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恋ばな
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「航ちゃん、どうしたらいい?」
アールとライへの恋心に気付いてしまった私は、現状打破のために航ちゃんに相談することを決めた。そして、今、神域にあるガーデンでアールとライには内緒で航ちゃんと会っているわけだ。土の精霊王は少し離れたところで優雅にお茶をしている。目の届くところならと二人にしてくれた。
「どうしたらって、別にそのまま伝えたらいいんじゃない?」
「グゥ・・それが出来れば相談してない。二人を前にすると言葉が、でなくなるんだよぉ」
「うわぁ。光梨が乙女してるよ。うわぁ、貴重だ」
どういう意味だ・・・・。
「もう!真剣に悩んでるんだから!」
「ごめんごめん。なんか、光梨が向こうにいたときには考えられなかったから、つい」
あっちにいた時はいろいろと必死だったからね。恋愛どころじゃなかった。
「で、どうしたらいい?」
「そう言われても・・・・。こればっかりはねぇ。そもそも、光梨の態度で光の精霊王も闇の精霊王も気づいてると思うよ?」
はっとした。確かにそうだ。自分のことに必死でアールとライのことまで気が回らなかったけど、あの二人が、私の変化に気付いていないわけがなかった。
「どうしよう・・・・」
「もうさ、素直になりなよ」
「う"ぅ"~・・・・」
今さら、どうすれば・・・・。意識しないようにすれば・・・・無理。ああ。どうして今まで抱き上げられても添い寝されても平気だったんだろう?おまけにき、キスまで・・・・。
「だいたい、今まで気づかない光梨もどうかと思うよ?あれだけ大切にされて落ちないわけないよね?」
その通りです。ぐうの音もでません。
「くぅ。そんなこと言う航ちゃんはどうだったのさ」
「僕?一目惚れ♪」
そう言いながら、チラッと土の精霊王を見てアイコンタクトを取るあたり、仲が良くて良いですね!!!
「ほら、僕は男だからさ。精霊王たちに召喚されてこっちに来た手前、神殿側も無下にできないでしょ?当時は精霊の巫女っていう愛称もなかったから、ある意味厄介な異世界人なわけだよ。女性ならもう少し違ったのかもしれないけど。だから、機嫌を損ねないためにも僕に妻とか夫を宛がっておけみたいな。そういうのって、雰囲気で分かるじゃん?光梨も神殿でお見合いしてるよね?僕にも物珍しさからかたくさん求婚者がきてね。宝石をちりばめたアクセサリーを持ってくるわけ。男の僕にそれ?ってものも多くてさ。そんな中ロルフは果物をたくさん持ってきたんだよ。なかなかやるよね」
ポッと頬を染めながら馴れ初めを語る航ちゃん。ほんっとうに乙女だな。ちなみにロルフは、土の精霊王の名前。
「それは、インパクトあるね」
「でしょ?それから何回か会って。魔力の交換しないと覚醒出来ないから、ここに来たのは結婚後だよ」
「え?魔力の交換しないと覚醒しないの?なのに、精霊王だって分かるもんなの?」
「んん?まだ詳しく聞いてないの?・・・・まあ、いいか。まず、精霊王は召喚された自分の巫女に会うと封印が解ける。そこで初めて自分が精霊王だって自覚するんだ。その後、自分の巫女と魔力の交換をすることで覚醒して神殿が起動するんだよ。そうだよ!だいたい、好きでもない相手と魔力の交換なんで無理だよね?光梨、前にそう言ってたじゃん」
「ええ?魔力の交換くらいなら、大丈夫だよ。だって、くっついてればいいんだし。生理的に無理なとんでもない見た目とか性格じゃなきゃ、添い寝とか抱き上げられるくらい平気でしょ?」
「・・・・。ごめん。ちょっと、意味わかんない。詳しく説明して?」
私はこっちに来てからの経緯をなるべく客観的に航ちゃんに伝えた。思い出すだけでも恥ずかしくて、どうしても顔が赤くなる。生温かい目を向ける航ちゃん曰く「やっと女の子になった」そうだ。失礼な!
「そういうことか。じゃあさ、今一緒に暮らしてるのは?抵抗ないの?」
「ルームシェアとか同棲とか?そんな感じ。こっちの婚姻とかってよく分からないんだよね。式とか届けとかないし」
「ああ、うん。それは、光の精霊王と闇の精霊王が悪いね。そっか、そっか」
航ちゃんが何かを納得して、うんうん頷いていると、土の精霊王がフワッと航ちゃんを抱き上げた。
「うわぁ!」
「光と闇の精霊王の巫女よ。見つかったようですよ?」
え?!
「では、我々はこれで」
ポカンとする私を残して、航ちゃんと土の精霊王はすぐに姿を消した。そして、その直後・・・・。
「「ヒカ!」」
「ゲッ!」
ヤバい・・・・。私が慌てて逃げようとする前に、アールによって肩を優しく、それでいて絶対に外れない絶妙な力加減で押さえられた。まあ、何処に逃げるんだって話だが。
「どういうことかな?」
ニコニコと私の手をやんわりと握るライに背中から冷や汗が流れる。顔が赤くなるどころではない。きっと青白くなっているだろう。
「アウ・・・・」
「土の精霊王の巫女と会うときには事前に教えろと言ったはずだが?」
「だって・・・・」
言えば着いてくるよね?今日に限ってそれは困るんだよね。流石に寮の部屋から出ようとは思わないけど、別に神域なんだし、危なくないんだから、そんなに怒らなくてもよくない?
「「ヒカ?」」
私を責めるような二人の口調にムッとした。なんでこんなに責められなきゃいけないの?!
「・・・・」
私は押し黙った。ここに来て5月。ひとりで出歩けない私には、航ちゃん以外の知り合いもなく、逃げ場もないことに愕然とした。そして、あちらでの自分の足で何処にでも行ける自由な日常が恋しくて堪らなくなってしまった。
アールとライへの恋心に気付いてしまった私は、現状打破のために航ちゃんに相談することを決めた。そして、今、神域にあるガーデンでアールとライには内緒で航ちゃんと会っているわけだ。土の精霊王は少し離れたところで優雅にお茶をしている。目の届くところならと二人にしてくれた。
「どうしたらって、別にそのまま伝えたらいいんじゃない?」
「グゥ・・それが出来れば相談してない。二人を前にすると言葉が、でなくなるんだよぉ」
「うわぁ。光梨が乙女してるよ。うわぁ、貴重だ」
どういう意味だ・・・・。
「もう!真剣に悩んでるんだから!」
「ごめんごめん。なんか、光梨が向こうにいたときには考えられなかったから、つい」
あっちにいた時はいろいろと必死だったからね。恋愛どころじゃなかった。
「で、どうしたらいい?」
「そう言われても・・・・。こればっかりはねぇ。そもそも、光梨の態度で光の精霊王も闇の精霊王も気づいてると思うよ?」
はっとした。確かにそうだ。自分のことに必死でアールとライのことまで気が回らなかったけど、あの二人が、私の変化に気付いていないわけがなかった。
「どうしよう・・・・」
「もうさ、素直になりなよ」
「う"ぅ"~・・・・」
今さら、どうすれば・・・・。意識しないようにすれば・・・・無理。ああ。どうして今まで抱き上げられても添い寝されても平気だったんだろう?おまけにき、キスまで・・・・。
「だいたい、今まで気づかない光梨もどうかと思うよ?あれだけ大切にされて落ちないわけないよね?」
その通りです。ぐうの音もでません。
「くぅ。そんなこと言う航ちゃんはどうだったのさ」
「僕?一目惚れ♪」
そう言いながら、チラッと土の精霊王を見てアイコンタクトを取るあたり、仲が良くて良いですね!!!
「ほら、僕は男だからさ。精霊王たちに召喚されてこっちに来た手前、神殿側も無下にできないでしょ?当時は精霊の巫女っていう愛称もなかったから、ある意味厄介な異世界人なわけだよ。女性ならもう少し違ったのかもしれないけど。だから、機嫌を損ねないためにも僕に妻とか夫を宛がっておけみたいな。そういうのって、雰囲気で分かるじゃん?光梨も神殿でお見合いしてるよね?僕にも物珍しさからかたくさん求婚者がきてね。宝石をちりばめたアクセサリーを持ってくるわけ。男の僕にそれ?ってものも多くてさ。そんな中ロルフは果物をたくさん持ってきたんだよ。なかなかやるよね」
ポッと頬を染めながら馴れ初めを語る航ちゃん。ほんっとうに乙女だな。ちなみにロルフは、土の精霊王の名前。
「それは、インパクトあるね」
「でしょ?それから何回か会って。魔力の交換しないと覚醒出来ないから、ここに来たのは結婚後だよ」
「え?魔力の交換しないと覚醒しないの?なのに、精霊王だって分かるもんなの?」
「んん?まだ詳しく聞いてないの?・・・・まあ、いいか。まず、精霊王は召喚された自分の巫女に会うと封印が解ける。そこで初めて自分が精霊王だって自覚するんだ。その後、自分の巫女と魔力の交換をすることで覚醒して神殿が起動するんだよ。そうだよ!だいたい、好きでもない相手と魔力の交換なんで無理だよね?光梨、前にそう言ってたじゃん」
「ええ?魔力の交換くらいなら、大丈夫だよ。だって、くっついてればいいんだし。生理的に無理なとんでもない見た目とか性格じゃなきゃ、添い寝とか抱き上げられるくらい平気でしょ?」
「・・・・。ごめん。ちょっと、意味わかんない。詳しく説明して?」
私はこっちに来てからの経緯をなるべく客観的に航ちゃんに伝えた。思い出すだけでも恥ずかしくて、どうしても顔が赤くなる。生温かい目を向ける航ちゃん曰く「やっと女の子になった」そうだ。失礼な!
「そういうことか。じゃあさ、今一緒に暮らしてるのは?抵抗ないの?」
「ルームシェアとか同棲とか?そんな感じ。こっちの婚姻とかってよく分からないんだよね。式とか届けとかないし」
「ああ、うん。それは、光の精霊王と闇の精霊王が悪いね。そっか、そっか」
航ちゃんが何かを納得して、うんうん頷いていると、土の精霊王がフワッと航ちゃんを抱き上げた。
「うわぁ!」
「光と闇の精霊王の巫女よ。見つかったようですよ?」
え?!
「では、我々はこれで」
ポカンとする私を残して、航ちゃんと土の精霊王はすぐに姿を消した。そして、その直後・・・・。
「「ヒカ!」」
「ゲッ!」
ヤバい・・・・。私が慌てて逃げようとする前に、アールによって肩を優しく、それでいて絶対に外れない絶妙な力加減で押さえられた。まあ、何処に逃げるんだって話だが。
「どういうことかな?」
ニコニコと私の手をやんわりと握るライに背中から冷や汗が流れる。顔が赤くなるどころではない。きっと青白くなっているだろう。
「アウ・・・・」
「土の精霊王の巫女と会うときには事前に教えろと言ったはずだが?」
「だって・・・・」
言えば着いてくるよね?今日に限ってそれは困るんだよね。流石に寮の部屋から出ようとは思わないけど、別に神域なんだし、危なくないんだから、そんなに怒らなくてもよくない?
「「ヒカ?」」
私を責めるような二人の口調にムッとした。なんでこんなに責められなきゃいけないの?!
「・・・・」
私は押し黙った。ここに来て5月。ひとりで出歩けない私には、航ちゃん以外の知り合いもなく、逃げ場もないことに愕然とした。そして、あちらでの自分の足で何処にでも行ける自由な日常が恋しくて堪らなくなってしまった。
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