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王国内乱編
魔物の森のその先は?
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《side トオル》
ある日、領地での仕事を終えて家に帰ると、フルフルが興奮した様子で俺のところに駆け寄ってきた。その腕には、小さな白い生き物が抱かれている。
「お父さん! 見て、かわいい虎を見つけたの!」
フルフルが抱えているのは、小さな白い虎だった。毛はふわふわで、目は金色に輝き、全体的に幼さが感じられる。それでもどこか威厳があり、フルフルに大人しく抱えられている様子は、妙に落ち着いているようにも見えた。
「お前、こんなところで虎なんて拾ってきたのか? この森には虎も生息しているのか……?」
俺が不思議そうに小さな虎を見つめると、その虎は突然もぞもぞと動き出し、フルフルの腕の中で姿を変えた。気づけばそこにいるのは、小柄な白い髪の男の子だった。
彼の耳は尖っていて、虎のような尾が揺れている。目は相変わらず金色で、虎のときと同じ威厳を湛えていたが、その顔には幼さが残っている。
「君、虎じゃなくて獣人だったのか?」
男の子は少し緊張した様子で頷いた。彼は周りを警戒するように見回しながらも、俺たちに危害を加えるつもりはないらしい。
「……僕、ラオって言います。ここから森を越えたところに住んでるんだけど、森で迷っちゃって……」
ラオは視線を下げ、どこか申し訳なさそうに言った。フルフルは彼の手を握り、安心させるように微笑んだ。
「ラオ! 私はフルフルだよ。こっちが私のお父さんで、トオル!」
「初めまして、ラオ。でも、どうして獣人の姿に?」
「魔物と戦う時はそっちの方が力が出るから」
「そうか、ここは王国のグシャ領だ。森に住んでいるのか?」
「はい!」
俺はそんなこと知らなかった。もしかしたら、王国でも知られていないことなのか? 小さくてモフモフしているラオは、ぬいぐるみのようだ。
「ラオ、安心していい。ここは安全だから」
ラオはフルフルの言葉に少しだけ頬を緩ませたが、それでもまだ不安そうだ。
「君が住んでいるところには、他にも獣人がいるのかい?」
俺が尋ねると、ラオは小さく頷いた。
「はい、僕たちは森の奥でひっそり暮らしているんだ。大人たちは人間と会うのを怖がってるけど、僕は…人間って、そんなに怖いのかなって思って……」
ラオは少し寂しそうに笑った。
獣人たちは森の奥で慎ましく暮らしているらしいが、人間と接触することに不安を抱いているようだ。俺はこの世界での獣人の扱いを知らない。勉強不足ではあるが、ブラフに判断を仰がないといけないな。できれば、こんなに可愛いから保護してやりたいところではあるが。
「なるほど、だから君も警戒してたんだな。分かった。君の村の大人たちと話がしたいけど、案内を頼めるかい?」
ラオは驚いた表情で俺を見つめ、それから一瞬迷うように目を伏せた。
「でも…森は危険な魔物が多いし、僕たちの村も人間を警戒してるから……」
彼の言葉を聞いて、俺は少し考え込んだ。確かに魔物の森は危険だが、彼らと接触することで、互いに理解を深めるチャンスがあるかもしれない。
そこへブラフがやってきた。
「ブラフ、ちょうどよかった」
「どうしたんだい?」
「実は……」
俺は獣人の少年が、魔物の森で迷って、フルフルに助けられたこと、魔物の森の奥に獣人たちが住んでいることを話した。
「ブラフ、お前もどう思う?」
俺は傍らにいるブラフに意見を求めた。ブラフは静かに考え込み、しばらくしてから頷いた。
「獣人たちが森の向こうに暮らしていることがわかった以上、こちらから挨拶に行くのも礼儀だろうね。領地を発展させていくためにも、隣人として交流を図るのは重要なことだ。協力できるなら一緒に発展していった方がいいと思う」
「そうだよな。俺もそう思う」
「トオルは誰に対しても、すぐに取り入るからな。ここは任せてもいいかな?」
「ああ、任せてくれ」
ブラフの言葉を聞き、俺は決心がついた。ラオの村に挨拶しに行こう。それがこの領地の成長にも繋がるだろう。
「ラオ、君がよければ、俺たちと一緒に森へ戻ってくれるか?」
ラオは少し驚いた顔をしていたが、やがて決意したように頷いた。
「うん、僕、案内するよ。でも、気をつけてね。魔物が出たら僕も守るから!」
小さな体ながら、ラオは精一杯に胸を張ってそう言った。その姿を見て、俺とブラフは自然と笑みを交わす。
「よし、ラオ、頼もしい案内役がいてくれて助かる。フルフルも、しっかりサポートしてくれるか?」
「もちろん! 私も力になれるように頑張るよ!」
こうして俺たちは、ラオの案内で魔物の森へと足を踏み入れることを決意した。獣人たちとの交流が、グシャ領に新たな可能性をもたらすきっかけとなるかもしれない。
ある日、領地での仕事を終えて家に帰ると、フルフルが興奮した様子で俺のところに駆け寄ってきた。その腕には、小さな白い生き物が抱かれている。
「お父さん! 見て、かわいい虎を見つけたの!」
フルフルが抱えているのは、小さな白い虎だった。毛はふわふわで、目は金色に輝き、全体的に幼さが感じられる。それでもどこか威厳があり、フルフルに大人しく抱えられている様子は、妙に落ち着いているようにも見えた。
「お前、こんなところで虎なんて拾ってきたのか? この森には虎も生息しているのか……?」
俺が不思議そうに小さな虎を見つめると、その虎は突然もぞもぞと動き出し、フルフルの腕の中で姿を変えた。気づけばそこにいるのは、小柄な白い髪の男の子だった。
彼の耳は尖っていて、虎のような尾が揺れている。目は相変わらず金色で、虎のときと同じ威厳を湛えていたが、その顔には幼さが残っている。
「君、虎じゃなくて獣人だったのか?」
男の子は少し緊張した様子で頷いた。彼は周りを警戒するように見回しながらも、俺たちに危害を加えるつもりはないらしい。
「……僕、ラオって言います。ここから森を越えたところに住んでるんだけど、森で迷っちゃって……」
ラオは視線を下げ、どこか申し訳なさそうに言った。フルフルは彼の手を握り、安心させるように微笑んだ。
「ラオ! 私はフルフルだよ。こっちが私のお父さんで、トオル!」
「初めまして、ラオ。でも、どうして獣人の姿に?」
「魔物と戦う時はそっちの方が力が出るから」
「そうか、ここは王国のグシャ領だ。森に住んでいるのか?」
「はい!」
俺はそんなこと知らなかった。もしかしたら、王国でも知られていないことなのか? 小さくてモフモフしているラオは、ぬいぐるみのようだ。
「ラオ、安心していい。ここは安全だから」
ラオはフルフルの言葉に少しだけ頬を緩ませたが、それでもまだ不安そうだ。
「君が住んでいるところには、他にも獣人がいるのかい?」
俺が尋ねると、ラオは小さく頷いた。
「はい、僕たちは森の奥でひっそり暮らしているんだ。大人たちは人間と会うのを怖がってるけど、僕は…人間って、そんなに怖いのかなって思って……」
ラオは少し寂しそうに笑った。
獣人たちは森の奥で慎ましく暮らしているらしいが、人間と接触することに不安を抱いているようだ。俺はこの世界での獣人の扱いを知らない。勉強不足ではあるが、ブラフに判断を仰がないといけないな。できれば、こんなに可愛いから保護してやりたいところではあるが。
「なるほど、だから君も警戒してたんだな。分かった。君の村の大人たちと話がしたいけど、案内を頼めるかい?」
ラオは驚いた表情で俺を見つめ、それから一瞬迷うように目を伏せた。
「でも…森は危険な魔物が多いし、僕たちの村も人間を警戒してるから……」
彼の言葉を聞いて、俺は少し考え込んだ。確かに魔物の森は危険だが、彼らと接触することで、互いに理解を深めるチャンスがあるかもしれない。
そこへブラフがやってきた。
「ブラフ、ちょうどよかった」
「どうしたんだい?」
「実は……」
俺は獣人の少年が、魔物の森で迷って、フルフルに助けられたこと、魔物の森の奥に獣人たちが住んでいることを話した。
「ブラフ、お前もどう思う?」
俺は傍らにいるブラフに意見を求めた。ブラフは静かに考え込み、しばらくしてから頷いた。
「獣人たちが森の向こうに暮らしていることがわかった以上、こちらから挨拶に行くのも礼儀だろうね。領地を発展させていくためにも、隣人として交流を図るのは重要なことだ。協力できるなら一緒に発展していった方がいいと思う」
「そうだよな。俺もそう思う」
「トオルは誰に対しても、すぐに取り入るからな。ここは任せてもいいかな?」
「ああ、任せてくれ」
ブラフの言葉を聞き、俺は決心がついた。ラオの村に挨拶しに行こう。それがこの領地の成長にも繋がるだろう。
「ラオ、君がよければ、俺たちと一緒に森へ戻ってくれるか?」
ラオは少し驚いた顔をしていたが、やがて決意したように頷いた。
「うん、僕、案内するよ。でも、気をつけてね。魔物が出たら僕も守るから!」
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「よし、ラオ、頼もしい案内役がいてくれて助かる。フルフルも、しっかりサポートしてくれるか?」
「もちろん! 私も力になれるように頑張るよ!」
こうして俺たちは、ラオの案内で魔物の森へと足を踏み入れることを決意した。獣人たちとの交流が、グシャ領に新たな可能性をもたらすきっかけとなるかもしれない。
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