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領地経営スタート
結婚しよう
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互いの過去を語り合って、互いを認め合うことができた。
友人と呼べるやつは元の世界にもいたが、これからブラフとは親友と呼べる関係になれれば俺は嬉しい。
「なぁ、ブラフ」
「なんだい?」
「俺の過去を知っているのは、この世界でブラフだけだ」
「うん」
「これから、どれだけの人間に自分の過去を話すことになるのかわからない。だけど、お前が最初の一人で、俺はお前を信じる」
多分だけど、ブラフは信じられることに慣れていない。そして、俺も誰かを信じることに慣れていない。
「私でいいのか?」
「ああ、お前がいいんだ」
俺は握手を求めた。
これから二人で支え合って生きていくんだ。異世界からの人間ではあるが、王子様の従者になるのも悪くない。
「初めてこの世界に来た俺に声をかけてくれて、俺や村人のために時間と金をかけてくれた。心を、時間を、労力を、対価を、全てを差し出してくれたお前に報いる言葉が信じるだけなのは申し訳ないが、俺はお前を支えたい」
俺は自分の気持ちを、素直にブラフに伝えることにした。
ただ、凄いというだけじゃない。
どうして信じられると思ったのか、支えたいと思ったのか、信じるに足ると思ったのか、それも含めてちゃんと伝える。
「ありがとう。誰かにそんなことを言ってもらえる日が来るなんて思わなかったよ」
「いつかお前に信じてもらえる俺になれるように頑張るよ」
「何を言っているんだ! 私はトオルを信じているよ」
「はいはい」
「あっ! トオル! 私のことを信じていないな。よし。ならば、私がトオルを信頼していることを証明しよう。トオルは私に示してくれたのだ。支えるという告白をしてくれた」
ムキになった顔で立ち上がったブラフが、俺の手を握る。ただ、そのまま顔を近づけてきた。
女顔で、美少年ではあるが、俺にそっちの趣味は……。
「どっ、どうした?」
「トオルはこれから多くのことを成し遂げていくだろう。私も隣でトオルを支えたい」
「おっ、おう、ありがとうな」
「だから、トオル! 私と結婚をしよう」
結婚? 結婚ってなんだ? もしかして……。
「はっ! ハァアア!! なっ、何言ってんだよ! 俺たちは男同士だぞ!」
「うん、そうだよ。トオルはすぐに気持ちを決めることは出来ないだろうから、婚約者でいいよ」
おいおい、婚約者でいいよって、意味がわからないんだけど。それがどうして信用と繋がるんだ? 意味がわからん!
「うん? ああ、理解していないようだから、説明をするよ」
それは異世界の文化違いによる認識違いが提示されている。
「我が国では男女どっちでも結婚ができるんだ。多夫多妻の重婚も認められているんだよ。もちろん、お互いのパートナーが認めた相手のならだけど……」
上目遣いにブラフが俺の顔を覗き込む。
「私をトオルの夫にしてくれ。そして、私の初めての夫になって欲しい!」
冗談……じゃないんだよな? これはマジか?
「……ハァ、正直。意味がわからない。だが、それでお前は俺を信じてくれるのか?」
「うーん、少し違うよ。ここはトオルが話してくれた剣と魔法と精霊が存在するファンタジーなんだよ。結婚にもちゃんと意味がある」
「あっ!」
「形式や儀式だけの結婚じゃない。私たちが結ぶのは魂の絆だ。私は生まれてから初めて誰かを支えたいと思った。そして、トオルを信じて支え合いたいと思ったんだ」
頬を染めてモジモジとしている美少年が恥ずかしそうにしてやがる。
ハァ~、俺はいつフラグを立てたんだ? これはあれだろうか? いつの間にかそういうことか? だが、俺が思っているような関係ではないのかもしれない。
「なぁ、ブラフ」
「なんだい?」
「結婚をして、俺たちは魂の絆を結ぶと言ったが、実際はどうなるんだ?」
「互いの絆が結びつきによって、心から信じ合えるようになるって聞いたよ。残念ながら、私も実際に魂の絆を結んだことがないから、迷信かもしれないけどね」
つまりは、この世界では男女の区別はない? 確かに、元の世界でも宗教的な観点と、遺伝子的なお話だと聞いたことがある。
元の世界でも男女関係なく、好きな人同士で付き合っている人はたくさんいたな。
それに重婚が認められているということは、ブラフに好きな女性が出来た時に、付き合ってはいけないってわけじゃないようだしな。
「分かったよ。婚約を受け入れる」
「本当かい?!」
「ああ、それでブラフが俺を信じてくれるなら構わない」
「ありがとう!」
受け入れた瞬間にブラフが胸に飛び込んできた。
「おっと」
「はは、嬉しいよ。私にこんな嬉しいことが起きるなんて夢にも思わなかった」
無邪気に喜びを表現するブラフ。
騙したつもりはないが、こんなにも心から喜んでもらえると、なんだかよく分かっていない自分が申し訳ない気持ちになってくる。
「そうだ! 私たちの子供を作ろう!」
「はっ?」
何を言っているんだこいつは? 男同士で子供ができるはずないだろ?
「ふふ、そうだね。これもトオルは知らないよね。結婚したんだから、子供が欲しいと思うのは当たり前だろ?」
「いや、意味がわからん!」
「それも僕に任せて、そろそろ食料のこととか、商人のことで街に行かないといけないと思っていたんだ。トオルも一緒にきてくれるよね?」
「ああ、それはもちろん」
「うん! 楽しみだね」
なぜ、そんなに嬉しそうな顔をするのか、理解できない。だけど、ブラフが喜んでいるなら、まぁいいか。
友人と呼べるやつは元の世界にもいたが、これからブラフとは親友と呼べる関係になれれば俺は嬉しい。
「なぁ、ブラフ」
「なんだい?」
「俺の過去を知っているのは、この世界でブラフだけだ」
「うん」
「これから、どれだけの人間に自分の過去を話すことになるのかわからない。だけど、お前が最初の一人で、俺はお前を信じる」
多分だけど、ブラフは信じられることに慣れていない。そして、俺も誰かを信じることに慣れていない。
「私でいいのか?」
「ああ、お前がいいんだ」
俺は握手を求めた。
これから二人で支え合って生きていくんだ。異世界からの人間ではあるが、王子様の従者になるのも悪くない。
「初めてこの世界に来た俺に声をかけてくれて、俺や村人のために時間と金をかけてくれた。心を、時間を、労力を、対価を、全てを差し出してくれたお前に報いる言葉が信じるだけなのは申し訳ないが、俺はお前を支えたい」
俺は自分の気持ちを、素直にブラフに伝えることにした。
ただ、凄いというだけじゃない。
どうして信じられると思ったのか、支えたいと思ったのか、信じるに足ると思ったのか、それも含めてちゃんと伝える。
「ありがとう。誰かにそんなことを言ってもらえる日が来るなんて思わなかったよ」
「いつかお前に信じてもらえる俺になれるように頑張るよ」
「何を言っているんだ! 私はトオルを信じているよ」
「はいはい」
「あっ! トオル! 私のことを信じていないな。よし。ならば、私がトオルを信頼していることを証明しよう。トオルは私に示してくれたのだ。支えるという告白をしてくれた」
ムキになった顔で立ち上がったブラフが、俺の手を握る。ただ、そのまま顔を近づけてきた。
女顔で、美少年ではあるが、俺にそっちの趣味は……。
「どっ、どうした?」
「トオルはこれから多くのことを成し遂げていくだろう。私も隣でトオルを支えたい」
「おっ、おう、ありがとうな」
「だから、トオル! 私と結婚をしよう」
結婚? 結婚ってなんだ? もしかして……。
「はっ! ハァアア!! なっ、何言ってんだよ! 俺たちは男同士だぞ!」
「うん、そうだよ。トオルはすぐに気持ちを決めることは出来ないだろうから、婚約者でいいよ」
おいおい、婚約者でいいよって、意味がわからないんだけど。それがどうして信用と繋がるんだ? 意味がわからん!
「うん? ああ、理解していないようだから、説明をするよ」
それは異世界の文化違いによる認識違いが提示されている。
「我が国では男女どっちでも結婚ができるんだ。多夫多妻の重婚も認められているんだよ。もちろん、お互いのパートナーが認めた相手のならだけど……」
上目遣いにブラフが俺の顔を覗き込む。
「私をトオルの夫にしてくれ。そして、私の初めての夫になって欲しい!」
冗談……じゃないんだよな? これはマジか?
「……ハァ、正直。意味がわからない。だが、それでお前は俺を信じてくれるのか?」
「うーん、少し違うよ。ここはトオルが話してくれた剣と魔法と精霊が存在するファンタジーなんだよ。結婚にもちゃんと意味がある」
「あっ!」
「形式や儀式だけの結婚じゃない。私たちが結ぶのは魂の絆だ。私は生まれてから初めて誰かを支えたいと思った。そして、トオルを信じて支え合いたいと思ったんだ」
頬を染めてモジモジとしている美少年が恥ずかしそうにしてやがる。
ハァ~、俺はいつフラグを立てたんだ? これはあれだろうか? いつの間にかそういうことか? だが、俺が思っているような関係ではないのかもしれない。
「なぁ、ブラフ」
「なんだい?」
「結婚をして、俺たちは魂の絆を結ぶと言ったが、実際はどうなるんだ?」
「互いの絆が結びつきによって、心から信じ合えるようになるって聞いたよ。残念ながら、私も実際に魂の絆を結んだことがないから、迷信かもしれないけどね」
つまりは、この世界では男女の区別はない? 確かに、元の世界でも宗教的な観点と、遺伝子的なお話だと聞いたことがある。
元の世界でも男女関係なく、好きな人同士で付き合っている人はたくさんいたな。
それに重婚が認められているということは、ブラフに好きな女性が出来た時に、付き合ってはいけないってわけじゃないようだしな。
「分かったよ。婚約を受け入れる」
「本当かい?!」
「ああ、それでブラフが俺を信じてくれるなら構わない」
「ありがとう!」
受け入れた瞬間にブラフが胸に飛び込んできた。
「おっと」
「はは、嬉しいよ。私にこんな嬉しいことが起きるなんて夢にも思わなかった」
無邪気に喜びを表現するブラフ。
騙したつもりはないが、こんなにも心から喜んでもらえると、なんだかよく分かっていない自分が申し訳ない気持ちになってくる。
「そうだ! 私たちの子供を作ろう!」
「はっ?」
何を言っているんだこいつは? 男同士で子供ができるはずないだろ?
「ふふ、そうだね。これもトオルは知らないよね。結婚したんだから、子供が欲しいと思うのは当たり前だろ?」
「いや、意味がわからん!」
「それも僕に任せて、そろそろ食料のこととか、商人のことで街に行かないといけないと思っていたんだ。トオルも一緒にきてくれるよね?」
「ああ、それはもちろん」
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