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新しい試み
旅の楽しみは?・・え?
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破壊神の騒ぎはあったけど、後のことは騎士団に任せて、さっさとジャイたちと別れたわたしたちは予定通りベルガの領地を目指した。皇都にいたら、いいように使われる!絶対!
冒険者ギルドで転移すること2回。ベルガの領地はここから3日行ったところにある。領都までは更に1日。馬車で1日の距離ごとに宿屋のある街が整備されているから、朝出れば野宿になることはまずない。わたしたちは、まだ夕暮れには時間があるという3人の判断で南に延びる街道をひたすら走っている。馬車?馬?そんな便利で身体を甘やかすようなもの使うわけがない。この歩くことも彼らにとっては訓練なのだよ。わたしは例のごとく3人の誰かに抱えられている。彼らの一歩はわたしの三歩だから仕方ない。加えて、わたしの身長は彼らの脚の長さより低いのだ。隣を悠長に歩いていたらいつ蹴られるか分かったもんじゃない。わたしひとりくらいでは負荷にもならないらしいから重力を調整してあげた。少しくらい疲れればいいよ!
わたしたちは転移陣のある街をおやつの時間=3の鐘前に出て、夜のとばりが降り始める閉門ギリギリ=6の鐘に次の街に到着し宿を取った。
・・・・。おかしい。普通は馬車で1日のはずなのに・・・・。景色は線のように流れ、途中何回かざらぱぱが森に消えた。おかしい。絶対に何か間違ってると思う!
「シャナ、明日の夕方にはベルガの領地につく予定で行きますが、要望はありますか?」
「あるよ!ちゃんと街には寄って!何があるのか見たい。ずっと移動は嫌!」
せっかくの旅なのに、街にも寄らず全部すっ飛ばす気? !緊急事態じゃないんだから、そんなに慌てる必要はないよね?もっとゆっくりしようよ。
「街に寄ったところで何もないぞ?」
「え?街の特産物とかそこでしか食べられないものとか、あるでしょ?」
「そんなものあったか?」
え?ないの?
「これと言って思い浮かびませんが、シャナの視点で見るとあるかもしれませんね」
「どの街もそんなに変わらないぞ?採れるものは領地毎に多少違うけどな」
「それが大事なんだよ。だから、街には寄って!」
この世界が発展しない理由がちょっと分かった気がする。なんで、領地の珍しいものとか名物とか全面に出さないかなぁ?
翌日、明るいところで見るこの街は、周りを小麦畑に囲まれた長閑な街だった。近くには小さな森もある。ここもやはり以前と比べると魔獣の数が増えているらしい。とは言え、冒険者も頻繁に訪れることもあって、生活に変わりはないようだ。りーぱぱの情報では、適度に暖かく適度に涼しいこの領地はシルクの生産が盛んで、わたしがパーティーで着たドレスもここのシルクを使ったものだと教えてくれた。小麦や野菜の栽培にも適しているという恵まれた領地の隣にベルガの領地はあるということだ。
「あるじゃん!特産品」
シルクはこの領地の特産品だ!だったら、ここでしか手に入らないものもあるはず!
「だが、皇都でも王都でも手に入るだろ?」
そうだけど!確かにそうだけど!心底不思議そうにしないでほしい。この世界に、旅の醍醐味はないのだろうか?旅に出たらお土産買いたくならないの?
「ここでしか手に入らないものもあるかもしれないでしょ?地元の人にしか知られてない、珍しいものとか。知らないだけかもしれないでしょ?」
「よく分かりませんが、急ぎではないですから街に泊まるのは構いませんよ」
「旨いもんがあるといいな!」
・・・・本当にね!
結論から言おう。
途中3つあったどの街もタルと変わらなかった・・・・。薄くて旨味のないスープ、噛みきれない肉、固いパン。クッキーといった固いお菓子、果物を干したものをこれでもかと砂糖で固めたもの。果物もタルにあるものばかりだった。珍しいものは皆無。シルクもドレスにしか使われていない。プリンセスラインのこれでもかと盛ったデザインばっかり。皇都の方がまだ洗練されている。シルクの生産が盛んなんだから、ハンカチとかスカーフくらいないの?なんで、ドレスしか作らない?!端切れとかでシルクの花飾りとか作ればいいのに・・・・。よくよく聞いてみれば、ハンカチはドレスの端切れで作ったものをドレスと一緒に納品しているとか。あとは、ドレスと共布で仕立てるバッグや靴に使われるため、残るのは使い物にならないような細切れの布だけ。高価なシルクを態々ハンカチなんかにしないのだそうだ。
なんてこった・・・・!
「だから、言ったでしょう?」
「どこもこんなもんだぞ?」
「俺たちも色々廻ったが、ここと変わらないな」
あんまりだ。旅の楽しみがぁ・・・・。
「それじゃあ、旅しても面白くないし楽しくないよぉ」
「そういうもんだ」
「冒険者や商人ならともかく、用もないのに旅する人はいませんよ」
え?娯楽で旅行とかしないの?常識の違いに頭がクラクラしてきた。魔獣がいるのに街道を護衛もつけずに移動はできない。護衛を雇うにもお金がかかる。旅行といっても貴族は領地の別荘があり、そこで過ごすから特産品を作るとかいう発想自体がないわけだ。
なんて世界だ・・・・。
「分かった。ベルガのところで温泉スパを作って人を呼び込み特産品を売ろう!温泉卵にコーヒー味の温泉クッキーからだね!」
「また、シャナが訳の分からないことを言い出したぞ?」
「いつものことですよ」
「それは旨いのか?」
「美味しいのもあるよ!でもね、ベルガの領地もその周りの街にも凄い経済効果があるんだよ!楽しみにしてて!」
わたしの計画に3人は溜め息と諦めの表情で私を見ていたが、わたしは自分の構想に興奮していて気付かなかった。
冒険者ギルドで転移すること2回。ベルガの領地はここから3日行ったところにある。領都までは更に1日。馬車で1日の距離ごとに宿屋のある街が整備されているから、朝出れば野宿になることはまずない。わたしたちは、まだ夕暮れには時間があるという3人の判断で南に延びる街道をひたすら走っている。馬車?馬?そんな便利で身体を甘やかすようなもの使うわけがない。この歩くことも彼らにとっては訓練なのだよ。わたしは例のごとく3人の誰かに抱えられている。彼らの一歩はわたしの三歩だから仕方ない。加えて、わたしの身長は彼らの脚の長さより低いのだ。隣を悠長に歩いていたらいつ蹴られるか分かったもんじゃない。わたしひとりくらいでは負荷にもならないらしいから重力を調整してあげた。少しくらい疲れればいいよ!
わたしたちは転移陣のある街をおやつの時間=3の鐘前に出て、夜のとばりが降り始める閉門ギリギリ=6の鐘に次の街に到着し宿を取った。
・・・・。おかしい。普通は馬車で1日のはずなのに・・・・。景色は線のように流れ、途中何回かざらぱぱが森に消えた。おかしい。絶対に何か間違ってると思う!
「シャナ、明日の夕方にはベルガの領地につく予定で行きますが、要望はありますか?」
「あるよ!ちゃんと街には寄って!何があるのか見たい。ずっと移動は嫌!」
せっかくの旅なのに、街にも寄らず全部すっ飛ばす気? !緊急事態じゃないんだから、そんなに慌てる必要はないよね?もっとゆっくりしようよ。
「街に寄ったところで何もないぞ?」
「え?街の特産物とかそこでしか食べられないものとか、あるでしょ?」
「そんなものあったか?」
え?ないの?
「これと言って思い浮かびませんが、シャナの視点で見るとあるかもしれませんね」
「どの街もそんなに変わらないぞ?採れるものは領地毎に多少違うけどな」
「それが大事なんだよ。だから、街には寄って!」
この世界が発展しない理由がちょっと分かった気がする。なんで、領地の珍しいものとか名物とか全面に出さないかなぁ?
翌日、明るいところで見るこの街は、周りを小麦畑に囲まれた長閑な街だった。近くには小さな森もある。ここもやはり以前と比べると魔獣の数が増えているらしい。とは言え、冒険者も頻繁に訪れることもあって、生活に変わりはないようだ。りーぱぱの情報では、適度に暖かく適度に涼しいこの領地はシルクの生産が盛んで、わたしがパーティーで着たドレスもここのシルクを使ったものだと教えてくれた。小麦や野菜の栽培にも適しているという恵まれた領地の隣にベルガの領地はあるということだ。
「あるじゃん!特産品」
シルクはこの領地の特産品だ!だったら、ここでしか手に入らないものもあるはず!
「だが、皇都でも王都でも手に入るだろ?」
そうだけど!確かにそうだけど!心底不思議そうにしないでほしい。この世界に、旅の醍醐味はないのだろうか?旅に出たらお土産買いたくならないの?
「ここでしか手に入らないものもあるかもしれないでしょ?地元の人にしか知られてない、珍しいものとか。知らないだけかもしれないでしょ?」
「よく分かりませんが、急ぎではないですから街に泊まるのは構いませんよ」
「旨いもんがあるといいな!」
・・・・本当にね!
結論から言おう。
途中3つあったどの街もタルと変わらなかった・・・・。薄くて旨味のないスープ、噛みきれない肉、固いパン。クッキーといった固いお菓子、果物を干したものをこれでもかと砂糖で固めたもの。果物もタルにあるものばかりだった。珍しいものは皆無。シルクもドレスにしか使われていない。プリンセスラインのこれでもかと盛ったデザインばっかり。皇都の方がまだ洗練されている。シルクの生産が盛んなんだから、ハンカチとかスカーフくらいないの?なんで、ドレスしか作らない?!端切れとかでシルクの花飾りとか作ればいいのに・・・・。よくよく聞いてみれば、ハンカチはドレスの端切れで作ったものをドレスと一緒に納品しているとか。あとは、ドレスと共布で仕立てるバッグや靴に使われるため、残るのは使い物にならないような細切れの布だけ。高価なシルクを態々ハンカチなんかにしないのだそうだ。
なんてこった・・・・!
「だから、言ったでしょう?」
「どこもこんなもんだぞ?」
「俺たちも色々廻ったが、ここと変わらないな」
あんまりだ。旅の楽しみがぁ・・・・。
「それじゃあ、旅しても面白くないし楽しくないよぉ」
「そういうもんだ」
「冒険者や商人ならともかく、用もないのに旅する人はいませんよ」
え?娯楽で旅行とかしないの?常識の違いに頭がクラクラしてきた。魔獣がいるのに街道を護衛もつけずに移動はできない。護衛を雇うにもお金がかかる。旅行といっても貴族は領地の別荘があり、そこで過ごすから特産品を作るとかいう発想自体がないわけだ。
なんて世界だ・・・・。
「分かった。ベルガのところで温泉スパを作って人を呼び込み特産品を売ろう!温泉卵にコーヒー味の温泉クッキーからだね!」
「また、シャナが訳の分からないことを言い出したぞ?」
「いつものことですよ」
「それは旨いのか?」
「美味しいのもあるよ!でもね、ベルガの領地もその周りの街にも凄い経済効果があるんだよ!楽しみにしてて!」
わたしの計画に3人は溜め息と諦めの表情で私を見ていたが、わたしは自分の構想に興奮していて気付かなかった。
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