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子にゃんこ、開花する
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ザム、ザム、ザム、ザム!
回復しているにも関わらずぐったりしているのを見ると、あまり時間はない。どうしたらいいのか、なんの対策も見つからないまま、悪魔の背後から様子を伺うだけで精一杯だ。怒りで漏れ出ようとする魔力を必死で押さえ込む。
「フフフ。魔女も所詮は死に抗うことはできない。不死の私とは違うわ」
不死?
死なないの?
なんで?
「そんなにも死ぬのは嫌ですか?魔女になりたがっていましたからね。ああ、ですが、貴女のような性悪には無理というものでした」
アーノってば、なに挑発してるの!!!
見つからないように急いで悪魔の背中をよじ登った。悪魔の方は私が背中にいることには気づいていない。小さくて軽い子ネコの重さなど大きすぎる悪魔には分からないんだろう。
「あら、お蔭で不老不死になれたわ。感謝しなくちゃね?そうだわ!この死に損ないも私と同じものにしてみましょうか?運が良ければ、不老不死よ?」
師匠もアーノも一瞬で魔力が膨らんだ。
「フフフフハハハハハ・・・・」
女はそんなふたりを嘲嗤う。
何を言ってるの?!
不老不死?
死に損ないって、ザムのこと?
ザムが女の前に差し出された。女の小さな声が、背中から女の座る肩近くの腕に待機した私に届く。「開け、暗黒門」と。そして、女はザムに向けて大きく口を開けた。
ダメ!!!
私の本能がその魔力を浴びてはダメだと告げる。ザムが消えてしまう!
私は子ネコの小ささを生かして、ザムと女の間に割って入った。女は驚きの表情を見せたが、口を閉じることはなかった。それどころか、ニヤリと嗤うと私ごと魔力を当てようと更に口を大きく開けた。口が裂けもう人の姿を保ってはいない。私は女の魔力に負けじとありったけの魔力を女の口に放つ。
遠くで、師匠やアーノ、カイザー、アリーの声が聞こえた。私は魔力の渦に飲み込まれて返事どころではない。このままだと、私もザムもただでは済まない。この女が魔力の源であり、暗黒門をその身に携えていた。この悪魔は女の一部だ。
もっと、もっと、もっと、もっと・・・・。
足りない。威力が足りない。魔力が欲しい。
「・・・・フィ・・ウ・ケ・・トレ・・・・」
私の中に魔力が流れ込んでくる。
これ、この魔力、知ってる・・・・!
ばっと後ろを振り向く。体液の交換でしか魔力の受け渡しは出来ないはずなのになんで?!悪魔の魔力を制しながら、混乱する私の見つめる先でザムのほんの少しだけ私のしっぽを触っていた手が力なく垂れ下がった。ザムの魔力はもうほとんど残されていない。さっきまでは、まだ僅かながらあったのに・・・・。
「だめー!!!」
パーン!!!!!!!
何が起こったのか?
目を開けると、目の前には不機嫌を通り越して、目だけで射殺しそうな凶悪な顔のザムがいた。
うお!心臓に悪いんですけどぉ・・・・。
「フィー!身体は?痛いところはないか?」
捲し立てるようにザムが私に迫ってくる。
「大丈夫だよ。何がグフ・・・・」
ガバッと、本当にガバッと、ザムに抱き締められた。「よかった。よかった」とうわ言のように繰り返すザムの背中をぽんぽんと宥めて・・・・、気づいた。
「元に、魔女に戻った!!!ザム!魔女に戻ったよ!」
嬉しそうに抱きつく私に硬直するザム。なんとなく違和感を感じた。
そうか!
この姿でザムに会うのは初めてだ!
あれ?でもフィーって呼んだよね?
「あ、あれ?ザムは私のこと、分かるの?ああ。師匠たちに聞いた?」
そうか。ここには師匠もアーノもいたっけ。ああ!!!それどころじゃなかった!
「ザム!悪魔はどうなったの?あの女は?ザムは?大丈夫なの?」
一気に現状を思い出し、ザムを上から下まで確かめた。
「悪魔はフィーが消した。女も一緒に消えた。俺はファビアーノたち魔女が助けてくれた」
へ?私が消した?私が消えた、じゃなくて?
「詳しくは、妖艶の魔女に聞け」
「そうする」
妖艶の魔女とは、師匠のことだ。ちなみにアーノは麗しの魔女だ。くるっと周りを見回すと、ここはどうやら砦の中にある一室らしい。私はベッドにいた。正確には、ベッドに座るザムの膝の上だ。
「師匠たちは?」
「後始末をして来ると言って消えた」
それなら、暫くしたら戻ってくるだろう。なんだか眠くなってきた。瞼が重い。
「フィー、もう少し眠れ」
ザムの優しい声と温かい体温に安心して再び眠りに落ちた。
次に目覚めると、周りを何かが囲っていた。
せ、狭い。
お腹すいた。
上から光が差している。そちらに向かってピョコンと顔を出す。
「フィリア、目覚めたのね」
「師匠!」
なおーん!
あれ?副音声が聴こえる気がする。
「アーノは?」
にゃーん?
・・・・・・・・。
「いやーーー!!!」
びにゃあーーー!!!
真っ白いふさふさの手、可愛い肉球、ピンと伸びるお髭・・・・。眠っている間に子ネコに戻っているではないか!!!
「なんで~!!!」
ぶにゃ~!!!
「そりゃあ、まだ修行中だからでしょう?アーノは片翼が戻ってきたから帰ったわ」
そんな、そんなぁ。さっき魔女に戻ったのはなんだったのぉ?糠喜びさせやがって!!!んんん?アーノの片翼が戻ってきた?
「じゃあ!」
「落ち着いたらお披露目よ」
師匠は、ニコニコと上機嫌だ。魔女の片翼は特別な存在だ。戻ってきたなら、みんなでお祝いだ。この世界には、6人の魔女とその片翼が5人になった。片翼がいないのは私だけだ。
「さあ、ガルザム。少しフィリアを借りるわね?」
私はザムのポケットで寝ていたようだ。まあ、ぬくぬくなんだけどね。
「承知しました。我々は、この砦の始末のために4日ほど滞在します。その後はこちら側から魔獣を狩りつつ帰還予定です」
「そんなに長いことじゃないわよ。そうね、5日ってとこかしら?終わったらフィリアだけをあなたのところに戻すわ」
私は子ネコのまま師匠に連れられて、魔女だけが入れる不思議空間へと転移した。
回復しているにも関わらずぐったりしているのを見ると、あまり時間はない。どうしたらいいのか、なんの対策も見つからないまま、悪魔の背後から様子を伺うだけで精一杯だ。怒りで漏れ出ようとする魔力を必死で押さえ込む。
「フフフ。魔女も所詮は死に抗うことはできない。不死の私とは違うわ」
不死?
死なないの?
なんで?
「そんなにも死ぬのは嫌ですか?魔女になりたがっていましたからね。ああ、ですが、貴女のような性悪には無理というものでした」
アーノってば、なに挑発してるの!!!
見つからないように急いで悪魔の背中をよじ登った。悪魔の方は私が背中にいることには気づいていない。小さくて軽い子ネコの重さなど大きすぎる悪魔には分からないんだろう。
「あら、お蔭で不老不死になれたわ。感謝しなくちゃね?そうだわ!この死に損ないも私と同じものにしてみましょうか?運が良ければ、不老不死よ?」
師匠もアーノも一瞬で魔力が膨らんだ。
「フフフフハハハハハ・・・・」
女はそんなふたりを嘲嗤う。
何を言ってるの?!
不老不死?
死に損ないって、ザムのこと?
ザムが女の前に差し出された。女の小さな声が、背中から女の座る肩近くの腕に待機した私に届く。「開け、暗黒門」と。そして、女はザムに向けて大きく口を開けた。
ダメ!!!
私の本能がその魔力を浴びてはダメだと告げる。ザムが消えてしまう!
私は子ネコの小ささを生かして、ザムと女の間に割って入った。女は驚きの表情を見せたが、口を閉じることはなかった。それどころか、ニヤリと嗤うと私ごと魔力を当てようと更に口を大きく開けた。口が裂けもう人の姿を保ってはいない。私は女の魔力に負けじとありったけの魔力を女の口に放つ。
遠くで、師匠やアーノ、カイザー、アリーの声が聞こえた。私は魔力の渦に飲み込まれて返事どころではない。このままだと、私もザムもただでは済まない。この女が魔力の源であり、暗黒門をその身に携えていた。この悪魔は女の一部だ。
もっと、もっと、もっと、もっと・・・・。
足りない。威力が足りない。魔力が欲しい。
「・・・・フィ・・ウ・ケ・・トレ・・・・」
私の中に魔力が流れ込んでくる。
これ、この魔力、知ってる・・・・!
ばっと後ろを振り向く。体液の交換でしか魔力の受け渡しは出来ないはずなのになんで?!悪魔の魔力を制しながら、混乱する私の見つめる先でザムのほんの少しだけ私のしっぽを触っていた手が力なく垂れ下がった。ザムの魔力はもうほとんど残されていない。さっきまでは、まだ僅かながらあったのに・・・・。
「だめー!!!」
パーン!!!!!!!
何が起こったのか?
目を開けると、目の前には不機嫌を通り越して、目だけで射殺しそうな凶悪な顔のザムがいた。
うお!心臓に悪いんですけどぉ・・・・。
「フィー!身体は?痛いところはないか?」
捲し立てるようにザムが私に迫ってくる。
「大丈夫だよ。何がグフ・・・・」
ガバッと、本当にガバッと、ザムに抱き締められた。「よかった。よかった」とうわ言のように繰り返すザムの背中をぽんぽんと宥めて・・・・、気づいた。
「元に、魔女に戻った!!!ザム!魔女に戻ったよ!」
嬉しそうに抱きつく私に硬直するザム。なんとなく違和感を感じた。
そうか!
この姿でザムに会うのは初めてだ!
あれ?でもフィーって呼んだよね?
「あ、あれ?ザムは私のこと、分かるの?ああ。師匠たちに聞いた?」
そうか。ここには師匠もアーノもいたっけ。ああ!!!それどころじゃなかった!
「ザム!悪魔はどうなったの?あの女は?ザムは?大丈夫なの?」
一気に現状を思い出し、ザムを上から下まで確かめた。
「悪魔はフィーが消した。女も一緒に消えた。俺はファビアーノたち魔女が助けてくれた」
へ?私が消した?私が消えた、じゃなくて?
「詳しくは、妖艶の魔女に聞け」
「そうする」
妖艶の魔女とは、師匠のことだ。ちなみにアーノは麗しの魔女だ。くるっと周りを見回すと、ここはどうやら砦の中にある一室らしい。私はベッドにいた。正確には、ベッドに座るザムの膝の上だ。
「師匠たちは?」
「後始末をして来ると言って消えた」
それなら、暫くしたら戻ってくるだろう。なんだか眠くなってきた。瞼が重い。
「フィー、もう少し眠れ」
ザムの優しい声と温かい体温に安心して再び眠りに落ちた。
次に目覚めると、周りを何かが囲っていた。
せ、狭い。
お腹すいた。
上から光が差している。そちらに向かってピョコンと顔を出す。
「フィリア、目覚めたのね」
「師匠!」
なおーん!
あれ?副音声が聴こえる気がする。
「アーノは?」
にゃーん?
・・・・・・・・。
「いやーーー!!!」
びにゃあーーー!!!
真っ白いふさふさの手、可愛い肉球、ピンと伸びるお髭・・・・。眠っている間に子ネコに戻っているではないか!!!
「なんで~!!!」
ぶにゃ~!!!
「そりゃあ、まだ修行中だからでしょう?アーノは片翼が戻ってきたから帰ったわ」
そんな、そんなぁ。さっき魔女に戻ったのはなんだったのぉ?糠喜びさせやがって!!!んんん?アーノの片翼が戻ってきた?
「じゃあ!」
「落ち着いたらお披露目よ」
師匠は、ニコニコと上機嫌だ。魔女の片翼は特別な存在だ。戻ってきたなら、みんなでお祝いだ。この世界には、6人の魔女とその片翼が5人になった。片翼がいないのは私だけだ。
「さあ、ガルザム。少しフィリアを借りるわね?」
私はザムのポケットで寝ていたようだ。まあ、ぬくぬくなんだけどね。
「承知しました。我々は、この砦の始末のために4日ほど滞在します。その後はこちら側から魔獣を狩りつつ帰還予定です」
「そんなに長いことじゃないわよ。そうね、5日ってとこかしら?終わったらフィリアだけをあなたのところに戻すわ」
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