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一方・・・・リリナフ
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私は、リリナフ。前世の記憶を思い出して、ここが、《選ばれし君にスィーチリーヤの花束を》の世界だと気付いたの。そして、私は、なんと!ヒ・ロ・イ・ン。王子様たちとキャッキャッウフフの学園ライフが待ってるの♪きゃぁ~!!!
「ちょっと!何なの、このダサい服は!」
顔がニヤけるのを止められず、ウキウキしてやって来た神殿。なのに!灰色のワンピースとか。デザインがダサすぎて、野暮ったい。
「巫女見習いの正装です。普段はこちらの服になります」
これまた、何処のおばさんの服かというようなヨレヨレのはっきりと誰かのお下がりだと分かるワンピースを手渡された。
「ねえ、馬鹿にしてんの?こんなの着られるわけないじゃない。これなら、その辺の平民の方が可愛らしい服を着てるわよ」
『聖なる力を宿す者』である私に対して失礼だわ。私の見た目の良さを生かす服をもってこいって~の!
「申し訳ございません。神殿にはこの服しか置いてございません」
「なら、買ってきてよ。私に相応しい服」
「神殿長に相談いたします」
はぁ。神殿に来てください、不自由させません、っていうから来たのに。最初からこれ?私は、与えられた部屋のベッドに寝転がった。この部屋は、まあまあ、いいかな。ワンルームよりは広いし、ベッドもふかふか。ただ、ソファーは、古くさくて嫌。買い換えて貰おう。
「お待たせ致しました。神殿長からでございます」
一眠りしたところで、巫女がやっと服を持ってきた。
「へ~。割と可愛いじゃない」
孤児院で過ごしてきた私は、街にいる女の子たちが可愛い服を着ているのを見て、ずっと羨ましくて仕方なかった。でも、この程度で満足すると思われるのも癪じゃない?
「あと、このソファー。汚い!あっ、そうだ。今から見に行けばいいじゃん。案内して」
それから、たくさんの物を買い、美味しいものもたくさん食べた。ケーキもドレスも宝石も。覚醒したら、この国に貢献するんだし、このくらいたいしたことないでしょ。この生活がずっと続いて、学園に入ってからは、王子様たちにチヤホヤされるんだと、ときめいていた。それなのに!!!
「何言ってるの?他の巫女見習いと一緒に暮らせ?冗談言わないでよ」
はあ?ふざけてる。何故、この私が、美貌も能力も何も持たないブスたちと一緒にされないといけないの?!
「我々神殿は、主神ハルシオンルー様のご意志を尊重します。あなたの授かったスキルが、ハルシオンルー様よりいただいたものではなく、尚且つ、この世界を崩壊に導くものであると神託を受けた以上、他の者たちと同等に扱うと決まりました。今までがおかしかったのです。あなたの脅しに屈するべきではなかった。本来なら、出て行ってもらいたいところを神殿長のご慈悲で、ここに留まることが出来るのです。感謝なさい」
「はあ?!何言ってんの?私にこのスキルをくれたのは、女神ルシアンテーナ様。ハルシオンルーなんて知らないわ」
ハルシオンルーって、誰よ?この世界の神様はルシアンテーナ様でしょ?
「な、な、な」
私と話していたウザい巫女は、口をナワナワとさせると、ものすごい勢いで部屋を飛び出していった。その数時間後、私は着の身着のままで神殿から放り出されてしまうところを運良く、この国の王妃様に拾われることになったのだった。ほらぁ、流石ヒロインって感じ?
「ヴィンザルク、この子は『聖なる力を宿す者』。覚醒すれば、強大な力を得るスキルを持っています。大事になさい」
ふふ~ん。そうなの。そうなの。私、凄い子なんだから、大事にしてよぉ。よく分かってるじゃない、おばさん。
「ふ~ん。まあ、これならいいか。俺の隣にいても見劣りすることもないだろう。ソフィアーナは、華がないからな。着飾ったところで、山猿が猿になる程度だ。それに引き換え、お前は、磨きがいがある。名は?」
「リリナフと申します」
「おれは、ヴィンザルク。ヴィンと呼ぶことを許す」
「まあ、嬉しい。ヴィン様のような高貴な方とお知り合いになれましたことをルシアンテーナ様に感謝致します」
「ルシアンテーナ様?この世界の主神は、ハルシオンルー様だ」
「そうなんですか?でも、私にこのスキルを与えてくれたのは、女神ルシアンテーナ様ですぅ」
なんで皆ハルシオンルーって言うんだろ?この世界の神様は、ルシアンテーナ様でしょ?
「なんと!ハルシオンルー様以外の神が居たとは!ならば、あの神託は何なのだ?!」
神託って何のこと?
「たぶん~、この世界の神様が交替したとか、かなぁ。そのハルシオンルーは、この世界から追放されたとか?」
きっと、自分が追放された腹いせに何かしようとしてるんだ。なんて奴だ。だから、追放されるんだよ!
「なるほど」
「でしたら、あのような神託に従うことはありませんわ。新しい女神ルシアンテーナ様を信仰すればよいのです」
「流石です、お祖母様!この世界が再構築されて、平等な世界になるなどと、馬鹿なことを言う連中に振り回されるところでした。兄上も馬鹿な選択をしたものだ。帝王学を放棄し、スキルの訓練や使用人に頼らない生活をしているそうですよ。学園にも行かないつもりだとか」
兄上って、確かネルビスだったよね?あっれ~?ネルビスって攻略対象だったはず。学園に行かないってことは、私と出会えないじゃない!あっ!でもでも、ハレスヤナリーバージョンの攻略対象のヴィンザルクがいるし、いっか。なんか、混ざっちゃったのかもね。
「リリナフ。その力を一刻も早く覚醒して、ヴィンザルクの力になってちょうだい。期待しているわ」
「はい。もちろんです」
神殿なんかより、すっといい暮らしが出来そうだ。ぐふっ。ぐふふ。ふひゃひゃひゃひゃひゃひゃ。
「ちょっと!何なの、このダサい服は!」
顔がニヤけるのを止められず、ウキウキしてやって来た神殿。なのに!灰色のワンピースとか。デザインがダサすぎて、野暮ったい。
「巫女見習いの正装です。普段はこちらの服になります」
これまた、何処のおばさんの服かというようなヨレヨレのはっきりと誰かのお下がりだと分かるワンピースを手渡された。
「ねえ、馬鹿にしてんの?こんなの着られるわけないじゃない。これなら、その辺の平民の方が可愛らしい服を着てるわよ」
『聖なる力を宿す者』である私に対して失礼だわ。私の見た目の良さを生かす服をもってこいって~の!
「申し訳ございません。神殿にはこの服しか置いてございません」
「なら、買ってきてよ。私に相応しい服」
「神殿長に相談いたします」
はぁ。神殿に来てください、不自由させません、っていうから来たのに。最初からこれ?私は、与えられた部屋のベッドに寝転がった。この部屋は、まあまあ、いいかな。ワンルームよりは広いし、ベッドもふかふか。ただ、ソファーは、古くさくて嫌。買い換えて貰おう。
「お待たせ致しました。神殿長からでございます」
一眠りしたところで、巫女がやっと服を持ってきた。
「へ~。割と可愛いじゃない」
孤児院で過ごしてきた私は、街にいる女の子たちが可愛い服を着ているのを見て、ずっと羨ましくて仕方なかった。でも、この程度で満足すると思われるのも癪じゃない?
「あと、このソファー。汚い!あっ、そうだ。今から見に行けばいいじゃん。案内して」
それから、たくさんの物を買い、美味しいものもたくさん食べた。ケーキもドレスも宝石も。覚醒したら、この国に貢献するんだし、このくらいたいしたことないでしょ。この生活がずっと続いて、学園に入ってからは、王子様たちにチヤホヤされるんだと、ときめいていた。それなのに!!!
「何言ってるの?他の巫女見習いと一緒に暮らせ?冗談言わないでよ」
はあ?ふざけてる。何故、この私が、美貌も能力も何も持たないブスたちと一緒にされないといけないの?!
「我々神殿は、主神ハルシオンルー様のご意志を尊重します。あなたの授かったスキルが、ハルシオンルー様よりいただいたものではなく、尚且つ、この世界を崩壊に導くものであると神託を受けた以上、他の者たちと同等に扱うと決まりました。今までがおかしかったのです。あなたの脅しに屈するべきではなかった。本来なら、出て行ってもらいたいところを神殿長のご慈悲で、ここに留まることが出来るのです。感謝なさい」
「はあ?!何言ってんの?私にこのスキルをくれたのは、女神ルシアンテーナ様。ハルシオンルーなんて知らないわ」
ハルシオンルーって、誰よ?この世界の神様はルシアンテーナ様でしょ?
「な、な、な」
私と話していたウザい巫女は、口をナワナワとさせると、ものすごい勢いで部屋を飛び出していった。その数時間後、私は着の身着のままで神殿から放り出されてしまうところを運良く、この国の王妃様に拾われることになったのだった。ほらぁ、流石ヒロインって感じ?
「ヴィンザルク、この子は『聖なる力を宿す者』。覚醒すれば、強大な力を得るスキルを持っています。大事になさい」
ふふ~ん。そうなの。そうなの。私、凄い子なんだから、大事にしてよぉ。よく分かってるじゃない、おばさん。
「ふ~ん。まあ、これならいいか。俺の隣にいても見劣りすることもないだろう。ソフィアーナは、華がないからな。着飾ったところで、山猿が猿になる程度だ。それに引き換え、お前は、磨きがいがある。名は?」
「リリナフと申します」
「おれは、ヴィンザルク。ヴィンと呼ぶことを許す」
「まあ、嬉しい。ヴィン様のような高貴な方とお知り合いになれましたことをルシアンテーナ様に感謝致します」
「ルシアンテーナ様?この世界の主神は、ハルシオンルー様だ」
「そうなんですか?でも、私にこのスキルを与えてくれたのは、女神ルシアンテーナ様ですぅ」
なんで皆ハルシオンルーって言うんだろ?この世界の神様は、ルシアンテーナ様でしょ?
「なんと!ハルシオンルー様以外の神が居たとは!ならば、あの神託は何なのだ?!」
神託って何のこと?
「たぶん~、この世界の神様が交替したとか、かなぁ。そのハルシオンルーは、この世界から追放されたとか?」
きっと、自分が追放された腹いせに何かしようとしてるんだ。なんて奴だ。だから、追放されるんだよ!
「なるほど」
「でしたら、あのような神託に従うことはありませんわ。新しい女神ルシアンテーナ様を信仰すればよいのです」
「流石です、お祖母様!この世界が再構築されて、平等な世界になるなどと、馬鹿なことを言う連中に振り回されるところでした。兄上も馬鹿な選択をしたものだ。帝王学を放棄し、スキルの訓練や使用人に頼らない生活をしているそうですよ。学園にも行かないつもりだとか」
兄上って、確かネルビスだったよね?あっれ~?ネルビスって攻略対象だったはず。学園に行かないってことは、私と出会えないじゃない!あっ!でもでも、ハレスヤナリーバージョンの攻略対象のヴィンザルクがいるし、いっか。なんか、混ざっちゃったのかもね。
「リリナフ。その力を一刻も早く覚醒して、ヴィンザルクの力になってちょうだい。期待しているわ」
「はい。もちろんです」
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