親から告げられたアセインという青年と婚約した。
幸せになれると思っていた。
そう夢みていたのだ。
しかし、婚約から三ヶ月ほどが経った頃、異変が起こり始める。
魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで
ひーにゃん
ファンタジー
誰もが魔力をもち魔法が使える世界で、アンナリーナはその力を持たず皆に厭われていた。
運命の【ギフト授与式】がやってきて、これでまともな暮らしが出来るかと思ったのだが……
与えられたギフトは【ギフト】というよくわからないもの。
だが、そのとき思い出した前世の記憶で【ギフト】の使い方を閃いて。
これは少し歪んだ考え方の持ち主、アンナリーナの一風変わった仲間たちとの日常のお話。
冒険を始めるに至って、第1章はアンナリーナのこれからを書くのに外せません。
よろしくお願いします。
この作品は小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる